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適用先 SUSE Linux Enterprise Server 11 SP4

8 ソフトウェアRAIDの設定

RAID (Redundant Array of Independent Disks)の目的は、複数のハードディスクパーティションを1つの大きい仮想ハードディスクに結合し、パフォーマンスとデータのセキュリティを最適化することです。ほとんどのRAIDコントローラはSCSIプロトコルを使用します。これは、IDEプロトコルも効率的な方法で多数のハードディスクのアドレスを指定でき、コマンドのパラレル処理に適しているからです。一方、IDEまたはSATAハードディスクをサポートしているRAIDコントローラもあります。ソフトウェアRAIDは、ハードウェアRAIDコントローラ購入による追加コストなしで、RAIDシステムの利点を提供します。ただし、これにはいくらかのCPU時間を要し、高性能なコンピュータには適さないメモリ要件があります。

重要
重要

ソフトウェアRAIDは、OCFS2などのクラスタ化されたファイルシステムの下ではサポートされません。これはRAIDが同時起動をサポートしないためです。OCFS2にRAIDを使用したい場合は、RAIDをストレージサブシステムに処理させる必要があります。

SUSE Linux Enterpriseには、いくつかのハードディスクを1つのソフトウェアRAIDシステムに統合するオプションがあります。RAIDには、それぞれが異なる目標、利点、および属性をもついくつかのハードディスクを1つのRAIDシステムに結合するためのいくつかの戦略が含まれています。これらは通常、RAIDレベルと呼ばれます。

8.1 RAIDレベルの理解

本項では、通常のRAIDレベル(0、1、2、3、4、5)とネストしたRAIDレベルについて説明します。

8.1.1 RAID 0

このレベルでは、各ファイルのブロックが複数のディスクドライブに分散されるので、データアクセスのパフォーマンスが向上します。このレベルはデータのバックアップを提供しないため、実際にはRAIDではありませんが、この種のシステムではRAID  0という名前が一般的です。RAID 0では、2つ以上のハードディスクが互いにプールします。高いパフォーマンスが得られます。ただし、1つのハードディスクに障害が発生しただけで、RAIDシステムが破壊され、データは失われます。

8.1.2 RAID 1

このレベルでは、データが他のハードディスクに一対一でコピーされるため、データに対する適切なセキュリティが提供されます。これは、ハードディスクミラーリングとして知られています。ディスクが破壊された場合は、ディスクの内容のコピーをミラー先のもう1つのディスクで利用できます。したがって、1つのディスク以外のすべてのディスクが損なわれても、データを保全できます。ただし、損傷が検出されない場合は、正しいディスクに損傷したデータがミラーリングされる可能性があり、その場合はデータが壊れます。単一ディスクアクセスの使用時と比較すると、コピープロセスで書き込みのパフォーマンスが若干低下しますが(10~ 20%遅くなる)、読み取りアクセスは、通常の物理ハードディスクのどれと比べても、著しく高速です。これは、データが複製されているので、それらを並行してスキャンできるためです。RAID 1では、一般に、読み取りトランザクションの速度が単一ディスクのほぼ2倍、書き込みトランザクションの速度が単一ディスクと同じです。

8.1.3 RAID 2およびRAID 3

これらは、一般的なRAID実装ではありません。レベル2では、データは、ブロックレベルではなく、ビットレベルでストライプ化されます。レベル3は、専用パリティディスクによってバイトレベルのストライプ化を提供しますが、複数の要求を同時にサービスすることはできません。両レベルとも、まれにしか使用されません。

8.1.4 RAID 4

レベル4は、専用パリティディスクと結合されたレベル0と同様に、ブロックレベルのストライプ化を提供します。データディスクがエラーになると、パリティデータで置き換え用のディスクが作成されます。ただし、パリティディスクは、書き込みアクセスにボトルネックを生成する可能性があります。にもかかわらず、レベル4は時々使用されます。

8.1.5 RAID 5

RAIDD 5は、レベル0とレベル1の間をパフォーマンスおよび冗長性の面で調整して、最適化したものです。ハードディスクスペースは、使用されるディスク数から1を引いたものに等しくなります。データは、RAIDD 0の場合のようにハードディスク間で分散されます。パーティションの1つで作成されたパリティブロックがあるのは、セキュリティ上の理由からです。各パーティションはXORによって互いにリンクされているので、システム障害の場合に、内容が対応するパリティブロックによって再構築されます。RAIDD 5の場合、同時に複数のハードディスクが障害を起こすことはありません。1つのハードディスクに障害がある場合は、そのハードディスクをできるだけ早く交換して、データ消失の危険性をなくす必要があります。

8.1.6 ネストしたRAIDレベル

他にもいくつかのRAIDレベルが開発されています(RAIDn、RAID 10、RAID 0+1、RAID 30、RAID 50など)。それらの一部は、ハードウェアベンダによって作成された専有インプリメンテーションです。これらのレベルは、あまり広く使用されてはいないので、ここでの説明は省略します。

8.2 YaSTによるソフトウェアRAID設定

YaSTソフトRAID設定には、YaST Expert Partitionerからアクセスできます。このパーティション設定ツールを使用すると、既存のパーティションを編集および削除したり、ソフトウェアRAIDで使用する新規パーティションを作成できます。

RAIDパーティションを作成するには、まず、作成 › Do not format(フォーマットしない)の順にクリックし、次に、0xFD Linux RAIDを選択します。RAID 0およびRAID 1の場合、少なくとも2つのパーティションが必要です。RAID 1の場合、パーティションは2つだけです。RAID 5を使用する場合、少なくとも3つのパーティションが必要です。各セグメントは最小サイズのパーティションと同量のスペースしか提供できないので、同じサイズのパーティションだけを使用するようお勧めします。RAIDパーティションを異なるハードディスクに保存すると、 1つが損傷した場合のデータ消失のリスクが削減され(RAID 1と5)、またRAID  0のパフォーマンスを最適化できます。RAIDで使用するすべてのパーティションを作成したら、RAID › Create RAID (RAIDの作成)の順にクリックして、RAID設定を開始します。

ウィザードの次のページで、RAIDレベルを0、1、5のうちから選び、次へをクリックします。次のダイアログ(図8.1「RAIDパーティション」参照)では、Linux RAIDまたはLinuxネイティブのどちらかのタイプのすべてのパーティションがリストされます。スワップパーティションまたはDOSパーティションは表示されません。パーティションがRAIDボリュームにすでに割り当てられている場合は、RAIDデバイスの名前(たとえば/dev/md0)がリストに表示されます。割り当てられていないパーティションは、--で示されます。

RAIDパーティション
図 8.1: RAIDパーティション

割り当て解除済みのパーティションを選択したRAIDボリュームに追加するには、まず、そのパーティションを選択して、追加をクリックします。この時点で、選択したパーティションの横に、RAIDデバイスの名前が表示されます。すべてのパーティションをRAID用の予約パーティションとして割り当てます。すべてのパーティションを割り当てないと、パーティションのスペースが未使用のまま残ります。すべてのパーティションを割り当てたら、次へをクリックして、設定ダイアログに進みます。このダイアログではパフォーマンスを微調整できます(図8.2「ファイルシステム設定」を参照)。

ファイルシステム設定
図 8.2: ファイルシステム設定

従来のパーティションの場合と同様の設定以外だけでなく、暗号化とRAIDボリュームのマウントポイントを使用するように、ファイルシステムを設定します。完了で設定を完了した後、Expert Partitionerで、RAIDと指定されている/dev/md0などのデバイスを参照してください。

8.3 ソフトウェアRAIDのトラブルシューティング

/proc/mdstatファイルをチェックして、RAIDパーティションが破損しているかどうかを調べます。システム障害が発生した場合は、Linuxシステムをシャットダウンして、問題のあるハードディスクを、同じ方法でパーティショニングされている新しいハードディスクに置き換えます。次に、システムを再起動して、mdadm /dev/mdX --add /dev/sdXコマンドを入力します。「X」を特定のデバイス識別子に置き換えてください。これにより、ハードディスクがRAIDシステムに自動的に統合され、そのRAIDシステムが完全に再構築されます。

再構築中もすべてのデータにアクセスできますが、RAIDが完全に再構築されるまでは、パフォーマンスに問題が発生する場合があります。

8.4 詳細情報

ソフトウェアRAIDの設定方法と詳細情報が、次のHOWTOにあります。

  • Linux RAID wiki

  • The Software RAID HOWTO(/usr/share/doc/packages/mdadm/Software-RAID.HOWTO.htmlファイル)

linux-raid」などのLinux RAIDメーリングリストもあります。

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