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適用項目 SUSE Linux Enterprise Server 15 SP2

5 YaSTオンラインアップデート

SUSEはお買い上げの製品に対し、継続的にソフトウェアセキュリティのアップデートを提供します。デフォルトでは、システムを最新の状態に維持するために更新アプレットが使用されます。アップデートアプレットの詳細については、19.5項 「GNOMEパッケージアップデータ」を参照してください。この章では、ソフトウェアパッケージをアップデートする代替ツールとして、YaSTオンラインアップデートを紹介します。

SUSE® Linux Enterprise Serverの現在のパッチは、アップデートソフトウェアリポジトリから入手できます。インストール時に製品を登録した場合、アップデートリポジトリはすでに設定されています。SUSE Linux Enterprise Serverを登録していない場合は、YaSTで製品登録を起動して登録できます。または、信頼できるソースから、手動でアップデートリポジトリを追加することもできます。リポジトリを追加または削除するには、YaSTで、ソフトウェア › ソフトウェアリポジトリの順に選択して、リポジトリマネージャを起動します。リポジトリマネージャの詳細については、19.4項 「ソフトウェアリポジトリおよびサービスの操作」を参照してください。

注記
注記: アップデートカタログのアクセス時のエラー

アップデートカタログにアクセスできない場合、登録の期限が切れている場合があります。通常、SUSE Linux Enterprise Serverには1年または3年の登録期間があり、この期間内はアップデートカタログにアクセスできます。このアクセスは登録期間が切れると拒否されます。

アップデートカタログへのアクセスが拒否される場合は、SUSEカスタマセンターにアクセスして登録を確認することを推奨する警告メッセージが表示されます。SUSEカスタマーセンターには、https://scc.suse.com//でアクセスできます。

SUSEは、各種の関連性レベルを持つアップデートを提供します。

セキュリティアップデート

セキュリティアップデートは、重大なセキュリティハザードを修復するので、必ずインストールする必要があります。

推奨アップデート

コンピュータに損害を与える可能性のある問題を修復します。

オプションアップデート

セキュリティに関連しない問題を修復したり、拡張機能を提供します。

5.1 オンライン更新ダイアログ

オンライン更新ダイアログを開くには、YaSTを起動し、ソフトウェア › オンライン更新の順に選択します。または、yast2 online_updateで、コマンドラインからオンラインアップデートを開始します。

オンラインアップデートウィンドウは、4つのセクションから成り立っています。

YaSTオンラインアップデート
図 5.1: YaSTオンラインアップデート

左側の概要セクションには、SUSE Linux Enterprise Serverの使用可能なパッチが一覧にされます。パッチはセキュリティの関連性によってソートされます(securityrecommended、およびoptional)。概要セクションのビューは、パッチのカテゴリを表示から、以下のオプションの1つを選択することによって変更できます。

Needed Patches(デフォルトビュー)

システムにインストールされたパッケージに適用される、インストールされなかったパッチ。

Unneeded Patches

システムにインストールされていないパッケージに適用されるパッチか、または(該当するセキュリティがすでに別のソースで更新されたので)要件がすでに満たされているパッチ。

すべてのパッチ

SUSE Linux Enterprise Serverで使用可能なすべてのパッチ。

概要セクションの各リストエントリは、記号とパッチ名で構成されています。可能な記号とそれらの意味の概要については、ShiftF1を押してください。SecurityパッチおよびRecommendedパッチで要求されるアクションは、自動的に設定されます。アクションは、自動インストール自動更新、および自動削除です。

アップデートリポジトリ以外のリポジトリから最新のパッケージをインストールする場合、そのパッケージのパッチ要件はそのインストールで満たされる場合があります。この場合、パッチ概要の前にチェックマークが表示されます。パッチは、インストール用にマークするまでリストに表示されます。これによってパッチは実際にはインストールされませんが(パッチはすでに最新であるため)、インストール済みとしてパッチをマークします。

概要セクションでエントリを選択すると、ダイアログの左下隅に短いパッチの説明が表示されます。左上のセクションには、選択されたパッチに含まれているパッケージが一覧されます(パッチは複数のパッケージから成ることがあります)。右上のセクションでエントリをクリックすると、パッチに含まれている各パッケージの詳細が表示されます。

5.2 パッチのインストール

YaSTオンラインアップデートのダイアログでは、すべての利用可能なパッチを一度にインストールしたり、システムに適用したいパッチを手動で選択したりできます。システムに適用済みのパッチを元に戻すこともできます。

デフォルトでは、お使いのシステムで現在使用できる新しいパッチ(ただし、optional以外) はすべて、すでにインストール用にマークされています。受諾または適用をクリックすると、これらのパッチが自動的に適用されます。1つまたは複数のパッチでシステムの再起動が必要な場合、パッチのインストールが開始される前にその旨が通知されます。選択したパッチのインストールを続行し、再起動が必要なすべてのパッチのインストールをスキップしてして残りをインストールするか、パッチの手動選択に戻ることを決定できます。

手順 5.1: YaSTオンラインアップデートによるパッチの適用
  1. YaSTを起動して、ソフトウェア › オンライン更新の順に選択します。

  2. システムで現在使用可能なすべての新しいパッチ(ただし、optional以外)を自動的に適用するには、適用または受諾をクリックします。

  3. まず、適用したいパッチの選択を変更します。

    1. インタフェースが提供する各フィルタとビューを使用します。詳細については、5.1項 「オンライン更新ダイアログ」を参照してください。

    2. ニーズと好みに従ってパッチを選択または選択解除するには、パッチを右クリックしてコンテキストメニューから各アクションを選択します。

      重要
      重要: セキュリティアップデートは必ず適用する

      十分な理由がない限り、security関係のパッチは選択解除しないでください。これらのパッチは、重大なセキュリティハザードを修復し、システムの悪用を防ぎます。

    3. 大部分のパッチには、複数のパッケージのアップデートが含まれています。単一パッケージに対するアクションを変更するには、パッケージビューでパッケージを右クリックしてアクションを選択します。

    4. 選択内容を確認し、選択したパッチを適用するには、適用または受諾をクリックして続行します。

  4. インストールの完了後、完了をクリックして、YaSTのオンライン更新を終了します。これで、システムが最新の状態になりました。

5.3 自動オンラインアップデート

YaSTを使用して、毎日、毎週、または毎月のスケジュールで自動アップデートを設定できます。yast2-online-update-configurationパッケージをインストールします。

デフォルトでは、アップデートは、デルタRPMとしてダウンロードされます。デルタRPMからのRPMパッケージの再構築は、メモリとプロセッサを集中的に使用するので、セットアップまたはハードウェア構成によっては、パフォーマンス上の理由によりデルタRPMの使用を無効にする必要があります。

一部のパッチ(カーネルのアップデートやライセンス契約を必要とするパッケージなど)ではユーザによる操作が必要で、これによって自動アップデート手順が停止します。ユーザによる操作が必要なパッチをスキップするよう設定できます。

YaST ソフトウェアモジュールのパッチタブを使用して、バグレポートやCVE掲示への参照を含む、使用可能なパッチ、インストール済みのパッチを確認できます。

手順 5.2: 自動オンラインアップデートの設定
  1. インストール後、YaSTを起動し、ソフトウェア › オンライン更新の順に選択します。環境設定 › オンライン更新の順に選択します。 yast2-online-update-configuration がインストールされていない場合、インストールするように求められます。

    YaSTオンライン更新設定
    図 5.2: YaSTオンライン更新設定

    または、コマンドラインから、yast2 online_update_configurationを使用してモジュールを起動します。

  2. 更新間隔として毎日毎週、または毎月を選択します。

  3. パッチで重要なサービスを再起動する際などに、管理者の注意が必要な場合があります。たとえば、すべてのコンテナの再起動が必要なDocker Open Source Engineのアップデートの場合などです。これらのパッチをインストールする前に、ユーザはその結果について知らされ、パッチのインストールの確認を求められます。このようなパッチは対話操作が必要な修正と呼ばれます。

    パッチを自動的にインストールする場合は、対話操作が必要な修正のインストールを了承しているとみなされます。インストールする前にこれらのパッチを確認する場合は、対話操作が必要な修正を飛ばすを選択します。この場合、自動的なパッチ適用中に対話操作が必要な修正は飛ばされます。手動オンラインアップデートを定期的に行って、対話操作が必要な修正がインストールを待機しているかどうかを確認します。

  4. ライセンス契約を自動的に受諾するには、ライセンスに同意するを有効にします。

  5. アップデートパッケージによって推奨されるすべてのパッケージを自動的にインストールするには、Include Recommended Packagesを有効にします。

  6. デルタRPMの使用を無効にするには(パフォーマンス上の理由)、delta rpmを使用するを無効にします。

  7. セキュリティや推奨など、カテゴリ別にパッチをフィルタリングするには、分類によるフィルタを有効にしてリストから適切なカテゴリを追加します。選択したカテゴリのパッチのみがインストールされます。自動的にセキュリティアップデートのみを有効にして、その他すべてを手動で確認することをお勧めします。パッチの適用は常に信頼できますが、セキュリティ以外のパッチをテストし、問題がある場合はロールバックすることもできます。

    • パッケージマネージャとYaSTでは、パッケージ管理および、YaST機能とモジュール用のパッチを提供します。

    • セキュリティパッチでは、重要なアップデートとバグ修正を提供します。

    • 推奨パッチは、オプションのバグ修正と拡張です。

    • オプションは新しいパッケージです。

    • その他はその他に相当します。

    • ドキュメントは使用されていません。

  8. OKをクリックして設定を確認します。

自動オンラインアップデートでは、システムは後で自動的には再起動されません。システムの再起動が必要なシステムの更新がある場合は、手動で再起動する必要があります。