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SUSE Linux Enterprise Server 15

インストールクイックスタート

SUSE Linux Enterprise Server 15

発行日: September 29, 2024

このクイックスタートでは、SUSE® Linux Enterprise Server 15のインストールを順を追って説明します。

1 SUSE Linux Enterprise Serverへようこそ

サポートされているすべてのハードウェアプラットフォームに製品をインストールするには、次の手順に従います。インストールシステムが正常にブートしている(IPL処理されている)ことが前提になります。インストール手順と展開計画の詳細については、Book “導入ガイドを参照してください。インストールシステムのブート(IPL処理)に必要なプラットフォーム固有の準備については、上述のガイドの次の箇所を参照してください。

  • Book “導入ガイド”, Chapter 2 “AMD64およびIntel 64でのインストール”

  • Book “導入ガイド”, Chapter 3 “ARM AArch64でのインストール”

  • Book “導入ガイド”, Chapter 4 “IBM POWERへのインストール”

  • Book “導入ガイド”, Chapter 5 “IBM Zでのインストール”

1.1 デフォルトのインストール手順

SUSE Linux Enterprise Server 15以降のインストールメディアには、インストーラのみが収録されています。これは、SUSE Linux Enterprise Serverのインストール、更新、登録用の最小限のコマンドラインベースシステムです。インストール時には、インストーラ上にインストールするモジュールを選択することにより、機能を追加できます。

デフォルトのインストールでは、SUSEカスタマーセンターまたはローカルのRepository Management Toolサーバからモジュール用のリポジトリデータを取得するために、ネットワークへのアクセスを必要とします。ネットワークへのアクセスなしでインストールを実行する場合は、2つ目のインストールメディア(SLE-15-Packages ISOイメージ)が必要になります。

SUSE Linux Enterprise Serverをインストールするには、インストーラメディアからインストーラをブート(IPL処理)してインストールを開始します。

1.1.1 言語、キーボード、および製品選択

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言語およびキーボード配列設定は、ブート画面で選択した言語で初期化されています。デフォルトを変更していない場合は、英語(米国)になります。必要に応じて、ここで設定を変更します。キーボードテストテキストボックスを使用して、この配列をテストします。

インストーラを使用して、次のSUSE Linux Enterpriseの基本製品をインストールできます。

  • SUSE Linux Enterprise Server (このドキュメントで説明)

  • SUSE Linux Enterprise Desktop (インストール手順については、https://www.suse.com/documentation/sled/を参照)

  • SUSE Linux Enterprise High Performance Computing (インストール手順については、FIXMEを参照)

  • SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applications (インストール手順については、https://www.suse.com/documentation/sles-for-sap/を参照)

インストールする製品を選択します。それぞれの製品の登録コードが必要です。このドキュメントでは、SUSE Linux Enterprise Serverを選択したものと想定されます。次へで続行します。

1.1.2 使用許諾契約

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ライセンス契約をお読みください。これは、ブート画面で選択した言語で表示されます。訳文は、License Language (ライセンス言語)ドロップダウンボックスを選択して表示できます。SUSE Linux Enterpriseをインストールするには、はい、ライセンスに同意しますをオンにして契約に同意する必要があります。次へで続行します。

1.1.3 ネットワーク設定

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システムの分析が実行されます。インストーラはストレージデバイスを検索し、他のインストール済みシステムの検出を試みます。インストールを開始する際にDHCPを介してネットワークが自動設定された場合は、登録ステップに移動します。

ネットワークがまだ設定されていない場合は、ネットワークの設定ダイアログが開きます。リストからネットワークインタフェースを選択し、編集をクリックして設定します。または、追加をクリックして、インタフェースを手動で追加します。詳細については、Book “導入ガイド”, Chapter 8 “インストール手順”, Section 8.6 “ネットワーク設定”Book “管理ガイド”, Chapter 17 “ネットワークの基礎”, Section 17.4 “YaSTによるネットワーク接続の設定”を参照してください。ネットワークへのアクセスなしでインストールしたい場合は、変更を加えずにこのステップをスキップし、次へで続行します。

1.1.4 IBM Z: ディスクのアクティベーション

IBM Zハードウェア上にインストールしていない場合は、このステップをスキップします。

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接続されているハードディスクを設定します。SUSE Linux Enterprise Serverのインストールでは、DASD、Fibre Channel Attached SCSI Disk (zFCP)、またはiSCSIを選択します。DASDおよびzFCP設定ボタンは、対応するデバイスが接続されている場合にのみ使用可能です。選択したディスクタイプを設定するには、次へで続行します。

1.1.5 登録

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テクニカルサポート情報や製品のアップデートを入手するには、SUSEカスタマーセンターまたはローカル登録サーバで製品を登録してアクティブ化する必要があります。この段階でSUSE Linux Enterprise Serverを登録すると、アップデートリポジトリへのアクセス権もただちに得られます。これにより、利用できる最新のアップデートとパッチを使用してシステムをインストールできるようになります。

登録時には、モジュールおよび拡張機能(次のステップでインストール可能)のリポジトリと依存関係が登録サーバからロードされます。

ネットワークに接続していない場合または登録をスキップする場合は、登録を行なわずに飛ばすを有効にします。1.2項 「登録なしのインストール」の手順に従って、インストールを続行します。

SUSEカスタマーセンターで登録するには、SCCアカウントに関連付けられている電子メールアドレスと、SUSE Linux Enterprise Server登録コードを入力します。組織がローカル登録サーバを提供している場合は、代わりにそこで登録することもできます。ローカルSMTサーバを使用してシステムを登録するを有効にした後、ドロップダウンボックスからURLを選択するかアドレスを入力します。

ヒント
ヒント: インストール時に製品パッチをインストールする

SUSE Linux Enterprise Serverが正しく登録された後、インストール中に、利用可能な最新のオンラインアップデートをインストールするかどうかを尋ねられます。はいを選択すると、システムは、最新パッケージとともにインストールされ、インストール後にアップデートを適用する必要がなくなります。このオプションを有効にすることをお勧めします。

1.1.6 拡張機能とモジュールの選択

拡張機能とモジュールの選択

システムが正しく登録された後、SUSE Linux Enterprise Serverで使用可能なモジュールと拡張機能が一覧表示されます。モジュールとは、ユーザのニーズに合わせて製品を構築できるコンポーネントのことで、無償で提供されています。拡張機能は、製品に特定の機能を追加します。拡張機能はサブスクリプションとして提供されており、有料登録キーを必要とします。

提供されるモジュールまたは拡張機能は、このインストールの最初のステップで選択した製品に応じて異なります。モジュールとそのライフサイクルの説明については、モジュールを選択した後に表示されるテキストを参照してください。詳細については、リリースノートを参照してください。

モジュールの選択はインストールのスコープに間接的な影響を与えます。インストール環境と実働システムでどのソフトウェアソース(リポジトリ)を使用できるかが定義されるからです。

SUSE Linux Enterprise Serverでは、次のモジュールと拡張機能が提供されています。

Basesystem Module

このモジュールは、インストーラ上に基本システムを追加します。これは、他のすべてのモジュールと拡張機能が必要とします。基本システムのみを含むインストールのスコープは、上述のSUSE Linux Enterprise Serverバージョンの「最小限のシステム」におけるインストールパターンと似ています。

依存関係: なし

Containers Module

コンテナ用のサポートとツールを提供します。

依存関係: Basesystem

Desktop Applications Module

システムにグラフィカルユーザインタフェースと重要なデスクトップアプリケーションを追加します。これは、サーバアプリケーションと開発ツールモジュールの前提条件として必要なモジュールでもあります。

依存関係: Basesystem

Development Tools Module

アプリケーションのコンパイルとデバッグに必要とされるコンパイラ( gccを含む)およびライブラリが含まれます。

依存関係: Basesystem、Desktop Applications

Legacy Module

SUSE Linux Enterprise Serverの以前のバージョンでは使用可能であったものの、SLES 15からは提供が中止されたパッケージが含まれます。以前のSLESバージョンから移行するときは、このモジュールを使用することをお勧めします。

依存関係: Basesystem、Server Applications

Public Cloud Module

SUSE Linux Enterprise ServerをAmazon Web Services (AWS)、Microsoft Azure、Google Compute Platform、SUSE OpenStack Cloudなどのクラウド環境に展開するためのイメージ作成ツールが含まれます。

依存関係: Basesystem、Server Applications

Server Applications Module

ネットワークサービス(DHCPサーバ、ネームサーバ、Webサーバなど)を提供するサーバ機能を追加します。

依存関係: Basesystem

SUSE Cloud Application Platform Tools Module

SUSE Cloud Application Platform製品とのやり取りを可能にするツールを追加します。

依存関係: Basesystem

SUSE Package Hub

openSUSEコミュニティが管理しているSUSE Linux Enterprise Serverパッケージへのアクセスを提供します。これらのパッケージはL3サポートなしで配布されるため、SUSE Linux Enterprise Serverのサポート可能性に影響を与えることはありません。詳細については、https://packagehub.suse.com/を参照してください。

依存関係: なし

Web and Scripting Module

Webサーバを稼働するためのパッケージが含まれます。

依存関係: Basesystem、Server Applications

SUSE Enterprise Storage

Cephを使用した分散ストレージのサポートをSUSE Linux Enterprise Serverに追加します。別途ライセンスキーが必要になります。

依存関係: Basesystem、Server Applications

SUSE Linux Enterprise High Availability Extension

ミッションクリティカル設定を実装するクラスタリングサポートをSUSE Linux Enterprise Serverに追加します。この拡張機能では、別途ライセンスキーが必要になります。

依存関係: Basesystem、Server Applications

SUSE Linux Enterprise Live Patching

重要なパッチ適用をシステムをシャットダウンせずに実行するためのサポートを追加します。この拡張機能では、別途ライセンスキーが必要になります。

依存関係: Basesystem、Server Applications

SUSE Linux Enterprise Workstation Extension

SUSE Linux Enterprise Serverの機能を、SUSE Linux Enterprise Desktopのパッケージで拡張します。たとえば、デスクトップアプリケーション(オフィススイート、メールクライアント、グラフィカルエディタなど)やライブラリを追加します。これら両方の製品を組み合わせることで、多様な機能を搭載したワークステーションを構築することができます。この拡張機能では、別途ライセンスキーが必要になります。

依存関係: Basesystem、Desktop Applications

一部のモジュールでは、他のモジュールをインストールする必要が生じます。そのため、モジュールを選択すると、この依存関係を満たすために他のモジュールが自動的に選択される場合があります。

製品によっては、特定のモジュールと拡張機能に登録サーバが推奨マークを付けている場合もあります。推奨されたモジュールと拡張機能は、登録およびインストールのために事前選択されます。これらの推奨項目をインストールしないときは、手動で選択を解除します。

インストールするモジュールと拡張機能を選択し、次へで続行します。1つ以上の拡張機能を選択した場合、それぞれの登録コードの入力が求められます。選択内容によっては、別の使用許諾契約の受諾が必要な場合があります。

1.1.7 アドオン製品

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アドオン製品ダイアログを使用して、SUSEカスタマーセンターで提供されていない他のソフトウェアソース(リポジトリ)をSUSE Linux Enterprise Serverに追加できます。このようなアドオン製品には、サードパーティの製品や、ご使用のシステム用のドライバまたは追加ソフトウェアなどがあります。

ヒント
ヒント: インストール中にドライバを追加する

アドオン製品ダイアログを使用して、ドライバアップデートリポジトリを追加することもできます。SUSE Linux Enterpriseのドライバのアップデートはhttp://drivers.suse.com/に用意されています。これらのドライバは、SUSE SolidDriverプログラムを使用して作成されています。

このステップをスキップする場合は、次へで続行します。スキップしない場合は、アドオン製品をインストールするをオンにします。メディアタイプ、ローカルパス、またはリポジトリをホストしているネットワークリソースを指定して、画面の指示に従います。

リポジトリを記述するファイルを今すぐダウンロードするには、リポジトリの説明をダウンロードをオンにします。オフの場合、ファイルはインストールの開始後にダウンロードされます。次へで続行し、必要な場合はメディアを挿入します。製品のコンテンツによっては、追加のライセンス契約に同意しなければならない場合があります。次へで続行します。登録キーを必要とするアドオン製品を選択した場合は、次のステップに進む前に登録キーの入力を求められます。

1.1.8 システムの役割

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どのシステム役割を使用できるかは、選択したモジュールと拡張機能にかかっています。システム役割は、パーティションの推奨設定や、インストール用に事前選択されるソフトウェアパターンのセットなどを定義します。選択する際には、画面上の説明を参照してください。役割を選択し、次へで続行します。

ヒント
ヒント: リリースノート

これ以降の手順では、リリースノートを選択することで、インストールプロセスのどの画面からでもリリースノートを参照できます。

1.1.9 推奨のパーティション

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システムによって推奨されたパーティションの設定を確認します。必要に応じて設定を変更します。次の選択肢があります。

ガイド付き設定

パーティションの推奨設定を調整できるウィザードを起動します。ここで使用可能なオプションは、システムの設定に応じて異なります。複数のハードディスクが存在する場合、どのディスクを使用してどこにルートパーティションを配置するかを選択できます。ディスク内にすでにパーティションが存在する場合は、そのパーティションを削除するか、サイズ変更してください。

後続の手順では、LVMサポートとディスク暗号化の機能を追加することもできます。ルートパーティション用のファイルシステムを変更して、別個のホームパーティションを作成するかどうかを決定できます。

熟練者向けパーティション設定

熟練者向けパーティション設定を開きます。Book “導入ガイド”, Chapter 10 “Expert Partitioner (エキスパートパーティショナ)”, Section 10.1 “熟練者向けパーティション設定の使用”を参照してください。これにより、パーティション設定を全面的に制御して、カスタム設定を作成できます。これは、熟練者向けのオプションです。

推奨設定を変更せずにそのまま使用する場合は、次へを選択して続行します。

ヒント
ヒント: リリースノート

これ以降の手順では、リリースノートを選択することで、インストールプロセスのどの画面からでもリリースノートを参照できます。

1.1.10 時計とタイムゾーン

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システムで使用するとき計とタイムゾーンを選択します。時刻を手動で調整したり、時刻同期用のNTPサーバを設定したりするには、その他の設定を選択します。詳細については、Book “導入ガイド”, Chapter 8 “インストール手順”, Section 8.12 “時計とタイムゾーン”を参照してください。次へで続行します。

1.1.11 ローカルユーザ

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ローカルユーザを作成するため、ユーザのフルネームフィールドに姓と名を入力します。ユーザ名フィールドにログイン名を入力し、パスワードフィールドにパスワードを入力します。

パスワードは8文字以上の長さとし、大文字、小文字、および数字を組み合わせる必要があります。パスワードは最長72文字で、大文字と小文字が区別されます。

セキュリティ上の理由から、自動ログインは有効にしないことを強くお勧めします。また、このパスワードをシステム管理者用のものとしても使用するも有効にしない で、インストールの次のステップで別個のrootパスワードを指定することをお勧めします。次へで続行します。

1.1.12 システム管理者向けパスワードroot

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システム管理者(rootユーザと呼ぶ)のアカウントのパスワードを入力します。

rootパスワードは忘れないようにしてください。ここで入力した後は、このパスワードを訂正することはできません。詳細については、Book “導入ガイド”, Chapter 8 “インストール手順”, Section 8.14 “システム管理者向けパスワード”を参照してください。次へで続行します。

1.1.13 インストールの設定

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インストール設定画面を使用して、推奨されているインストール設定を確認し、必要に応じて設定を変更します。各設定に対して現在の設定が表示されます。変更するには、見出しをクリックします。ファイアウォールやSSHなど一部の設定は、それぞれのリンクをクリックして直接変更できます。

ヒント
ヒント: リモートアクセス

ここで変更可能な設定は、後で、インストールされたシステムから随時変更することもできます。ただし、インストール後すぐにリモートアクセスが必要な場合は、ファイアウォールとSSHの各設定をクリックする必要があります。

ソフトウェア

インストールのスコープは、このインストール環境用に選択したモジュールと拡張機能によって定義されます。ただし、選択した内容によっては、モジュールで提供されているパッケージの一部がインストール用に選択されないことがあります。

ソフトウェアをクリックするとソフトウェアの選択およびシステムタスク画面が開き、パターンを選択または選択解除することでソフトウェアの選択内容を変更できます。各パターンには、特定の機能に必要なソフトウェアパッケージが多数含まれています(KVMホストサーバなど)。インストールするソフトウェアパッケージに基づいてさらに細かく選択するには、詳細を選択してYaSTソフトウェアマネージャに切り替えます。詳細については、Book “導入ガイド”, Chapter 17 “ソフトウェアをインストールまたは削除する”を参照してください。

起動

このセクションにはブートローダの設定が表示されます。デフォルト値を変更するのは、本当に必要な場合のみにすることをお勧めします。詳細については、Book “管理ガイド”, Chapter 12 “ブートローダGRUB 2”を参照してください。

ファイアウォールとSSH

公開ゾーン用に設定されているすべてのネットワークインタフェースでは、デフォルトでファイアウォールが有効になっています。設定の詳細については、Book “Security and Hardening Guide”, Chapter 23 “Masquerading and Firewalls”, Section 23.4 “firewalldを参照してください。

SSHサービスはデフォルトでは有効で、そのポート(22)は開いています。これらの設定を切り替えるには、有効にするおよび開くをクリックします。SSHが無効な場合、リモートログインはできないことに注意してください。

Kdump

Kdumpは、カーネルがクラッシュした場合に備えてメモリイメージ(コアダンプ)をファイルシステムに保存します。これにより、ダンプファイルをデバッグしてクラッシュの原因を特定できます。Kdumpはデフォルトで、事前設定済み、および有効になっています。詳細については、Book “System Analysis and Tuning Guide”, Chapter 17 “Kexec and Kdump”, Section 17.7 “Basic Kdump Configuration”を参照してください。

既定のsystemdターゲット

デスクトップアプリケーションモジュールをインストールした場合、システムはネットワーク、マルチユーザ、およびディスプレイマネージャがサポートされたグラフィックターゲットでブートします。ディスプレイマネージャ経由でログインする必要がない場合は、マルチユーザに切り替えます。

システム

システムをクリックして、詳細なハードウェア情報を参照します。表示される画面でカーネル設定を変更することもできます。詳細については、Book “導入ガイド”, Chapter 8 “インストール手順”, Section 8.15.8 “システム情報”を参照してください。

1.1.14 インストールの開始

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インストール設定画面でシステムの設定を完了したら、インストールするをクリックします。ソフトウェアの選択内容によっては、インストールの確認画面が表示される前にライセンス契約に同意しなければならない場合があります。この段階では、システムはまだ変更されていません。もう一度インストールするをクリックすると、インストールプロセスが開始されます。

1.1.15 インストールプロセス

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インストール中は、詳細タブに詳しい進行状況が表示されます。

インストールルーチンが完了すると、コンピュータが再起動され、インストールされたシステムが起動します。ログインしてYaSTを起動し、システムを微調整します。グラフィカルデスクトップを使用していない場合、またはリモートから作業している場合、ターミナルからYaSTを使用する方法については、Book “管理ガイド”, Chapter 5 “テキストモードのYaST”を参照してください。

1.2 登録なしのインストール

登録サーバに接続せずにインストールを実行すると、インストール中にシステムを登録することはできません。つまり、モジュールと拡張機能用のリポジトリ設定を登録サーバから受信することはできません。通常のインストールを可能にするため、SUSEでは、SLE-15-Packages ISOイメージという2つ目のインストールメディアを提供しています。

注記
注記: SUSE Linux Enterprise Serverの登録

システムと拡張機能は、登録しないとアップデートとサポートの対象になりません。インストール時に登録していない場合は、後で稼働中のシステムから行うことができます。これは、YaST › 製品の登録の順に選択して実行します。

登録なしのインストールを実行するには、インストール中にSLE-15-Packages ISOイメージのコンテンツにアクセスできるようにしておきます。これは、このイメージをローカルハードディスクやリムーバブルフラッシュディスクにコピーしたり、DVDに書き込んだり、ローカルネットワークで公開したりすることによって可能です。ご使用のハードウェアでサポートされている方法を選択してください。

ヒント
ヒント: SLE-15-Packages ISOイメージからリムーバブルフラッシュディスクにデータをコピーする

ISOイメージのコンテンツをリムーバブルフラッシュディスクにコピーするには、次のコマンドを使用します。

tux > sudo dd if=PATH_TO_ISO_IMAGE
    of=FLASH_STORAGE_PARTITION bs=4M && sync

PATH_TO_ISO_IMAGEは、このISOイメージファイルへの相対パスまたは絶対パスで置き換えます。FLASH_STORAGE_PARTITIONは、フラッシュデバイスのパーティション(通常は1つだけです)へのパスで置き換えます。デバイスとそのパーティションを識別するには、そのデバイスを挿入してから、次の例のコマンドを使用します。

root # grep -Ff <(hwinfo --disk --short) <(hwinfo --usb --short)
disk:
  /dev/sdc             General USB Flash Disk
root # fdisk -l /dev/sdc | grep -e "^/dev"
/dev/sdc1  *     2048 31490047 31488000  15G 83 Linux

この場合、使用コマンドは次のようになります。

dd if=/tmp/SLE-15-Packages-x86_64-DVD1.iso \
 of=/dev/sdc1 bs=4M && sync

このデバイスに十分なサイズ(6GB以上)のパーティションが存在することを確認してください。また、ddコマンドを実行しているときは、このデバイスをマウントしないでください。さもないと、パーティション上のデータがすべて消去されてしまいます。

1.2.1 登録なしのインストールの開始

1.1項 「デフォルトのインストール手順」と同じワークフローに沿ってインストールされますが、システムの登録手順や、モジュールまたは拡張機能の追加手順は異なります。インストールを開始するには、1.1項 「デフォルトのインストール手順」1.1.1項 「言語、キーボード、および製品選択」から1.1.4項 「IBM Z: ディスクのアクティベーション」までの手順を実行します。

1.2.2 登録を行なわずに飛ばす

登録画面で、登録を行なわずに飛ばすを有効にします。OKをクリックして警告を受け入れ、次へで続行します。

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1.2.3 SLE-15-Packagesイメージへのアクセス

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アドオン製品ダイアログで、追加のアドオン製品をインストールするを有効にし、SLE-15-Packages ISOイメージのソースを指定します。リポジトリを記述するファイルを今すぐダウンロードするには、リポジトリの説明をダウンロードをオンにします。この項目をオフにすると、インストールを開始してからファイルがダウンロードされます。次へで続行します。データソースとしてDVDを選択した場合、メディアの挿入が求められます。

1.2.4 拡張機能とモジュールの選択

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拡張とモジュールの選択ダイアログで、製品と少なくとも1つのモジュール、および必要に応じて1つ以上の拡張機能を選択する必要があります。

SLE-15-Packages ISOイメージには、SUSE Linux Enterpriseの全製品に対応する拡張機能とモジュールが含まれています。以下のモジュールと拡張機能だけを選択してください。そうでないと、システムをインストールできないだけでなく、SUSEのサポート対象から除外される可能性があります。

製品

製品の選択は必須です。SLES 15 15-0を選択してください。

モジュール

モジュールはSUSE Linux Enterprise Serverの機能を拡張し、無償で提供されています。Basesystem-Module 15-0のインストールは必須です。Server-Applications-Module 15-0のインストールもお勧めします。

ほとんどのモジュールは他のモジュールに依存しています。ここで、これらの依存関係を自動的に特定することはできません。依存関係の特定は手動で行ってください。そうでないと、後でインストールに失敗してしまいます。詳細については、次のリストを参照してください。

Basesystem-Module 15-0 このモジュールは、インストーラ上に基本システムを追加します。これは、他のすべてのモジュールと拡張機能が必要とします。基本システムのみを含むインストールのスコープは、上述のSUSE Linux Enterprise Serverバージョンの「最小限のシステム」におけるインストールパターンと似ています。依存関係: なし

Containers-Module 15-0 コンテナ用のサポートとツールを提供します。依存関係: Basesystem

Desktop-Applications-Module 15-0 システムにグラフィカルユーザインタフェース(Wayland)と重要なデスクトップアプリケーションを追加します。これは、サーバアプリケーションと開発ツールモジュールの前提条件として必要なモジュールでもあります。依存関係: Basesystem

Development-Tools-Module 15-0 アプリケーションのコンパイルとデバッグに必要とされるコンパイラ( gccを含む)およびライブラリが含まれます。

Legacy-Module 15-0 SUSE Linux Enterprise Serverの以前のバージョンでは使用可能であったものの、SLES 15からは提供が中止されたパッケージが含まれます。以前のSLESバージョンから移行するときは、このモジュールを使用することをお勧めします。依存関係: Basesystem、Server Applications

Public-Cloud-Module 15-0 SUSE Linux Enterprise ServerをAmazon Web Services (AWS)、Microsoft Azure、Google Compute Platform、SUSE OpenStack Cloudなどのクラウド環境に展開するためのイメージ作成ツールが含まれます。依存関係: Basesystem、Server Applications

Server-Applications-Module 15-0 ネットワークサービス(DHCPサーバ、ネームサーバ、Webサーバなど)を提供するサーバ機能を追加します。依存関係: Basesystem

Web-Scripting-Module 15-0 Webサーバを稼働するためのパッケージが含まれます。依存関係: Basesystem、Server Applications

拡張機能

拡張機能は、必要に応じて選択します。拡張機能はSUSE Linux Enterprise Serverにコア機能を追加するもので、有料登録コードが必要になります。

モジュールによって必要とされる拡張機能は異なります。ここで、これらの依存関係を自動的に特定することはできません。依存関係の特定は手動で行ってください。そうでないと、後でインストールに失敗してしまいます。詳細については、次のリストを参照してください。

SUSE Linux Enterprise High Availability Extension (SLEHA15 15-0)。.  ミッションクリティカル設定を実装するクラスタリングサポートをSUSE Linux Enterprise Serverに追加します。SLEHA15 15-0を選択してインストールします。依存関係: Basesystem、Server Applications

SUSE Linux Enterprise Workstation Extension (SLEWE15 15-0)。.  SUSE Linux Enterprise Serverの機能を、SUSE Linux Enterprise Desktopのパッケージで拡張します。たとえば、デスクトップアプリケーション(オフィススイート、メールクライアント、グラフィカルエディタなど)やライブラリを追加します。これら両方の製品を組み合わせることで、多様な機能を搭載したワークステーションを構築することができます。SLEWE15 15-0を選択してインストールします。依存関係: Basesystem、Desktop Applications

警告
警告: 禁止されている選択

SUSE Linux Enterprise Serverには、次のモジュールや拡張機能をインストールしないでください。そうでないと、システムをインストールできないだけでなく、SUSEのサポート対象から除外される可能性があります。

  • HPC-Module 15-0

  • SAP-Applications-Module 15-0

  • SLE-15-HPC 15-0

  • SLE-15-SAP 15-0

  • SLED15 15-0

モジュールと拡張機能を選択したら、次へで続行します。

1.2.5 拡張機能とモジュールの選択の確認

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インストール用に選択したすべてのモジュールは、アドオン製品のインストールダイアログに一覧表示されます。このリストを変更するには、追加または削除オプションを使用します。追加を使用すると、任意で他のアドオン製品を追加することができます。インストールを続行するには、次へを選択します。

1.2.6 インストールの最終処理

ここからのインストール手順は、デフォルトのインストールの場合と同様です。1.1項 「デフォルトのインストール手順」1.1.8項 「システムの役割」の手順に進みます。

2 保証と著作権

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