- 11.1 従来通りBIOSを搭載したマシンのブート画面
- 11.2 UEFIを使用したマシンのブート画面
- 11.3 GRUBオプションエディタ
- 12.1 ネットワークの設定
- 12.2 使用許諾契約
- 12.3 ディスクのアクティベーション
- 12.4 DASDディスク管理
- 12.5 設定されたzFCPデバイス
- 12.6 登録
- 12.7 拡張機能
- 12.8 NTP設定
- 12.9
root
に対する認証 - 12.10 インストールの設定
- 12.11 パーティション設定の提案
- 12.12 エキスパートパーティショナ
- 12.13 ソフトウェア設定
- 12.14 タイムゾーン設定
- 12.15 起動
- 12.16 Kdump設定
- 12.17 システムの概要
- 12.18 セキュリティの環境設定
- 14.1 USキーボードレイアウト
- 4.1 z/VMディレクトリの設定
- 4.2 ドメインXMLファイルの例
- 4.3 FTP経由のバイナリ転送
- 4.4 sles.exec
- 4.5 サポートされているネットワーク接続の種類とドライバパラメータ
- 4.6 ネットワークデバイスドライバのパラメータ
- 4.7 ネットワークパラメータ
- 4.8 VNCおよびAutoYaSTを使用してNFSからインストールする場合のparmfile(I/Oデバイス自動設定を使用)
- 4.9 NFS、SSH、HSI、およびNFSによるAutoYaSTを使用したインストール用のparmfile
- 4.10 VLANでのインストール用のparmfile
- 12.1
regcodes.txt
- 12.2
regcodes.xml
Copyright © 2006–2025 SUSE LLC and contributors.All rights reserved.
この文書は、GNUフリー文書ライセンスのバージョン1.2または(オプションとして)バージョン1.3の条項に従って、複製、配布、および/または改変が許可されています。ただし、この著作権表示およびライセンスは変更せずに記載すること。ライセンスバージョン1.2のコピーは、「GNUフリー文書ライセンス」セクションに含まれています。
SUSEの商標については、http://www.suse.com/company/legal/を参照してください。サードパーティ各社とその製品の商標は、所有者であるそれぞれの会社に所属します。商標記号(®、 ™など)は、SUSEおよび関連会社の商標を示します。アスタリスク(*)は、第三者の商標を示します。
本書のすべての情報は、細心の注意を払って編集されています。しかし、このことは絶対に正確であることを保証するものではありません。SUSE LLC、その関係者、著者、翻訳者のいずれも誤りまたはその結果に対して一切責任を負いかねます。
序文 #
1 利用可能なマニュアル #
- オンラインマニュアル
オンラインマニュアルはhttps://documentation.suse.comにあります。さまざまな形式のマニュアルをブラウズまたはダウンロードできます。
注記: 最新のアップデート最新のアップデートは、通常、英語版マニュアルで入手できます。
- リリースノート
リリースノートはhttps://www.suse.com/releasenotes/を参照してください。
- ご使用のシステムで
オフラインで使用するために、リリースノートはシステム上の
/usr/share/doc/release-notes
でも入手できます。個々のパッケージのマニュアルは、/usr/share/doc/packages
で入手できます。「マニュアルページ」には、多くのコマンドについても説明されています。説明を表示するには、
man
コマンドに確認したいコマンドの名前を付加して実行してください。システムにman
コマンドがインストールされていない場合は、sudo zypper install man
コマンドでインストールします。
2 ドキュメントの改善 #
このドキュメントに対するフィードバックや貢献を歓迎します。フィードバックを提供するための次のチャネルが利用可能です。
- サービス要求およびサポート
ご使用の製品に利用できるサービスとサポートのオプションについては、http://www.suse.com/support/を参照してください。
サービス要求を提出するには、SUSE Customer Centerに登録済みのSUSEサブスクリプションが必要です。https://scc.suse.com/support/requestsからログインして をクリックしてください。
- バグレポート
https://bugzilla.suse.com/から入手できるドキュメントを使用して、問題を報告してください。
このプロセスを容易にするには、このドキュメントのHTMLバージョンの見出しの横にある
アイコンをクリックしてください。これにより、Bugzillaで適切な製品とカテゴリが事前に選択され、現在のセクションへのリンクが追加されます。バグレポートの入力を直ちに開始できます。Bugzillaアカウントが必要です。
- ドキュメントの編集に貢献
このドキュメントに貢献するには、このドキュメントのHTMLバージョンの見出しの横にある
アイコンをクリックしてください。GitHubのソースコードに移動し、そこからプルリクエストをオープンできます。GitHubアカウントが必要です。
注記:は英語でのみ利用可能このドキュメントの編集に使用する環境の詳細は、https://github.com/SUSE/doc-sleにあるリポジトリのREADMEを参照してください。
- メール
ドキュメントに関するエラーの報告やフィードバックは<doc-team@suse.com>宛に送信してもかまいません。ドキュメントのタイトル、製品のバージョン、およびドキュメントの発行日を記載してください。また、関連するセクション番号とタイトル(またはURL)、問題の簡潔な説明も記載してください。
3 マニュアルの表記規則 #
このマニュアルでは、次の通知と表記規則が使用されています。
/etc/passwd
: ディレクトリ名およびファイル名PLACEHOLDER: PLACEHOLDERは、実際の値で置き換えられます。
PATH
: 環境変数ls
、--help
: コマンド、オプション、およびパラメータuser
: ユーザまたはグループの名前package_name: ソフトウェアパッケージの名前
Alt、Alt–F1: 押すキーまたはキーの組み合わせ。キーはキーボードのように大文字で表示されます。
AMD/Intel この説明は、AMD64/Intel 64アーキテクチャにのみ当てはまります。矢印は、テキストブロックの先頭と終わりを示します。
IBM Z, POWER この説明は、
IBM Z
およびPOWER
アーキテクチャにのみ当てはまります。矢印は、テキストブロックの先頭と終わりを示します。Chapter 1, 「Example chapter」: このガイドの別の章への相互参照。
root
特権で実行する必要のあるコマンド。多くの場合、これらのコマンドの先頭にsudo
コマンドを置いて、特権のないユーザとしてコマンドを実行することもできます。#
command
>
sudo
command
特権のないユーザでも実行できるコマンド。
>
command
通知
警告: 警告の通知続行する前に知っておくべき、無視できない情報。セキュリティ上の問題、データ損失の可能性、ハードウェアの損傷、または物理的な危険について警告します。
重要: 重要な通知続行する前に知っておくべき重要な情報です。
注記: メモの通知追加情報。たとえば、ソフトウェアバージョンの違いに関する情報です。
ヒント: ヒントの通知ガイドラインや実際的なアドバイスなどの役に立つ情報です。
コンパクトな通知
追加情報。たとえば、ソフトウェアバージョンの違いに関する情報です。
ガイドラインや実際的なアドバイスなどの役に立つ情報です。
4 サポート #
SUSE Linux Enterprise Microのサポートステートメントと、技術プレビューに関する概要を以下に示します。製品ライフサイクルの詳細については、https://www.suse.com/lifecycleを参照してください。
サポート資格をお持ちの場合、https://documentation.suse.com/sles-15/html/SLES-all/cha-adm-support.htmlを参照して、サポートチケットの情報を収集する方法の詳細を確認してください。
4.1 SUSE Linux Enterprise Microのサポートステートメント #
サポートを受けるには、SUSEの適切な購読が必要です。利用可能なサポートサービスを具体的に確認するには、https://www.suse.com/support/にアクセスして製品を選択してください。
サポートレベルは次のように定義されます。
- L1
問題の判別。互換性情報、使用サポート、継続的な保守、情報収集、および利用可能なドキュメントを使用した基本的なトラブルシューティングを提供するように設計されたテクニカルサポートを意味します。
- L2
問題の切り分け。データの分析、お客様の問題の再現、問題領域の特定、レベル1で解決できない問題の解決、またはレベル3の準備を行うように設計されたテクニカルサポートを意味します。
- L3
問題解決。レベル2サポートで特定された製品の欠陥を解決するようにエンジニアリングに依頼して問題を解決するように設計されたテクニカルサポートを意味します。
契約されているお客様およびパートナーの場合、SUSE Linux Enterprise Microでは、次のものを除くすべてのパッケージに対してL3サポートを提供します。
技術プレビュー。
サウンド、グラフィック、フォント、およびアートワーク。
追加の顧客契約が必要なパッケージ。
メインのパッケージとともにのみサポートが提供される、名前が-develで終わるパッケージ(ヘッダファイルや同様の開発者用のリソースを含む)。
SUSEは、元のパッケージの使用のみをサポートします。つまり、変更も、再コンパイルもされないパッケージをサポートします。
4.2 技術プレビュー #
技術プレビューとは、今後のイノベーションを垣間見ていただくための、SUSEによって提供されるパッケージ、スタック、または機能を意味します。技術プレビューは、ご利用中の環境で新しい技術をテストする機会を参考までに提供する目的で収録されています。私たちはフィードバックを歓迎しています。技術プレビューをテストする場合は、SUSEの担当者に連絡して、経験や使用例をお知らせください。ご入力いただいた内容は今後の開発のために役立たせていただきます。
技術プレビューには、次の制限があります。
技術プレビューはまだ開発中です。したがって、機能が不完全であったり、不安定であったり、運用環境での使用には適していなかったりする場合があります。
技術プレビューにはサポートが提供されません。
技術プレビューは、特定のハードウェアアーキテクチャでしか利用できないことがあります。
技術プレビューの詳細および機能は、変更される場合があります。そのため、今後リリースされる技術プレビューへのアップグレードができない場合や、再インストールが必要となる場合があります。
SUSEで、プレビューがお客様や市場のニーズを満たしていない、またはエンタープライズ標準に準拠していないことを発見する場合があります。技術プレビューは製品から予告なく削除される可能性があります。SUSEでは、このようなテクノロジーのサポートされるバージョンを将来的に提供できない場合があります。
ご使用の製品に付属している技術プレビューの概要については、https://www.suse.com/releasenotesにあるリリースノートを参照してください。
パート I インストールの準備 #
- 1 SUSE Linux Enterprise Microの計画
この章では、SUSE Linux Enterprise Microをインストールする前の基本的な考慮事項について説明します。
- 2 AMD64およびIntel 64でのインストール
この章では、AMD64搭載コンピュータおよびIntel 64搭載コンピュータにSUSE Linux Enterprise Microをインストールする準備作業で必要なステップについて説明します。さらに、さまざまなインストール方法に対応するために必要な手順を紹介します。ハードウェア要件の一覧では、SUSE Linux Enterprise Microでサポートされているシステムの概要を示します。使用可能なインストール方法と既知の問題についても説明しています。さらに、インストール処理を制御する方法、インストール用のメディアを提供する方法、および標準のブート方法の概要についても説明されています。
- 3 Arm AArch64でのインストール
この章では、Arm AArch64搭載コンピュータにSUSE Linux Enterprise Microをインストールする準備作業で必要なステップについて説明します。さらに、さまざまなインストール方法に対応するために必要な手順を紹介します。ハードウェア要件の一覧では、SUSE Linux Enterprise Serverでサポートされているシステムの概要を示します。使用可能なインストール方法と既知の問題についても説明しています。さらに、インストール処理を制御する方法、インストール用のメディアを提供する方法、および標準のブート方法の概要についても説明されています。
- 4 IBM ZおよびLinuxONEでのインストール
この章では、IBM Z上でSUSE® Linux Enterprise Microのインストールを準備する際の手順について説明します。LPARおよびz/VMの側でインストールを準備する際に必要な情報をすべて示します。
1 SUSE Linux Enterprise Microの計画 #
この章では、SUSE Linux Enterprise Microをインストールする前の基本的な考慮事項について説明します。
1.1 SUSE Linux Enterprise Microを展開する際の考慮事項 #
オペレーティングシステムを既存のIT環境に導入する場合でも、または完全に新しい環境として構築する場合でも、入念な準備が必要です。導入計画時に、まずプロジェクトの最終目標と、必要な機能を定義する必要があります。この作業は、常にプロジェクトごとに個別に行う必要がありますが、一般的には以下のような事柄を検討していきます。
何台のコンピュータにインストールする必要があるか? この数によって、最適な展開方法が異なります。
システムはハッカー攻撃などの外部の脅威にさらされるか?
アップデートはどのようにして入手するか? すべてのパッチは、SUSE Customer Centerに登録されたユーザの方にオンラインで提供されます。
ローカルにインストールする際に手助けが必要か? SUSE Linux Enterprise Microに関連するあらゆるトピックについて、トレーニング、サポート、およびコンサルティングを提供しています。詳細は、https://www.suse.com/products/server/を参照してください。
サードパーティ製品が必要か? 利用するプラットフォーム上で、必要な製品やソフトウェアがサポートされているかどうかを確認してください。SUSEは、必要に応じて、さまざまなプラットフォームでのソフトウェアサポートを提供できます。
1.2 SUSE Linux Enterprise Microの展開 #
システムを完全に稼働するようにするには、できる限り認定ハードウェアを使用してください。ハードウェア認定作業は常時行われ、認定ハードウェアのデータベースは定期的に更新されています。認定ハードウェアを確認するには、https://www.suse.com/yessearch/Search.jspを参照してください。
SLE Microの複数のノードのみをインストールする場合は、手動インストールを選択するか、事前に構築されたイメージを直接展開できます。大規模な展開の場合は、AutoYaST、SUSE Managerを使用した自動インストールを使用することをお勧めします。または、事前に構築されたイメージを目的のマシンに簡単にコピーできる場所であればどこでも、事前に構築されたイメージを使用して大規模な展開を行うこともできます。
SUSE Linux Enterprise Microは、幅広いサービスを提供します。必要な環境設定の大部分は、SUSEの環境設定ユーティリティYaSTを使って行うことができます。さらに、多くの手動設定について、該当する章で取り上げています。
単にソフトウェアのインストール作業を検討するだけでなく、エンドユーザのトレーニングや、ヘルプ体制なども検討しておく必要があります。
以降のセクションでは、SUSE Linux Enterprise Microを新たにインストールするシステムのことを「ターゲットシステム」または「インストールターゲット」と呼びます。リポジトリ(以前は「インストールソース」と呼ぶ)という言葉は、インストールデータのすべてのソースを表すために使用されます。これには、CD、DVD、USBフラッシュドライブなどの物理メディアや、ネットワーク内でインストールデータを配布するネットワークサーバが含まれます。
1.3 SUSE Linux Enterprise Microの実行 #
SUSE Linux Enterprise Microオペレーティングシステムは、入念にテストされた安定したシステムです。それでも、ハードウェア障害や他の理由で問題が発生し、システムダウンやデータ消失が発生する危険性を完全に回避することはできません。ミッションクリティカルなタスクに適したバックアップソリューションがあることを確認します。
最適なセキュリティとデータの安全を確保するため、対象のすべてのコンピュータを定期的にアップデートする必要があります。ミッションクリティカルなサーバの場合は、すべての変更をテストできるように、2つ目の同一の(運用前)マシンを稼働させる必要があります。また、予備のコンピュータを用意しておくことにより、ハードウェア障害の発生時に、コンピュータを切り替えることができます。
1.4 SUSE Linux Enterprise Microの登録 #
テクニカルサポート情報や製品のアップデートを入手するには、SUSE Customer CenterでSUSE製品を登録してアクティブ化する必要があります。この登録はインストール中に行うことをお勧めします。これにより、最新の更新プログラムとパッチが提供されているシステムをインストールできるようになるからです。ただし、ネットワークに接続していない場合や登録手順を飛ばしたい場合は、実行中のシステムから登録を完了できます。
組織でローカル登録サーバが提供されていない場合に備えて、SUSE Linux Enterpriseの登録にはSUSE Customer Centerのアカウントが必要になります。このアカウントをまだ作成していない場合は、SUSE Customer Centerのホームページ(https://scc.suse.com/)でアカウントを作成します。
手動インストール時には、登録コードの入力が求められます。詳細については、12.5項 「登録」を参照してください。SLE Microの事前に構築されたイメージを展開する場合は、インストール後にシステムを登録する必要があります。詳細については、10.1項 「登録」を参照してください。
AutoYaSTを使用してインスタンスを自動的に展開する場合、AutoYaSTの制御ファイルに情報を書き込んで、システムをインストール中に登録することができます。詳細については、Book “AutoYaST Guide”, Chapter 4 “Configuration and installation options”, Section 4.3 “System registration and extension selection”を参照してください。
2 AMD64およびIntel 64でのインストール #
この章では、AMD64搭載コンピュータおよびIntel 64搭載コンピュータにSUSE Linux Enterprise Microをインストールする準備作業で必要なステップについて説明します。さらに、さまざまなインストール方法に対応するために必要な手順を紹介します。ハードウェア要件の一覧では、SUSE Linux Enterprise Microでサポートされているシステムの概要を示します。使用可能なインストール方法と既知の問題についても説明しています。さらに、インストール処理を制御する方法、インストール用のメディアを提供する方法、および標準のブート方法の概要についても説明されています。
2.1 ハードウェア要件 #
SUSE® Linux Enterprise Microオペレーティングシステムは、多彩なハードウェア上に展開できます。SUSE Linux Enterprise Serverがサポートするハードウェアのさまざまな組み合わせをすべて取り上げることは困難です。ここでは、計画段階で役立つガイド情報を提供するために、最小要件について説明します。
所定のコンピュータ設定が機能することを確認する場合は、どのプラットフォームがSUSEで認定されているかを把握しておきます。https://www.suse.com/yessearch/でリストを見つけます。
Intel 64アーキテクチャとAMD64アーキテクチャでは、X86ソフトウェアを64ビットへ簡潔に移行できます。x86アーキテクチャと同様に、費用効果の高い代替システムを実現できます。
- CPU
リリース時に利用可能なほとんどのCPUがサポートされています。
- CPUの最大数
Intel 64およびAMD64の場合、ソフトウェア設計でサポートされているCPUの最大数は8192です。このような大規模なシステムを使用する場合は、ハードウェアシステムの動作保証に関する弊社のWebページ(https://www.suse.com/yessearch/)で、サポート対象のデバイスを確認してください。
- メモリ要件
SLE Microには、少なくとも1GBのRAMが必要です。これはオペレーティングシステムの最小値であり、実際のメモリサイズはワークロードによって異なることに注意してください。
- ハードディスクの要件
最小ハードディスク容量は12GBです。ただし、ハードディスク容量の推奨値は20GBです。コンテナのワークロードに従って値を調整してください。
2.2 インストールの考慮事項 #
このセクションでは、AMD64搭載コンピュータおよびIntel 64搭載コンピュータにSUSE Linux Enterprise Microをインストールする前に考慮することが必要な多くの要因を取り上げます。
2.2.1 ハードウェアまたは仮想マシンでのインストール #
SUSE Linux Enterprise Microは、独立したオペレーティングシステムとしてインストールすることが普通です。仮想化により、同じハードウェア上でSUSE Linux Enterprise Microの複数のインスタンスを実行することもできます。
2.2.2 インストールターゲット #
インストールの多くは、ローカルのハードディスクに行われます。そのため、インストールシステムでハードディスクコントローラが使用できるようにする必要があります。特別なコントローラ(RAIDコントローラなど)で他のカーネルモジュールが必要な場合は、カーネルモジュールのアップデートディスクをインストールシステムに提供してください。
このほか、オペレーティングシステムの実行に十分なディスクの容量と速度を提供する各種のブロックデバイスもインストールターゲットになります。これには、iSCSI
またはSAN
のようなネットワークブロックデバイスなどがあります。標準のUNIXパーミッションを提供するネットワークファイルシステム上にインストールすることもできます。ただし、これらのネットワークファイルシステムは、実際のシステムを起動する前にinitramfs
でサポートされる必要があるため、これらのシステムをブートするときに問題が発生する可能性があります。ネットワークファイルシステムへのインストールは、異なる場所で同一のシステムを起動する必要がある場合、または、ドメインの移行のような仮想化機能を使用する必要がある場合に便利です。
2.3 インストール方法 #
2.4項 「システムのブート」に一覧表示されているオプションのいずれかを使用してセットアップを起動することで、目的のインストール方法を選択できます。追加のインストール方法の有効化については、11.3.4項 「リモートアクセスの指定」を参照してください。リモートインストール方法の使用方法については、第13章 「リモートインストール」を参照してください。
各制御方法の簡単な概要を以下に示します。
- モニタとキーボードを使用したローカル制御
これは、SUSE Linux Enterprise Microのインストールで最もよく利用されている方法です。これには、準備はほとんど必要ありませんが、多くの直接的なやり取りが必要です。
- SSH経由でのリモート制御
SSH経由のテキストモードまたはグラフィカルモードでインストールを実行できます。グラフィカルインストールでは、X転送を使用します。詳細については、13.4項 「SSHによるインストールの監視」を参照してください。
- シリアルコンソールを使用したリモート制御
このインストール方法では、「ヌルモデム」ケーブルを使用してターゲットコンピュータに2台目のコンピュータを接続する必要があります。インストールはテキストモードで実行されます。詳細については、13.5項 「シリアルコンソールを介したインストール」を参照してください。
- VNC経由でのリモート制御
この方法を使用して、ターゲットマシンに直接アクセスせずにグラフィカルインタフェースを使用してインストールを実行します。詳細については、13.3項 「VNCによるインストールの監視」を参照してください。
2.4 システムのブート #
このセクションでは、SUSE® Linux Enterprise Microのインストールを完了するために必要なステップの概要について説明します。
手動インストールの場合、インストールシステムの起動の概要は次の手順で提供されます。
インストールメディアを準備します。
- USBフラッシュドライブ
ISOから手動でインストールする場合は、起動可能なフラッシュディスクを作成するのがインストールを開始する最も簡単な方法です。
dd
を使用してISOをデバイスにコピーする必要があります。フラッシュディスクはマウントしないでください。マウントすると、そのデバイスのデータがすべて消去されてしまいます。#
dd
if=PATH_TO_ISO_IMAGE of=USB_STORAGE_DEVICE bs=4M- ネットワークブート
ターゲットコンピュータのファームウェアがサポートしている場合は、ネットワークからコンピュータをブートし、サーバからインストールできます。このブート方法では、必要なブートイメージをネットワーク上に提供するブートサーバが必要です。実際に使用するプロトコルは、使用するハードウェアによって異なります。一般的には、TFTP、DHCP、PXEブートなどのサービスが必要です。
NFS、HTTP、FTPやSMBなどの標準的なネットワークプロトコルからのインストールが可能です。このようなインストールの実行方法の詳細については、第13章 「リモートインストール」を参照してください。
選択したメディアをブートするように、ターゲットシステムのファームウェアを設定します。正しいブート順序の設定方法については、ハードウェアベンダが提供するドキュメントを参照してください。
使用するインストール制御方法で必要とされるブートパラメータを設定します。それぞれの方法の概要については、2.3項 「インストール方法」を参照してください。ブートパラメータのリストは、第11章 「ブートパラメータ」に記載されています。
第12章 「インストール手順」に説明されている方法でインストールを実行します。インストールを完了した後は、システムを再起動する必要があります。
オプション: SUSE Linux Enterprise Microのインストール先であるメディアから直接ブートするように、システムのブート順序を変更します。システムをインストールメディアからブートした場合、最初のブートパラメータは、インストール済みのシステムをブートします。
生イメージを展開する場合の手順は、次のとおりです。
生イメージを準備します。詳細については、手順6.2「生のディスクイメージの準備」を参照してください。
設定メディアを準備します。詳細については、手順6.3「設定デバイスの準備」を参照してください。
生イメージをコピーしたメディアを起動するようにターゲットシステムファームウェアを設定します。正しいブート順序の設定方法については、ハードウェアベンダが提供するドキュメントを参照してください。
第6章 「生イメージの展開」に説明されている方法でインストールを実行します。インストールを完了した後は、システムを再起動する必要があります。
2.5 ブートおよびインストールの問題の対処 #
SUSE® Linux Enterprise Microは、広範囲なテストプログラムを経たうえで提供されています。それにもかかわらず、時折、ブートおよびインストール時に問題が発生することがあります。
2.5.1 ブート時の問題 #
ブートの問題は、YaSTインストーラをシステムから起動することで防止できます。別の症状には、インストールが完了した後、システムがブートしない場合があります。
- システムがインストールメディアからブートしない
正しいブートシーケンスが実行されるように、コンピュータのファームウェアまたはBIOSを変更します。これを行うには、ハードウェアのマニュアルを参照してください。
- コンピュータがハングする
カーネル出力が表示されるようにコンピュータ上のコンソールを変更します。必ず最後の出力をチェックしてください。普通は、Ctrl–Alt–F10を押すことでこの操作が可能です。それでも問題が解決しない場合は、SUSE Linux Enterprise Microのサポートスタッフにお問い合わせください。ブート時のシステムメッセージをすべて記録するには、2.3項 「インストール方法」の説明に従って、シリアル接続を使用します。
- ブートディスク
ブートディスクは、他のブート設定を行うのが困難な場合や最終的なブートメカニズムに関する決定を延期したい場合には、便利な暫定ソリューションです。
- インストール後のウィルス警告
BIOSによっては、GRUB 2のインストール後に、ブートセクタ(MBR)の構造をチェックして誤ったウィルス警告を表示するものがあります。この問題を解決するには、BIOSに入り、該当する設定を見つけ出します。たとえば、
をオフにします。このオプションは、後でオンに戻すことができます。ただし、使用している唯一のオペレーティングシステムがLinuxである場合は、上記の作業は不要です。
2.5.2 インストール時の問題 #
インストール中に予期しない問題が発生した場合、問題の原因を判断するには、情報が必要です。次の指示を参考にして、トラブルシュートしてください。
さまざまなコンソール上の出力をチェックします。コンソールを切り替えるには、Ctrl–Alt–Fnの組み合わせを使用します。たとえば、各種のコマンドを実行するシェルを取得するにはCtrl–Alt–F2を押します。
「セーフ設定」によるインストールの開始を試してください(インストール画面でF5キーを押し、 を選択)。この状況で、インストール処理で問題が発生しない場合は、
ACPI
またはAPIC
のどちらかに、エラーとなる原因である非互換性があります。場合によっては、BIOSまたはファームウェアのアップデートが問題を解決します。コマンド
dmesg -T
を入力して、インストールシステムでコンソールに表示されるシステムメッセージを確認します。
2.5.3 ブートではなくインストールを開始する #
SUSE Linux Enterprise Microのインストールソースのブートメニューにあるデフォルトオプションを使用すると、インストールしたシステムでマシンがブートします。この問題を回避し、代わりにインストールプロセスを開始するには、ブートメニューで使用可能なインストールオプションのいずれかを選択します。
3 Arm AArch64でのインストール #
この章では、Arm AArch64搭載コンピュータにSUSE Linux Enterprise Microをインストールする準備作業で必要なステップについて説明します。さらに、さまざまなインストール方法に対応するために必要な手順を紹介します。ハードウェア要件の一覧では、SUSE Linux Enterprise Serverでサポートされているシステムの概要を示します。使用可能なインストール方法と既知の問題についても説明しています。さらに、インストール処理を制御する方法、インストール用のメディアを提供する方法、および標準のブート方法の概要についても説明されています。
3.1 ハードウェア要件 #
SUSE® Linux Enterprise Microオペレーティングシステムは、多彩なハードウェア上に展開できます。SUSE Linux Enterprise Microがサポートするハードウェアのさまざまな組み合わせをすべて取り上げることは困難です。ここでは、計画段階で役立つガイド情報を提供するために、最小要件について説明します。
所定のコンピュータ設定が機能することを確認する場合は、どのプラットフォームがSUSEで認定されているかを把握しておきます。https://www.suse.com/yessearch/でリストを見つけます。
- CPU
少なくとも、Arm Cortex-A53やCortex-A57など、Armv8-A命令セットアーキテクチャ(ISA)をサポートするCPUが必要です。使用可能なArmv8-Aプロセッサのリストについては、https://www.arm.com/products/processors/cortex-a/を参照してください。
現在のところ、Armv8-R (リアルタイム)およびArmv8-M (マイクロコントローラ) ISAを備えたCPUはサポートされていません。
- CPUの最大数
サポートされているCPUの最大数は256です。このような大規模なシステムを使用する場合は、ハードウェアシステムの動作保証に関する弊社のWebページhttps://www.suse.com/yessearch/で、サポート対象のデバイスを確認してください。
- メモリ要件
最小限のインストールで、少なくとも1024 MBのメモリが必要です。3つ以上のプロセッサが搭載されたマシンでは、CPUあたり512MBを追加します。HTTPまたはFTPを介したリモートインストールの場合は、さらに150 MBを追加します。これらの値は、オペレーティングシステムのインストールのみを対象にした値であることに注意してください。実際の実動システムで必要なメモリは、システムのワークロードによって異なります。GNOMEデスクトップ環境を実行しているシステムの場合、最低2048MBのメモリが必要で、4096MBが推奨されます。
- ハードディスクの要件
ディスク要件は、コンテナのワークロードに大きく依存します。一般的に、システムが適切に動作するために、インストールソフトウェア自身が必要とする以上のディスク領域が必要です。最小限必要な値は12GBです。推奨値は20GBです。
- ブート方法
コンピュータは、USBディスクまたはネットワークからブートすることができます。ネットワーク上でブートするには、特殊なブートサーバが必要です。このサーバは、SUSE Linux Enterprise Serverで設定できます。
3.2 インストールの考慮事項 #
このセクションでは、Arm AArch64搭載コンピュータにSUSE Linux Enterprise Microをインストールする前に考慮することが必要な多くの要因を取り上げます。
3.2.1 ハードウェアまたは仮想マシンでのインストール #
SUSE Linux Enterprise Microは、独立したオペレーティングシステムとしてインストールすることが普通です。仮想化により、同じハードウェア上での複数のSLE Microのインスタンスを実行することもできます。VM Host Serverのインストールは、追加パッケージの標準的なインストールと同じ方法で実行できます。
3.2.2 インストールターゲット #
インストールの多くは、ローカルのハードディスクに行われます。そのため、インストールシステムでハードディスクコントローラが使用できるようにする必要があります。特別なコントローラ(RAIDコントローラなど)で他のカーネルモジュールが必要な場合は、カーネルモジュールのアップデートディスクをインストールシステムに提供してください。
このほか、オペレーティングシステムの実行に十分なディスクの容量と速度を提供する各種のブロックデバイスもインストールターゲットになります。これには、iSCSI
またはSAN
のようなネットワークブロックデバイスなどがあります。標準のUNIXパーミッションを提供するネットワークファイルシステム上にインストールすることもできます。ただし、これらのネットワークファイルシステムは、実際のシステムを起動する前にinitramfs
でサポートされる必要があるため、これらのシステムをブートするときに問題が発生する可能性があります。ネットワークファイルシステムへのインストールは、異なる場所で同一のシステムを起動する必要がある場合、または、ドメインの移行のような仮想化機能を使用する必要がある場合に便利です。
3.3 インストールプロセスの制御 #
2.4項 「システムのブート」に一覧表示されているオプションのいずれかを使用してセットアップを起動することで、目的のインストール方法を選択できます。追加のインストール方法の有効化については、11.3.4項 「リモートアクセスの指定」を参照してください。リモートインストール方法の使用方法については、第13章 「リモートインストール」を参照してください。
各制御方法の簡単な概要を以下に示します。
- モニタとキーボードを使用したローカル制御
これは、SUSE Linux Enterprise Microのインストールで最もよく利用されている方法です。これには、準備はほとんど必要ありませんが、多くの直接的なやり取りが必要です。
- SSH経由でのリモート制御
SSH経由のテキストモードまたはグラフィカルモードでインストールを実行できます。グラフィカルインストールでは、X転送を使用します。詳細については、13.4項 「SSHによるインストールの監視」を参照してください。
- シリアルコンソールを使用したリモート制御
このインストール方法では、「ヌルモデム」ケーブルを使用してターゲットコンピュータに2台目のコンピュータを接続する必要があります。インストールはテキストモードで実行されます。詳細については、13.5項 「シリアルコンソールを介したインストール」を参照してください。
- VNC経由でのリモート制御
この方法を使用して、ターゲットマシンに直接アクセスせずにグラフィカルインタフェースを使用してインストールを実行します。詳細については、13.3項 「VNCによるインストールの監視」を参照してください。
3.4 システムのブート #
このセクションでは、SUSE® Linux Enterprise Microのインストールを完了するために必要なステップの概要について説明します。
YaSTを使用してシステムをインストールおよび設定する方法の詳細については、パートIII「手動インストール」を参照してください。
手動インストールの場合、インストールシステムの起動の概要は次の手順で提供されます。
インストールメディアを準備します。
- USBフラッシュドライブ
ISOから手動でインストールする場合は、起動可能なフラッシュディスクを作成するのがインストールを開始する最も簡単な方法です。
dd
を使用してISOをデバイスにコピーする必要があります。フラッシュディスクはマウントしないでください。マウントすると、そのデバイスのデータがすべて消去されてしまいます。#
dd
if=PATH_TO_ISO_IMAGE of=USB_STORAGE_DEVICE bs=4M生イメージを展開する場合は、設定デバイスを準備する必要があります。詳細については、第6章 「生イメージの展開」を参照してください。
- ネットワークブート
ターゲットコンピュータのファームウェアがサポートしている場合は、ネットワークからコンピュータをブートし、サーバからインストールできます。このブート方法では、必要なブートイメージをネットワーク上に提供するブートサーバが必要です。実際に使用するプロトコルは、使用するハードウェアによって異なります。一般的には、TFTP、DHCP、PXEブートなどのサービスが必要です。
NFS、HTTP、FTPやSMBなどの標準的なネットワークプロトコルからのインストールが可能です。このようなインストールの実行方法の詳細については、第13章 「リモートインストール」を参照してください。
選択したメディアをブートするように、ターゲットシステムのファームウェアを設定します。正しいブート順序の設定方法については、ハードウェアベンダが提供するドキュメントを参照してください。
使用するインストール制御方法で必要とされるブートパラメータを設定します。それぞれの方法の概要については、3.3項 「インストールプロセスの制御」を参照してください。ブートパラメータのリストは、第11章 「ブートパラメータ」に記載されています。
第12章 「インストール手順」に説明されている方法でインストールを実行します。インストールを完了した後は、システムを再起動する必要があります。
オプション: SUSE Linux Enterprise Microのインストール先であるメディアから直接ブートするように、システムのブート順序を変更します。システムをインストールメディアからブートした場合、最初のブートパラメータは、インストール済みのシステムをブートします。
生イメージを展開する場合の手順は、次のとおりです。
生イメージを準備します。詳細については、手順6.2「生のディスクイメージの準備」を参照してください。
設定メディアを準備します。詳細については、手順6.3「設定デバイスの準備」を参照してください。
生イメージをコピーしたメディアを起動するようにターゲットシステムファームウェアを設定します。正しいブート順序の設定方法については、ハードウェアベンダが提供するドキュメントを参照してください。
第6章 「生イメージの展開」に説明されている方法でインストールを実行します。インストールを完了した後は、システムを再起動する必要があります。
3.5 ブートおよびインストールの問題の対処 #
SUSE® Linux Enterprise Microでは包括的なテストプログラムを実施していますが、起動またはインストール時に問題が発生する場合があります。
3.5.1 ブートの問題 #
ブートの問題は、YaSTインストーラをシステムから起動することで防止できます。インストール完了後にブートできないという別の症状もあります。
- マシンがインストールメディアではなく、インストールしたシステムからブートする
マシンのBIOSでブートシーケンスを変更します。詳細については、ハードウェアに付属のドキュメントを参照してください。
- システムがハングアップする
カーネル出力が表示されるようにシステム上のコンソールを変更します。出力の最後の数行を確認してください。普通は、Ctrl–Alt–F10を押すことでこの操作が可能です。それでも問題が解決しない場合は、SUSE Linux Enterprise Microのサポートスタッフにお問い合わせください。ブート時のシステムメッセージをすべて記録するには、2.3項 「インストール方法」の説明に従って、シリアル接続を使用します。
- ブートディスク
ブートディスクはブートの問題の有用な暫定ソリューションです。他に困難な設定がある場合、または最終ブートメカニズムに関しての決定を延期したい場合には、ブートディスクを使用してください。
3.5.2 インストール時の問題 #
インストール中に予期しない問題が発生した場合、問題の原因を判断するには、情報が必要です。次の指示を参考にして、トラブルシュートしてください。
さまざまなコンソール上の出力をチェックします。コンソールを切り替えるには、Ctrl–Alt–Fnの組み合わせを使用します。たとえば、各種のコマンドを実行するシェルを取得するにはCtrl–Alt–F2を押します。
「セーフ設定」によるインストールの開始を試してください(インストール画面でF5キーを押し、 を選択)。この状況で、インストール処理で問題が発生しない場合は、
ACPI
またはAPIC
のどちらかに、エラーとなる原因である非互換性があります。場合によっては、ファームウェアのアップデートにより問題が解決されます。コマンド
dmesg -T
を入力して、インストールシステムでコンソールに表示されるシステムメッセージを確認します。
3.5.3 ブートではなくインストールを開始する #
SUSE Linux Enterprise Microのインストールメディアのブートメニューにあるデフォルトオプションを使用すると、インストールしたシステムでマシンがブートします。代わりにインストールプロセスを開始するには、ブートメニューで使用可能なインストールオプションのいずれかを選択します。
3.6 Raspberry Pi #
SUSE®Linux Enterprise Serverは、安価なRaspberry Pi*シングルボードコンピュータをサポートする最初のエンタープライズLinuxディストリビューションです。SUSE Linux Enterprise Micro 5.5は次のモデルをサポートします。
Raspberry Pi 3 Model A+
Raspberry Pi 3 Model B
Raspberry Pi 3 Model B+
Raspberry Pi 4 Model B
Raspberry Pi Compute Module 3
Raspberry Pi Compute Module 3+
Raspberry Pi Compute Module 4
Raspberry Piは、いくつかの点で従来のサーバマシンとは異なります。まず、オペレーティングシステムのロードが可能なブートローダが付属していません。したがって、SUSE Linux Enterprise Microには、そのギャップを埋めるため、追加のブートローダソフトウェアが同梱されています。
3.6.1 ブートプロセス #
Raspberry PiのSystem-on-Chip (SoC)での主要プロセッサはArm Central Processing Unit (CPU)ではなく、Broadcom VideoCoreのグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)です。オンチップブート読み込み専用メモリ(ブートROM)の第1段階のブートローダからハードウェアの初期化を開始するのはGPUです。ブートROMに影響を及ぼす可能性がある設定オプションはわずかです。3.6.1.2項 「OTPメモリ」を参照してください。
Raspberry Pi 3ハードウェアにはファームウェアが組み込まれていません。代わりに、マシンの電源がオンになるたびに、第2段階のブートローダファームウェアbootcode.bin
がブートメディアからロードされます。次に第3段階のブートローダstart.elf
がロードされます。
Raspberry Pi 4ハードウェアには、第2段階のブートローダ用の小さな電気的消去可能プログラマブル読み込み専用メモリ(EEPROM)があります。それを除けば、ブートシーケンスはRaspberry Pi 3のものと同一であり、第3段階のブートローダであるstart4.elf
をブートメディアからロードします。
第2段階のブートローダのアップデートは特別に準備されたmicroSDカードからブートすることで実行できます。
信頼するブートメディアのみを挿入し、recovery.bin
という名前のファイルが意図せずに存在していないことを確認します。
armstub8.bin
ファイルが存在する場合は、AArch64例外レベル3 (EL3)の第4段階のブートローダとしてロードされます。ロードされない場合は、最小限の統合スタブが使用されます。
EL3 (BL31と呼ばれることが多い)用にロードされたコードはメモリ内に常駐し、Linuxではランタイム中にEL3へのハイパーコールを試みる場合があります。
ご使用のブートメディアにarmstub8.bin
ファイルが意図せずに存在していないことを確認します。SUSE Linux Enterprise Micro 5.5には含まれていません。
Raspberry PiのSoCは、TrustZoneセキュアメモリを提供していないことに注意してください。CPU上のOSとGPU上のソフトウェアの両方がそのRAMにアクセスできます。したがって、暗号化EL0-sアプリケーションには適していません。SUSE Linux Enterprise Microでは、この理由のためEL1-s Trusted Execution Environment (TEE)を提供していません。
Raspberry Pi向けSUSE Linux Enterprise Microは、Das U-Boot
と呼ばれる第5段階のブートローダをロードするように設定されています。
3.6.1.1 Config.txt #
設定情報を保持するための非揮発性メモリはありません。つまり、ブートデバイスの順序、日時などを調整するための従来の設定はありません。
代わりに、ブートローダがブートメディアから設定ファイルconfig.txt
を読み込みます。SUSEによって提供されるconfig.txt
は変更しないでください。これにより、オプションでユーザにextraconfig.txt
ファイルを提供できます。このファイルは必要に応じてconfig.txt
の設定を上書きできます。また、SUSE Linux Enterprise Microはユーザ設定を上書きせずに、必要に応じてconfig.txt
ファイルを更新できます。
3.6.1.2 OTPメモリ #
SoCはごく小容量のOne-Time Programmableメモリ(OTPメモリ)を搭載しています。これを使用して、ブートROMがUSBデバイスからブートを試みるか、Ethernet経由でブートを試みるかどうかなど、いくつかの設定を行えます。
このOTPメモリについては、Raspberry Pi Foundation Webサイトで説明されています。https://www.raspberrypi.org/documentation/hardware/raspberrypi/otpbits.md
OTPメモリに書き込まれた設定は、元に戻すことはできません。
OTPメモリの最も一般的な使用事例は、Raspberry Pi 3 Model BまたはCompute Module 3でUSBブートを有効にすることです。
3.6.1.3 Raspberry Pi 3 Model BのUSBブートモードの有効化 #
Raspberry Pi 3 Model Bに接続されたUSB大容量ストレージデバイスから、およびそのオンボードUSB Ethernetから永久にブートできるようにするには、3.6.3項 「アプライアンスイメージの展開」の説明に従ってmicroSDカードを準備します。カードをアンマウントまたはイジェクトしてカードからブートする前に、次の設定でテキストファイルextraconfig.txt
(3.6.1.1項 「Config.txt」)をFATパーティションに追加します。
program_usb_boot_mode=1
次に、通常どおり、変更されたmicroSDカードからブートを続行します。U-BootまたはGRUBブートローダあるいはLinuxカーネルからの出力が表示されたら、電源を切断してから、microSDカードを取り外すことができます。これで、デバイスはUSBからブートできるようになります(3.6.4項 「USBメディアからのインストール」)。
Raspberry Pi 3 Model BでUSBブートモードを有効にすると、USBブートモードを再度無効にできなくなります(3.6.1.2項 「OTPメモリ」)。
詳細については、Raspberry Pi FoundationのWebサイトを参照してください。https://www.raspberrypi.org/documentation/hardware/raspberrypi/bootmodes/msd.md
Raspberry Pi Compute Module 3では、必要な設定は同じですが、変更されたイメージの展開は少し複雑です。
3.6.2 リアルタイムクロックの欠如 #
Raspberry Pi自体には、バッテリバックアップ式のリアルタイムクロック(RTC)がありません。
リアルタイムクロックがないため、Raspberry Piデバイスはネットワークタイムプロトコル(NTP)によってネットワークサーバから時刻をフェッチするように設定する必要があります。
ただし、Raspberry Pi Compute ModulesのベースボードにはRTCが搭載されている場合があります。
また、Hardware Attached on Top (HATs)または他の拡張ボードを使用して、GPIOコネクタを介してRTCを接続することもできます。
いずれの場合でも、各RTCチップセットがSUSE Linux Enterprise Microによってサポートされているかどうか確認してください。接続されたRTCはDevice Tree Overlay (3.6.1.1項 「Config.txt」)を介してオペレーティングシステムに記述される必要があります。
- Compute Module 4 IOボード
dtparam=i2c_vc=on dtoverlay=i2c-rtc,pcf85063a,i2c_csi_dsi
- MyPiベースボード
dtparam=i2c1=on dtoverlay=i2c-rtc,ds1307
他のボードやHATについては、同梱されているマニュアルを参照してください。
3.6.3 アプライアンスイメージの展開 #
Raspberry Piハードウェアにオペレーティングシステムを展開する最も一般的な方法は、ブートメディア(通常はmicroSDカード)に事前にインストールされたシステムイメージをコピーする方法です。これは最もシンプルで簡単な方法です。
SUSEでは、Raspberry Piハードウェア用のSUSE Linux Enterprise Microの事前に設定されたブート可能イメージを提供しています。これはBtrfsファイルシステムに付属していて、圧縮を有効にしてパフォーマンスを向上させ、microSDメディアの摩耗を減らします。
最小サイズ8GBのmicroSDカードが推奨されます。カードが高速なほど、システムパフォーマンスが向上します。最初のブート時に、オペレーティングシステムはカードを満たすようにファイルシステムを自動的に拡張します。これは、最初のブートは後続のブートよりも実質的に低速になることを意味します。
カードイメージをmicroSDメディアに書き込むプロセスは、『Raspberry Pi Quick Start』で説明されています。
3.6.4 USBメディアからのインストール #
Raspberry Piの一部のモデルは、USB大容量ストレージデバイスからブートできます。これにより、サーバプラットフォームと同様にRaspberry Pi上にSUSE Linux Enterprise Microを展開できます。
メモリスティックなどのリムーバブルUSBメディアから、マシンの内部スロットにあるmicroSDカードにインストールを実行できます。または、リムーバブルUSBメディアから、USB接続ハードディスクなどの別のUSBメディアに実行することもできます。
Raspberry Pi 3のEthernetコントローラはデバイスのオンボードUSB 2.0バスに接続されていることに注意してください。
したがって、USBを介して接続されたディスクから実行しているオペレーティングシステムは、USB 2.0コントローラの合計480Mbps帯域幅を共有する必要があります。これにより、パフォーマンスが制限され、ネットワークパフォーマンスに大きな影響を及ぼす可能性があります。
この制限は、Raspberry Pi 4には該当しません。
Raspberry Pi 3 Model B+およびCompute Module 3+を含む、BCM2837 B0シリコン(ブラックチップではなくシルバー)を備えたRaspberry Pi 3の新しいモデルは、デフォルトでUSB接続ストレージデバイスからブートできます。
Raspberry Pi 3 Model BやCompute Module 3などの古いモデルでは、特別に準備されたmicroSDカードから1回ブートすることでUSBブートを有効にできます。手順については、3.6.1.2項 「OTPメモリ」を参照してください。
3.6.5 ネットワークからのインストール #
ハードウェアにオンボードファームウェアがないため(3.6.1項 「ブートプロセス」)、PXEを使用したRaspberry Piのネットワークブートは、従来のコンピュータより複雑です。
x86およびArm用のPXEブートサーバをセットアップするプロセスは、SUSEベストプラクティスドキュメント(How to Set Up a Multi-PXE Installation Server)に記載されています。
Raspberry Pi Foundationでは、あるRaspberry Piを別のRaspberry PiからPXEを使用してブートする方法についての情報を公開しています。https://www.raspberrypi.org/documentation/hardware/raspberrypi/bootmodes/net_tutorial.md
3.6.6 詳細情報 #
詳細については、次のリソースを参照してください。
- SUSE Linux Enterprise Server 15 SP4リリースノート
ハードウェアの互換性、Raspberry Piハードウェアで実行するときにサポートされるオプションと機能に関する詳細については、SUSE Linux Enterprise Serverリリースノートの「Boot and Driver Enablement for Raspberry Pi」セクションを参照してください。
https://www.suse.com/releasenotes/aarch64/SUSE-SLES/15-SP4/#aarch64-rpi
- Raspberry Pi Quick Start
https://documentation.suse.com/sles/15-SP4/html/SLES-raspberry-pi/article-raspberry-pi.html
- openSUSEハードウェア互換性リスト: Raspberry Pi 3
openSUSEプロジェクトには、Raspberry Piハードウェアのインストールと設定に関する情報も含まれています。この多くがSUSE Linux Enterpriseにも該当します。
- Das U-Boot
Das U-Boot
ブートローダに関する詳細については、https://github.com/u-boot/u-bootにあるプロジェクトのGitHubページを参照してください。
4 IBM ZおよびLinuxONEでのインストール #
この章では、IBM Z上でSUSE® Linux Enterprise Microのインストールを準備する際の手順について説明します。LPARおよびz/VMの側でインストールを準備する際に必要な情報をすべて示します。
4.1 システム要件 #
このセクションでは、IBM Zのシステム要件、MicroCodeレベル、およびソフトウェアに関する基本情報を提供します。
4.1.1 Hardware (ハードウェア) #
SUSE Linux Enterprise Microは、次のプラットフォームで実行されます。
IBM zEnterprise EC12 (zEC12) (2827)
IBM zEnterprise BC12 (zBC12) (2828)
IBM z Systems z13 (2964)
IBM z Systems z13s (2965)
IBM z Systems z14 (3906)
IBM z Systems z14 ZR1 (3907)
IBM z Systems z15 T01 (8561)
IBM z Systems z15 T02 (8562)
IBM z Systems z16 A01 (3931)
IBM LinuxONE Emperor (2964)
IBM LinuxONE Rockhopper (2965)
IBM LinuxONE Emperor II (3906)
IBM LinuxONE Rockhopper II (3907)
IBM LinuxONE III LT1 (8561)
IBM LinuxONE III LT2 (8562)
IBM LinuxONE Emperor 4 (3931)
4.1.1.1 メモリ要件 #
インストール方法が異なれば、インストール時のメモリ要件も異なります。z/VM、LPAR、およびKVM下でテキストモードでインストールする場合は、1GB以上のメモリが推奨されます。グラフィカルモードでのインストールには1.5GB以上のメモリが必要です。
NFS、FTP、およびSMBインストールソースからのインストール、またはVNCが使用される場合のインストールには、最低512 MBのメモリが必要です。メモリ要件は、z/VMゲストまたはLPARイメージに認識されるデバイス数によっても異なることに留意してください。多数のアクセス可能なデバイスがあるインストールの場合は、さらに多くのメモリを要することがあります。
4.1.1.2 ディスク容量の要件 #
ディスク要件は、コンテナのワークロードに大きく依存します。SLE Microの最小要件は12GBです。ハードディスク容量の推奨値は20GBです。
4.1.1.3 ネットワーク接続 #
SUSE Linux Enterprise Microシステムと通信するには、ネットワーク接続が必要です。次のような1つ以上の接続またはネットワークカードを使用できます。
OSA Express Ethernet (Fast EthernetおよびGigabit Ethernetを含む)
HiperSocketまたはゲストLAN
10GBE、VSWITCH
RoCE (RDMA over Converged Ethernet)
次のインタフェースも引き続き含まれますが、サポートされなくなりました。
CTC (または仮想CTC)
ESCON
IUCV用のIPネットワークインタフェース
KVM下でインストールする場合は、VMゲストからネットワークへの透過的なアクセスを可能にするために、次の要件が満たされていることを確認してください。
仮想ネットワークインタフェースがホストネットワークインタフェースに接続されている。
ホストネットワークインタフェースが、仮想サーバが参加するネットワークに接続されている。
2つの個別のOSAネットワークポートをグループ化して、結合されたネットワークインタフェースを構成することで、冗長なネットワーク接続を提供するようにホストが設定されている場合、この結合されたネットワークインタフェースの識別子は
bond0
になります。複数の結合インタフェースが存在する場合は、bond1
、bond2
などです。非冗長ネットワーク接続のセットアップには、単一のネットワークインタフェースの識別子が必要です。識別子は、enccw0.0.NNNNという形式になります。NNNNは、使用するネットワークインタフェースのデバイス番号です。
4.1.2 MicroCodeのレベル、APAR、および修正 #
現在のリリースのSUSE Linux Enterprise Serverに対する制限事項と要件に関するドキュメントについては、https://developer.ibm.com/technologies/linux/のIBM developerWorksを参照してください。使用可能な最高のサービスレベルを使用することをお勧めします。最小要件については、IBMサポートにお問い合わせください。
z/VMの次のバージョンがサポートされています。
z/VM 6.4
z/VM 7.1
z/VM 7.2
z/VM 7.3
新しいMicroCodeレベルをインストールする前にVM APARを有効にする必要がある場合があるため、IBMサポートを使用してインストール順序を明確にしてください。
4.1.3 ソフトウェア #
LinuxベースではないNFSまたはFTPを介してSUSE Linux Enterprise Microをインストールする場合は、NFSサーバまたはFTPサーバのソフトウェアで問題が発生する可能性があります。Windows*標準FTPサーバではエラーが発生する可能性があるため、これらのマシンでSMBを介してインストールを実行することをお勧めします。
SUSE Linux Enterprise Microのインストールシステムに接続するには、以下のいずれかの方法を使用する必要があります(SSHまたはVNCによる方法をお勧めします)。
- ターミナルエミュレーション機能を持つSSH (xterm互換)
SSHは標準のUnixツールのため、ほとんどのUnixまたはLinuxシステムに含まれています。Windowsの場合、Putty SSHクライアントを使用できます。
- VNCクライアント
tightvnc
パッケージの一部として、Linux向けにvncviewer
というVNCクライアントがSUSE Linux Enterprise Microに付属しています。Windows向けにもtightvncを提供しています。https://www.tightvnc.com/からダウンロードしてください。- X サーバ
目的に合ったLinuxまたはUnixワークステーション上でのXサーバ実装を探します。WindowsおよびmacOS*用の商用X Window System環境は、数多くあります。その一部は、無償の試用バージョンとしてダウンロードできます。
IBM Z上にSUSE Linux Enterprise Microをインストールする前に、SUSE Linux Enterprise Microの最初のインストールメディアのルートディレクトリにあるREADME
ファイルを参照してください。このファイルはこのドキュメントを捕捉します。
4.2 インストールの準備 #
この章では、インストールに使用するデータをアクセス可能にする方法、さまざまな手段によるSUSE Linux Enterprise Microのインストール方法、およびSUSE Linux Enterprise MicroのインストールシステムのIPLを準備して使用する方法について説明します。また、この章では、ネットワーク設定とネットワークインストールについても説明します。
4.2.1 インストールデータを利用できるようにする #
このセクションでは、SUSE Linux Enterprise MicroのIBM Z向けインストールデータをインストール時にアクセス可能にする方法について詳しく説明します。コンピュータとシステム環境に応じて、NFSまたはFTPによるインストールを選択します。Microsoft Windowsワークステーションを実行している環境では、Windowsネットワーク(SMBプロトコルを含めて)を使用して、IBM ZシステムにSUSE Linux Enterprise Microをインストールすることができます。
DVDからIPL処理して、そのDVDをインストールメディアとして使用することができます。これは、ネットワークを介してインストールメディアを提供するインストールサーバを設定することに制約がある場合に、非常に便利です。前提条件はFCP接続SCSI DVDドライブです。
DVDのコンテンツをDASDのパーティションに格納することでハードディスクからインストールを実行することは不可能です。
4.2.1.1 LinuxワークステーションまたはSUSE Linux Enterprise MicroのDVDの使用 #
コンピュータ環境でLinuxワークステーションを使用して、NFS経由またはFTP経由でインストールデータをIBM Zインストールプロセスで使用できるようにします。
ファイルシステムのroot (/
)をエクスポートしても、DVDなどのマウントされたデバイスが自動的にエクスポートされるわけではありません。したがって、/etc/exports
のマウントポイントに明示的に名前を付ける必要があります。
/media/dvd *(ro)
このファイルの変更後に、sudo systemctl restart nfsserver
コマンドを使用してNFSサーバを再起動します。
LinuxシステムでのFTPサーバの設定には、vsftpdなどのサーバソフトウェアのインストールおよび設定が含まれます。匿名ログインを使用したインストールデータのダウンロードはサポートされていないため、ユーザ認証がサポートされるようにFTPサーバを設定する必要があります。
4.2.1.1.1 DVDでのSUSE Linux Enterprise Micro #
IBM Z対応のSUSE Linux Enterprise Microの最初のインストールメディアには、Intelベースのワークステーション向けのブート可能なLinuxイメージおよびIBM Z向けのイメージが収録されています。
Intelベースのワークステーションの場合は、このメディアからブートします。プロンプトが表示されたら、目的の回答言語とキーボードレイアウトを選択して、
を選択します。この操作には64MB以上のRAMが必要です。レスキューシステム全体がワークステーションのRAMに常駐するため、ディスク領域は必要ありません。この方法では、ワークステーションのネットワーキングを手動で設定する必要があります。
IBM Zの場合は、4.2.4.1.2項 「FCP接続SCSI DVDからのIPL」で説明しているとおり、このメディアからLPAR/VMゲストをIPL処理します。ネットワークパラメータを入力したら、インストールシステムはメディアをインストールデータのソースとして処理します。IBM Zでは、X11対応の端末を直接接続できないので、VNCによるインストールまたはSSHによるインストールを選択します。SSHはまた、ssh -X
でX接続をSSHにトンネルさせることで、グラフィカルインストールを提供します。
4.2.1.2 Microsoft Windowsワークステーションの使用 #
ネットワーク上のMicrosoft Windowsワークステーションを使用して、インストールメディアを使用できるようにすることができます。これを行う最も簡単な方法はSMBプロトコルを使用する方法です。必ず
を有効にしてください。この機能によって、SMBパッケージをTCP/IPパッケージにカプセル化できるようになります。詳細については、Windowsオンラインヘルプ、またはネットワーキングを対象にしたその他のWindows関連マニュアルを参照してください。4.2.1.2.1 SMBの使用 #
SMBを使用してインストールメディアを使用できるようにするには、SLE-15-SP5-Online-ARCH-GM-media1.isoを含むUSBフラッシュドライブをWindowsワークステーションのUSBポートに挿入します。次に、USBフラッシュドライブの文字を使用して新しい共有を作成し、ネットワーク内のどのユーザでも使用できるようにします。
YaSTでのインストールパスは次のとおりです。
smb://DOMAIN;USER:PW@SERVERNAME/SHAREPATH
各プレースホルダは次のような意味です。
- DOMAIN
ワークグループまたはActive Directoryのドメイン(オプション)。
- USER, PW
このサーバとその共有にアクセスできるユーザのオプションのユーザ名およびパスワード。
- SERVERNAME
共有をホストするサーバの名前。
- SHAREPATH
共有へのパス。
4.2.1.2.2 NFSを使用する #
Windowsワークステーション用にNFSサーバサービスを有効にするサードパーティ製品のマニュアルを参照してください。SLE-15-SP5-Online-ARCH-GM-media1.isoメディアを含むUSBフラッシュドライブは、使用可能なNFSパスに存在する必要があります。
4.2.1.2.3 FTPの使用 #
Windowsワークステーション用にFTPサーバサービスを有効にするサードパーティ製品のマニュアルを参照してください。SLE-15-SP5-Online-ARCH-GM-media1.isoメディアを含むUSBフラッシュドライブは、使用可能なFTPパスに存在する必要があります。
Microsoft Windowsの特定のリリースにバンドルされているFTPサーバは、FTPコマンドのサブセットのみを実装するので、インストールデータの提供には適しません。この場合、必要な機能を提供するサードパーティのFTPサーバを使用してください。
4.2.1.2.4 FCP接続SCSI DVDドライブの使用 #
4.2.4.1.2項 「FCP接続SCSI DVDからのIPL」の説明に従ってSCSI DVDからIPLすると、インストールシステムによってDVDがインストールメディアとして使用されます。この場合、FTP、NFS、またはSMBサーバにはインストールメディアは必要ありません。ただし、VNCまたはXによるグラフィカルインストールを実行するには、インストールの際にネットワークを設定する必要があるので、SUSE Linux Enterprise Microのネットワーク設定データは必要です。
4.2.1.3 zPXE用のCobblerサーバの使用 #
ネットワークからのIPL処理では、カーネル、initrd、インストールデータを提供するためのCobblerサーバが必要です。Cobblerサーバを準備するには、次のステップを実行する必要があります。
4.2.1.3.1 インストールデータのインポート #
メディアをインポートするには、USBフラッシュドライブまたはネットワークソースにあるインストールソースをCobblerサーバ上で使用できるようにする必要があります。次のコマンドを実行してデータをインポートします。
>
sudo
cobbler import --path=PATH1 --name=IDENTIFIER2 --arch=s390x
4.2.1.3.2 配布の追加 #
配布を追加することで、CobblerはIPLに必要なカーネルとinitrdをzPXEを介して提供できます。Cobblerサーバ上で次のコマンドを実行して、IBM Z対応のSUSE Linux Enterprise Microを追加します。
>
sudo
cobbler distro add --arch=s390 --breed=suse --name="IDENTIFIER"1 \
--os-version=slemicro5.22 \
--initrd=/srv/www/cobbler/ks_mirror/IDENTIFIER/boot/s390x/initrd3 \
--kernel=/srv/www/cobbler/ks_mirror/IDENTIFIER/boot/s390x/linux4 \
--kopts="install=http://cobbler.example.com/cobbler/ks_mirror/IDENTIFIER"5
配布の固有の識別子(「SLE Micro 5.5 IBM Z」など)。 | |
オペレーティングシステムの識別子。 | |
initrdへのパス。パスの最初の部分( | |
カーネルへのパス。パスの最初の部分( | |
Cobblerサーバ上のインストールディレクトリへのURL。 |
4.2.1.3.3 プロファイルの調整 #
配布を追加すると(4.2.1.3.2項 「配布の追加」を参照)、対応するIDENTIFIERを持つプロファイルが自動的に生成されます。次のコマンドを使用して、必要な調整を行います。
>
sudo
cobbler distro edit \
--name=IDENTIFIER1 --os-version=sles102 --ksmeta=""3
--kopts="install=http://cobbler.example.com/cobbler/ks_mirror/IDENTIFIER"4
4.2.1.3.4 システムの追加 #
最後のステップは、Cobblerサーバへのシステムの追加です。このステップは、zPXEを介してブートする必要があるすべてのIBM Zゲストに対して実行する必要があります。ゲストはz/VMユーザIDで識別されます(次の例では、ID 「linux01」)。IDは小文字でなければならないことに注意してください。システムを追加するには、次のコマンドを実行します。
>
sudo
cobbler system add --name=linux01 --hostname=linux01.example.com \
--profile=IDENTIFIER --interface=qdio \
--ip-address=192.168.2.103 --subnet=192.168.2.255 --netmask=255.255.255.0 \
--name-servers=192.168.1.116 --name-servers-search=example.com \
--gateway=192.168.2.1 --kopts="KERNEL_OPTIONS"
--kopts
オプションを使用すると、通常はparmfileで指定されるカーネルとインストールパラメータを指定できます。次の形式を使用してパラメータを指定します: PARAMETER1=VALUE1 PARAMETER2=VALUE2。インストーラは不足しているパラメータの入力を求めます。完全な自動インストールを実現するには、ネットワークやDASDに対するすべてのパラメータを指定し、AutoYaSTファイルを用意する必要があります。次に、上記と同じネットワークパラメータを使用してOSAインタフェースを装備したゲストの例を示します。
--kopts=" \ AutoYaST=http://192.168.0.5/autoinst.xml \ Hostname=linux01.example.com \ Domain=example.com \ HostIP=192.168.2.103 \ Gateway=192.168.2.1 \ Nameserver=192.168.1.116 \ Searchdns=example.com \ InstNetDev=osa; \ Netmask=255.255.255.0 \ Broadcast=192.168.2.255 \ OsaInterface=qdio \ Layer2=0 \ PortNo=0 \ ReadChannel=0.0.0700 \ WriteChannel=0.0.0701 \ DataChannel=0.0.0702 \ DASD=600"
4.2.1.4 HMCのUSBフラッシュドライブからのインストール #
IBM ZサーバにSUSE Linux Enterprise Microをインストールするには通常、ネットワークインストールソースが必要です。この要件を満たすことができない場合、SUSE Linux Enterprise Serverでは、ハードウェア管理コンソール(HMC)のUSBフラッシュドライブをLPARにインストールするためのインストールソースとして使用できます。
HMCのUSBフラッシュドライブからインストールを実行するには、次のように続行します。
install=hmc:/
をparmfile
に追加(4.4項 「parmfile: システム設定の自動化」を参照)またはカーネルオプションに追加します。linuxrc
を使用した手動モードのインストールでは、[Start Installation (インストールの開始)]、[インストール]、[Hardware Management Console (ハードウェア管理コンソール)]の順に選択します。インストールメディアは、HMCにある必要があります。
インストールを開始する前に、linuxrc
でネットワーク設定を指定します。ブートパラメータを使用してこれを実行することはできません。また、ネットワークアクセスが必要になる可能性が高くなります。linuxrc
で、[Start Installation (インストールの開始)]をクリックし、[ネットワーク設定]を選択します。
Linuxシステムがブートするのを待ってから、HMCのUSBフラッシュドライブのメディアへのアクセスを許可するようにしてください。IPL処理を行うと、HMCとLPARとの間の接続に支障が生じる可能性があります。すでに説明した方法を最初に試行して失敗した場合は、アクセス権を付与してHMC
オプションで再試行できます。
インストールは1回限りの手順であるため、USBフラッシュドライブはインストールリポジトリとして保存されません。インストールリポジトリが必要な場合は、オンラインリポジトリを登録して使用してください。
4.2.2 インストールのタイプ #
このセクションでは、各インストールモードにおける、SUSE Linux Enterprise Microのインストール手順を説明します。前の章で説明されている準備手順が完了したら、目的のインストールモードの概要に従います。
4.2.1項 「インストールデータを利用できるようにする」で説明されるように、Linux on IBM Zには3つの異なるインストールモード(LPAR、z/VM、およびKVMゲストインストール)があります。
インストールに必要なデバイスを準備します。4.2.3.1項 「LPARインストールのIPLの準備」を参照してください。
インストールシステムをIPL処理します。4.2.4.1項 「LPARインストールでのIPL処理」を参照してください。
ネットワークを設定します。4.2.5項 「ネットワーク設定」を参照してください。
SUSE Linux Enterprise Microのインストールシステムに接続します。4.2.6項 「SUSE Linux Enterprise Microのインストールシステムに接続する」を参照してください。
YaSTを使用してインストールを開始し、インストールしたシステムをIPL処理します。第12章 「インストール手順」を参照してください。
インストールに必要なデバイスを準備します。4.2.3.2.1項 「dirMaintを使用したLinuxゲストの追加」を参照してください。
インストールシステムをIPL処理します。4.2.4.2項 「z/VMインストールでのIPL処理」を参照してください。
ネットワークを設定します。4.2.5項 「ネットワーク設定」を参照してください。
SUSE Linux Enterprise Microのインストールシステムに接続します。4.2.6項 「SUSE Linux Enterprise Microのインストールシステムに接続する」を参照してください。
YaSTを使用してインストールを開始し、インストールしたシステムをIPL処理します。第12章 「インストール手順」を参照してください。
仮想ディスクイメージを作成し、ドメインXMLファイルを作成します。4.2.3.3項 「KVMゲストインストールのIPLの準備」を参照してください。
インストールターゲットを準備し、VMゲストのIPL処理を実行します。4.2.4.3項 「KVMゲストインストールでのIPL処理」を参照してください。
4.2.5.3項 「ネットワークの設定とインストールソースの選択」ボタンをクリックします。
SUSE Linux Enterprise Microのインストールシステムに接続します。4.2.6項 「SUSE Linux Enterprise Microのインストールシステムに接続する」を参照してください。
YaSTを使用してインストールを開始し、インストールしたシステムをIPL処理します。第12章 「インストール手順」を参照してください。
4.2.3 SUSE Linux Enterprise MicroのインストールシステムのIPLの準備 #
4.2.3.1 LPARインストールのIPLの準備 #
適切な有効化プロファイルとIOCDSを使用して、ESA/S390モードまたはLinux専用モードで起動するようにIBM Zシステムを設定します。詳細については、IBMドキュメントを参照してください。4.2.4.1項 「LPARインストールでのIPL処理」の説明に従って、作業を行ってください。
4.2.3.2 z/VMインストールのIPLの準備 #
4.2.3.2.1 dirMaintを使用したLinuxゲストの追加 #
最初の手順として、z/VM環境のLinuxゲストによって使用されるシステム内の1つ以上のDASDを接続してフォーマットします。次に、z/VMでの新しいユーザを作成します。この例は、パスワードLINPWD
を使用するユーザLINUX1
のディレクトリ、1GBのメモリ(2GBまで拡張可能)、複数のミニディスク(MDISK)、2つのCPU、およびOSA QDIOデバイスを示しています。
メモリをz/VMゲストに割り当てるときは、4.1.1.1項 「メモリ要件」で説明されているように、メモリサイズが優先的に選択するインストールタイプに適していることを確認します。メモリサイズを1GBに設定するには、CP DEFINE STORAGE 1G
コマンドを使用します。インストールが完了したら、メモリサイズを必要な値に戻します。
USER LINUX1 LINPWD 1024M 2048M G *____________________________________________ * LINUX1 *____________________________________________ * This VM Linux guest has two CPUs defined. CPU 01 CPUID 111111 CPU 02 CPUID 111222 IPL CMS PARM AUTOCR IUCV ANY IUCV ALLOW MACH ESA 10 OPTION MAINTCCW RMCHINFO SHARE RELATIVE 2000 CONSOLE 01C0 3270 A SPOOL 000C 2540 READER * SPOOL 000D 2540 PUNCH A SPOOL 000E 3203 A * OSA QDIO DEVICE DEFINITIONS DEDICATE 9A0 9A0 DEDICATE 9A1 9A1 DEDICATE 9A2 9A2 * LINK MAINT 0190 0190 RR LINK MAINT 019E 019E RR LINK MAINT 019D 019D RR * MINIDISK DEFINITIONS MDISK 201 3390 0001 0050 DASD40 MR ONE4ME TWO4ME THR4ME MDISK 150 3390 0052 0200 DASD40 MR ONE4ME TWO4ME THR4ME MDISK 151 3390 0253 2800 DASD40 MR ONE4ME TWO4ME THR4ME
この例では、ミニディスク201を、ゲストのホームディスクとして使用します。200のシリンダを持つミニディスク150は、Linux swapデバイスです。また、2800のシリンダを持つディスク151は、Linuxインストールデータを保持するメディアです。
DIRM FOR LINUX1 ADD
を使用して、MAINT
ユーザとしてゲストをユーザディレクトリに追加します。ゲストの名前(LINUX1
)を入力して、F5キーを押します。次のように、ユーザの環境を設定します。
DIRM DIRECT DIRM USER WITHPASS
最後のコマンドは、リーダファイル番号を返します。次に示すように、この番号は、次のコマンドを実行するのに必要です。
RECEIVE <number> USER DIRECT A (REPL)
ユーザ LINUX1
として、ゲスト上でログインできるようになります。
dirmaint
オプションが使用できない場合は、このユーザを設定する方法に関してIBMのドキュメントを参照してください。
4.2.4.2項 「z/VMインストールでのIPL処理」に従って手順を進めます。
4.2.3.3 KVMゲストインストールのIPLの準備 #
KVMゲストインストールでは、仮想マシンを指定するドメインXMLファイルと、インストール用の最低1つの仮想ディスクイメージを用意しておく必要があります。
4.2.3.3.1 仮想ディスクイメージの作成 #
デフォルトでは、libvirtはVMホストサーバ上の/var/lib/libvirt/images/
でディスクイメージを検索します。イメージは、ファイルシステム上の他の任意の場所に保存することもできますが、管理を容易にするため、1つの場所にすべてのイメージを保存することをお勧めします。イメージを作成するには、KVMホストサーバにログインし、次のコマンドを実行します。
qemu-img create -f qcow2 /var/lib/libvirt/images/s12lin_qcow2.img 10G
これにより、サイズが10GBのqcow2イメージが/var/lib/libvirt/images/
に作成されます。
4.2.3.3.2 ドメインXMLファイルの作成 #
ドメインXMLファイルは、VMゲストの定義に使用します。ドメインXMLファイルを作成するには、エディタで空白ファイルs15-1.xml
を開き、次の例のようなファイルを作成します。
次の例では、単一のCPU、1GBのRAM、および前のセクション(4.2.3.3.1項 「仮想ディスクイメージの作成」)で作成した仮想ディスクイメージを持ったVMゲストを作成します。仮想サーバはホストネットワークインタフェースbond0
に接続されていることを前提としています。使用するネットワークのセットアップと一致するようにソースデバイス要素を変更します。
<domain type="kvm"> <name>s15-1</name> <description>Guest-System SUSE SLES15</description> <memory>1048576</memory> <vcpu>1</vcpu> <os> <type arch="s390x" machine="s390-ccw-virtio">hvm</type> <!-- Boot kernel - remove 3 lines after successful installation --> <kernel>/var/lib/libvirt/images/s15-kernel.boot</kernel> <initrd>/var/lib/libvirt/images/s15-initrd.boot</initrd> <cmdline>linuxrcstderr=/dev/console</cmdline> </os> <iothreads>1</iothreads> <on_poweroff>destroy</on_poweroff> <on_reboot>restart</on_reboot> <on_crash>preserve</on_crash> <devices> <emulator>/usr/bin/qemu-system-s390x</emulator> <disk type="file" device="disk"> <driver name="qemu" type="qcow2" cache="none" iothread="1" io="native"/> <source file="/var/lib/libvirt/images/s15lin_qcow2.img"/> <target dev="vda" bus="virtio"/> </disk> <interface type="direct"> <source dev="bond0" mode="bridge"/> <model type="virtio"/> </interface> <console type="pty"> <target type="sclp"/> </console> </devices> </domain>
4.2.4 SUSE Linux Enterprise MicroのインストールシステムのIPL処理 #
4.2.4.1 LPARインストールでのIPL処理 #
LPARに対してSUSE Linux Enterprise MicroをIPL処理するにはさまざまな方法があります。推奨されているのは、SEまたはHMCの 機能を使用する方法です。
4.2.4.1.1 DVD-ROMからのIPL #
インストールするLPARをマークして、
を選択します。ファイルの場所を指定するフィールドを空白のままにするか、最初のDVD-ROMのルートディレクトリへのパスを入力して、 を選択します。表示されるオプションのリストについては、デフォルト設定のままにしてください。ここで、 によって、カーネルブートメッセージが表示されます。4.2.4.1.2 FCP接続SCSI DVDからのIPL #
を として選択し、 手順を使用して、SCSIからのIPLを実行できます。SCSIブリッジまたはSCSIストレージで指定されているWWPN (Worldwide port name)とLUN (Logical unit number)を入力します。これは16桁の数字ですが、末尾のゼロを省略しないようにします。ブートプログラムのセレクタは2でなければなりません。使用するFCPアダプタを として使用し、IPLを実行します。
4.2.4.2 z/VMインストールでのIPL処理 #
このセクションでは、z/VMシステムにIBM Z対応のSUSE Linux Enterprise MicroをインストールするようにインストールシステムをIPL処理する方法について説明します。
4.2.4.2.1 z/VMリーダからのIPL #
FTPを介してインストールシステムを転送するには、新規に定義されたz/VMゲスト内では、有効なTCP/IP接続とFTPクライアントプログラムが必要です。z/VM用のTCP/IPの設定は、このマニュアルの範囲を超えています。適切なIBMマニュアルを参照してください。
z/VM Linuxゲストとしてログインし、IPLを実行します。ネットワーク内のFTPを介して利用可能なUnified Installer (メディア1)のディレクトリ/boot/s390x
のコンテンツを作成します。このディレクトリから、ファイルlinux
、initrd
、parmfile
、およびsles.exec
を取得します。80文字の固定ブロックサイズでファイルを転送します。サイズを指定するには、FTPコマンド locsite fix 80
を使用します。linux
(Linuxカーネル)とinitrd
(インストールイメージ)はバイナリファイルとしてコピーすることが重要です。したがって、binary
転送モードを使用します。parmfile
とsles.exec
はASCIIモードで転送する必要があります。
次の例では、必要なステップを示します。この特定のシナリオでは、IPアドレス192.168.0.3
を指定して、FTPサーバから、必要なファイルにアクセスできることを前提としています。ログインはlininst
です。
FTP 192.168.0.3 VM TCP/IP FTP Level 530 Connecting to 192.168.0.3, port 21 220 ftpserver FTP server (Version wu-2.4.2-academ[BETA-18](1) Thu Feb 11 16:09:02 GMT 2010) ready. USER lininst 331 Password required for lininst PASS ****** 230 User lininst logged in. Command: binary 200 Type set to I Command: locsite fix 80 Command: get /media/dvd1/boot/s390x/linux sles.linux 200 PORT Command successful 150 Opening BINARY mode data connection for /media/dvd1/boot/s390x/linux (10664192 bytes) 226 Transfer complete. 10664192 bytes transferred in 13.91 seconds. Transfer rate 766.70 Kbytes/sec. Command: get /media/dvd1/boot/s390x/initrd sles.initrd 200 PORT Command successful 150 Opening BINARY mode data connection for /media/dvd1/boot/s390x/initrd (21403276 bytes) 226 Transfer complete. 21403276 bytes transferred in 27.916 seconds. Transfer rate 766.70 Kbytes/sec. Command: ascii 200 Type set to A Command: get /media/dvd1/boot/s390x/parmfile sles.parmfile 150 Opening ASCII mode data connection for /media/dvd1/boot/s390x/parmfile (5 bytes) 226 Transfer complete. 5 bytes transferred in 0.092 seconds. Transfer rate 0.05 Kbytes/sec. Command: get /media/dvd1/boot/s390x/sles.exec sles.exec 150 Opening ASCII mode data connection for /media/dvd1/boot/s390x/sles.exec (891 bytes) 226 Transfer complete. 891 bytes transferred in 0.097 seconds. Transfer rate 0.89 Kbytes/sec. Command: quit
ダウンロードしたREXXスクリプトsles.execを使用して、LinuxインストールシステムのIPLを実行します。このスクリプトは、次のように、カーネル、parmfile、およびRAMディスクを、IPL用のリーダにロードします。
/* REXX LOAD EXEC FOR SUSE LINUX S/390 VM GUESTS */ /* LOADS SUSE LINUX S/390 FILES INTO READER */ SAY '' SAY 'LOADING SLES FILES INTO READER...' 'CP CLOSE RDR' 'PURGE RDR ALL' 'SPOOL PUNCH * RDR' 'PUNCH SLES LINUX A (NOH' 'PUNCH SLES PARMFILE A (NOH' 'PUNCH SLES INITRD A (NOH' 'IPL 00C'
このスクリプトでは、sles
コマンドを使用して、SUSE Linux Enterprise MicroのインストールシステムのIPLを実行できます。Linuxカーネルが起動し、そのブートメッセージが出力されます。
インストールを続行するには、4.2.5項 「ネットワーク設定」の説明に従います。
4.2.4.2.2 FCP接続SCSI DVDからのIPL #
z/VMでIPLを実行するには、次のように、 SET LOADDEV パラメータを使用して、SCSI IPLプロセスを準備します。
SET LOADDEV PORTNAME 200400E8 00D74E00 LUN 00020000 00000000 BOOT 2
たとえば、適切な値でLOADDEVパラメータを設定したら、FCPアダプタのIPLを実行します。
IPL FC00
インストールを続行するには、4.2.5項 「ネットワーク設定」に従って処理を行います。
4.2.4.2.3 zPXEによるCobblerサーバからのIPL #
zPXEによってCobblerサーバからIPLを実行するには、Cobblerサーバからz/VMゲストに対して、FTP経由でzpxe.rexx
スクリプトを転送する必要があります。これを実行するため、z/VMゲストでは、TCP/IP接続とFTPクライアントプログラムが機能している必要があります。
z/VM LinuxゲストとしてIPLにログインし、ASCIIモードの80文字の固定サイズでスクリプトを転送します(例は、例4.3「FTP経由のバイナリ転送」を参照)。zpxe.rexx
スクリプトは、/boot/s390x/zpxe.rexx
にあるUnified Installer DVDまたは/usr/share/doc/packages/s390-tools/zpxe.rexx
にあるSLE Cobblerサーバで入手できます。
zpxe.rexx
は、ゲストのPROFILE EXEC
を置き換えることが想定されています。既存のPROFILE EXEC
のバックアップコピーを作成し、名前ZPXE
REXX
をPROFILE EXEC
に変更します。または、'ZPXE REXX'
行を追加して既存のPROFILE
EXEC
からZPXE REXX
を呼び出します。
最後のステップでは設定ファイルZPXE
CONF
を作成し、そこで接続先のCobblerサーバとIPLの実行対象とするディスクをZPXE REXX
に対して指定します。xedit zpxe
conf a
を実行して、次のコンテンツでZPXE CONF
を作成します(それに応じて例のデータを置き換えます)。
HOST cobbler.example.com IPLDISK 600
これにより、次回z/VMゲストにログインするときにCobblerサーバが接続されます。Cobblerサーバ上でインストールがスケジュールされている場合は、それが実行されます。インストールをスケジュールするには、Cobblerサーバで次のコマンドを実行します。
>
sudo
cobbler system edit --name ID1 --netboot-enabled 12 --profile PROFILENAME3
z/VMのユーザID。 | |
ネットワークからのIPLingを有効にします。 | |
既存のプロファイルの名前(4.2.1.3.3項 「プロファイルの調整」を参照)。 |
4.2.4.3 KVMゲストインストールでのIPL処理 #
ゲストインストールを開始するには、まず4.2.3.3.1項 「仮想ディスクイメージの作成」で定義されているVMゲストを起動する必要があります。開始する前に、カーネルとinitrdがIPLに使用できることを確認します。
4.2.4.3.1 インストールソースの準備 #
インストールシステムへのVMゲストのIPLを実行するには、インストールシステムのカーネルとinitrdをVMホストサーバにコピーする必要があります。
KVMホストにログインし、インストールソースを提供するリモートホストやデバイスに接続できることを確認します。
次の2つのファイルをインストールソースから
/var/lib/libvirt/images/
にコピーします。リモートホストからデータが提供される場合は、ftp
、sftp
、またはscp
を使用してファイルを転送します。/boot/s390x/initrd
/boot/s390x/cd.ikr
KVMホスト上のファイルの名前を変更します。
>
sudo
cd /var/lib/libvirt/images/>
sudo
mv initrd s15-initrd.boot>
sudo
mv cd.ikr s15-kernel.boot
4.2.4.3.2 VMゲストのIPLの実行 #
VMゲストのIPLを実行するには、KVMホストにログインし、次のコマンドを実行します。
>
virsh create s15-1.xml --console
VMゲストが起動し稼働中であるときにインストールプロセスが開始され、次のメッセージが表示されます。
Domain s15-1 started Connected to domain s15-1 Escape character is ^] Initializing cgroup subsys cpuset Initializing cgroup subsys cpu Initializing cgroup subsys cpuacct . . Please make sure your installation medium is available. Retry? 0) <-- Back <-- 1) Yes 2) No
4.2.5.3項 「ネットワークの設定とインストールソースの選択」の説明に従って、作業を行ってください。
と答え、次のステップで を選択します。4.2.5 ネットワーク設定 #
カーネルがその起動ルーチンを完了するまで待機します。基本モードまたはLPARでインストールを行う場合は、HMCまたはSEの
を開きます。
最初に、linuxrc
メインメニューで、 を選択します。次に、 を選択して、インストールプロセスを開始します。 をインストールメディアとして選択し、次に、インストールに使用するネットワークプロトコルの種類を選択します。4.2.1項 「インストールデータを利用できるようにする」には、さまざまなタイプのネットワーク接続でインストールデータを使用できるようにする方法が説明されています。現在は、 、 、 、 (Windowsファイル共有)がサポートされています。
使用可能なデバイスのリストから、インストールデータを受信するためのOSAまたはHiperSocketsネットワークデバイスを選択します。このリストにはCTC、ESCON、またはIUCVデバイスも挙げられていることがありますが、これらはSUSE Linux Enterprise Microではサポート対象外となっています。
4.2.5.1 HiperSocketsインタフェースの設定 #
ネットワークデバイスのリストからHiperSocketデバイスを選択します。続いて、次のように読み取りチャネル、書き込みチャネル、およびデータチャネルの各値を入力します。
Choose the network device. 1) IBM parallel CTC Adapter (0.0.0600) 2) IBM parallel CTC Adapter (0.0.0601) 3) IBM parallel CTC Adapter (0.0.0602) 4) IBM Hipersocket (0.0.0800) 5) IBM Hipersocket (0.0.0801) 6) IBM Hipersocket (0.0.0802) 7) IBM OSA Express Network card (0.0.0700) 8) IBM OSA Express Network card (0.0.0701) 9) IBM OSA Express Network card (0.0.0702) 10) IBM OSA Express Network card (0.0.f400) 11) IBM OSA Express Network card (0.0.f401) 12) IBM OSA Express Network card (0.0.f402) 13) IBM IUCV > 4 Device address for read channel. (Enter '+++' to abort). [0.0.0800]> 0.0.0800 Device address for write channel. (Enter '+++' to abort). [0.0.0801]> 0.0.0801 Device address for data channel. (Enter '+++' to abort). [0.0.0802]> 0.0.0802
4.2.5.2 OSA Expressデバイスの設定 #
ネットワークデバイスのリストからOSA Expressデバイスを選択し、ポート番号を指定します。読み取りチャネル、書き込みチャネル、およびデータチャネルの各値を入力します。OSIレイヤ2のサポートを有効にするかどうかを選択します。
新しい2ポートOSA Express 3ネットワークデバイスにはポート番号が必要です。OSA Express 3デバイスを使用しない場合は、「0
」を入力します。OSA Expressカードは、「OSIレイヤ2サポート」モード、またはより一般的で古い「レイヤ3」モードでも実行できます。カードのモードは、他のLPAR上のシステムを含むデバイスを共有するすべてのシステムに影響します。不明な場合は、z/VMやz/OSなどの他のオペレーティングシステムで使用するデフォルトモードとの互換性を確保するために「2
」を指定します。これらのオプションに関する詳細については、ハードウェア管理者にご相談ください。
Choose the network device. 1) IBM parallel CTC Adapter (0.0.0600) 2) IBM parallel CTC Adapter (0.0.0601) 3) IBM parallel CTC Adapter (0.0.0602) 4) IBM Hipersocket (0.0.0800) 5) IBM Hipersocket (0.0.0801) 6) IBM Hipersocket (0.0.0802) 7) IBM OSA Express Network card (0.0.0700) 8) IBM OSA Express Network card (0.0.0701) 9) IBM OSA Express Network card (0.0.0702) 10) IBM OSA Express Network card (0.0.f400) 11) IBM OSA Express Network card (0.0.f401) 12) IBM OSA Express Network card (0.0.f402) 13) IBM IUCV > 7 Enter the relative port number. (Enter '+++' to abort). > 0 Device address for read channel. (Enter '+++' to abort). [0.0.0700]> 0.0.0700 Device address for write channel. (Enter '+++' to abort). [0.0.0701]> 0.0.0701 Device address for data channel. (Enter '+++' to abort). [0.0.0702]> 0.0.0702 Enable OSI Layer 2 support? 0) <-- Back <-- 1) Yes 2) No > 1 MAC address. (Enter '+++' to abort). > +++
4.2.5.3 ネットワークの設定とインストールソースの選択 #
ネットワークデバイスのすべてのパラメータを入力すると、該当のドライバがインストールされ、対応するカーネルメッセージが表示されます。
次に、ネットワークインタフェースパラメータの設定に、DHCP自動設定を使用するかどうかを決定する必要があります。DHCPは少数のデバイスのみで動作し、特別なハードウェア設定が必要なため、
を選択します。これを実行すると、次のネットワークパラメータを指定するよう求められます。インストールするシステムのIPアドレス
対応するネットマスク(IPアドレスで指定していない場合に入力)
サーバにアクセスするためのゲートウェイのIPアドレス
ドメイン名サーバ(DNS)で扱う検索ドメインのリスト
ドメイン名サーバのIPアドレス
Automatic configuration via DHCP? 0) <-- Back <-- 1) Yes 2) No > 2 Enter your IP address with network prefix. You can enter more than one, separated by space, if necessary. Leave empty for autoconfig. Examples: 192.168.5.77/24 2001:db8:75:fff::3/64. (Enter '+++' to abort). > 192.168.0.20/24 Enter your name server IP address. You can enter more than one, separated by space, if necessary. Leave empty if you don't need one. Examples: 192.168.5.77 2001:db8:75:fff::3. (Enter '+++' to abort). > 192.168.0.1 Enter your search domains, separated by a space:. (Enter '+++' to abort). > example.com Enter the IP address of your name server. Leave empty if you do not need one. (En ter '+++' to abort). > 192.168.0.1
最後にインストールサーバに関する必要な情報を提供します。この情報として、IPアドレス、インストールデータを格納しているディレクトリ、ログインアカウント情報などがあります。必要な情報が提供されるとインストールシステムがロードされます。
4.2.6 SUSE Linux Enterprise Microのインストールシステムに接続する #
インストールシステムをロードした後で、linuxrcによりインストール手順を制御するためにどのタイプのディスプレイを選択するかが求められます。使用可能なオプションには、Remote X11
(X Window System)、VNC
(Virtual Network Computingプロトコル)、SSH
(テキストモードまたはSecure Shellを介したX11インストール)、Text-based UI
およびGraphical UI
があります。後者は、YaSTが存在する場合、ローカルグラフィックスディスプレイ上でグラフィカルモードでYaSTを起動します。s390xアーキテクチャでは、QEMUとvirtio-gpu
ドライバを使用してローカルグラフィックスディスプレイを実装できます。
推奨されるオプションは、VNC
またはSSH
です。
Text-based UI
オプションが選択される場合、YaSTはテキストモードで起動し、端末内で直接インストールを実行できます。Text-based UI
オプションは、LPARにインストールするときにのみ役立ちます。
テキストモードでYaSTを操作できるようにするには、VT220/Linuxエミュレーションを備えた端末(Text-based UI
ともいいます)でYaSTを実行する必要があります。
4.2.6.1 VNCでのインストールの開始 #
VNCを使用してインストールをリモート制御するには、次の手順に従います。
VNC
オプションを選択すると、VNCサーバが起動します。コンソールの短いメモには、vncviewerと接続するためのIPアドレスとディスプレイ番号が表示されます。SUSE Linux Enterprise MicroのインストールシステムのIPアドレスとディスプレイ番号の入力を求められた場合は、これらの値を入力します。
この入力を求められた場合は、SUSE Linux Enterprise MicroインストールシステムのIPアドレスとディスプレイ番号を入力します。
http://<IP address of installation system>:5801/
接続が確立された後、YaSTを使用してSUSE Linux Enterprise Microをインストールします。
4.2.6.2 X Window Systemでのインストールの開始 #
X Window Systemを使用する直接インストールでは、ホスト名に基づく認証メカニズムに依存します。現在のバージョンのSUSE Linux Enterprise Microでは、このメカニズムが無効になっています。SSHまたはVNCを使用してインストールを実行することをお勧めします。
X転送を使用してインストールをリモート制御するには、次の手順に従います。
Xサーバを使用してクライアント(インストールされるシステム)の接続が可能なことを確認します。ファイル
/etc/sysconfig/displaymanager
に変数DISPLAYMANAGER_XSERVER_TCP_PORT_6000_OPEN="yes"
を設定します。Xサーバを再起動し、コマンドxhost CLIENT_IP_ADDRESS
を使用して、サーバへのクライアントのバインドを行うことができるようにします。インストールシステムで入力するように指示されたら、Xサーバが稼働するコンピュータのIPアドレスを入力します。
YaSTが起動されるまで待機してから、インストールを開始します。
4.2.6.3 SSHでのインストールの開始 #
名前がearth
であるインストールシステムにSSHを使用して接続するには、ssh -X
earth
コマンドを使用します。ワークステーションがMicrosoft Windowsで実行されている場合は、http://www.chiark.greenend.org.uk/~sgtatham/putty/で入手可能なPuttyツールを使用します。 SSH › › を設定します。
別のオペレーティングシステムを使用する場合は、ssh -X
earth
を実行して、earth
という名前のインストールシステムに接続します。ローカルXサーバが使用可能な場合は、SSHのX転送がサポートされます。使用可能でない場合は、YaSTによって、ncursesのテキストインタフェースが表示されます。
プロンプト表示されたら、root
ユーザ名を入力し、パスワードを使用してログインします。「yast.ssh
」と入力してYaSTを起動します。その後、YaSTの指示に従ってインストール手順を実行します。
特定の状況では、Xフォワーディングを使用してSSH経由でGUI版のYaSTを実行すると、次のエラーメッセージが出て失敗する場合があります。
XIO: fatal IO error 11 (Resource temporarily unavailable) on X server "localhost:11.0"
この場合、次の2つの選択肢があります。
次のように、
QT_XCB_GL_INTEGRATION=none
オプションを指定してYaSTを実行します。QT_XCB_GL_INTEGRATION=none yast.ssh QT_XCB_GL_INTEGRATION=none yast2 disk
Xフォワーディングを無効化するか、使用するUIにncursesを指定して、ncurses版のYaSTアプリケーションを実行する。後で実行するには、
yast2 disk --ncurses
またはYUI_PREFERED_BACKEND=ncurses yast2 disk
コマンドを使用します。
第12章 「インストール手順」の説明に従って、インストール手順を進めます。
4.2.7 IBM ZでのSUSE Linux Enterprise Microのブート手順 #
SLES 10および11では、ブートプロセスはziplブートローダによって処理されていました。BtrfsパーティションからのブートとSnapperでのシステムロールバックのサポートを有効にするため、SUSE Linux Enterprise MicroがIBM Zでブートする方法が変更されました。
IBM Z対応のSUSE Linux Enterprise Microでは、GRUB 2がziplに取って代わりました。AMD64/Intel 64アーキテクチャのGRUB 2では、ファームウェアレベルで、ファイルシステムにアクセスするためのデバイスドライバが組み込まれています。メインフレームにはファームウェアがないため、GRUB 2へのccw
の追加は、大変な作業であり、GRUB 2にziplを再実装する必要も生じます。そのため、SUSE Linux Enterprise Microは、2段階のアプローチを使用します。
- 第1段階:
カーネルとinitrdを含む別のパーティションが
/boot/zipl
にマウントされます。このカーネルとinitrdは、/boot/zipl/config
の設定を使用して、ziplを介してロードされます。この設定は、
initgrub
というキーワードをカーネルコマンドラインに追加します。カーネルとinitrdがロードされると、initrdは、ルートファイルシステムをマウントするために必要なデバイスを有効化します(/boot/zipl/active_devices.txt
を参照)。その後、GRUB 2ユーザ領域プログラムが開始され/boot/grub2/grub.cfg
を読み込みます。- 第2段階:
/boot/grub2/grub.cfg
で指定されたカーネルとinitrdは、kexec
を介して起動されます。オンディスクシステムを起動するために必要な/boot/zipl/active_devices.txt
に一覧表示されているデバイスが有効になります。リストの他のデバイスはホワイトリストに設定されますが、それ以外は無視されます。ルートファイルシステムがマウントされ、ブートプロシージャが他のアーキテクチャと同様に進みます。
4.3 セキュアブート #
IBM Zシステムでセキュアブート機能を動作させるには、次の条件を満たす必要があります。
マシンは、z15 T01、z15 T02、LinuxONE III LT1、LinuxONE III LT2以降のモデルである必要があります。
LPARを使用する必要があります(セキュアブートは、z/VMおよびKVMではサポートされていません)。
LPARでセキュアブートが有効になっている必要があります。
SCSI (FCP)ディスクを使用する必要があります(セキュアブートはDASDでサポートされていません)。
別のマシンに移行する(z13からz15など)場合は、ターゲットマシンのLPARがそのディスク上でシステムのセキュアブート状態になっていることを確認します。
セキュアブート状態の変更は、次の手順に従って実行する必要があります。
YaSTでセキュアブートを有効にし、新しいブートローダを作成します。
システムをシャットダウンします。
LPARの設定を変更します(セキュアブートを有効または無効にします)。
システムをブートします。
secure=1
パラメータで設定されたディスク上のシステムは、ファームウェアが新しいオンディスク形式をサポートしている限り(z15では常に当てはまります)、z15 HMCでブートできます。
4.4 parmfile: システム設定の自動化 #
インストールプロセスは、parmfile
で不可欠なパラメータを指定することで、部分的に自動化することができます。parmfile
には、ネットワーク設定とDASD設定に必要なすべてのデータが含まれています。また、parmfileを使用して、SUSE Linux Enterprise Microのインストールシステムおよびそのシステムで実行しているYaSTインスタンスに接続する方法を設定することもできます。これにより、実際のYaSTインストールへのユーザ操作が削減されます。
4.4.1項 「一般パラメータ」に一覧表示されているパラメータは、インストール用のデフォルト値としてインストールランタイムに渡すことができます。ここで使用しているすべてのIPアドレス、サーバ名、および数値は、あくまでも例にすぎないことに注意してください。これらをインストールシナリオの実際の値に置き換えます。
parmfile内の行数は10に制限されます。各行に複数のパラメータを指定できます。パラメータ名は大文字小文字を区別しません。パラメータはスペースで区切る必要があります。パラメータは任意の順序で指定できます。PARAMETER=value
の文字列は、必ず1行に収めてください。各行の長さは80文字以内にしてください。例:
Hostname=s390zvm01.suse.de HostIP=10.11.134.65
デフォルトでは、マシンにIPv4ネットワークアドレスのみを割り当てることができます。インストール時にIPv6を有効にするには、ブートプロンプトでipv6=1
(IPv4とIPv6を受け入れ)パラメータまたはipv6only=1
(IPv6のみを受け入れ)パラメータのいずれかを指定します。
次のパラメータの一部は必須です。ない場合は、自動プロセスにより指定するように求められます。
4.4.1 一般パラメータ #
AutoYaST=
<URL>Manual=0
AutoYaST
パラメータは、自動インストール用autoinst.xml
制御ファイルの場所を指定します。Manual
パラメータは、他のパラメータをユーザによる肯定応答が引き続き必要なデフォルト値のみにするかどうかを制御します。すべての値を受け入れて、確認のメッセージを表示しないようにする場合は、このパラメータを0
に設定します。AutoYaST
のデフォルトのManual
を0
に設定します。DeviceAutoConfig=<0|1|2>
linuxrc
では、DeviceAutoConfigパラメータは、IBM ZシステムのI/Oデバイス自動設定データの使用を制御します。0
に設定すると、自動設定は無効になります。1
に設定すると、既存の自動設定データが適用されます。2
(デフォルト)に設定すると、自動設定データがある場合にダイアログが表示されます。ユーザはそのデータを適用するかどうかを尋ねられます。詳細については、4.4.4項 「IBM ZシステムでのI/Oデバイスの自動設定」を参照してください。
Info=
<URL>追加のオプションを使用してファイルの場所を指定します。これによって、parmfileの10行制限(およびz/VMでの1行当たり80文字の制限)を克服することができます。Infoファイルの詳細については、Book “AutoYaST Guide”, Chapter 9 “The auto-installation process”, Section 9.3.3 “Combining the
linuxrc
info
file with the AutoYaST control file”を参照してください。通常、InfoファイルにはIBM Z上でネットワークを通じてのみアクセスできるので、このファイルを使用して、ネットワークの設定に必要なオプション(4.4.2項 「ネットワークインタフェースの設定」で説明しているオプション)を指定することはできません。デバッグに関連するオプションなど、他のlinuxrc固有のオプションは、parmfile自体で指定する必要があります。Upgrade=<0|1>
SUSE Linux Enterpriseをアップグレードするには、
Upgrade=1
を指定します。すでにインストールされているSUSE Linux Enterpriseをアップグレードするには、カスタムのparmfileが必要です。このパラメータを指定しないと、インストール時にアップグレードオプションを使用できません
4.4.2 ネットワークインタフェースの設定 #
このセクションで説明する設定は、インストール時に使用されるネットワークインタフェースのみに適用されます。
Hostname=zsystems.example.com
完全修飾ホスト名を入力します。
Domain=example.com
DNSのドメインサーチパス完全修飾ホスト名ではなく短いホスト名を使用できます。
HostIP=192.168.1.2/24
設定するインタフェースのIPアドレスを入力します。
Gateway=192.168.1.3
使用するゲートウェイを指定します。
Nameserver=192.168.1.4
サービスを提供するDNSサーバを指定します。
InstNetDev=osa
設定するインタフェースタイプを入力します。設定できる値は、
osa
、hsi
、ctc
、escon
、およびiucv
です(CTC、ESCON、およびIUCVは正式にはサポートされていません)。インタフェースタイプが、
ctc
、escon
、iucv
の場合は(CTC、ESCON、IUCVは公式にはサポートされなくなりました)、ピアのIPアドレスを次のように入力します。Pointopoint=192.168.55.20
OsaInterface=<lcs|qdio>
osa
ネットワークデバイスの場合は、ホストインタフェース(qdio
またはlcs
)を指定します。Layer2=<0|1>
osa
QDIOイーサネットデバイスとhsi
デバイスで、OSIレイヤ2サポートを有効にするかどうかを指定します(有効にする場合は1
、無効にする場合は0
)。OSAHWAddr=02:00:65:00:01:09
レイヤ2対応
osa
QDIOイーサネットデバイスの場合は、MACアドレスを手動で指定するか、システムのデフォルト設定を使用する場合はOSAHWADDR=
(末尾に空白を記述)を指定します。PortNo=<0|1>
osa
ネットワークデバイスには、ポート番号を指定します(デバイスがこの機能をサポートしている場合)。デフォルト値は「0」です。
それぞれのインタフェースで、次のように特定の設定オプションが必要になります。
インタフェース
ctc
およびescon
(CTCおよびESCONは、公式にはサポートされなくなりました):ReadChannel=0.0.0600 WriteChannel=0.0.0601
ReadChannel
は、使用するREADチャネルを指定します。WriteChannel
は、WRITEチャネルを指定します。ctc
インタフェース(公式にはサポートされなくなりました)の場合は、次のように、このインタフェースに使用する必要があるプロトコルを指定します。CTCProtocol=<0/1/2>
有効なエントリは次のとおりです。
0
OS/390およびz/OS以外の非Linuxピアにも有効な互換モード(デフォルトモード)
1
拡張モード
2
OS/390およびz/OSに使用する互換モード
インタフェース
lcs
を持つネットワークデバイスタイプosa
:ReadChannel=0.0.0124
ReadChannel
は、この設定で使用されるチャネル番号を表します。2番目のポート番号をここから取得するには、ReadChannel
に1を追加します。Portnumber
を使用して、相対ポートを指定します。インタフェース
iucv
:IUCVPeer=PEER
ピアコンピュータの名前を入力します。
OSA-Express Gigabit Ethernet用インタフェース
qdio
を備えたネットワークデバイスタイプosa
:ReadChannel=0.0.0700 WriteChannel=0.0.0701 DataChannel=0.0.0702
ReadChannel
では、READチャネルの番号を入力します。WriteChannel
では、WRITEチャネルの番号を入力します。DataChannel
は、DATAチャネルを指定します。READチャネルに偶数のデバイス番号が設定されていることを確認します。HiperSocketおよびVMゲストLAN用のインタフェース
hsi
:ReadChannel=0.0.0800 WriteChannel=0.0.0801 DataChannel=0.0.0802
ReadChannel
では、READチャネルの適切な番号を入力します。WriteChannel
およびDataChannel
では、WRITEチャネル番号とDATAチャネル番号を入力します。
4.4.3 インストールソースとYaSTインタフェースの指定 #
Install=nfs://server/directory/DVD1/
使用するインストールソースの場所を指定します。使用可能なプロトコルは、
nfs
、smb
(Samba/CIFS)、ftp
、tftp
http
、およびhttps
です。ftp
、tftp
、またはsmb
のURLを指定する場合は、ユーザ名およびパスワードを指定します。匿名ログインまたはゲストログインの資格情報はスキップします。Install=ftp://USER:PASSWORD@SERVER/DIRECTORY/DVD1/ Install=tftp://USER:PASSWORD@SERVER/DIRECTORY/DVD1/
暗号化された接続でインストールを実行する場合、
https
のURLを使用します。証明書を検証できない場合はsslcerts=0
ブートオプションを使用して、証明書のチェックを無効にします。SambaまたはCIFSインストールの場合は、次のようにドメインを指定することもできます。
Install=smb://WORKDOMAIN;USER:PASSWORD@SERVER/DIRECTORY/DVD1/
ssh=1
vnc=1
Display_IP=192.168.42.42
インストール方法は、指定するパラメータによって異なります。
ssh
は、SSHインストールを有効にし、vnc
はインストールマシン上でVNCサーバを起動します。また、Display_IP
を指定すると、インストールシステムによって、指定されたアドレスのXサーバへの接続が試行されます。これらのパラメータの1つのみを設定する必要があります。重要: X認証メカニズムX Window Systemを使用する直接インストールでは、ホスト名に基づく認証メカニズムに依存します。現在のバージョンのSUSE Linux Enterprise Microでは、このメカニズムが無効になっています。SSHまたはVNCを使用してインストールを実行することを推奨します。
YaSTとリモートXサーバの接続を確立するには、リモートコンピュータ上でインストールコンピュータのアドレスを指定して、
xhost
<IP address>
を実行します。VNC
の場合は、次のように、インストールに使用する6~8文字のパスワードを指定します。VNCPassword=<a password>
SSH
の場合は、次のように、インストールに使用する6~8文字のパスワードを指定します。ssh.password=<a password>
4.4.4 IBM ZシステムでのI/Oデバイスの自動設定 #
I/Oデバイスの自動設定は、Linuxで自動的に有効にする必要があるI/OデバイスのIDと設定をユーザが指定できるようにするメカニズムです。この情報は、DPM (Dynamic Partition Manager)モードで実行されているHMCを介してLPARに指定されます。
I/Oデバイスの自動設定機能は、DPMが実行されているシステムで使用できます。DPMは、LinuxONEマシン上でデフォルトで実行されます。IBM Zの場合、この機能を注文する必要があります。
linuxrc
では、DeviceAutoConfigパラメータは、IBM ZシステムのI/Oデバイス自動設定データの使用を制御します。
- DeviceAutoConfig=0
0
に設定すると、自動設定は無効になります。- DeviceAutoConfig=1
1
に設定すると、既存の自動設定データが適用されます。- DeviceAutoConfig=2 (デフォルト)
2
(デフォルト)に設定すると、自動設定データがある場合にダイアログが表示されます。ユーザはそのデータを適用するかどうかを尋ねられます。
デバイスの自動設定がユーザによって無効にされると、カーネルパラメータrd.zdev=no-autoはターゲットシステムのブートオプションに追加されます。
YaSTを使用してI/O自動設定を有効にするには、yast2
system_settings
コマンドを実行して、 セクションに切り替え、 オプションを有効にします。
AutoYaSTプロファイルでI/O自動設定を無効にするには、次のカーネルパラメータをグローバルブートローダオプションのappend
セクションに追加します。例:
<bootloader> <global> <append>rd.zdev=no-auto</append> </global> </bootloader>
AutoYaSTのブートローダオプションの詳細については、Book “AutoYaST Guide”, Chapter 4 “Configuration and installation options”, Section 4.4 “The boot loader”を参照してください。
インストール中に、自動設定のステータスが
画面の セクションに表示されます。4.4.5 parmfileの例 #
parmfileに記述できる文字数は最大で860文字です。目安として、79文字以下の行を最大10行とします。parmfileの読み取りでは、すべての行が間に空白を挟まずに連結されます。したがって、各行の末尾(79番目の文字)はSpaceとする必要があります。
コンソールでエラーメッセージを受け取るには、次のコードを使用します。
linuxrclog=/dev/console
ramdisk_size=131072 root=/dev/ram1 ro init=/linuxrc TERM=dumb instnetdev=osa osainterface=qdio layer2=1 osahwaddr= pointopoint=192.168.0.1 hostip=192.168.0.2 nameserver=192.168.0.3 DeviceAutoConfig=1 install=nfs://192.168.0.4/SLES/SLES-12-Server/s390x/DVD1 autoyast=http://192.168.0.5/autoinst.xml linuxrclog=/dev/console vnc=1 VNCPassword=testing
ramdisk_size=131072 root=/dev/ram1 ro init=/linuxrc TERM=dumb AutoYast=nfs://192.168.1.1/autoinst/s390.xml Hostname=zsystems.example.com HostIP=192.168.1.2 Gateway=192.168.1.3 Nameserver=192.168.1.4 InstNetDev=hsi layer2=0 Netmask=255.255.255.128 Broadcast=192.168.1.255 readchannel=0.0.702c writechannel=0.0.702d datachannel=0.0.702e install=nfs://192.168.1.5/SLES-12-Server/s390x/DVD1/ ssh=1 ssh.password=testing linuxrclog=/dev/console
ro ramdisk_size=50000 MANUAL=0 PORTNO=1 ReadChannel=0.0.b140 WriteChannel=0.0.b141 DataChannel=0.0.b142 cio_ignore=all,!condev,!0.0.b140-0.0.b142,!0.0.e92c,!0.0.5000,!0.0.5040 HostIP= Gateway= Hostname=zsystems.example.com nameserver=192.168.0.1 Install=ftp://user:password@10.0.0.1/s390x/SLES15.0/INST/ usevnc=1 vncpassword=12345 InstNetDev=osa Layer2=1 OSAInterface=qdio ssl_certs=0 osahwaddr= domain=example.com self_update=0 vlanid=201
4.5 vt220ターミナルエミュレータの使用 #
最新のMicroCodeレベルでは、標準のラインモードターミナルのほか、統合されたvt220ターミナルエミュレータ(ASCIIターミナル)を使用できます。vt220ターミナルは/dev/ttysclp0
に接続されます。ラインモードターミナルは/dev/ttysclp_line0
に接続されます。LPARによるインストールでは、デフォルトでvt220ターミナルエミュレータが有効になります。
HMCでText-based UIを起動するには、HMCにログインし、
› › を選択します。LPARのラジオボタンを選択し、 › の順に選択します。
ブート時にカーネルメッセージをシステムコンソールからvt220ターミナルにリダイレクトするには、次のエントリを、/etc/zipl.conf
内のparameters
行に追加します。
console=ttysclp0 console=ttysclp_line0
その結果、parameters
行は次の例のようになります。
parameters = "root=/dev/dasda2 TERM=dumb console=ttysclp0 console=ttysclp_line0"
/etc/zipl.conf
内の変更を保存し、zipl
を実行してシステムを再起動します。
4.6 詳細情報 #
IBM Zに関するさらに詳しい技術ドキュメントを入手するには、IBM Redbooks (https://www.redbooks.ibm.com/Redbooks.nsf/domains/zsystems)またはIBM developerWorks (https://developer.ibm.com/)を参照してください。SUSE Linux Enterprise Micro固有のドキュメントについては、https://developer.ibm.com/technologies/linux/を参照してください。
4.6.1 Linux on IBM Zに関する一般的なドキュメント #
Linux on IBM Zに関する一般情報については、次のドキュメントを参照してください。
Linux on IBM eServer zSeries and S/390: ISP and ASP Solutions (SG24-6299)
これらのドキュメントは、Linuxの現在の状態を反映していない可能性がありますが、説明されているLinux展開の原則は変化していません。
4.6.2 Linux on IBM Zについての技術的問題 #
Linuxカーネルとアプリケーションのトピックに関する技術情報については、次のドキュメントを参照してください。ドキュメントの最新バージョンについては、以下にアクセスしてください(https://developer.ibm.com/technologies/linux/)。
Linux on System z Device Drivers, Features, and Commands
zSeries ELF Application Binary Interface Supplement
Linux on System z Device Drivers, Using the Dump Tools
IBM zEnterprise 196 Technical Guide
IBM zEnterprise EC12 Technical Guide
IBM z13 Technical Guide
IBM z14 Technical Guide
IBM z15 Technical Guide
Linuxアプリケーション開発用のRedbookはhttp://www.redbooks.ibm.comで入手できます。
Linux on IBM eServer zSeries and S/390: Application Development (SG24-6807)
4.6.3 Linux on IBM Zでの詳細設定 #
より詳細なIBM Zのシナリオについては、次のRedbook、Redpaper、およびオンラインリソースを参照してください。
Linux on IBM eServer zSeries and S/390:Large Scale Deployment (SG24-6824)
Linux on IBM eServer zSeries and S/390: Performance Measuring and Tuning (SG24-6926)
Linux with zSeries and ESS: Essentials (SG24-7025)
IBM TotalStorage Enterprise Storage Server Implementing ESS Copy Services with IBM eServer zSeries (SG24-5680)
Linux on IBM zSeries and S/390: High Availability for z/VM and Linux (REDP-0220)
Saved Segments Planning and Administration
Linux on System z documentation for "Development stream"
Introducing IBM Secure Execution for Linux, Securing the guest
パート II 事前に構築されたイメージの展開 #
- 5 事前に構築されたイメージの説明
SLE Microは、事前に構築されたイメージを使用して展開できます。現在、利用可能なイメージには、生のディスクイメージとセルフインストールISOの2種類があります。
- 6 生イメージの展開
SUSE Linux Enterprise Microには、デバイスストレージ(メモリカード、USBメモリ、またはハードディスク)に直接展開できる生イメージが用意されています。イメージを展開できるデバイスタイプのオプションは、特定のハードウェアごとに異なるため、ベンダーのドキュメントのガイダンスに従ってください。
- 7 セルフインストールイメージの展開
この章では、セルフインストールの事前構築済みISOイメージからのSLE Microの展開について説明します。
- 8 Ignitionを使用した設定
この章では、マシンのセットアップに使用されるIgnitionプロビジョニングツールに関する詳細について説明します。ここでは、マシン定義に使用される必要な設定ファイルの提供方法を学習します。
- 9 Combustionによる設定
この章では、Combustionについて説明します。Combustionとは、設定に従って最初のブート時にシステムを設定するために使用するツールです。
- 10 展開後の手順
この章では、SLE Microの登録について説明し、SLE Microで使用可能な拡張機能について説明します。
5 事前に構築されたイメージの説明 #
SLE Microは、事前に構築されたイメージを使用して展開できます。現在、利用可能なイメージには、生のディスクイメージとセルフインストールISOの2種類があります。
SLE Micro生イメージは、AMD64/Intel 64アーキテクチャ、IBM Z ZSeries、およびAArch64向けに提供されます。セルフインストールイメージは現在、AMD64/Intel 64アーキテクチャ用にのみ提供されています。事前に構築されたイメージは、IgnitionまたはCombustionのいずれかを使用して、最初のブート時に設定することを意図しています。ブートローダは最初のブートを検出します。詳細については、5.2項 「最初のブートの検出」を参照してください。各イメージには、5.1項 「デフォルトパーティショニング」で説明されるように、デフォルトでマウントされたサブボリュームがあります。これらのイメージの展開手順については、第6章 「生イメージの展開」を参照してください。
Podmanと一緒にファイアウォールを使用すると、firewalld
サービスを再ロードした後で、Podman関連のファイアウォールルールが失われる可能性があります。したがって、Podmanを使用する場合は、ファイアウォールを無効にしておくことをお勧めします。
SLE MicroはKVMホストサーバとして実行できます。Xenはサポートされていません。ただし、VMホストサーバとして実行するSLE Microにはいくつかの制限があります。詳細については、virtualization limits and supportを参照してください。
5.1 デフォルトパーティショニング #
事前に構築されたイメージは、デフォルトパーティショニングスキームで提供され、IgnitionまたはCombustionのいずれかを使用して最初のブート時に変更できます。システムを再パーティショニングする手順については、8.2項 「config.ign
」または9.2項 「script
環境設定ファイル」を参照してください。
デフォルトパーティショニングスキームに変更を行う場合は、ルートファイルシステムをbtrfsにする必要があります。
各イメージには次のサブボリュームがあります。
/home /root /opt /srv /usr/local /var
イメージには、デフォルトでブートするためのサブボリュームもマウントされています。特定のサブボリュームは、アーキテクチャによって異なります。
/etc
ディレクトリはOverlayFSとしてマウントされ、上位ディレクトリは/var/lib/overlay/1/etc/
にマウントされます。詳細については、Book “Administration Guide”, Chapter 1 “Read-only file system”, Section 1.1 “/etc
on a read-only file system”を参照してください。
デフォルトでマウントされているサブボリュームは、/etc/fstab
のx-initrd.mount
オプションで認識できます。その他のサブボリュームまたはパーティションは、IgnitionまたはCombustionのいずれかによって設定する必要があります。
5.2 最初のブートの検出 #
設定は、最初のブート時にのみ実行されます。最初のブートとその後のブートを区別するために、最初のブートが実行された後にフラグファイル/boot/writable/firstboot_happened
が作成されます。ファイルがファイルシステムに存在しない場合、属性ignition.firstboot
はカーネルコマンドラインに渡されるため、IgnitionとCombustionの両方がトリガーされて(initramfs
で)実行されます。最初のブートの完了後、/boot/writable/firstboot_happened
フラグファイルが作成されます。
設定ファイルが不適切または欠落しているため、設定が正常に行われない場合でも、/boot/writable/firstboot_happened
フラグファイルが作成されます。
最初のブート設定は、カーネルコマンドラインにignition.firstboot
属性を渡すか、/boot/writable/firstboot_happened
フラグファイルを削除することによって、以降のブートで強制的に実行できます。
6 生イメージの展開 #
SUSE Linux Enterprise Microには、デバイスストレージ(メモリカード、USBメモリ、またはハードディスク)に直接展開できる生イメージが用意されています。イメージを展開できるデバイスタイプのオプションは、特定のハードウェアごとに異なるため、ベンダーのドキュメントのガイダンスに従ってください。
セットアップを準備するには、2つの個別のデバイスが必要になる場合があります。1つはSLE Microが実行する生のディスクイメージ用で、もう1つはUSBディスクなど設定メディアとして機能するものです。基本設定は、設定メディアがなくても実行できます。より複雑な設定を行うには、設定メディアを準備する必要があります。
次の手順は、システムに生イメージを展開する手順を示します。
手順6.2「生のディスクイメージの準備」の説明に従って、生イメージを準備します。
必要に応じて、手順6.3「設定デバイスの準備」の説明に従って、設定メディアを準備します。
設定メディアを使用しなかった場合は、6.3項 「最小限の初期設定」の説明に従って続行します。
最初のブート後、
transactional-update
コマンドを使用してSLE Microインスタンスを登録できます。詳細については、10.1項 「登録」を参照してください。SLE Microでは拡張機能を利用できます。これらの拡張機能の一部を使用するには、インストール済みシステムからサブスクリプションに拡張機能を追加する必要があります。詳細については、10.2項 「拡張機能の管理」を参照してください。
6.1 生イメージの準備 #
生イメージを準備するには、次の手順に従います。
生イメージをダウンロードし、解凍します。
>
xz -d DOWNLOADED_IMAGE.raw.xzSLE Microを実行するデバイスに、解凍したイメージをコピーします。
>
dd if=DOWNLOADED_IMAGE.raw of=/dev/sdX
6.2 設定デバイスの準備 #
次の手順では、設定デバイス(通常はUSBメモリ)を準備する方法を説明します。この設定デバイスは、初回の起動時にSLE Microを実行しているホストに接続する必要があることに注意してください。
SLE Microでサポートされている任意のファイルシステム(Ext3、Ext4など)にディスクをフォーマットします。
>
sudo mkfs.ext4 /dev/sdYデバイスのラベルを、
ignition
(Ignitionまたはのいずれかが使用されている場合)またはcombustion
combustion (Combustionのみが使用されている場合)に設定します。Ext4ファイルシステムの場合は、次のように設定します。>
sudo e2label /dev/sdY ignition仮想化システムまたはハードウェアがサポートしている任意のタイプの設定ストレージメディアを使用できます(ISOイメージ、USBメモリなど)。
デバイスをマウントします。
>
sudo mount /dev/sdY /mnt使用する設定ツールに応じて、第8章 「Ignitionを使用した設定」または第9章 「Combustionによる設定」に示すようにディレクトリ構造を作成します。
>
sudo mkdir -p /mnt/ignition/あるいは、
>
sudo mkdir -p /mnt/combustion/初めて起動する前に、IgnitionまたはCombustionで使用される設定のすべての要素を準備します。システムにログインするには、
root
用のパスワードを指定するか、パスワードのない認証を設定する必要があります。そうしない場合、初回の起動後にシステムにアクセスできなくなります。
6.3 最小限の初期設定 #
生イメージを初めて起動するときに設定デバイスを接続しない場合、「jeos-firstboot」を使用すると、以下のようにシステムの最小限の設定を実行できます。
7 セルフインストールイメージの展開 #
この章では、セルフインストールの事前構築済みISOイメージからのSLE Microの展開について説明します。
SUSE Linux Enterprise Microは、SLE Microをマシン(仮想マシンまたはベアメタル)に展開し、初回の起動時にシステムを設定できるようにするセルフインストールISOイメージを提供します。
セットアップを準備するには、次のものが必要です。
SLE Microが実行されるディスク(物理または仮想)
セルフインストールISOを備えた起動可能なデバイス(USBディスクなど)
(オプション)設定メディアとして機能するデバイス。設定デバイスを準備するには、手順7.2「設定デバイスの準備」の手順に従ってください
インストール中に設定デバイスを接続しない場合は、初回起動時に「JeOSjeos-firstboot」が開始されます。このツールを使用すると、SLE Microの最小限の設定を実行できます。手順については、7.2項 「最小限の初期設定」を参照してください。より複雑な設定が必要な場合は、設定メディアが必要です。
SLE Microをインストールするには、手順7.1「SLE Microのインストール」の説明に従って進めます。
設定デバイスは、初回の起動時に設定プロセス全体を通して接続する必要があることに注意してください。インストールプロセスを開始する前に、デバイスを接続することをお勧めします。ただし、ファームウェアが起動時に2つ以上のUSBディスクを接続することをサポートしていない場合は、設定プロセスを開始する前にUSBデバイスを交換できます。
自己インストールISOの展開中に、システムのイメージが選択したディスクにコピーされます。したがって、EFIブートエントリは作成されません(システムがインストーラを使用して展開されている場合と同様)。SLE Microブートローダを選択して、EFIシェルを使用してシステムを手動で起動する必要がある場合があります。最初の起動後、efibootmgr
を使用してブートエントリを作成できます。efibootmgr
は、デフォルトでは展開されたイメージで使用できます。
必要に応じて、手順7.2「設定デバイスの準備」の説明に従って、設定メディアを準備します。
セルフインストールISOを接続してマシンを起動します。
SLE Microをインストールするディスクを選択し、ディスク上のデータを削除することを確認します。次にその後、SLE Microイメージがディスクにコピーされます。
kexec
を使用すると、システムが再起動し、設定プロセスの準備が整います。jeos-firstbootを開始します。
を選択して、設定プロセスを開始します。SLE Microを設定デバイスに記載されている指示に従って設定するか、(オプション)7.2項 「最小限の初期設定」の説明に従って、jeos-firstbootを使用してシステムを設定します。
最初のブート後、
transactional-update
コマンドを使用してSLE Microインスタンスを登録できます。詳細については、10.1項 「登録」を参照してください。SLE Microでは拡張機能を利用できます。これらの拡張機能の一部を使用するには、インストール済みシステムからサブスクリプションに拡張機能を追加する必要があります。詳細については、10.2項 「拡張機能の管理」を参照してください。
7.1 設定デバイスの準備 #
次の手順では、設定デバイスを準備する方法について説明します。
SLE Microでサポートされている任意のファイルシステム(Ext3、Ext4など)にディスクをフォーマットします。
>
sudo mkfs.ext4 /dev/sdYデバイスのラベルを、
ignition
(Ignitionまたはのいずれかが使用されている場合)またはcombustion
combustion (Combustionのみが使用されている場合)に設定します。Ext4ファイルシステムの場合は、次のように設定します。>
sudo e2label /dev/sdY ignition仮想化システムまたはハードウェアがサポートしている任意のタイプの設定ストレージメディアを使用できます(ISOイメージ、USBメモリなど)。
デバイスをマウントします。
>
sudo mount /dev/sdY /mnt使用する設定ツールに応じて、第8章 「Ignitionを使用した設定」または第9章 「Combustionによる設定」に示すようにディレクトリ構造を作成します。
>
sudo mkdir -p /mnt/ignition/あるいは、
>
sudo mkdir -p /mnt/combustion/初めて起動する前に、IgnitionまたはCombustionで使用される設定のすべての要素を準備します。システムにログインするには、
root
用のパスワードを指定するか、パスワードのない認証を設定する必要があります。そうしない場合、初回の起動後にシステムにアクセスできなくなります。
7.2 最小限の初期設定 #
設定メディアを接続しない場合は、「jeos-firstboot」が起動し、以下のようにシステムの最小限の設定を実行できます。
8 Ignitionを使用した設定 #
この章では、マシンのセットアップに使用されるIgnitionプロビジョニングツールに関する詳細について説明します。ここでは、マシン定義に使用される必要な設定ファイルの提供方法を学習します。
8.1 Ignitionについて #
Ignitionは、最初のブート時に仕様に従ってシステムを設定できるプロビジョニングツールです。システムが最初にブートすると、Ignitionはinitramfs
の一部としてロードされ、(USBフラッシュディスク上、またはURLを指定できる)特定のディレクトリ内の設定ファイルを検索します。すべての変更は、カーネルが一時ファイルシステムから実際のルートファイルシステムに切り替わる前に(switch_root
コマンドが発行される前に)実行されます。
Ignitionは、JSON形式の設定ファイルを使用します。ファイルはconfig.ign
と呼ばれます。
8.2 config.ign
#
config.ign
はIgnitionを規定するJSON設定ファイルです。JSONで手動でファイルを作成するか、Fuel Ignitionツール(https://opensuse.github.io/fuel-ignition/)を使用して規定の基本セットを生成できます。Fuel Ignitionツールはオプションの完全なセットを提供していないため、ファイルを手動で変更する必要がある場合があることに注意してください。
または、人間が理解できるようにするため、YAMLでconfig.fcc
ファイルを作成し、そのファイルをJSONにトランスパイルすることもできます。詳細については、8.2.2項 「YAML fcc
ファイルをJSON ign
に変換する」を参照してください。
ベアメタルにインストールする場合、設定ファイルconfig.ign
は、ignition
というラベルの付いた設定メディアのignition
サブディレクトリに存在する必要があります。ディレクトリ構造は次のようになる必要があります。
<root directory> └── ignition └── config.ign
QEMU/KVM仮想マシンを設定する場合は、qemu
コマンドの属性としてconfig.ign
へのパスを提供します。例:
-fw_cfg name=opt/com.coreos/config,file=PATH_TO_config.ign
config.ign
には、オブジェクト、文字列、整数、ブール値、オブジェクトのリストなど、さまざまなデータ型が含まれています。仕様の全詳細については、Ignition
specification v3.3.0を参照してください。
version
属性は必須です。SLE Microの場合、その値は3.3.0
またはそれ以前のバージョンに設定する必要があります。そのように設定しない場合、Ignitionは失敗します。
ルートとしてシステムにログインする場合は、少なくともroot
のパスワードを含める必要があります。ただし、SSHキーを使用してアクセスを確立することをお勧めします。パスワードを設定する場合は、必ずセキュアなパスワードを使用してください。ランダムに生成されたパスワードを使用する場合は、少なくとも10文字を使用してください。パスワードを手動で作成する場合は、10文字以上を使用し、大文字と小文字、および数字を組み合わせます。
8.2.1 設定例 #
このセクションでは、JSONおよびYAML形式のIgnition設定の一般的な例をいくつか示します。YAML形式で設定を作成する場合は、8.2.2項 「YAML fcc
ファイルをJSON ign
に変換する」で説明されているように、設定をJSONにトランスパイルする必要があります。
default mounted directoriesの外部でファイルを作成する場合は、filesystem
属性を使用してディレクトリを定義する必要があることに注意してください。
version
属性は必須です
バージョン仕様をconfig.ign
(バージョン3.3.0以前)にそれぞれ含めます。config.fcc
(バージョン1.4.0以前)。
8.2.1.1 ストレージの設定 #
storage
属性は、パーティションの設定、RAID、ファイルシステムの定義、ファイルの作成などに使用されます。パーティションを定義するには、disks
属性を使用します。filesystem
属性は、パーティションのフォーマット、特定パーティションのマウントポイントの定義に使用されます。files
属性は、ファイルシステムのファイルの作成に使用できます。先に述べた属性のそれぞれについて、次のセクションで説明します。
8.2.1.1.1 disks
属性 #
disks
属性は、これらのデバイス上でパーティションを定義できるデバイスのリストです。disks
属性には、少なくとも1つのdevice
属性が含まれている必要があります。その他の属性はオプションです。次の例では、単一の仮想デバイスを使用し、ディスクを4つのパーティションに分けます。
{ "variant": "fcos", "version": "3.3.0", "storage": { "disks": [ { "device": "/dev/vda", "wipe_table": true, "partitions": [ { "label": "root", "number": 1, "type_guid": "4F68BCE3-E8CD-4DB1-96E7-FBCAF984B709" }, { "label": "boot", "number": 2, "type_guid": "BC13C2FF-59E6-4262-A352-B275FD6F7172" }, { "label": "swap", "number": 3, "type_guid": "0657FD6D-A4AB-43C4-84E5-0933C84B4F4F" }, { "label": "home", "number": 4, "type_guid": "933AC7E1-2EB4-4F13-B844-0E14E2AEF915" } ] } ] } }
YAML形式の同じ例:
variant: fcos version: 1.4.0 storage: disks: - device: "/dev/vda" wipeTable: true partitions: - label: root number: 1 typeGuid: 4F68BCE3-E8CD-4DB1-96E7-FBCAF984B709 - label: boot number: 2 typeGuid: BC13C2FF-59E6-4262-A352-B275FD6F7172 - label: swap number: 3 typeGuid: 0657FD6D-A4AB-43C4-84E5-0933C84B4F4F - label: home number: 4 typeGuid: 933AC7E1-2EB4-4F13-B844-0E14E2AEF915
8.2.1.1.2 raid
属性 #
raid
は、RAIDアレイのリストです。raid
の次の属性は必須です:
- level
特定のRAIDアレイのレベル(linear、raid0、raid1、raid2、raid3、raid4、raid5、raid6)
- devices
絶対パスで参照されるアレイ内のデバイスのリスト
- name
mdデバイスに使用される名前
{ "variant": "fcos", "version": "3.3.0", "storage": { "raid": [ { "name": "system", "level": "raid1", "devices": [ "/dev/sda", "/dev/sdb" ] } ] } }
YAML形式の同じ例:
variant: fcos version: 1.4.0 storage: - raid: data name: system level: raid1 devices: "/dev/sda", "/dev/sdb"
8.2.1.1.3 filesystem
属性 #
filesystem
には次の属性が含まれている必要があります:
- device
デバイスへの絶対パス。通常、物理ディスクの場合は
/dev/sda
- format
ファイルシステム形式(btrfs、ext4、xfs、vfatまたはswap)
注記SLE Microの場合、
root
ファイルシステムはbtrfsにフォーマットされる必要があります。
次の例は、filesystem
属性の使用方法を示しています。/opt
ディレクトリは、/dev/sda1
パーティションにマウントされ、btrfsにフォーマットされます。パーティションテーブルは消去されません。
{ "variant": "fcos", "version": "3.3.0", "storage": { "filesystems": [ { "path": "/opt", "device": "/dev/sda1", "format": "btrfs", "wipe_filesystem": false } ] } }
YAML形式の同じ例:
variant: fcos version: 1.4.0 storage: filesystems: - path: /opt device: "/dev/sda1" format: btrfs wipe_filesystem: false
8.2.1.1.4 files
属性 #
files
属性を使用して、マシンに任意のファイルを作成できます。default mounted directoriesの外部でファイルを作成する場合は、filesystem
属性を使用してディレクトリを定義する必要があることに注意してください。
次の例では、ホスト名がfiles
属性を使用して作成されます。ファイル/etc/hostname
はslemicro-1ホスト名で作成されます。
JSONでは10進数のシステムを使用しているため、mode
値はアクセス権の10進数表記です。8進数表記を使用するには、この場合はYAMLを使用します。
{ "variant": "fcos", "version": "3.3.0", "storage": { "files": [ { "path": "/etc/hostname", "mode": 420, "overwrite": true, "contents": { "inline": "slemicro-1" } } ] } }
YAMLの同じ例:
variant: fcos version: 1.4.0 storage: files: - path: /etc/hostname mode: 0644 overwrite: true contents: inline: "slemicro-1"
8.2.1.1.5 directories
属性 #
directories
属性は、ファイルシステムに作成されるディレクトリのリストです。directories
属性には、少なくとも1つのpath
属性が含まれている必要があります。
{ "variant": "fcos", "version": "3.3.0", "storage": { "directories": [ { "path": "/mnt/backup", "user": { "name": "tux" } } ] } }
YAMLの同じ例:
variant: fcos version: 1.4.0 storage: directories: - path: /mnt/backup user: - name: tux
8.2.1.2 ユーザ管理 #
passwd
属性は、ユーザを追加するために使用されます。システムにログインする場合は、root
の作成、root
パスワードの設定、および/またはSSHキーのIgnition設定への追加を行います。たとえば、openssl
コマンドを使用して、root
パスワードをハッシュする必要があります。
openssl passwd -6
コマンドは、選択するパスワードのハッシュを作成します。このハッシュをpassword_hash
属性の値として使用します。
variant: fcos version: 1.0.0 passwd: users: - name: root password_hash: "$6$PfKm6Fv5WbqOvZ0C$g4kByYM.D2B5GCsgluuqDNL87oeXiHqctr6INNNmF75WPGgkLn9O9uVx4iEe3UdbbhaHbTJ1vpZymKWuDIrWI1" ssh_authorized_keys: - ssh-rsa long...key user@host
users
属性には、少なくとも1つのname
属性が含まれている必要があります。ssh_authorized_keys
は、ユーザのsshキーのリストです。
root
以外の他のユーザの作成
root
以外の他のユーザを作成する場合は、ユーザの/home
ディレクトリを定義する必要があります。これらのディレクトリは(通常/home/USER_NAME
)デフォルトではマウントされないためです。したがって、storage
/filesystem
属性を使用してこれらのディレクトリを宣言します。たとえば、tuxの場合、この例は次のようになります。
{ "ignition": { "version": "3.2.0" }, "passwd": { "users": [ { "name": "tux", "passwordHash": "$2a$10$US9XSqLOqMmGq/OnhlVjPOwuZREh2.iEtlwD5LI7DKgV24NJU.wO6" } ] }, "storage": { "filesystems": [ { "device": "/dev/disk/by-label/ROOT", "format": "btrfs", "mountOptions": [ "subvol=/@/home" ], "path": "/home", "wipeFilesystem": false } ] } }
YAMLの同じ例:
version: 1.2.0 passwd: users: - name: tux passwordHash: $2a$10$US9XSqLOqMmGq/OnhlVjPOwuZREh2.iEtlwD5LI7DKgV24NJU.wO6 storage: filesystems: - device: /dev/disk/by-label/ROOT format: btrfs mountOptions: - subvol=/@/home path: /home wipeFilesystem: false
8.2.1.3 systemd
サービスの有効化 #
systemd
属性で指定して、systemd
サービスを有効にできます。name
は、有効にするサービスの正確な名前(サフィックスを含む)である必要があります。
variant: fcos version: 1.0.0 systemd: units: - name: sshd.service enabled: true
{ "ignition": { "version": "3.0.0" }, "systemd": { "units": [ { "enabled": true, "name": "sshd.service" } ] } }
YAMLの同じ例:
variant: fcos version: 1.0.0 systemd: units: - name: sshd.service enabled: true
8.2.2 YAML fcc
ファイルをJSON ign
に変換する #
Ignition設定を人間が理解できるようにするため、2段階設定を使用することができます。最初に、YAMLの設定をfcc
ファイルとして準備し、この設定をJSONにトランスパイルします。トランスパイルは、butane
ツールによって実行できます。
トランスパイル中に、butane
はYAMLファイルの構文も検証して、構造内の潜在的なエラーをキャッチします。butane
ツールの最新バージョンの場合は、次のリポジトリを追加します:
>
sudo
zypper ar -f \
https://download.opensuse.org/repositories/devel:/kubic:/ignition/DISTRIBUTION/ \
devel_kubic_ignition
ここで、DISTRIBUTIONは、次のいずれかです(ディストリビューションによって異なります):
openSUSE_Tumbleweed
openSUSE_Leap_$release_number
15.a
これで、butane
ツールをインストールできるようになりました。
>
sudo
zypper in butane
次のコマンドを実行して、butane
を呼び出すことができます。
>
butane -p -o config.ign config.fcc
各要素の説明
config.fcc
は、YAML設定ファイルへのパスですconfig.ign
は、出力JSON設定ファイルへのパスです-p
コマンドオプションを使用すると、出力ファイルに改行が追加されるため、読みやすくなります。
9 Combustionによる設定 #
この章では、Combustionについて説明します。Combustionとは、設定に従って最初のブート時にシステムを設定するために使用するツールです。
9.1 Combustionについて #
Combustionは、最初のブート時にシステムを設定できるdracutモジュールです。Combustionはscript
と呼ばれる提供されるファイルを読み込み、その中でコマンドを実行して、ファイルシステムへの変更を行います。Combustionを使用して、デフォルトパーティションの変更、ユーザのパスワードの設定、ファイルの作成、パッケージのインストールなどを実行できます。
Combustion dracutモジュールは、ignition.firstboot
引数がカーネルコマンドラインに渡された後に呼び出されます。その後、Combustionはscript
から設定を読み込みます。ネットワークフラグがscript
で見つかった場合、Combustionはネットワークを設定しようとします。/sysroot
がマウントされると、Combustionは/etc/fstab
にあるすべてのマウントポイントを有効にしようとし、transactional-update
を呼び出して、他の変更(root
パスワードの設定やパッケージのインストールなど)を適用します。
Combustionを使用する場合は、設定デバイスにcombustion
という名前のラベルを付け、その設定メディアで固有のディレクトリ構造を作成して、script
という名前の設定ファイルを含める必要があります。設定メディアのルートディレクトリに、combustion
というディレクトリを作成し、script
を他のファイル(SSHキー、設定ファイルなど)とともにこのディレクトリに配置します。ディレクトリ構造は次のようになります。
<root directory> └── combustion └── script └── other files
Combustionを使用して、QEMU/KVM仮想マシンを設定できます。この場合、qemu
コマンドのfw_cfg
パラメータを使用してscript
ファイルの場所を渡します。
-fw_cfg name=opt/org.opensuse.combustion/script,file=/var/combustion-script
Combustionは、Ignitionとともに使用することができます。Ignitionとともに使用する場合は、設定メディアのignition
にラベルを付け、以下に示すように、ignition
ディレクトリ構造にconfig.ign
を含むディレクトリを含めます。
<root directory> └── combustion └── script └── other files └── ignition └── config.ign
このシナリオでは、IgnitionはCombustionの前に実行されます。
9.2 script
環境設定ファイル #
script
環境設定ファイルは、transactional-updateシェルでシステム上で実行される一連のコマンドです。このセクションでは、Combustionを使用して、さまざまな設定タスクを実行する例を示します。
script
ファイルはbashによって解釈されるため、必ず最初の行で、インタープリタ宣言を使用してファイルを開始してください。
#!/bin/bash
システムにログインする場合は、少なくともroot
パスワードを含めてください。ただし、SSHキーを使用した認証を確立することをお勧めします。root
パスワードを使用する必要がある場合は、セキュアなパスワードを設定してください。ランダムに生成されたパスワードを使用する場合は、少なくとも10文字を使用してください。パスワードを手動で作成する場合は、10文字以上を使用し、大文字と小文字、および数字を組み合わせます。
9.2.1 ネットワーク設定 #
最初のブート時にネットワーク接続を設定して使用するには、script
に次のステートメントを追加します。
# combustion: network
このステートメントを使用すると、rd.neednet=1
引数がdracutに渡されます。このステートメントを使用しない場合、システムはネットワーク接続なしで設定されます。
9.2.2 パーティショニング #
SLE Micro生イメージは、5.1項 「デフォルトパーティショニング」で説明されるように、デフォルトのパーティショニングスキームで提供されます。異なるパーティショニングを使用することもできます。次の一連のスニペット例では、/home
を別のパーティションに移動します。
次のスクリプトは、スナップショットに含まれていない変更を実行します。スクリプトが失敗し、スナップショットが破棄された場合、一部の変更は表示されたままとなり元に戻すことができません(/dev/vdb
デバイスへの変更と同様)。
次のスニペットは、/dev/vdb
デバイス上で単一パーティションを持つGPTを作成します。
sfdisk /dev/vdb <<EOF label: gpt type=linux EOF partition=/dev/vdb1
パーティションはBTRFSにフォーマットされます。
wipefs --all ${partition} mkfs.btrfs ${partition}
次のスニペットによって、/home
の可能なコンテンツが新しい/home
フォルダの場所に移動されます。
mount /home mount ${partition} /mnt rsync -aAXP /home/ /mnt/ umount /home /mnt
次のスニペットは、/etc/fstab
の古いエントリを削除して、新しいエントリを作成します。
awk -i inplace '$2 != "/home"' /etc/fstab echo "$(blkid -o export ${partition} | grep ^UUID=) /home btrfs defaults 0 0" >>/etc/fstab
9.2.3 root
のパスワードの設定 #
root
パスワードを設定する前に、openssl passwd -6
などを使用して、パスワードのハッシュを生成します。パスワードを設定するには、script
に以下を追加します:
echo 'root:$5$.wn2BZHlEJ5R3B1C$TAHEchlU.h2tvfOpOki54NaHpGYKwdNhjaBuSpDotD7' | chpasswd -e
9.2.4 SSHキーの追加 #
次のスニペットは、root
のSSHキーを格納するディレクトリを作成し、設定デバイスにあるSSH公開鍵をauthorized_keys
ファイルにコピーします。
mkdir -pm700 /root/.ssh/ cat id_rsa_new.pub >> /root/.ssh/authorized_keys
9.2.5 サービスの有効化 #
SSHサービスなど、一部のサービスを有効化する必要がある場合があります。SSHサービスを有効化するには、次の行をscript
に追加します。
systemctl enable sshd.service
9.2.6 パッケージのインストール #
一部のパッケージには追加のサブスクリプションが必要になる場合があるため、あらかじめシステムを登録する必要がある場合があります。また、追加のパッケージをインストールするには、利用可能なネットワーク接続が必要になる場合もあります。
最初のブート設定時に、システムに追加パッケージをインストールできます。たとえば、以下を追加して、vim
エディタをインストールできます。
zypper --non-interactive install vim-small
設定が完了して、設定されたシステムでブートした後では、zypper
を使用できないことに注意してください。後で変更を実行するには、transactional-update
コマンドを使用して、変更されたスナップショットを作成する必要があります。詳細については、Book “Administration Guide”, Chapter 3 “Administration using transactional updates”を参照してください。
10 展開後の手順 #
この章では、SLE Microの登録について説明し、SLE Microで使用可能な拡張機能について説明します。
10.1 登録 #
システムの登録は、transactional-update register
コマンドを使用してコマンドラインから実行できます。このセクションの説明対象以外の情報については、SUSEConnect --help
でのインラインドキュメントを参照してください。
SUSE Customer Centerで、SUSE Linux Enterprise Microを登録するには、次のように
transactional-update register
を実行します。#
transactional-update register -r REGISTRATION_CODE -e EMAIL_ADDRESSローカル登録サーバで登録するには、さらに次のようにサーバへのURLも入力します。
#
transactional-update register -r REGISTRATION_CODE -e EMAIL_ADDRESS \ --url "https://suse_register.example.com/"REGISTRATION_CODEは、SUSE Linux Enterprise Microのコピーで受け取った登録コードで置き換えます。EMAIL_ADDRESSは、各自または各自の組織が登録の管理に使用しているSUSEアカウントに関連付けられたEメールアドレスで置き換えます。
システムを再起動して、最新のスナップショットに切り替えます。
これで、SUSE Linux Enterprise Microが登録されました。
10.2 拡張機能の管理 #
SLE Microは、次の拡張機能をサポートしています。
SUSE Linux Enterprise Live Patching
拡張機能は、x86 (リアルタイムカーネルを除く)およびIBM Zアーキテクチャでのみ利用できます。拡張機能には、追加のサブスクリプションが必要になる場合があることに注意してください。
Package Hub
コミュニティが管理するパッケージへのアクセスを提供する無料のモジュール。Package Hub内のパッケージは、SUSE Linux Enterprise Serverでの使用がSUSEによって承認されているため、パッケージをSLE Microにインストールできない場合があります。
拡張機能のアクティブ化または非アクティブ化は、transactional-update
コマンドとして実行され、新しいスナップショットが作成されるため、システムを再起動して新しいスナップショットを起動し、変更を適用する必要があります。
10.2.1 拡張機能のアクティブ化 #
拡張機能をアクティブ化するには、次の手順を実行します。
次のコマンドを実行して、使用可能な拡張機能を一覧表示します。
#
transactional-update --quiet register -list-extensions出力には、
SUSE Linux Enterprise Live Patching
のような拡張機能をアクティブ化するコマンドが表示されます。#
transactional-update register -p sle-module-live-patching/15.4/x86_64 \ -r registration code
SUSE Linux Enterprise Live Patching
拡張機能をアクティブ化した場合は、次の説明に従って追加の手順を実行する必要があります。:
SUSE Linux Enterprise Live Patching
のアクティベーションの完了 #/etc/zypp/zypp.conf
ファイルでlibzypp
を次のように設定します。multiversion = provides:multiversion(kernel)
これは、システムにパッチを適用している間、現在のカーネルを実行し続けるためです。これを設定しないと、カーネル更新の適用中に依存関係の競合が発生する可能性があります。
multiversion.kernels = latest
ライブパッチの適用後、新しいスナップショットでカーネルのクリーンアップが実行されます。設定されていない場合、スナップショットは以前のカーネルを保持し、以前のカーネルでもカーネルの更新を実行します。
さらに、
/etc/sysconfig/livepatching
ファイルでLIVEPATCH_KERNEL='always'
を設定します。注記:kernel-default-livepatch
とカーネルの一致するバージョンカーネルアップグレード後もライブパッチが確実にインストールされるようにするには、一致するバージョンの
kernel-default-livepatch
パッケージをインストールします。次に、次のコマンドを実行して拡張機能をインストールします。
#
transactional-update pkg install kernel-default-livepatchシステムを再起動して、新しいスナップショットに切り替えます。
10.2.2 拡張機能の非アクティブ化 #
拡張機能を非アクティブ化するには、次のコマンドを実行します。
#
transactional-update register -d \
-p EXTENSION_NAME
たとえば、SUSE Linux Enterprise Live Patching
拡張機能の場合、コマンドは次のようになります。
#
transactional-update register -d \
-p sle-module-live-patching/15.4/x86_64
パート III 手動インストール #
- 11 ブートパラメータ
SUSE Linux Enterprise Microでは、ブート時に複数のパラメータを設定できます。これらのパラメータを使用して、インストールデータの入手元を選択したり、ネットワーク環境設定を設定したりすることができます。
- 12 インストール手順
この章では、SUSE Linux Enterprise Micro用のデータをターゲットデバイスにコピーするための手順について説明します。この手順では、新たにインストールしたシステム用にいくつかの基本設定パラメータを設定します。グラフィカルユーザインタフェースでは、順を追ってインストール処理を行えるようになっています。テキストモードのインストールの手順は同じですが、外観が異なります。非対話型の自動インストールを実行する方法については、Book “AutoYaST Guide”を参照してください。
- 13 リモートインストール
SUSE® Linux Enterprise Microのインストールは、すべてネットワーク経由で実行することができます。この章では、ネットワーク経由でブート、インストール、およびインストール制御するために必要な環境について説明します。
- 14 トラブルシューティング
このセクションでは、一般的なインストールの問題をいくつか取り上げ、考えられる解決方法について説明します。
11 ブートパラメータ #
SUSE Linux Enterprise Microでは、ブート時に複数のパラメータを設定できます。これらのパラメータを使用して、インストールデータの入手元を選択したり、ネットワーク環境設定を設定したりすることができます。
適切なブートパラメータのセットを使えば、インストールの手順を容易にすることができます。多くのパラメータは、後ほどlinuxrcルーチンを使って設定することもできますが、ブートパラメータを使用するほうが簡単です。いくつかの自動セットアップでは、ブートパラメータをinitrd
またはinfo
ファイルで設定することもできます。
インストール時のシステムの起動方法は、アーキテクチャによって異なります。たとえば、システムがPC (AMD64/Intel 64)であるかメインフレームであるかによって、システムの起動形態が異なります。KVMまたはXenハイパーバイザ上のVMゲストとしてSUSE Linux Enterprise Microをインストールする場合は、AMD64/Intel 64アーキテクチャ向けの指示に従います。
「ブートパラメータ」および「ブートオプション」という用語は、同義語として使用されることが多いですが、このドキュメントでは、ほとんどの場合、「ブートパラメータ」を使用します。
11.1 デフォルトのブートパラメータを使う #
一般に、
を選択すると、インストールブートプロセスが開始します。問題が発生した場合は、第14章 「トラブルシューティング」を参照してください。
または を使用します。インストールプロセスでのトラブルシューティングについての詳細は、画面の下部にあるメニューバーには、セットアップで必要になる、いくつかの高度な機能が用意されています。ファンクションキー(F1 ... F12)を使えば、これらのパラメータの構文の詳細を知らなくても、インストールルーチンに渡す付加オプションを指定できます(第11章 「ブートパラメータ」を参照)。使用可能な機能キーの詳細については、11.2.1項 「従来のBIOSでのマシン上のブート画面」を参照してください。
11.2 PC (AMD64/Intel 64/Arm AArch64) #
このセクションでは、AMD64、Intel 64、ARM AArch64のブートパラメータを変更する方法について説明します。
11.2.1 従来のBIOSでのマシン上のブート画面 #
ブート画面には、インストール手順の複数のオプションが表示されます。Enterを押します。関連するオプションは次のとおりです。
は、インストール済みシステムを起動し、デフォルトで選択されています。矢印キーで他のオプションの1つを選択し、通常のインストールモード。最新のハードウェア機能のすべてが有効になります。インストールが失敗した場合は、F5で問題の原因となっている可能性のある機能を無効にするブートパラメータについて参照してください。
- ›
すでにインストールされているLinuxシステムを起動します。システムを起動するパーティションを求められます。
- ›
このオプションは、ダウンロードしたISOから作成したメディアからインストールする場合のみ使用できます。その場合、インストールメディアの整合性をチェックすることをお勧めします。このオプションを選択すると、インストールシステムの起動後、自動的にメディアがチェックされます。チェックが成功した場合は、通常のインストールルーチンが開始されます。メディアの破損が検出された場合は、インストールルーチンが中止されます。破損したメディアを交換し、インストール作業をやり直します。
- ›
読み取りと書き込みサイクルを繰り返して、システムのRAMをテストします。リブートしてテストを終了します。詳細については、14.4項 「ブートできない」を参照してください。
画面下部に示されたファンクションキーを使用して、言語、画面解像度、インストールソースを変更したり、ハードウェアベンダからのドライバを追加します。
- F1
ブート画面のアクティブ要素の文脈依存型ヘルプを表示します。ナビゲートには矢印キー、リンクのアクセスにはEnter、ヘルプ画面の終了にはEscを使用します。
- F2
インストールシステムの表示言語および対応のキーボードレイアウトを選択します。デフォルト言語は、英語(米国)が選択されています。
- F3
インストールに使用するグラフィカルディスプレイモードを選択します。「カーネルモード設定」)を使用してビデオ解像度が自動的に決まります。この設定が機能しないシステムでは、 を選択し、さらに必要に応じて、ビデオ解像度の指定を求めるブートコマンドラインで
では、KMS (vga=ask
を指定します。GUIでのインストールで問題が発生する場合は を選択します。- F4
通常、インストールはデバイスに挿入されたメディアから実行されます。ここで、FTPサーバやNFSサーバなどの他のソースを選択するか、プロキシサーバを設定します。
- F5
通常のインストールで問題が発生した場合は、このメニューで、問題の原因として考えられるいくつかの機能を無効にできます。お使いのハードウェアでACPI(advanced configuration and power interface)がサポートされていない場合は、
選択してACPIサポートなしでインストールを実行します。 を選択すると、一部のハードウェアで問題の原因となる可能性のあるAPIC (Advanced Programmable Interrupt Controllers)のサポートが無効になります。 を選択すると、DMAモード(CD/DVD-ROMドライブ用)で電源管理機能は無効のままシステムがブートされます。どちらにすべきかわからない場合、
または のオプションを最初に試してください。上級ユーザは、コマンドライン( )を使用してカーネルパラメータを入力または変更することもできます。- F6
このキーを押すと、SUSE Linux Enterprise Microに適用できるオプションのドライバアップデートがあることをシステムに通知できます。 または を使用して、インストール開始前にドライバを直接ロードします。 を選択した場合、インストールプロセス中の適切な時点で、アップデートディスクの挿入を要求するプロンプトが表示されます。
11.2.2 UEFIを搭載したマシンのブート画面 #
UEFI (Unified Extensible Firmware Interface)は、従来のBIOSの後継で機能を拡張した新しい業界規格です。最新のUEFIの実装には「セキュアブート」拡張機能が用意されています。この機能は、署名済みのブートローダのみの実行を許可することにより、悪意のあるコードのブートを防止します。
従来のBIOSでのマシンのブートに使用するブートマネージャGRUB 2は、UEFIをサポートしていません。そのため、GRUB 2はGRUB 2 for EFIに置き換えられています。セキュアブートが有効な場合、YaSTは自動的にインストールにGRUB 2 for EFIを選択します。管理およびユーザの視点からは、両方のブートマネージャの実装形態は同様に動作し、次ではGRUB 2
と呼ばれています。
セキュアブートを有効にしてインストールする場合、SUSE Linux Enterprise Microに付属していないドライバはロードできません。これは、SolidDriverに付属しているドライバについても同様です。デフォルトでは、それらのドライバの署名キーが信頼されていないからです。
SUSE Linux Enterprise Microに付属していないドライバをロードするには、次のいずれかの操作を行います。
インストール前に、ファームウェア/システム管理ツールを使ってファームウェアデータベースに必要なキーを追加します。
ブート可能なISOを使用して、最初のブート時に必要なキーがMOKリストに登録されるようにします。
ブート画面には、インストール手順の複数のオプションが表示されます。矢印キーで選択したオプションを変更し、Enterを押してブートします。関連するオプションは次のとおりです。
通常のインストールモード。最新のハードウェア機能のすべてが有効になります。インストールが失敗した場合は、F5で問題の原因となっている可能性のある機能を無効にするブートパラメータについて参照してください。
- ›
グラフィックユーザインタフェースのない、最小構成のLinuxを起動します。次の情報を参照してください:
- ›
すでにインストールされているLinuxシステムを起動します。システムを起動するパーティションを求められます。
- ›
このオプションは、ダウンロードしたISOから作成したメディアからインストールする場合のみ使用できます。その場合、インストールメディアの整合性をチェックすることをお勧めします。このオプションを選択すると、インストールシステムの起動後、自動的にメディアがチェックされます。チェックが成功した場合は、通常のインストールルーチンが開始されます。メディアの破損が検出された場合は、インストールルーチンが中止されます。
SUSE Linux Enterprise Micro上のGRUB 2 for EFIは、ブートパラメータを追加するためのブートプロンプトもファンクションキーもサポートしていません。デフォルトでは、使用言語を米英語、ブートメディアをインストールソースとしてインストールが始まります。DHCPルックアップの実行によってネットワークが設定されます。これらのデフォルト設定を変更する場合やブートパラメータを追加する場合は、該当のブートエントリを編集する必要があります。矢印キーを使用して強調表示にして、Eを押します。ヒントを編集するには、オンスクリーンヘルプを参照します(ここでは、英語のキーボードのみが使用可能であることに注意してください)。 エントリが次のように表示されます。
setparams 'Installation' set gfxpayload=keep echo 'Loading kernel ...' linuxefi /boot/x86_64/loader/linux splash=silent echo 'Loading initial ramdisk ...' initrdefi /boot/x86_64/loader/initrd
linuxefi
で始まる行の末尾に、スペースで区切って複数のパラメータを追加します。編集済みエントリをブートするにはF10を押します。シリアルコンソールを介してマシンにアクセスする場合には、Esc–0を押します。すべてのパラメータのリストはhttps://en.opensuse.org/Linuxrcから入手できます。
11.3 重要なブートパラメータのリスト #
このセクションでは、特定の重要なブートパラメータについて説明します。
11.3.1 一般的なブートパラメータ #
autoyast=
URLautoyast
パラメータは、自動インストール用autoinst.xml
制御ファイルの場所を指定します。manual=<0|1>
manual
パラメータは、他のパラメータをユーザによる肯定応答が引き続き必要なデフォルト値のみにするかどうかを制御します。すべての値を受け入れて、確認のメッセージを表示しないようにする場合は、このパラメータを0
に設定します。autoyast
の設定は、manual
を0
に設定することを意味します。Info=
URL追加オプションの読み取り元ファイルの場所を指定します。
upgrade=<0|1>
SUSE Linux Enterprise Microをアップグレードするには、
Upgrade=1
を指定します。dud=
URLURLからドライバのアップデートをロードします。
URLからドライバをロードするには、
dud=ftp://ftp.example.com/PATH_TO_DRIVER
またはdud=http://www.example.com/PATH_TO_DRIVER
を設定します。dud=1
を指定すると、ブート時にURLが求められます。language=
LANGUAGEインストール言語を設定します。サポートされている値には、
cs_CZ
、de_DE
、es_ES
、fr_FR
、ja_JP
、pt_BR
、pt_PT
、ru_RU
、zh_CN
、zh_TW
があります。acpi=off
ACPIサポートを無効にします。
noapic
論理APICがありません。
nomodeset
KMSを無効にします。
textmode=1
インストーラをテキストモードで起動します。
console=
SERIAL_DEVICE[,MODE]SERIAL_DEVICEには物理的なシリアルデバイスやパラレルデバイス(
ttyS0
など)を指定することも、仮想ターミナル(tty1
など)を指定することもできます。MODEは、ボーレート、パリティ、ストップビット(9600n8
など)です。この設定のデフォルト値は、マザーボードのファームウェアで設定されます。モニタに出力がない場合は、console=tty1
を設定してみてください。複数のデバイスの定義が可能です。
11.3.2 ネットワークインタフェースの設定 #
このセクションで説明する設定は、インストール時に使用されるネットワークインタフェースのみに適用されます。
ネットワークは、インストール時に必要とされる場合にのみ設定されます。ネットワークの設定を強制するには、netsetup
またはifcfg
パラメータを使用します。
netsetup=VALUE
netsetup=dhcp
は、DHCPを介して設定を強制します。ブートパラメータhostip
、gateway
、およびnameserver
を使用してネットワークを設定する場合にnetsetup=-dhcp
を設定します。netsetup=hostip,netmask,gateway,nameserver
オプションを使用すると、インストーラはブート時にネットワーク設定を要求します。ifcfg=INTERFACE[.VLAN]=[.try,]SETTINGS
INTERFACEとして
*
を指定すると、すべてのインタフェースが設定対象になります。たとえば、eth*
を指定すると、eth
で始まるすべてのインタフェースが設定対象になります。値としてMACアドレスを使用することも可能です。必要に応じて、インタフェース名の後ろにVLANを設定することができます。その際には、インタフェースとVLANの間にピリオドを追加します。
SETTINGSが
dhcp
の場合、該当するすべてのインタフェースにDHCPが設定されます。try
オプションを追加すると、設定されたいずれかのインタフェースを使用してインストールリポジトリにアクセスできた時点で、設定が停止します。もしくは、静的な設定を使用できます。
try
オプションを追加しない場合、静的なパラメータを使用して、最初に対象となったインタフェースのみを設定します。この場合、リポジトリにアクセスできるまですべてのインタフェースを設定します。静的な設定の構文は次のとおりです。
ifcfg=*="IPS_NETMASK,GATEWAYS,NAMESERVERS,DOMAINS"
カンマで区切られた各値には、スペースで区切られた一連の値を指定することができます。IPS_NETMASKは、「CIDR表記」(
10.0.0.1/24
など)になります。引用符が必要になるのは、スペースで区切られたリストを使用している場合のみです。次の例では、2つのネームサーバを指定しています。ifcfg=*="10.0.0.10/24,10.0.0.1,10.0.0.1 10.0.0.2,example.com"
ヒント: その他のネットワークパラメータifcfg
ブートパラメータは非常に強力で、ほとんどすべてのネットワークパラメータを設定できます。上記のパラメータに加えて、/etc/sysconfig/network/ifcfg.template
および/etc/sysconfig/network/config
からすべての設定オプション(カンマ区切り)の値を設定できます。次の例では、DHCPを介して設定されていないインタフェース上にカスタムMTUサイズを設定しています。ifcfg=eth0=dhcp,MTU=1500
hostname=host.example.com
完全修飾ホスト名を入力します。
domain=example.com
DNSのドメインサーチパス完全修飾ホスト名ではなく短いホスト名を使用できます。
hostip=192.168.1.2[/24]
設定するインタフェースのIPアドレスを入力します。IPには、サブネットマスクを含めることができます。たとえば、
hostip=192.168.1.2/24
と指定します。この設定は、インストール時にネットワークが必要な場合にのみ評価されます。gateway=192.168.1.3
使用するゲートウェイを指定します。この設定は、インストール時にネットワークが必要な場合にのみ評価されます。
nameserver=192.168.1.4
サービスを提供するDNSサーバを指定します。この設定は、インストール時にネットワークが必要な場合にのみ評価されます。
domain=example.com
ドメインの検索パス。この設定は、インストール時にネットワークが必要な場合にのみ評価されます。
11.3.3 インストールソースの指定 #
DVDまたはUSBフラッシュドライブをインストールに使用しない場合は、別のインストールソースを指定します。
install=SOURCE
使用するインストールソースの場所を指定します。使用可能なプロトコルは、
cd
、hd
、slp
、nfs
、smb
(Samba/CIFS)、ftp
、tftp
、http
、およびhttps
です。デフォルトオプションはcd
です。暗号化された接続でインストールするには、
https
のURLを使用します。証明書を確認できない場合は、sslcerts=0
ブートパラメータを使用して証明書チェックを無効にします。http
、https
、ftp
、tftp
、またはsmb
のURLが指定されている場合は、URLでユーザ名とパスワードを指定することで認証できます。例:install=https://USER:PASSWORD@SERVER/DIRECTORY/DVD1/
SambaまたはCIFSインストールの場合は、次のように、使用する必要があるドメインを指定することもできます。
install=smb://WORKDOMAIN;USER:PASSWORD@SERVER/DIRECTORY/DVD1/
cd
、hd
、またはslp
を使用するには、次の例のように設定します。install=cd:/ install=hd:/?device=sda/PATH_TO_ISO install=slp:/
11.3.4 リモートアクセスの指定 #
リモート制御方法は一度に1つしか指定できませんが、SSH、VNC、リモートXサーバなど、さまざまな種類が存在します。このセクションで列挙されているパラメータの使用方法については、第13章 「リモートインストール」を参照してください。
display_ip=
IP_ADDRESSDisplay_IP
を設定すると、インストール中のシステムは、指定のアドレスにあるXサーバへの接続を試みます。重要: X認証メカニズムX Window Systemを使用する直接インストールでは、ホスト名に基づくプリミティブな認証メカニズムに依存します。現在のバージョンのSUSE Linux Enterprise Microでは、このメカニズムが無効になっています。SSHまたはVNCによるインストールが推奨されています。
vnc=1
インストール時にVNCサーバを有効にします。
vncpassword=
PASSWORDVNCサーバのパスワードを設定します。
ssh=1
ssh
はSSHインストールを有効にします。ssh.password=
PASSWORDインストール時のrootユーザ用のSSHパスワードを指定します。
11.4 詳細設定 #
インストール時のローカルRMTまたはsupportconfig
サーバへのアクセスを設定するには、これらのサービスをインストール中に設定するようにブートパラメータを指定することができます。インストールの際にIPv6のサポートを必要とする場合も、同様の手順を実行します。
11.4.1 インストール時のIPv6の使用 #
デフォルトでは、マシンにIPv4ネットワークアドレスのみを割り当てることができます。インストールの際にIPv6を有効にするには、以下のパラメータのいずれかをブートプロンプトで入力します。
- IPv4とIPv6が使用可能
ipv6=1
- IPv6のみが使用可能
ipv6only=1
11.4.2 インストール時のプロキシの使用 #
リモートWebサイトのアクセスにプロキシサーバを使用するネットワークでは、インストール時の登録は、プロキシサーバの設定時にのみ可能です。
従来のBIOSを搭載したシステムでは、ブート画面でF4キーを押し、 ダイアログで必要なパラメータを設定します。
UEFI BIOSを搭載したシステムでは、ブートプロンプトでブートパラメータproxy
を指定します。
ブート画面で、Eキーを押してブートメニューを編集します。
proxy
パラメータをlinux
行に次の形式で追加します。proxy=https://proxy.example.com:PORT
プロキシサーバで認証が必要な場合、次のように資格情報を追加します。
proxy=https://USER:PASSWORD@proxy.example.com:PORT
プロキシサーバのSSL証明書を確認できない場合は、
sslcerts=0
ブートパラメータを使用して証明書チェックを無効にします。たとえば、次のように表示されます。
図 11.3: GRUBオプションエディタ #F10キーを押して、新しいプロキシ設定でブートします。
11.4.3 SELinuxサポートを有効にする #
インストール開始時にSELinuxを有効にすることで、インストールが終了した後、再起動する必要なく、SELinuxサポートを設定することができます。使用するパラメータは、以下のとおりです。
security=selinux selinux=1
11.4.4 高DPI用にユーザインタフェースをスケーリング #
画面で非常に高いDPIが使用されている場合は、ブートパラメータQT_AUTO_SCREEN_SCALE_FACTOR
を使用します。これは、フォントとユーザインタフェース要素を画面DPIにスケーリングします。
QT_AUTO_SCREEN_SCALE_FACTOR=1
11.4.5 CPU緩和策の使用 #
ブートパラメータmitigations
では、影響を受けるCPUへのサイドチャネル攻撃に対する緩和策オプションを制御できます。指定可能な値は次のとおりです。
auto
.
お使いのCPUモデルで必要なすべての緩和策を有効化しますが、CPUスレッドを跨いだ攻撃は保護できません。この設定による性能面への影響は、負荷内容によって異なります。
nosmt
.
利用可能なセキュリティ面の緩和策をすべて実施することになります。お使いのCPUモデルで必要なすべての緩和策を有効化します。さらに、複数のCPUスレッドを跨いだサイドチャネル攻撃を防ぐため、同時マルチスレッディング(SMT)の機能も無効化します。これにより、負荷内容にもよりますが、[自動]よりも性能面への影響が増すことになります。
off
.
全ての緩和策を無効化します。CPUのモデルによってさまざまなサイドチャネル攻撃の可能性が高まることになります。この設定により性能面への影響はなくなります。
各値には、CPUアーキテクチャ、カーネルバージョン、および緩和される必要がある脆弱性によって、特定のパラメータのセットが付属しています。詳細については、カーネルのマニュアルを参照してください。
11.5 詳細情報 #
ブートパラメータの詳細については、openSUSE wiki (https://en.opensuse.org/SDB:Linuxrc#Parameter_Reference)を参照してください。
12 インストール手順 #
この章では、SUSE Linux Enterprise Micro用のデータをターゲットデバイスにコピーするための手順について説明します。この手順では、新たにインストールしたシステム用にいくつかの基本設定パラメータを設定します。グラフィカルユーザインタフェースでは、順を追ってインストール処理を行えるようになっています。テキストモードのインストールの手順は同じですが、外観が異なります。非対話型の自動インストールを実行する方法については、Book “AutoYaST Guide”を参照してください。
SUSE Linux Enterprise Microを初めて使用する場合は、ほとんどの設定でYaSTからデフォルトで提案されている内容に従う必要がありますが、必要に応じてシステムを微調整するには、ここに記載されている指示に従って設定を変更することもできます。それぞれのインストール手順でヘルプが必要な場合は、 をクリックしてください。
インストーラでマウスが正しく検出されない場合、ナビゲートには<Tab>、スクロールには矢印キー、確定にはEnterをそれぞれ使用します。各種のボタンや選択フィールドには、下線付きの英字が含まれています。<Tab>でナビゲートする代わりに、Alt–文字を使用して、ボタンまたは選択項目を直接選択することもできます。
12.1 概要 #
このセクションでは、インストール手順全体の概要を示します。各手順には、詳細な説明へのリンクがあります。
最初に、YaSTはネットワーク設定を実行します。詳細については、12.2項 「ネットワークの設定」を参照してください。
実際のインストールは、言語とキーボードの選択、および使用許諾契約で開始されます。詳細については、12.3項 「言語、キーボード、および使用許諾契約」を参照してください。
使用許諾契約に同意して、次の手順に進みます。
IBM Zマシンでは、ディスクを有効にする必要があります。詳細については、12.4項 「IBM Z: ディスクのアクティベーション」を参照してください。
システムを登録します。詳細については、12.5項 「登録」を参照してください。
利用可能な拡張機能をインストールします。詳細については、12.6項 「拡張機能とモジュールの選択」を参照してください。
12.7項 「NTP設定」の説明に従って、NTPサーバを設定します。
システム管理者(
root
)用のパスワードを設定します。詳細については、12.8項 「システム管理者向けroot
認証」を参照してください。最後のインストール手順は、インストール設定の概要です。詳細については、12.9項 「インストールの設定」を参照してください。
12.2 ネットワークの設定 #
インストールをブートすると、インストールルーチンが設定されます。この設定では、DHCPとの間に1つ以上のネットワークインタフェースを設定しようとする処理が実行されます。この処理が失敗した場合は
ダイアログが開きます。ネットワークインタフェースのリストから目的のインタフェースを選択し、
をクリックしてその設定を変更します。該当のタブを使用してDNSとルーティングを設定します。IBM Zでは、このダイアログが自動的には開きません。このダイアログは の手順で開くことができます。インストールの設定でDHCPが正常に設定された場合は、
および の手順で をクリックすることで、このダイアログにアクセスすることもできます。このダイアログでは、自動的に指定された設定を変更できます。ブートパラメータを使用して設定したネットワークインタフェースが1つでも存在すると(11.3.2項 「ネットワークインタフェースの設定」を参照)、DHCPの自動設定は無効になり、ブートパラメータの設定がインポートされて使用されます。
インストール時にSANまたはローカルRAIDにアクセスするために、libstorageコマンドラインクライアントを使用できます。
Ctrl–Alt–F2でコンソールに切り替えます。
extend libstoragemgmt
を実行して、libstoragemgmt拡張機能をインストールします。これで、
lsmcli
コマンドにアクセスできます。詳細については、lsmcli --help
を実行してください。インストーラに戻るには、Alt–F7キーを押します。
サポートされているのは、Netapp Ontap、すべてのSMI-S互換SANプロバイダ、およびLSI MegaRAIDです。
12.3 言語、キーボード、および使用許諾契約 #
および 設定は、ブート画面で選択した言語で初期化されています。デフォルトを変更していない場合は、英語(米国)になります。必要に応じて、ここで設定を変更します。
言語を変更すると、自動的に、対応のキーボードレイアウトが事前選択されます。この事前設定されたレイアウトを変更するには、ドロップダウンボックスから別のキーボードレイアウトを選択します。
テキストボックスを使用して、この配列をテストします。ここで選択した言語は、システム時計のタイムゾーンの設定に使用されます。をクリックすると、英語のSLE Microリリースノートにアクセスできます。
ライセンス契約をお読みください。これは、ブート画面で選択した言語で表示されます。訳文は、SUSE Linux Enterprise Microをインストールすることはできません。 をクリックして、インストールを終了します。
› ドロップダウンボックスを選択して表示できます。契約条件に同意する場合は、 をクリックし、 をクリックしてインストールを続行します。使用許諾契約に同意しない場合は、12.4 IBM Z: ディスクのアクティベーション #
IBM Zプラットフォームでのインストール時、言語選択ダイアログの後に、外部ハードディスクを設定するダイアログが表示されます。
SUSE Linux Enterprise Microのインストールでは、DASD、Fibre Channel Attached SCSI Disk (zFCP)、またはiSCSIを選択します。DASDおよびzFCP設定ボタンは、対応するデバイスが接続されている場合にのみ使用可能です。
この画面では、
ダイアログを開くことで を変更することもできます。ネットワークインタフェースのリストから目的のインタフェースを選択し、 をクリックしてその設定を変更します。該当のタブを使用してDNSとルーティングを設定します。12.4.1 DASDディスクの設定 #
IBM Zハードウェア上にインストールしていない場合は、このステップをスキップします。
を選択すると、利用可能なすべてのDASDが概要にリスト表示されます。使用可能なデバイスに関する詳しい情報を取得するには、このリストの上部にあるテキストボックスを使用して、表示するチャネルの範囲を指定します。指定した範囲に従ってリストをフィルタするには、 を選択します。
リスト内の該当するエントリを選択することで、インストールに使用するDASDを指定します。現在表示されているすべてのDASDを選択するには
を使用します。 › の順に選択して、選択したDASDを有効にし、インストールに使用できるようにします。これらのDASDをフォーマットするには、 › の順に選択します。12.4.2 zFCPディスクの設定 #
IBM Zハードウェア上にインストールしていない場合は、このステップをスキップします。
を選択すると、システムで使用可能なzFCPディスクのリストを含むダイアログが開きます。このダイアログで を選択すると、zFCPパラメータを入力する別のダイアログが開きます。
SUSE Linux Enterprise MicroのインストールにzFCPディスクを使用できるようにするには、 のドロップダウンボックスから使用可能な番号を選択します。 (World Wide Port Number)および (Logical Unit Number)は、それぞれ使用できるWWPNとFCP-LUNのリストを返し、ここから選択できます。自動LUNスキャンは、NPIVが有効な場合にのみ動作します。
ここまでの設定が完了したら、
をクリックしてZFCPダイアログから、ハードディスクの一般設定ダイアログに戻ります。続いて をクリックして終了し、残りの設定を続けます。12.5 登録 #
テクニカルサポートを受けたり製品のアップデートを入手するには、SUSE Customer Centerまたはローカル登録サーバでSUSE Linux Enterprise Microを登録してアクティブ化する必要があります。この段階で製品を登録すると、アップデートリポジトリへのアクセス権もただちに得られます。これにより、利用できる最新のアップデートとパッチを使用してシステムをインストールできるようになります。
このダイアログから、12.2項 「ネットワークの設定」を参照してください。
をクリックしてYaST モジュールに切り替えることができます。詳細については、このダイアログには、次のような機能があります。それぞれの機能について詳しく説明します。
SUSE Customer Centerで登録するには、SCCアカウントに関連付けられている登録コードを入力します。 で続行します。
と、 の組織がローカル登録サーバを提供している場合は、代わりにそこで登録することもできます。
を有効にした後、ドロップダウンボックスからURLを選択するかアドレスを入力します。 で続行します。登録を行なわずにスキップするか、オフラインの場合は、
をクリックします。 をクリックして警告を受け入れ、 で続行します。重要: 登録を行なわずに飛ばすシステムは、登録しないとアップデートとサポートの対象になりません。
SUSEConnect
を使用して、インストール後に、後で登録することができます。詳細については、10.1項 「登録」を参照してください。
SUSE Linux Enterprise Microが正しく登録された後、インストール中に、利用可能な最新のオンラインアップデートをインストールするかどうかを尋ねられます。 を選択すると、システムは、最新パッケージとともにインストールされ、インストール後にアップデートを適用する必要がなくなります。このオプションを有効にすることをお勧めします。
インストール時にシステムが正常に登録されていた場合、YaSTはインストール完了時に、CD/DVDまたはフラッシュディスクなどのローカルインストールメディアのリポジトリを無効にします。これにより、インストールソースが使用できなくなった場合に問題が発生するのを防ぎ、常にオンラインリポジトリから最新の更新が取得されるようになります。
12.5.1 USBストレージからの登録コードのロード #
登録をさらに便利にするために、フラッシュディスクなどのUSBストレージデバイスに登録コードを保存することもできます。YaSTによる該当のテキストボックスへの事前入力が自動的に実行されます。これは、インストールのテストをする場合、または多数のシステムや拡張機能を登録する必要がある場合に、特に便利です。
USBディスクにregcodes.txt
またはregcodes.xml
という名前でファイルを作成します。両方のファイルが存在する場合は、XMLが優先されます。
そのファイルで、zypper search --type product
を実行して返される製品の名前を指定し、次のように登録コードを割り当てます。
regcodes.txt
#SLEMicro cc36aae1
regcodes.xml
#<?xml version="1.0"?> <profile xmlns="http://www.suse.com/1.0/yast2ns" xmlns:config="http://www.suse.com/1.0/configns"> <suse_register> <addons config:type="list"> <addon> <name>SLEMicro</name> <reg_code>cc36aae1</reg_code> </addon> </addons> </suse_register> </profile>
現在、フラッシュディスクは、インストール時またはアップグレード時にのみスキャンされ、実行中のシステムの登録時にはスキャンされません。
12.6 拡張機能とモジュールの選択 #
SLE Microは現在、次の拡張機能を提供しています。
SUSE Linux Enterprise Live Patching
システムを再起動せずに重要なパッチを適用できるようにする拡張機能。SLE Microのサブスクリプションに加えて、追加のサブスクリプションが必要になる場合があることに注意してください。
SUSE Linux Enterprise Live Patching
拡張機能を有効にした場合は、手順10.2「SUSE Linux Enterprise Live Patching
のアクティベーションの完了」の説明に従ってシステムを設定する必要があります。注記:SUSE Linux Enterprise Live Patching
拡張機能の可用性SUSE Linux Enterprise Live Patching
拡張機能は、x86 (リアルタイムカーネルを除く)およびIBM Zアーキテクチャでのみ利用できます。SUSE Package Hub
コミュニティが管理するパッケージへのアクセスを提供する無料のモジュール。Package Hub内のパッケージは、SUSE Linux Enterprise Serverでの使用がSUSEによって承認されているため、パッケージをSLE Microにインストールできない場合があります。
モジュールを有効にするには、対応するチェックボックスをクリックしてから、
をクリックして続行します。12.7 NTP設定 #
システムの時間を適切に同期させるために、少なくとも1台のNTPサーバを設定します。より多くのNTPサーバをカンマまたはスペースで区切ったリストとして入力できます。
12.8 システム管理者向けroot
認証 #
root
に対する認証 #
root
に対する強力なパスワードを設定します。root
パスワードがランダムに生成される場合は、少なくとも10文字を使用してください。root
パスワードを手動で設定する場合は、大文字、小文字、数字の組み合わせを含む、より長いパスワードを使用してください。パスワードは最長72文字で、大文字と小文字が区別されます。
公開鍵を利用してSSH経由でシステムにリモートアクセスしたい場合は、リムーバブルストレージデバイスか既存のパーティションから公開鍵をインポートしてください。インポートするには、
をクリックして、SSH公開鍵を選択します。をクリックして次のインストールステップに進みます。
12.9 インストールの設定 #
特定の設定にアクセスするには、各見出しをクリックします。または、一部のオプションは、オプションの次のボタンをクリックすることにより、画面で直接変更することができます。
12.9.1 パーティショニング #
SLE Microでは、スナップショットとSnapperが有効なルートパーティション上にBtrfsが必要です。Snapperは、デフォルトで有効になっています。後で無効にしないでください。
- UEFIマシンでのカスタムパーティション分割
UEFIマシンでは、
/boot/efi
にマウントされる必要のあるEFIシステムパーティションが必要とされます。このパーティションはFAT32
ファイルシステムでフォーマットされる必要があります。現在のシステムにEFIシステムパーティションがすでに存在している場合は(以前のWindowsインストール環境で作成したものなど)、それをフォーマットせずに
/boot/efi
にマウントして使用します。EFIシステムパーティションがUEFIマシンに存在しない場合は、それを作成してください。EFIシステムパーティションは物理パーティションまたはRAID 1である必要があります。その他のRAIDレベル、LVM、および他のテクノロジーはサポートされていません。FAT32ファイルシステムでフォーマットされる必要があります。
- カスタムパーティション分割と
Snapper
ルートパーティションのサイズが12GBを超えている場合、SUSE Linux Enterprise Microではデフォルトでファイルシステムのスナップショットが有効にされます。SLE Microの実行時に問題が発生する可能性があるため、12GB未満のルートパーティションを使用することはお勧めしません。
SUSE Linux Enterprise Microでは、SnapperとBtrfsを併用してこの機能を実現しています。Btrfsは、ルートパーティション用にスナップショットを有効にしてセットアップする必要があります。
ロールバックが可能なシステムスナップショットを作成するには、重要なシステムディレクトリ(
/usr
など)が1つのパーティションにマウントされている必要があります。別個のパーティションに配置できるのは、スナップショットから除外されるディレクトリ(/usr/local
、/var
、/tmp
など)だけです。インストーラは、インストール中およびインストール直後に
single
スナップショットを自動的に作成します。重要: Btrfsスナップショットとルートパーティションのサイズスナップショットには、かなりのストレージスペースが必要になる場合があります。一般的に、スナップショットが古いほど、またはスナップショットがカバーする変更セットが大きいほど、スナップショットに必要なストレージスペースが増えます。また、保持するスナップショットが多くなるほど、ディスクスペースが必要になります。
ルートパーティションにスナップショットデータがいっぱいにならないようにするには、十分なスペースがあることを確認する必要があります。頻繁にアップデートや他のインストールを実行する場合は、ルートパーティションとして最低40GBを検討してください。
- Btrfsデータボリューム
データボリューム用のBtrfsの使用は、SUSE Linux Enterprise Micro 5.5でサポートされています。データボリュームにBtrfsの使用を必要とするアプリケーションでは、クオータグループを無効にしたファイルシステムを別途作成することを検討してください。これは、非ルートファイルシステムではすでにデフォルトの設定です。
- 暗号化されたルートパーティションのBtrfs
デフォルトのパーティション設定では、ルートパーティションをBtrfsにすることが推奨されます。ルートパーティションを暗号化する場合は、MSDOSタイプではなく、GPTパーティションテーブルタイプを使用してください。そうでないと、GRUB2ブートローダは、2段階目のローダ用のスペースを十分に確保できません。
- IBM Z: z/VMのミニディスクの使用
SUSE Linux Enterprise Microをz/VMのミニディスクにインストールしていて、そのz/VMがミニディスクと同じ物理ディスク上にある場合、そのミニディスクのアクセスパス(/dev/disk/by-id/)は固有ではありません。そのアクセスパスは物理ディスクのIDを表しているからです。このため、同じ物理ディスク上に2つ以上のミニディスクがある場合、これらはすべて同じIDを持ちます。
ミニディスクをマウントする際の問題を回避するには、「パス」または「UUID」を使用してマウントします。
- IBM Z: LVMルートファイルシステム
LVMまたはソフトウェアRAIDアレイでルートファイルシステムを使用してシステムを設定する場合、
/boot
を別個の非LVMまたは非RAIDパーティションに配置する必要があります。そうしないと、システムは起動しません。このパーティションの推奨サイズは500MBで、推奨ファイルシステムはExt4です。- サポート対象のソフトウェアRAIDボリューム
既存のソフトウェアRAIDボリュームにインストールしてそこからブートする設定は、Disk Data Format (DDF)ボリュームとIntel Matrix Storage Manager (IMSM)ボリュームに対してサポートされています。IMSMは、以下の名前で呼ばれることもあります。
Intel Rapid Storage Technology
Intel Matrix Storage Technology
Intel Application Accelerator/Intel Application Accelerator RAID Edition
Intel Virtual RAID on CPU (Intel VROC、詳細についてはhttps://www.intel.com/content/www/us/en/support/articles/000024498/memory-and-storage/ssd-software.htmlを参照)
- FCoEデバイスとiSCSIデバイスのマウントポイント
FCoEデバイスとiSCSIデバイスはブートプロセス中は非同期で表示されます。これらのデバイスがルートファイルシステム用に正しく設定されていることがinitrdによって保証されるまでの間、他のファイルシステムや
/usr
などのマウントポイントでは、これは保証されません。したがって、/usr
や/var
などのシステムマウントポイントはサポートされません。これらのデバイスを使用するには、各サービスとデバイスが正しく同期されていることを確認します。
パーティショニングスキームを調整する必要がある場合は、
メニューをクリックして、 ダイアログボックスを開きます。インストーラは、Btrfsでフォーマットされたルートパーティションとスワップパーティションを含む、使用可能なディスクの1つに対する提案を作成します。1つ以上のスワップパーティションが使用可能ハードディスクで検出された場合、これらのパーティションは使用されます。処理を続行するには、以下のオプションがあります。
変更せずに提案を受け入れる場合は、
をクリックし、 画面に戻ります。提案を調整するには、
を選択します。まず、使用するハードディスクとパーティションを選択します。 画面では、論理ボリュームマネージャ(LVM)とディスク暗号化を有効にできます。その後、 を指定します。ルートパーティション用のファイルシステムを調整して、別個のホームおよびスワップパーティションを作成できます。マシンをサスペンドする予定の場合は、別個のスワップパーティションを作成し、 をオンにします。ルートファイルシステムフォーマットがBtrfsである場合、ここでBtrfsスナップショットを有効または無効にすることもできます。カスタムのパーティション設定を作成するには12.9.1.1項 「エキスパートパーティショナ」を参照してください。
をクリックします。推奨されたディスクレイアウトで作成を開始する場合は を、推奨されたレイアウトを無視してディスク上の既存のレイアウトで作成を開始する場合は を選択します。詳細については、
12.9.1.1 エキスパートパーティショナ #
エキスパートパーティショナを使用すると、論理ボリューム管理(LVM)のセットアップ、ソフトウェアRAIDおよびデバイスマッピング(DM)の設定、パーティションの暗号化、NFS共有のマウント、およびtmpfsボリュームの管理を行うことができます。サブボリュームとスナップショットの取り扱い方法などの設定をBtrfsパーティションごとに詳細に調整するには
を選択します。
接続されているすべてのハードディスクの既存パーティションまたは提案パーティションが、/dev/sda
(または/dev/dasda
)など)。パーティションは、/dev/sda1
(または/dev/dasda1
)など、それらのデバイスの一部としてリストされます。ハードディスクのサイズ、タイプ、暗号化のステータス、ファイルシステム、マウントポイントと、ハードディスクのパーティションも表示されます。マウントポイントには、Linuxファイルシステムツリー内のどこにパーティションが表示されるかが指定されています。
12.9.1.1.1 パーティションテーブル #
SUSE Linux Enterprise Microでは、さまざまな「パーティションテーブル」の使用と作成が可能です。パーティションテーブルは、「ディスクラベル」と呼ばれることもあります。パーティションテーブルは、コンピュータのブートプロセスには不可欠です。新たに作成したパーティションテーブルのパーティションからマシンをブートする場合、そのテーブルの形式がファームウェアでサポートされていることを必ず確認してください。
パーティションテーブルを変更するには、左側の関連するディスク名をクリックし、
› の順に選択します。次のパーティションテーブルを作成できます。- マスタブートレコード
マスタブートレコード(MBR)は、IBM PCで使用されているレガシパーティションテーブルです。MS-DOSパーティションテーブルと呼ばれることもあります。MBRでサポートされているのは、4つのプライマリパーティションのみです。ディスクにMBRが存在している場合、SUSE Linux Enterprise Microでは、MBR内に追加パーティションを作成することができます。これらはインストールターゲットとして使用可能です。
パーティションは4つしか許可されないという制限は、「拡張パーティション」を作成することによって克服できます。この拡張パーティション自体もプライマリパーティションであるため、その中に複数の「論理パーティション」を格納することができます。
- GPTパーティションテーブル
UEFIコンピュータでは、デフォルトで「GUIDパーティションテーブル」(GPT)が使用されています。SUSE Linux Enterprise Microは、ディスク上にそれ以外のパーティションテーブルが存在しないときにGPTを作成します。
古いBIOSファームウェアでは、GPTパーティションからのブートはサポートされていません。
4つを超えるプライマリパーティション、UEFIセキュアブート、または2TBを超えるディスクを使用するには、GPTパーティションテーブルが必要です。
12.9.1.1.2 パーティションの作成 #
エキスパートパーティショナでは、パーティションを追加できます。ルートファイルシステムをBtrfsにフォーマットし、スナップショットを有効にする必要があることに注意してください。
以下の手順で、スナップショットが有効になっているBtrfsパーティションを作成します。
12.9.1.1.3 ボリュームグループの作成 #
ボリュームグループを作成するには、次の手順に従います。
12.9.1.1.4 RAIDの作成 #
SLE Microでは、次のRAIDレベル(0、1、5、6、および10)をサポートしています。RAIDを作成するには、次の手順に従います。
次のパラメータを使用してパーティションを作成します(パーティション数はRAIDレベルによって異なる)。
パーティションには
役割が割り当てられている。パーティションはどのファイルシステムにもフォーマットされていない。
パーティションがマウントされていない。
パーティションには
Linux RAID
がある。
左側ペインの
をクリックしてから、 をクリックします。 ダイアログボックスが開きます。パーティションを選択し、このパーティションをRAIDに追加します。RAIDレベルを選択し、オプションでRAIDに名前を付けることができます。
で続行します。RAIDの役割を選択し、
をクリックします。デバイスをフォーマットしてマウントし、オプションでRAIDを暗号化するように選択できます。
12.9.2 ソフトウェア #
SUSE Linux Enterprise Microには、各種用途に使用する多数のソフトウェアパターンが用意されています。 をクリックすると 画面が開き、そこで個々のニーズに合わせてパターン選択を変更できます。リストからパターンを選択し、ウィンドウの右部分に表示されるパターンの説明を確認します。
このメニューには、Cockpit
システムをインストールするWeb based remote system
management
パターンを選択できます。Cockpitは、システムを管理できるWebモニタリングツールです。詳細については、Article “Cockpit Guide”, Section 2 “Getting Cockpit”を参照してください。
ここでは、KVM Virtualization Host
パターンを選択して、SLE MicroをKVMホストサーバとして実行するために必要なパッケージをインストールすることもできます(Xenはサポートされていません)。ただし、KVMホストサーバとして実行するSLE Microの制限を考慮する必要があります。詳細については、virtualization
limits and supportを参照してください。
各パターンには、特定の機能に必要なソフトウェアパッケージが多数含まれています(Podmanなど)。インストールするソフトウェアパッケージに基づく詳細な選択を参照するには、
を選択し、YaSTソフトウェアマネージャに切り替えます。12.9.3 Timezone (タイムゾーン) #
デフォルトでは、インストール手順の前のステップで指定されたNTPサーバを使用して、時刻は同期されます。地図上の特定の場所をクリックするか、ドロップダウンメニューで地域とタイムゾーンを選択することにより、地域とタイムゾーンを選択できます。
標準時間からサマータイムへの転換(およびその逆)は、ハードウェアロック(CMOSクロック)がUTCに設定されている場合にのみ、自動的に行われます。この処理は、NTPとの時間の自動同期機能を使用している場合にも実行されます。これは、ハードウェアとシステムクロックの時間差が15分未満であれば、時間の自動同期が機能するからです。
システム時刻を間違えると深刻な問題が発生する可能性があるため、ハードウェアクロックを「常に」UTCに設定することを強くお勧めします。
ボタンでは、日時を手動で設定したり、NTPサーバの同期を設定したりできます。
時間と日付を手動で設定する場合は、
ボタンをクリックして、 を選択します。オペレーティングシステムからは時刻と日付を直接変更できないので、IBM Zでは
オプションを使用できません。12.9.4 ネットワーク設定 #
ネットワークはインストールプロセスの開始時に自動的に設定されますが、必要に応じて12.2項 「ネットワークの設定」を参照してください。
をクリックして設定を変更できます。ダイアログボックスが開きます。詳細については、
SLE MicroはデフォルトでNetworkManagerを使用しますが、wicked
に切り替えることができます。インストールが完了したら、ネットワーク管理サービスをNetworkManagerに切り替えることはできません。
12.9.5 起動 #
インストーラからシステムのブート設定が提案されます。システム内の他のオペレーティングシステム(Microsoft Windows、他のLinuxインストールなど)が自動的に検出され、ブートローダに追加されます。ただし、デフォルトでブートするのはSUSE Linux Enterprise Microです。通常、設定を変更せずに、そのまま適用することができます。カスタム設定が必要な場合は、提案の設定をニーズに合わせて変更します。
/boot
がソフトウェアRAID 1デバイスに存在する設定をブートすることができます。ただし、ブートローダをMBRにインストールする必要があります( › )。/boot
をRAID 1以外のレベルのソフトウェアRAIDデバイス上に置くことはサポートされません。
12.9.6 Kdump #
Kdumpを使用すると、クラッシュの際にカーネルのダンプを保存して、問題を分析できます。デフォルトで、Kdumpが有効になっています。
をクリックして、Kdumpを設定するためのダイアログボックスを開きます。- 起動
ここで、Kdumpを無効にし、Kdump用に予約されているメモリの量を設定できます。通常、事前入力されている値を変更する必要はありません。
- ダンプフィルタ
ダンプフィルタを使用すると、Kdumpに含めるページを選択したり、Kdumpの形式を定義したりできます。
- ダンプ先
ローカルディレクトリを選択するか、KDumpをリモートの場所に保存できます。リモートの場所を希望する場合は、それぞれのプロトコルに従って接続の詳細を設定する必要もあります。
- 電子メール通知
イベントが発生した場合に電子メール通知を受信するには、電子メールアドレスを指定します。
- エキスパート設定
このオプションを使用すると、コマンドラインパラメータ、カスタムカーネルダンプ、およびKdumpに関連するその他の詳細設定を定義できます。
12.9.7 システム #
この画面には、使用しているコンピュータからインストーラで取得したすべてのハードウェア情報が一覧表示されます。この画面を初めて開いた場合は、ハードウェア検出が始まります。システムによっては、このプロセスに時間がかかる場合があります。リストのいずれかの項目を選択して
をクリックすれば、選択した項目についての詳細な情報を表示できます。 を使用して、詳細リストをローカルファイルシステムまたはリムーバブルデバイスに保存します。上級ユーザは、
を選択することで、 とカーネル設定も変更できます。次の2つのタブを持つ画面が開きます。各カーネルドライバには、サポートしているすべてのデバイスのデバイスIDリストが含まれています。新しいデバイスがどのドライブのデータベースにも含まれていない場合、既存のドライバで使用できる場合でも、そのデバイスはサポートされていないものとして処理されます。ここでは、デバイスドライバにPCI IDを追加できます。この操作は、上級ユーザのみが実施するようにします。
IDを追加するには、
をクリックし、データを で手動入力するか、リストから選択するかを指定します。必要なデータを入力します。 は/sys/bus/pci/drivers
の下位に置かれるディレクトリの名前です。空にすると 名がこのディレクトリ名として使用されます。 と で既存のエントリを管理できます。システムにクラッシュが発生したときは、https://www.kernel.org/doc/html/latest/admin-guide/sysrq.htmlを参照してください。
項目をアクティブ化すると、システムのリブートやカーネルダンプの書き出しなどの基本的なコマンドを発行できます。カーネル開発の段階では、これらのキーを有効にしておくことをお勧めします。詳細については、
12.9.8 セキュリティ #
Podmanと一緒にファイアウォールを使用すると、firewalld
サービスを再ロードした後で、Podman関連のファイアウォールルールが失われる可能性があります。したがって、Podmanを使用する場合は、ファイアウォールをデフォルト設定(無効)にしておくことをお勧めします。
それぞれのボタンをクリックして、ファイアウォールを有効にするか、SSHサービスを直接無効にすることができます。CPU mitigations
を含むカーネルパラメータを変更できます。
とは、CPUのサイドチャネル攻撃を防ぐために導入されたソフトウェア緩和策のカーネルブートコマンドラインパラメータを示します。次の値を設定できます。
- 自動
CPUタイプに基づいて検出されるため、すべてのCPUサイドチャネル緩和策が有効になります。自動検出は、影響を受けていない古いCPUと、影響を受けていない新しくリリースされたCPUの両方を処理し、緩和策を透過的に無効にします。このオプションはSMTを有効なままにします。
- オフ
すべてのCPUサイドチャネル緩和策が無効になります。このオプションを使用するとパフォーマンスが向上しますが、リスクも最も高くなります。信頼できないコードのリスクがある場合は、この設定を使用しないでください。
- 自動 + SMT無し
CPUタイプに基づいて検出されるため、すべてのCPUサイドチャネル緩和策が有効になります。さらに、CPUの対称型マルチスレッディングは、L1端末障害側のチャネルの問題を軽減するためなど、必要に応じて無効になります。
- 手動
CPU緩和策が手動で検出されます。
デフォルトでは、ファイアウォールは無効になっています。デフォルトを変更するには、
をクリックします。SSHサービスは、デフォルトで有効になっています。設定を変更するには、
をクリックします。SSHサービスを無効にした場合、システムにリモートでログインできなくなります。SSHポート(22)は、デフォルトで開いています。デフォルトのSELinuxオプションは、
です。 をクリックし、 メニューで別のオプションを選択して、値を変更できます。ダイアログボックスで、 ドロップダウンメニューからPolicyKit特権を選択することもできます。
13 リモートインストール #
SUSE® Linux Enterprise Microのインストールは、すべてネットワーク経由で実行することができます。この章では、ネットワーク経由でブート、インストール、およびインストール制御するために必要な環境について説明します。
13.1 概要 #
リモートインストールを実行する場合、ブート方法、インストールの制御方法、およびインストールデータの入手元について検討する必要があります。ハードウェアプラットフォームで使用可能な場合、個々のオプションは併用することができます。
- ブート方法
使用するハードウェアに応じて、システムのブートオプションは異なります。一般的なオプションは、DVDドライブ、USBドライブ、またはPXEでのブートです。プラットフォームの詳細については、パートI「インストールの準備」を参照してください。
- データソース
DVDドライブまたはUSBドライブは、SUSE Linux Enterprise Microの最も一般的なインストールソースです。これらの代わりに、インストールサーバを使用することもできます。この場合、
install
ブートパラメータを使用してソースを指定します。詳細については、11.3.3項 「インストールソースの指定」を参照してください。- インストール方法
ターゲットマシンに直接接続されているキーボードやモニタを使用する代わりに、SSHまたはVNC経由でインストールを実行することができます。また、インストールの実行に、特定のマシンのシリアルコンソールを使用することも可能です。これは、13.3項 「VNCによるインストールの監視」、13.4項 「SSHによるインストールの監視」、および13.5項 「シリアルコンソールを介したインストール」で説明されています。
AutoYaSTを使用すると、インストールプロセスを完全に自動化できます。詳細については、Book “AutoYaST Guide”を参照してください。
13.2 リモートインストールのシナリオ #
このセクションでは、リモートインストールを行う場合の、最も一般的なインストールシナリオについて説明します。それぞれのシナリオについて、前提条件のリストを注意深くチェックし、シナリオで説明されている手順に従ってください。特定のステップについての詳細な説明が必要な場合には、用意されているリンクを参照してください。
13.2.1 VNCを介したソースメディアからのインストール #
このタイプのインストールでは、インストール時のブートのため、ターゲットシステムにある程度物理的にアクセスすることが必要となります。インストールは、VNCを使用してインストールプログラムに接続することにより、リモートのワークステーションによって制御されます。第12章 「インストール手順」で説明されている手動インストールの場合と同様に、ユーザ操作も必要です。
このタイプのインストールでは、以下の必要条件を満たしていることを確認してください。
ターゲットシステムでネットワーク接続が動作していること
稼働中のネットワーク接続を持つ制御システムと、VNCビューアソフトウェアまたはJavaScript対応ブラウザ(Firefox、Chromium、Internet Explorer、Operaなど)
インストールDVDまたはUSBフラッシュドライブ
このタイプのインストールを実行するには、以下の手順に従います。
SLE Microのインストールが完了すると、VNCを使用してシステムにログインできなくなります。
SUSE Linux Enterprise Microメディアキットのインストールメディア(USBフラッシュドライブ)を使用してターゲットシステムをブートします。
ターゲットシステムのブート画面が表示されたらブートパラメータプロンプトを使用してVNCオプションと静的ネットワーク設定(必要な場合)を設定します。ブートパラメータについては、第11章 「ブートパラメータ」を参照してください。
静的ネットワーク設定のブートパラメータは次のとおりです。
netdevice=NETDEVICE hostip=IP_ADDRESS netmask=NETMASK gateway=IP_GATEWAY vnc=1 VNCPassword=PASSWORD
動的(DHCP)ネットワーク設定のブートパラメータは次のとおりです。
vnc=1 VNCPassword=PASSWORD
ターゲットシステムはテキストベースの環境で起動し、ネットワークアドレスと表示番号を表示します。VNCインストールは、ファイアウォール設定が適切に設定されている場合に、OpenSLPを介してそれら自体を通知します。13.3.1項 「VNCによるインストールの準備」の説明のとおり、
slptool
で表示できます。制御ワークステーションで、VNCビューアまたはWebブラウザを開き、指定されたネットワークアドレスと表示番号を使用してターゲットシステムに接続します(13.3項 「VNCによるインストールの監視」を参照)。
第12章 「インストール手順」に説明されている方法でインストールを実行します。
13.2.2 VNCを使用したネットワークインストール #
このタイプのインストールでは、ターゲットマシンと直接やり取りする必要はありません。システムはPXEを介してブートされ、インストールデータはサーバからフェッチされます。
このタイプのインストールを実行するには、以下の必要条件を満たしていることを確認してください。
DHCP、NFS、HTTP、FTP、TFTP、またはSMBのサーバのインストールに使用できる、少なくとも1台のマシン
ターゲットシステムにPXEブート、ネットワーク、およびWake on LANの機能があり、プラグインとしてインストールされ、ネットワークに接続されていること
稼働中のネットワーク接続を持つ制御システムと、VNCビューアソフトウェアまたはJavaScript対応ブラウザ(Firefox、Chromium、Microsoft Edge、Operaなど)
このタイプのインストールを実行するには、以下の手順に従います。
SLE Microのインストールが完了すると、VNCを使用してシステムにログインできなくなります。
インストールデータを格納しているサーバを設定します。
ネットワーク用のDHCPサーバとTFTPサーバを設定します。VNCサーバを有効にするために必要なブートパラメータを追加します。
ターゲットマシンのファームウェアでPXEブートを有効にします。
Wake on LAN機能を使って、ターゲットシステムでブートプロセスを開始します。
制御用のワークステーションで、VNC表示アプリケーションまたはWebブラウザを開き、ターゲットシステムに接続します。
第12章 「インストール手順」に説明されている方法でインストールを実行します。
13.2.3 SSHを介したソースメディアからのインストール #
このタイプのインストールでは、インストール時のブートと、インストールターゲットのIPアドレスの決定のため、ターゲットシステムにある程度物理的にアクセスすることが必要となります。インストール自体は、SSHを使用してインストーラに接続することにより、リモートのワークステーションによって完全に制御されます。第12章 「インストール手順」で説明されている通常のインストールの場合と同様に、ユーザ操作も必要です。
このタイプのインストールでは、以下の必要条件を満たしていることを確認してください。
ターゲットシステムでネットワーク接続が動作していること
ネットワーク接続が動作しており、現在使用中のSSHクライアントソフトウェアがある制御システム
インストールDVDまたはUSBフラッシュドライブ
このタイプのインストールを実行するには、以下の手順に従います。
インストールターゲットとインストールサーバを設定します。
SUSE Linux Enterprise Microメディアキットのインストールメディア(USBフラッシュドライブ)を使用してターゲットシステムをブートします。
ターゲットシステムのブート画面が表示されたら、ブートパラメータプロンプトを使用してSSHオプションと静的ネットワーク設定(必要な場合)を設定します。ブートパラメータについては、第11章 「ブートパラメータ」を参照してください。
静的ネットワーク設定のブートパラメータは次のとおりです。
netdevice=NETDEVICE hostip=IP_ADDRESS netmask=NETMASK gateway=IP_GATEWAY ssh=1 ssh.password=PASSWORD
動的(DHCP)ネットワーク設定のブートパラメータは次のとおりです。
ssh=1 ssh.password=PASSWORD
ターゲットシステムはテキストベースの環境でブートします。SSHクライアントで使用するための、グラフィックインストール環境用のネットワークアドレスが表示されます。
制御用のワークステーションで、ターミナルウィンドウを開いて、13.4.2項 「インストールプログラムへの接続」で説明されている方法でターゲットシステムに接続します。
第12章 「インストール手順」に説明されている方法でインストールを実行します。
13.2.4 SSH経由でのネットワークからのインストール #
このタイプのインストールでは、ターゲットマシンと直接やり取りする必要はありません。システムはPXEを介してブートされ、インストールデータはサーバからフェッチされます。
このタイプのインストールでは、以下の必要条件を満たしていることを確認してください。
DHCP、NFS、HTTP、FTP、TFTP、またはSMBのサーバのインストールに使用できる、少なくとも1台のマシン
ターゲットシステムにPXEブート、ネットワーク、およびWake on LANの機能があり、プラグインとしてインストールされ、ネットワークに接続されていること
ネットワーク接続が動作しており、SSHビューアソフトウェアがある、制御システム
このタイプのインストールを実行するには、以下の手順に従います。
インストールデータを格納しているサーバを設定します。
ネットワーク用のDHCPサーバとTFTPサーバを設定します。SSHサーバを有効にするために必要なブートパラメータを追加します。
ターゲットマシンのファームウェアでPXEブートを有効にします。
Wake on LAN機能を使って、ターゲットシステムでブートプロセスを開始します。
制御用のワークステーションで、SSHクライアントソフトウェアを開いて、ターゲットシステムに接続します。
第12章 「インストール手順」に説明されている方法でインストールを実行します。
13.3 VNCによるインストールの監視 #
VNCビューアを使えば、事実上どのオペレーティングシステムからでも、SUSE Linux Enterprise Microのインストールをリモートで制御することができます。このセクションでは、VNCビューアまたはWebブラウザを使うセットアップについて説明します。
13.3.1 VNCによるインストールの準備 #
インストールターゲットでVNCを有効にするには、インストール用の初期ブート時に適切なブートパラメータを指定してください(第11章 「ブートパラメータ」を参照)。ターゲットシステムはテキストベースの環境にブートして、VNCクライアントがインストールプログラムに接続するのを待ちます。
インストールプログラムは、インストーラに接続するために必要なIPアドレスとディスプレイ番号をアナウンスします。ターゲットシステムに物理的にアクセスしている場合には、この情報はシステムがインストールのためにブートした直後に表示されます。VNCソフトウェアが要求してきたときにこのデータを入力し、VNCパスワードを入力してください。
インストールターゲットはOpenSLPを介して自身の存在をアナウンスするため、SLPブラウザを使用してそのインストールターゲットのアドレス情報を取得できます。ネットワーク設定とすべてのマシンでOpenSLPがサポートされている限りインストールターゲットに物理的にアクセスする必要はありません。
slptool findsrvtypes | grep vnc
を実行して、vncを提供するすべてのサービスのリストを取得します。VNCインストールターゲットは、YaST.installation.suse
という名前のサービスの下に表示されます。slptool findsrvs
YaST.installation.suseを実行して、使用可能なインストールのリストを取得します。VNCビューアで提供されているIPアドレスとポート(通常は5901
)を使用します。
13.3.2 インストールプログラムへの接続 #
VNCサーバ(この場合はインストールターゲット)に接続するには2通りの方法があります。VNCビューアを起動するか、JavaScript対応のWebブラウザを使用して接続できます。
VNCを使えば、Linuxシステムを、他のLinuxディストリビューション、Windows、macOSなど、他の任意のオペレーティングシステムからインストールできます。
Linuxマシンでは、tightvnc
パッケージがインストールされていることを確認してください。Windowsマシンで、このアプリケーションのWindowsポートをインストールします(http://www.tightvnc.com/download.htmlを参照)。
ターゲットマシンで動作しているインストーラに接続するには、以下の手順に従います。
VNCビューアを起動します。
インストール先のIPアドレスと表示番号を入力します。
IP_ADDRESS:DISPLAY_NUMBER
これにより、通常のローカルインストールと同様にYaST画面が表示されるウィンドウが開きます。
VNCビューアの代わりに、JavaScriptサポートが有効になっているJavaScript対応ブラウザを使用してインストールを実行できます。
ブラウザによるVNC接続は暗号化されないことに注意してください。
VNCによるインストールを実行する場合、以下の手順に従います。
Webブラウザを起動し、アドレスプロンプトで次のように入力します。
http://IP_ADDRESS_OF_TARGET:5801
プロンプトが表示されたら、VNCパスワードを入力します。これにより、通常のローカルインストールと同様にYaST画面が表示されるウィンドウが開きます。
13.4 SSHによるインストールの監視 #
SSHクライアントを使用して、SSHを介してリモートでインストールを実行できます。
13.4.1 SSHによるインストールの準備 #
ソフトウェアパッケージ(LinuxではOpenSSH、WindowsではPuTTY)のインストールに加え、SSHによるインストールのために適切なブートパラメータを指定する必要があります。詳細については第11章 「ブートパラメータ」を参照してください。OpenSSHは、SUSE Linuxベースのオペレーティングシステムであれば、デフォルトでインストールされています。
13.4.2 インストールプログラムへの接続 #
SSHによるインストールを開始したら、この手順に従ってSSHセッションに接続してください。
インストールターゲットのIPアドレスを取得します。ターゲットマシンに物理的にアクセスできる場合には、初期ブート後のコンソールからインストールプログラムが表示するIPアドレスを取得してください。または、DHCPサーバ設定でターゲットマシンに割り当てられたIPアドレスを取得してください。
ターミナルで次のコマンドを実行します。
ssh -X root@TARGET_IP_ADDRESS
TARGET_IP_ADDRESSは、インストールターゲットの実際のIPアドレスで置き換えてください。
ユーザ名を求められたら、「
root
」と入力します。求められたら、SSHのブートパラメータで設定したパスワードを入力します。認証に成功すると、インストール先のコマンドラインプロンプトが表示されます。
「
yast
」と入力して、インストールプログラムを起動します。これにより、YaST画面を示すウィンドウが開きます(第12章 「インストール手順」を参照)。
13.5 シリアルコンソールを介したインストール #
このインストール方法では、SUSE Linux Enterprise Microをインストールするターゲットマシンに「ヌルモデム」ケーブルで接続されたコンピュータが必要です。両方のマシンがシリアルコンソールをサポートしている必要があります。特定のファームウェア実装は、ブートコンソール出力をシリアルコンソールに送信するようにすでに設定されています。この場合、追加の設定は必要ありません。
ファームウェアで、ブートコンソールの出力にシリアルコンソールが使用されていない場合は、インストール用にブートパラメータconsole=TTY,BAUDRATE
を設定してください。詳細については、第11章 「ブートパラメータ」 を参照してください。
BAUDRATEはインタフェースのボーレートに置き換える必要があります。有効な値は115200、38400、または9600です。TTYはインタフェースの名前に置き換える必要があります。ほとんどのコンピュータには、1つ以上のシリアルインタフェースがあります。ハードウェアによっては、それらのインタフェースの名前が異なることがあります。
APMの場合、「ttyS0」
Server Base System Architecture (SBSA)の場合、「ttyAMA0」
Xilinxの場合、「ttyPS0」
インストールを行うには、minicom
やscreen
などのターミナルプログラムが必要です。シリアル接続を初期化するには、次のコマンドを入力して、ローカルコンソール上で画面プログラムを起動します。
>
screen
/dev/ttyUSB0 115200
つまり、画面は、ボーレート115200を持った最初のシリアルポートをリスンすることになります。これ以降は、このターミナルを通じたテキストベースのインストールと同様の手順でインストールが実行されます。
14 トラブルシューティング #
このセクションでは、一般的なインストールの問題をいくつか取り上げ、考えられる解決方法について説明します。
14.1 メディアの確認 #
SUSE Linux Enterprise Microのインストールメディアの使用中に問題が発生した場合、整合性をチェックします。メディアからブートし、ブートメニューから › を選択します。最小システムがブートし、チェックするデバイスを選択できます。各デバイスを選択し、 で確定して、チェックを実行します。
実行中のシステムで、YaSTを起動して、
› の順に選択します。メディアを挿入し、 をクリックします。整合性チェックには時間がかかる場合があります。チェック中に問題が検出された場合、インストール用にこのメディアを使用しないでください。たとえば、メディアの問題は、自分でDVDにメディアを書き込んだときに発生する場合があります。メディアを低速(4x)で書き込むと、問題を回避できます。
14.2 ブート可能なドライブが利用不可 #
コンピュータがUSBまたはDVDドライブからブートできない場合には、いくつかの方法があります。
- 外部USBフラッシュドライブまたはDVDドライブの使用
Linuxでは、ほとんどの既存のUSBフラッシュドライブとDVDドライブをサポートします。システムにUSBフラッシュドライブまたはDVDドライブが存在しない場合でも、USB、FireWire、またはSCSIを通じて接続する外部ドライブを使用してシステムをブートできます。問題が発生した場合、ファームウェアアップデートにより解決する場合があります。
- PXE経由のネットワークブート
マシンにUSBフラッシュドライブとDVDドライブの両方がない場合でも、使用可能なEthernet接続がある場合は、ネットワークベースのインストールを実行できます。
- USBフラッシュドライブ
マシンにDVDドライブがない場合やネットワーク接続を行えない場合、USBフラッシュドライブを使用できます。
14.3 インストールメディアからのブートに失敗する #
BIOSのブートシーケンス設定が正しくないため、インストールメディアからのブートに失敗する場合があります。USBフラッシュドライブまたはDVDドライブは、BIOSブートシーケンスの最初の起動デバイスとして設定する必要があります。
ブートルーチンに表示される適切なキーを使用してBIOSを入力します。その後、BIOS画面が表示されるのを待ちます。
AWARD BIOSでブートシーケンスを変更するには、Enterキーを押して確定します。
エントリを探してください。他のメーカでは、 といった違う名前が使用されています。エントリが見つかったら、そのエントリを選択して、Page ↑キーまたはPage ↓キーを押して、設定を変更します。
または と呼ばれるサブエントリを探します。USBフラッシュドライブまたはDVDドライブが最初に表示されるまでEscキーを押してBIOS設定画面を終了します。設定を保存するには、 を選択し、F10キーを押します。変更した設定を保存するには、Yキーを押します。
Ctrl–Aキーを押してセットアップを開きます。
USBフラッシュドライブまたはDVDドライブのSCSI IDをメモします。
Escキーを押して、メニューを閉じます。
Enterキーを押します。
を開きます。 で、 を選択し、USBフラッシュドライブまたはDVDドライブのIDを入力して、Enterキーをもう一度押します。
Escキーを2回押して、SCSI BIOSの起動画面に戻ります。
インストールされているシステムで使用する言語とキーボードレイアウトに関係なく、ほとんどのBIOS設定では、以下に示すUSキーボードレイアウトが使用されます。
14.4 ブートできない #
ハードウェアのタイプによっては(主にかなり旧式かごく最近のタイプ)、ブートが失敗するものもあります。インストールカーネル内でこのタイプのハードウェアのサポートが欠けているか、ある種のハードウェアでドライバの問題が発生している可能性があります。
標準
モードを使用してインストールに失敗した場合は、次の操作を試してください。インストールメディアがドライブにまだ入った状態であれば、Ctrl–Alt–Delを押すか、ハードウェアリセットボタンを使用して、コンピュータを再起動します。
ブート画面が表示されたら、F5キーを押すか、キーボードの矢印キーを使用して、 を探し、Enterキーを押してブートおよびインストールプロセスを開始します。このオプションはACPIの電源管理技術を無効にします。
第12章 「インストール手順」の中での説明に従って、インストールを進めます。
これが失敗する場合、以上で述べた手順の代わりに
を選択してインストール処理を続行します。このオプションはACPIおよびDMAサポートを無効化します。このオプションは、ほとんどのハードウェアで機能します。
両方のオプションが失敗した場合は、ブートパラメータプロンプトを使用してカーネルパラメータを指定し、使用中のハードウェアのサポートを有効にします。ブートパラメータとして使用可能なパラメータの詳細については、/usr/src/linux/Documentation/kernel-parameters.txt
にあるカーネルドキュメントを参照してください。
kernel-source
パッケージをインストールして、カーネルマニュアルを表示します。
ほかにもACPI関連のカーネルパラメータがあります。それらのパラメータは、インストールのために起動する前にブートプロンプトで入力できます。
acpi=off
このパラメータは、コンピュータ上の完全ACPIサブシステムを無効にします。これはコンピュータがACPIを処理できない場合、またはコンピュータのACPIが問題を引き起こしていると考えられる場合に役に立つ可能性があります。
acpi=force
コンピュータに2000より前にリリースされたBIOSがある場合でも、ACPIを常に有効にしてください。また、このパラメータは
acpi=off
が設定されている場合でも、ACPIを有効化します。acpi=noirq
ACPIはIRQルーティングには使用しません。
acpi=ht
hyper-threadingを有効化するのに十分なACPIのみ実行します。
acpi=strict
厳密にはACPI互換ではないプラットフォームに対する耐性が弱くなります。
pci=noacpi
新しいACPIシステムのPCI IRQルーティングを無効にします。
pnpacpi=off
このオプションを有効にすると、BIOSでデバイスリソースが正しく設定されていないことが原因で発生する問題を回避できます。
notsc
タイムスタンプカウンタを無効にします。このオプションを使用して、システムのタイミングについての問題に対処できます。これは最近の機能ですので、コンピュータに特に時間や全面的なハングなどの遅れが見られる場合に、このオプションを試す価値があります。
nohz=off
nohz機能を無効にします。マシンがハングした場合、このオプションを有効にすると役に立ちます。
パラメータの正しい組み合わせを決定したら、システムが次回適切に起動するように、YaSTは自動的にそれらのパラメータをブートローダの設定に書き込みます。
カーネルのロード中、またはインストール中にエラーが発生した場合は、ブートメニューから
を選択し、メモリを確認します。 がエラーを返す場合、これは通常はハードウェアのエラーを示します。14.5 グラフィカルインストーラが起動しない #
マシンがインストールインタフェースで起動し、
を選択しても、グラフィカルインストーラが起動しません。この問題に対処する方法はいくつかあります。
インストールダイアログ用に、他の画面解像度を選択します。
インストール用に
を選択します。VNCを介して、グラフィカルインストーラを使ってリモートインストールを実行します。
インストールのために起動します。
F3キーを押して、インストール用に低解像度を選択するメニューを開きます。
第12章 「インストール手順」の中の説明に従ってインストールを続行します。
を選択し、
インストールのために起動します。
F3キーを押して、 を選択します。
第12章 「インストール手順」の中の説明に従ってインストールを続行します。
を選択し、
インストールのために起動します。
ブートパラメータプロンプトに以下のテキストを入力します。
vnc=1 vncpassword=SOME_PASSWORD
SOME_PASSWORDは、VNCインストール用に使用するパスワードに置き換えます。
Enterキーを押してインストールを開始します。
を選択し、グラフィカルインストールルーチンに入る代わりに、システムは引き続きテキストモードで実行されます。その後、システムは停止し、IPアドレスおよびポート番号が含まれるメッセージが表示されます。ブラウザインタフェースまたはVNCビューアアプリケーションを使用して、このIPアドレスとポート番号でインストーラにアクセスすることができます。
ブラウザを使用してインストーラにアクセスする場合は、ブラウザを起動し、今後SUSE Linux Enterprise Microが実行されるマシン上のインストール手順で提供されたアドレス情報を入力して、Enterキーを押します。
http://IP_ADDRESS_OF_MACHINE:5801
ブラウザウィンドウでは、VNCのパスワードを入力するように要求するダイアログが開かれます。パスワードを入力し、第12章 「インストール手順」の説明に従ってインストールを続行します。
重要: クロスプラットフォーム のサポートVNC経由のインストールでは、Javaサポートが有効化されていれば、オペレーションシステムやブラウザの種類を問いません。
プロンプトが表示されたら、VNCビューアにIPアドレスとパスワードを入力します。インストールダイアログを表示するウィンドウが開きます。通常のようにインストールを続行します。
14.6 最小ブート画面のみが表示される #
メディアをドライブに挿入すると、BIOSルーチンが終了し、システムは最小限のテキストベースのインタフェースを起動します。これは、グラフィカルブート画面を表示するのに十分なグラフィックメモリを持っていないマシンを使用する場合に起こる可能性があります。
テキストのブート画面は最小限に見えますが、グラフィカルブート画面が提供する機能とほぼ同じものを提供します。
- ブートオプション
グラフィカルインタフェースとは違い、キーボードのカーソルキーを使って異なるブートパラメータを選択することはできません。テキストモードブート画面のブートメニューには、ブートプロンプトで入力できるキーワードがあります。これらのキーワードは、グラフィックバージョンのオプションと一致します。任意のキーワードを入力し、Enterキーを押して、ブートプロセスを起動します。
- カスタムブートオプション
ブートパラメータを選択した後、ブートプロンプトで適切なキーワードを入力するか、14.4項 「ブートできない」で説明されているカスタムパラメータを入力します。インストールプロセスを起動するには、Enterキーを押します。
- 画面解像度
ファンクションキー(F1 ... F12)を使用して、インストールに使用する画面解像度を決定します。テキストモードで起動する必要がある場合は、F3キーを選択します。
A GNU licenses #
This appendix contains the GNU Free Documentation License version 1.2.
GNU Free Documentation License #
Copyright (C) 2000, 2001, 2002 Free Software Foundation, Inc. 51 Franklin St, Fifth Floor, Boston, MA 02110-1301 USA. Everyone is permitted to copy and distribute verbatim copies of this license document, but changing it is not allowed.
0. PREAMBLE #
The purpose of this License is to make a manual, textbook, or other functional and useful document "free" in the sense of freedom: to assure everyone the effective freedom to copy and redistribute it, with or without modifying it, either commercially or non-commercially. Secondarily, this License preserves for the author and publisher a way to get credit for their work, while not being considered responsible for modifications made by others.
This License is a kind of "copyleft", which means that derivative works of the document must themselves be free in the same sense. It complements the GNU General Public License, which is a copyleft license designed for free software.
We have designed this License to use it for manuals for free software, because free software needs free documentation: a free program should come with manuals providing the same freedoms that the software does. But this License is not limited to software manuals; it can be used for any textual work, regardless of subject matter or whether it is published as a printed book. We recommend this License principally for works whose purpose is instruction or reference.
1. APPLICABILITY AND DEFINITIONS #
This License applies to any manual or other work, in any medium, that contains a notice placed by the copyright holder saying it can be distributed under the terms of this License. Such a notice grants a world-wide, royalty-free license, unlimited in duration, to use that work under the conditions stated herein. The "Document", below, refers to any such manual or work. Any member of the public is a licensee, and is addressed as "you". You accept the license if you copy, modify or distribute the work in a way requiring permission under copyright law.
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The "Cover Texts" are certain short passages of text that are listed, as Front-Cover Texts or Back-Cover Texts, in the notice that says that the Document is released under this License. A Front-Cover Text may be at most 5 words, and a Back-Cover Text may be at most 25 words.
A "Transparent" copy of the Document means a machine-readable copy, represented in a format whose specification is available to the general public, that is suitable for revising the document straightforwardly with generic text editors or (for images composed of pixels) generic paint programs or (for drawings) some widely available drawing editor, and that is suitable for input to text formatters or for automatic translation to a variety of formats suitable for input to text formatters. A copy made in an otherwise Transparent file format whose markup, or absence of markup, has been arranged to thwart or discourage subsequent modification by readers is not Transparent. An image format is not Transparent if used for any substantial amount of text. A copy that is not "Transparent" is called "Opaque".
Examples of suitable formats for Transparent copies include plain ASCII without markup, Texinfo input format, LaTeX input format, SGML or XML using a publicly available DTD, and standard-conforming simple HTML, PostScript or PDF designed for human modification. Examples of transparent image formats include PNG, XCF and JPG. Opaque formats include proprietary formats that can be read and edited only by proprietary word processors, SGML or XML for which the DTD and/or processing tools are not generally available, and the machine-generated HTML, PostScript or PDF produced by some word processors for output purposes only.
The "Title Page" means, for a printed book, the title page itself, plus such following pages as are needed to hold, legibly, the material this License requires to appear in the title page. For works in formats which do not have any title page as such, "Title Page" means the text near the most prominent appearance of the work's title, preceding the beginning of the body of the text.
A section "Entitled XYZ" means a named subunit of the Document whose title either is precisely XYZ or contains XYZ in parentheses following text that translates XYZ in another language. (Here XYZ stands for a specific section name mentioned below, such as "Acknowledgements", "Dedications", "Endorsements", or "History".) To "Preserve the Title" of such a section when you modify the Document means that it remains a section "Entitled XYZ" according to this definition.
The Document may include Warranty Disclaimers next to the notice which states that this License applies to the Document. These Warranty Disclaimers are considered to be included by reference in this License, but only as regards disclaiming warranties: any other implication that these Warranty Disclaimers may have is void and has no effect on the meaning of this License.
2. VERBATIM COPYING #
You may copy and distribute the Document in any medium, either commercially or non-commercially, provided that this License, the copyright notices, and the license notice saying this License applies to the Document are reproduced in all copies, and that you add no other conditions whatsoever to those of this License. You may not use technical measures to obstruct or control the reading or further copying of the copies you make or distribute. However, you may accept compensation in exchange for copies. If you distribute a large enough number of copies you must also follow the conditions in section 3.
You may also lend copies, under the same conditions stated above, and you may publicly display copies.
3. COPYING IN QUANTITY #
If you publish printed copies (or copies in media that commonly have printed covers) of the Document, numbering more than 100, and the Document's license notice requires Cover Texts, you must enclose the copies in covers that carry, clearly and legibly, all these Cover Texts: Front-Cover Texts on the front cover, and Back-Cover Texts on the back cover. Both covers must also clearly and legibly identify you as the publisher of these copies. The front cover must present the full title with all words of the title equally prominent and visible. You may add other material on the covers in addition. Copying with changes limited to the covers, as long as they preserve the title of the Document and satisfy these conditions, can be treated as verbatim copying in other respects.
If the required texts for either cover are too voluminous to fit legibly, you should put the first ones listed (as many as fit reasonably) on the actual cover, and continue the rest onto adjacent pages.
If you publish or distribute Opaque copies of the Document numbering more than 100, you must either include a machine-readable Transparent copy along with each Opaque copy, or state in or with each Opaque copy a computer-network location from which the general network-using public has access to download using public-standard network protocols a complete Transparent copy of the Document, free of added material. If you use the latter option, you must take reasonably prudent steps, when you begin distribution of Opaque copies in quantity, to ensure that this Transparent copy will remain thus accessible at the stated location until at least one year after the last time you distribute an Opaque copy (directly or through your agents or retailers) of that edition to the public.
It is requested, but not required, that you contact the authors of the Document well before redistributing any large number of copies, to give them a chance to provide you with an updated version of the Document.
4. MODIFICATIONS #
You may copy and distribute a Modified Version of the Document under the conditions of sections 2 and 3 above, provided that you release the Modified Version under precisely this License, with the Modified Version filling the role of the Document, thus licensing distribution and modification of the Modified Version to whoever possesses a copy of it. In addition, you must do these things in the Modified Version:
Use in the Title Page (and on the covers, if any) a title distinct from that of the Document, and from those of previous versions (which should, if there were any, be listed in the History section of the Document). You may use the same title as a previous version if the original publisher of that version gives permission.
List on the Title Page, as authors, one or more persons or entities responsible for authorship of the modifications in the Modified Version, together with at least five of the principal authors of the Document (all of its principal authors, if it has fewer than five), unless they release you from this requirement.
State on the Title page the name of the publisher of the Modified Version, as the publisher.
Preserve all the copyright notices of the Document.
Add an appropriate copyright notice for your modifications adjacent to the other copyright notices.
Include, immediately after the copyright notices, a license notice giving the public permission to use the Modified Version under the terms of this License, in the form shown in the Addendum below.
Preserve in that license notice the full lists of Invariant Sections and required Cover Texts given in the Document's license notice.
Include an unaltered copy of this License.
Preserve the section Entitled "History", Preserve its Title, and add to it an item stating at least the title, year, new authors, and publisher of the Modified Version as given on the Title Page. If there is no section Entitled "History" in the Document, create one stating the title, year, authors, and publisher of the Document as given on its Title Page, then add an item describing the Modified Version as stated in the previous sentence.
Preserve the network location, if any, given in the Document for public access to a Transparent copy of the Document, and likewise the network locations given in the Document for previous versions it was based on. These may be placed in the "History" section. You may omit a network location for a work that was published at least four years before the Document itself, or if the original publisher of the version it refers to gives permission.
For any section Entitled "Acknowledgements" or "Dedications", Preserve the Title of the section, and preserve in the section all the substance and tone of each of the contributor acknowledgements and/or dedications given therein.
Preserve all the Invariant Sections of the Document, unaltered in their text and in their titles. Section numbers or the equivalent are not considered part of the section titles.
Delete any section Entitled "Endorsements". Such a section may not be included in the Modified Version.
Do not retitle any existing section to be Entitled "Endorsements" or to conflict in title with any Invariant Section.
Preserve any Warranty Disclaimers.
If the Modified Version includes new front-matter sections or appendices that qualify as Secondary Sections and contain no material copied from the Document, you may at your option designate some or all of these sections as invariant. To do this, add their titles to the list of Invariant Sections in the Modified Version's license notice. These titles must be distinct from any other section titles.
You may add a section Entitled "Endorsements", provided it contains nothing but endorsements of your Modified Version by various parties--for example, statements of peer review or that the text has been approved by an organization as the authoritative definition of a standard.
You may add a passage of up to five words as a Front-Cover Text, and a passage of up to 25 words as a Back-Cover Text, to the end of the list of Cover Texts in the Modified Version. Only one passage of Front-Cover Text and one of Back-Cover Text may be added by (or through arrangements made by) any one entity. If the Document already includes a cover text for the same cover, previously added by you or by arrangement made by the same entity you are acting on behalf of, you may not add another; but you may replace the old one, on explicit permission from the previous publisher that added the old one.
The author(s) and publisher(s) of the Document do not by this License give permission to use their names for publicity for or to assert or imply endorsement of any Modified Version.
5. COMBINING DOCUMENTS #
You may combine the Document with other documents released under this License, under the terms defined in section 4 above for modified versions, provided that you include in the combination all of the Invariant Sections of all of the original documents, unmodified, and list them all as Invariant Sections of your combined work in its license notice, and that you preserve all their Warranty Disclaimers.
The combined work need only contain one copy of this License, and multiple identical Invariant Sections may be replaced with a single copy. If there are multiple Invariant Sections with the same name but different contents, make the title of each such section unique by adding at the end of it, in parentheses, the name of the original author or publisher of that section if known, or else a unique number. Make the same adjustment to the section titles in the list of Invariant Sections in the license notice of the combined work.
In the combination, you must combine any sections Entitled "History" in the various original documents, forming one section Entitled "History"; likewise combine any sections Entitled "Acknowledgements", and any sections Entitled "Dedications". You must delete all sections Entitled "Endorsements".
6. COLLECTIONS OF DOCUMENTS #
You may make a collection consisting of the Document and other documents released under this License, and replace the individual copies of this License in the various documents with a single copy that is included in the collection, provided that you follow the rules of this License for verbatim copying of each of the documents in all other respects.
You may extract a single document from such a collection, and distribute it individually under this License, provided you insert a copy of this License into the extracted document, and follow this License in all other respects regarding verbatim copying of that document.
7. AGGREGATION WITH INDEPENDENT WORKS #
A compilation of the Document or its derivatives with other separate and independent documents or works, in or on a volume of a storage or distribution medium, is called an "aggregate" if the copyright resulting from the compilation is not used to limit the legal rights of the compilation's users beyond what the individual works permit. When the Document is included in an aggregate, this License does not apply to the other works in the aggregate which are not themselves derivative works of the Document.
If the Cover Text requirement of section 3 is applicable to these copies of the Document, then if the Document is less than one half of the entire aggregate, the Document's Cover Texts may be placed on covers that bracket the Document within the aggregate, or the electronic equivalent of covers if the Document is in electronic form. Otherwise they must appear on printed covers that bracket the whole aggregate.
8. TRANSLATION #
Translation is considered a kind of modification, so you may distribute translations of the Document under the terms of section 4. Replacing Invariant Sections with translations requires special permission from their copyright holders, but you may include translations of some or all Invariant Sections in addition to the original versions of these Invariant Sections. You may include a translation of this License, and all the license notices in the Document, and any Warranty Disclaimers, provided that you also include the original English version of this License and the original versions of those notices and disclaimers. In case of a disagreement between the translation and the original version of this License or a notice or disclaimer, the original version will prevail.
If a section in the Document is Entitled "Acknowledgements", "Dedications", or "History", the requirement (section 4) to Preserve its Title (section 1) will typically require changing the actual title.
9. TERMINATION #
You may not copy, modify, sublicense, or distribute the Document except as expressly provided for under this License. Any other attempt to copy, modify, sublicense or distribute the Document is void, and will automatically terminate your rights under this License. However, parties who have received copies, or rights, from you under this License will not have their licenses terminated so long as such parties remain in full compliance.
10. FUTURE REVISIONS OF THIS LICENSE #
The Free Software Foundation may publish new, revised versions of the GNU Free Documentation License from time to time. Such new versions will be similar in spirit to the present version, but may differ in detail to address new problems or concerns. See https://www.gnu.org/copyleft/.
Each version of the License is given a distinguishing version number. If the Document specifies that a particular numbered version of this License "or any later version" applies to it, you have the option of following the terms and conditions either of that specified version or of any later version that has been published (not as a draft) by the Free Software Foundation. If the Document does not specify a version number of this License, you may choose any version ever published (not as a draft) by the Free Software Foundation.
ADDENDUM: How to use this License for your documents #
Copyright (c) YEAR YOUR NAME. Permission is granted to copy, distribute and/or modify this document under the terms of the GNU Free Documentation License, Version 1.2 or any later version published by the Free Software Foundation; with no Invariant Sections, no Front-Cover Texts, and no Back-Cover Texts. A copy of the license is included in the section entitled “GNU Free Documentation License”.
If you have Invariant Sections, Front-Cover Texts and Back-Cover Texts, replace the “with...Texts.” line with this:
with the Invariant Sections being LIST THEIR TITLES, with the Front-Cover Texts being LIST, and with the Back-Cover Texts being LIST.
If you have Invariant Sections without Cover Texts, or some other combination of the three, merge those two alternatives to suit the situation.
If your document contains nontrivial examples of program code, we recommend releasing these examples in parallel under your choice of free software license, such as the GNU General Public License, to permit their use in free software.