目次にジャンプページナビゲーションにジャンプ: 前のページ[アクセスキーp]/次のページ[アクセスキーn]
documentation.suse.com / SUSE Linux Enterprise Serverマニュアル / 導入ガイド / 初期のシステム設定 / ソフトウェアをインストールまたは削除する
適用項目 SUSE Linux Enterprise Server 15 SP2

19 ソフトウェアをインストールまたは削除する

YaSTのソフトウェア管理ツールを使用して、追加または削除するソフトウェアコンポーネントを検索します。YaSTでは、すべての依存関係を自動的に解決できます。インストールメディアに付属していないパッケージをインストールするには、ソフトウェアリポジトリをセットアップに追加して、それをYaSTで管理できるようにします。アップデートアプレットでソフトウェアの更新を管理することで、システムを最新の状態に保ちます。

YaSTのソフトウェアマネージャでシステムのソフトウェアコレクションを変更します。このYaSTモジュールには、X Window向けのグラフィックバージョンとコマンドライン向けのテキストベースバージョンの2種類があります。ここではグラフィックバージョンについて説明します。テキストベースのYaSTについては第4章 「テキストモードのYaSTを参照してください。

注記
注記: 変更の確認とレビュー

パッケージのインストール、更新、または削除を行う場合、ソフトウェアマネージャでの変更は、了解または適用で確認後にだけ適用されます。YaSTでは、すべてのアクションを記録したリストが保持されているので、変更内容をシステムに適用する前に、それらを確認し、必要に応じて変更できます。

19.1 用語の定義

SUSE Linux Enterprise Serverでのソフトウェアのインストールと削除に精通するには、次の用語を理解しておく必要があります。

リポジトリ

パッケージとそのパッケージに関する追加情報(パッケージメタデータ)を保存しているローカルディレクトリまたはリモートディレクトリ。

(リポジトリの)エイリアス/リポジトリ名

リポジトリの短い名前(Zypperではエイリアスと呼び、YaSTではリポジトリ名と呼びます)。これは、リポジトリを追加するときにユーザが選択できますが、固有の名前とする必要があります。

リポジトリ記述ファイル

各リポジトリは、リポジトリのコンテンツ(パッケージ名、バージョンなど)を説明したファイルを提供します。これらのリポジトリ記述ファイルは、YaSTで使用するローカルキャッシュにダウンロードされます。

製品

SUSE® Linux Enterprise Serverなどの製品全体を指します。

パターン

パターンは、特定の用途専用に設計されたパッケージのインストール可能なグループです。たとえば、Laptopパターンには、モバイルコンピューティング環境で必要なすべてのパッケージが含まれています。パターンは、パッケージ依存関係を定義し(必須パッケージや推奨パッケージなど)、インストール用としてマークされたパッケージが事前選択されている状態で提供されます。これによって、特定の用途に必要な最も重要なパッケージが、パターンのインストール後にシステムで使用可能になります。パターン内のパッケージは、必要に応じて手動で選択または選択解除できます。

パッケージ

パッケージは、rpm形式の圧縮ファイルであり、特定のプログラムのファイルを含んでいます。

パッチ

パッチは、1つ以上のパッケージから成り、デルタRPMで適用できます。また、まだインストールされていないパッケージへの依存関係を導入することもあります。

解決可能

製品、パターン、パッケージ、またはパッチに関する一般的な用語。最も一般に使用される解決可能なタイプは、パッケージまたはパッチです。

デルタRPM

デルタRPMは、パッケージに定義された2つのバージョンどうしのバイナリ差分のみで構成されているので、ダウンロードサイズが最小限ですみます。インストールの前に、RPMのフルパッケージがローカルコンピュータ上で再構築されます。

パッケージの依存関係

一定のパッケージは、共有ライブラリなどの他のパッケージに依存しています。言い換えれば、パッケージの中には、他のパッケージを必須としているものがあります。このようなパッケージは、必須パッケージがないとインストールできません。必須の依存関係(パッケージ要件)のほか、他のパッケージを推奨としているパッケージもあります。これらの推奨されているパッケージは、実際に利用できる場合にのみインストールされます。利用できない場合は無視されますが、それらを推奨パッケージとしているパッケージはインストールできます。

19.2 インストール済みシステムの登録

インストール時に登録を飛ばした場合やシステムの再登録が必要な場合、いつでもシステム登録を行えます。その際には、YaSTモジュール[製品の登録]を使用するか、コマンドラインツールSUSEConnectを使用します。

19.2.1 YaSTでの登録

システムを登録するには、YaSTを起動してソフトウェアに切り替え、製品の登録を選択します。

デフォルトでは、SUSE Customer Centerにシステムを登録します。組織でローカル登録サーバが提供されている場合は、自動検出されたサーバのリストからいずれかのサーバを選択できます。または、手動でURLを指定してください。

19.2.2 SUSEConnectを使用した登録

コマンドラインから登録するには、次のコマンドを使用します。

tux > sudo SUSEConnect -r REGISTRATION_CODE -e EMAIL_ADDRESS

REGISTRATION_CODEは、SUSE Linux Enterprise Serverと一緒に受け取った登録コードで置き換えます。EMAIL_ADDRESSは、各自または各自の組織が登録の管理に使用しているSUSEアカウントに関連付けられた電子メールアドレスで置き換えます。

ローカル登録サーバで登録するには、次のようにサーバへのURLも入力します。

tux > sudo SUSEConnect -r REGISTRATION_CODE -e EMAIL_ADDRESS --url "URL"

19.3 YaSTソフトウェアマネージャの使用

ソフトウェア › ソフトウェアマネージャの順に選択して、YaSTコントロールセンターからソフトウェアマネージャを起動します。

Image

19.3.2 パッケージまたはパターンのインストールと削除

一定のパッケージは、共有ライブラリなどの他のパッケージに依存しています。一方、システム上で他のパッケージと共存できないパッケージもあります。これらの依存関係や競合の解決が可能な場合は、YaSTによって自動的に解決されます。選択によって、自動的に解決できない依存関係の競合が発生した場合は、19.3.4項 「パッケージの依存関係」の説明に従って、競合を手動で解決する必要があります。

注記
注記: パッケージの削除

パッケージを削除する場合、デフォルトでは、選択したパッケージのみが削除されます。指定したパッケージの削除に伴って不要になる他のすべてのパッケージもYaSTで削除できるようにするには、メインメニューでオプション › パッケージの削除時にクリーンアップするの順に選択します。

  1. パッケージを検索します(19.3.1項 「パッケージまたはパターンの検索用ビュー」参照)。

  2. 検出されたパッケージは、右側のペインに一覧されます。パッケージをインストールまたは削除するには、パッケージを右クリックして、インストールまたは削除を選択します。該当するオプションがない場合は、パッケージ名の先頭に表示された記号で示されているパッケージステータスを確認し、ShiftF1を押してヘルプを表示します。

    ヒント
    ヒント: 一覧されたすべてのパッケージにアクションを適用する方法

    右ペインに一覧表示されたすべてのパッケージにアクションを適用するには、メインメニューに移動し、パッケージ › このリスト内のすべての順に選択してアクションを選択します。

  3. パターンをインストールするには、パターン名を右クリックして、インストールを選択します。

  4. パターンを削除することはできません。代わりに、削除したいパターンのパッケージを選択し、それらを削除用にマークします。

  5. さらにパッケージを選択するには、上記の手順を繰り返します。

  6. 変更を適用する前に、表示 › インストールの概要 の順にクリックすると、変更内容をレビューまたは変更できます。デフォルトでは、ステータスを変更するすべてのパッケージが一覧されます。

  7. パッケージの状態を元に戻すには、パッケージを右クリックし、次のエントリの1つを選択します。つまり、パッケージの削除または更新が予定されている場合は保持を選択し、パッケージのインストールが予定されている場合はインストールしないを選択します。すべての変更を破棄し、ソフトウェアマネージャを終了するには、キャンセル中止をクリックします。

  8. 完了したら、受諾をクリックして、変更を適用します。

  9. YaSTで他のパッケージへの依存関係が検出された場合は、インストール、更新、または削除の対象として追加で選択されているパッケージが一覧表示されます。続行をクリックして、それらを受け入れます。

    選択されているすべてのパッケージのインストール、更新、または削除が完了すると、YaSTソフトウェアマネージャが自動的に終了します。

注記
注記: ソースパッケージのインストール

現時点では、YaSTソフトウェアマネージャを使用してソースパッケージをインストールすることはできません。このためには、コマンドラインツールzypperを使用します。詳細については、6.1.3.5項 「ソースパッケージのインストールまたはダウンロード」を参照してください。

19.3.3 パッケージの更新

個々のパッケージを更新する代わりに、インストールされているすべてのパッケージまたは特定リポジトリのすべてのパッケージを更新することもできます。パッケージの大量更新時には、一般に、次の側面を考慮します:

  • パッケージを提供するリポジトリの優先順位、

  • パッケージのアーキテクチャ(たとえば、AMD64/Intel 64)、

  • パッケージのバージョン番号、

  • パッケージのベンダ。

更新の候補を選択する上でどの側面が最も重要であるかは、選択する個々の更新オプションに依存します。

  1. インストール済みのすべてのパッケージを最新バージョンに更新するには、メインメニューから、パッケージ › すべてのパッケージ › 新しいバージョンがあれば更新するの順に選択します。

    一定のポリシーを使用して、使用できる更新候補がないかどうか、すべてのリポジトリがチェックされます。このポリシーでは、まずYaSTによる検索範囲を、インストール済みのパッケージと同じアーキテクチャおよびベンダのパッケージに限定します。検索でパッケージが見つかると、以下のプロセスに従って、見つかったパッケージから最良の更新候補が選択されます。ただし、同じベンダの同類のパッケージが見つからない場合は、同じアーキテクチャのすべてのパッケージに検索が拡大されます。それでも同類のパッケージが見つからない場合は、すべてのパッケージが対象となり、次の基準に従って、最良の更新候補が選択されます。

    1. リポジトリの優先度: 最高の優先度をもつリポジトリからのパッケージを優先します。

    2. この基準で複数のパッケージが選択された場合は、アーキテクチャが最良であるパッケージが選択されます。(最良のアーキテクチャとは、インストール済みパッケージのアーキテクチャと同一のアーキテクチャです)。

    選択したパッケージのバージョンがインストール済みパッケージのバージョン番号より高い場合は、インストール済みパッケージが選択した更新候補で更新および置換されます。

    このオプションでは、インストール済みパッケージのアーキテクチャとベンダを変更しないようにしていますが、特定の条件下では、それらは許容されます。

    注記
    注記: 強制的に更新する

    代わりに、パッケージ › すべてのパッケージ › 強制的に更新するの順に選択すると、適用される基準は同じですが、検出された候補パッケージは無条件でインストールされます。したがって、このオプションを選択すると、実際には、一部のパッケージがダウングレードすることがあります。

  2. 大量更新用パッケージを特定のリポジトリからのパッケージにするには:

    1. 19.3.1項 「パッケージまたはパターンの検索用ビュー」の説明に従って、更新に使用するリポジトリを選択します。

    2. ウィンドウの右側で、システムパッケージをこのリポジトリ内のバージョンに切り替えるをクリックします。この設定は、パッケージを入れ替えるときにパッケージベンダを変更することをYaSTに対して明示的に許可します。

      了解で続行すると、すべてのインストール済みパッケージが、このリポジトリ(使用可能な場合)からのパッケージで置換されます。これによって、ベンダとアーキテクチャが変更され、一部のパッケージがダウングレードすることがあります。

    3. これを回避するには、システムパッケージをこのリポジトリ内のバージョンに切り替えることをキャンセルするをクリックします。ただし、このキャンセルは、了解ボタンをクリックする前にしかできません。

  3. 変更を適用する前に、表示 › インストールの概要 の順にクリックすると、変更内容をレビューまたは変更できます。デフォルトでは、ステータスを変更するすべてのパッケージが一覧されます。

  4. すべてのオプションを好みどおりに設定したら、受諾で変更内容を確認して大量更新を開始します。

19.3.4 パッケージの依存関係

ほとんどのパッケージは、他のパッケージに依存しています。たとえば、共有ライブラリを使用するパッケージは、そのライブラリを提供するパッケージに依存します。一方、共存できないパッケージがあり、競合を引き起こします。たとえば、メール転送エージェント(sendmailまたはpostfix)は、1つしかインストールできません。ソフトウェアのインストールまたは削除時には、ソフトウェアマネージャが未解決のままの依存関係や競合が残っていないことを確認してシステムの整合性を確保します。

依存関係や競合の解決に1つのソリューションしかない場合は、その依存関係や競合は自動的に解決されます。複数のソリューションがあると必ず、手動で解決する必要のある競合が発生します。競合の解決にベンダやアーキテクチャの変更が必要な場合も、手動で解決する必要があります。受諾をクリックして、ソフトウェアマネージャで変更を適用すると、自動リゾルバでトリガされたすべてのアクションの概要が表示され、確認を要求されます。

依存関係は、デフォルトで、自動的にチェックされます。パッケージのステータスを変更するたびに(たとえば、パッケージをインストールまたは削除用にマークする)、チェックが実行されます。これは、一般的には便利ですが、依存関係の競合を手動で解決する際にはわずらわしくなることがあります。この機能を無効にするには、メインメニューに移動して依存関係 › 自動確認の選択を無効にします。依存関係の確認は、依存関係 › 今すぐ確認の順に選択して手動で実行します。整合性の確認は、受諾をクリックして選択を確定すると、必ず実行されます。

パッケージの依存関係をレビューするには、パッケージを右クリックし、解決器の情報表示を選択します。依存関係を示すマップが開きます。すでにインストールされているパッケージは、緑の枠内に表示されます。

注記
注記: パッケージ競合の手動解決

競合の処理に精通していない限り、パッケージの競合を処理する場合は、YaSTによる指示に従うようにします。そうしないと、競合を解決できないことがあります。行った変更はいずれも他の競合をトリガする可能性があり、結局、競合の数は確実に増加することに留意してください。このようになった場合は、キャンセルでソフトウェアマネージャをキャンセルし、すべての変更を中止で破棄して、やり直します。

ソフトウェアマネージャの競合管理
図 19.1: ソフトウェアマネージャの競合管理

19.3.5 推奨パッケージの取り扱い

パッケージには、プログラムの実行に必須の、強い依存関係(特定のライブラリなど)だけでなく、新しい機能や変換の追加など、弱い依存関係もあります。このような弱い依存関係を推奨パッケージと呼びます。

推奨パッケージの取り扱いが、SUSE Linux Enterprise Server 12 SP1から少し変わりました。新規パッケージのインストール時には何も変更はありません。推奨パッケージもデフォルトでインストールされます。

SUSE Linux Enterprise Server 12 SP1より前では、インストール済みパッケージの推奨パッケージが見つからない場合、自動的にインストールされていました。これらのパッケージは自動的にはインストールされなくなりました。前のデフォルトに切り替えたい場合は、PKGMGR_REEVALUATE_RECOMMENDED="yes"/etc/sysconfig/yast2に設定します。インストール済みのパッケージに関する推奨パッケージが欠落している場合、それらすべてをインストールするには、YaST › Software Managerを開始し、エクストラ › Install All Matching Recommended Packages(該当する推奨パッケージをすべてインストールする)を選択します。

新規パッケージのインストール時の推奨パッケージのインストールを無効にするには、YaST Software Managerで、依存関係 › Install Recommended Packages(推奨パッケージのインストールを無効にします。Zypperコマンドラインツールを使用してパッケージをインストールしている場合、--no-recommendsオプションを使用します。

19.4 ソフトウェアリポジトリおよびサービスの操作

サードパーティソフトウェアをインストールするには、ソフトウェアリポジトリをシステムに追加します。デフォルトでは、システムを登録すると、SUSE Linux Enterprise Server-DVD 15 SP2や一致するアップデートリポジトリなどの製品リポジトリが自動的に設定されます。登録の詳細については、8.7項 「登録」または4.8項 「システムの登録」を参照してください。最初に選択した製品によっては、変換、辞書などを含んだ追加リポジトリも設定される場合があります。

リポジトリを管理するには、YaSTを起動し、ソフトウェア › ソフトウェアリポジトリの順に選択します。設定されたソフトウェアリポジトリダイアログが開きます。ここで、ダイアログの右隅にある表示すべてのサービスに変更することによって、いわゆるサービスの購読を管理することもできます。このコンテキストではサービスは、1つまたは複数のソフトウェアを提供できるRepository Index Service (RIS) です。この種のサービスは管理者またはベンダから動的に変更できます。

各リポジトリは、リポジトリのコンテンツ(パッケージ名、バージョンなど)を説明したファイルを提供します。これらのリポジトリ記述ファイルは、YaSTで使用するローカルキャッシュにダウンロードされます。ソフトウェアリポジトリには、その整合性確認のため、リポジトリメンテナのGPGキーで署名することができます。新しいリポジトリを追加するたびに、YaSTでリポジトリのキーをインポートできます。

警告
警告: 外部ソフトウェアソースの信用

外部ソフトウェアのリポジトリをリポジトリリストに追加する場合は、その前に、リポジトリを信頼できるかどうか確認してください。SUSEは、サードパーティのソフトウェアリポジトリからインストールされたソフトウェアによって発生するどのような問題についても、責任を負いません。

19.4.1 ソフトウェアリポジトリの追加

DVD/CD、USBフラッシュドライブ、ローカルディレクトリ、ISOイメージ、またはネットワークソースからリポジトリを追加できます。

YaSTの設定されたソフトウェアリポジトリダイアログでリポジトリを追加するには、次の手順に従います。

  1. Add (追加)をクリックします。

  2. ダイアログに表示されているオプションのいずれかを選択します。

    ソフトウェアリポジトリの追加
    図 19.2: ソフトウェアリポジトリの追加
    • ネットワークをスキャンして、SLP経由でサービスをアナウンスしているインストールサーバを検索するには、Scan Using SLP (SLPを使用してスキャン)を選択して次へをクリックします。

    • リムーバブルメディアからリポジトリを追加するには、該当するオプションを選択して、メディアを挿入するか、またはUSBデバイスをコンピュータに接続します。次へをクリックして、インストールを開始します。

    • 大半のリポジトリでは、該当のオプションを選択して次へをクリックすると、メディアへのパス(またはURL)を指定するように求められます。Repository Name (リポジトリ名)の指定は任意です。何も指定しない場合は、製品名またはURLがリポジトリ名として使用されます。

    Download Repository Description Files (リポジトリ記述ファイルのダウンロード)はデフォルトで有効になっています。このオプションを有効にしていない場合は、後で必要になったときにYaSTによって自動的にダウンロードされます。

  3. 追加したリポジトリによっては、リポジトリのGPGキーのインポートを求められたり、ライセンスへの合意を求められたりします。

    これらのメッセージを確認すると、メタデータがダウンロードされ、解析されます。これにより、Configured Repositories (設定されたリポジトリ)のリストにリポジトリが追加されます。

  4. 必要に応じて、19.4.2項 「リポジトリプロパティの管理」の説明に従い、リポジトリのプロパティを調整します。

  5. OKをクリックして変更内容を確認し、設定ダイアログを閉じます。

  6. リポジトリを正常に追加できると、ソフトウェアマネージャが起動し、そのリポジトリからパッケージをインストールできるようになります。詳細については、第19章 「ソフトウェアをインストールまたは削除するを参照してください。

19.4.2 リポジトリプロパティの管理

ソフトウェアリポジトリ設定されたソフトウェアリポジトリの概要では、次のリポジトリプロパティを変更できます。

ステータス

リポジトリのステータスは、有効または無効のどちらかです。有効なリポジトリからのパッケージだけをインストールできます。一時的にリポジトリを無効にするにはEnable (有効化)を無効にします。リポジトリ名をダブルクリックして、その状態を切り替えることもできます。リポジトリを完全に削除するには、削除をクリックします。

更新

リポジトリを更新する際には、リポジトリの内容の説明(パッケージ名、バージョンなど)がYaSTで使用するローカルキャッシュにダウンロードされます。これは、CDやDVDなどの静的リポジトリでは1回で十分ですが、内容が頻繁に変更されるリポジトリでは頻繁な更新が必要です。リポジトリのキャッシュを最新の状態に保つ最も簡単な方法は、自動的に更新するの選択です。手動更新を行うには、更新をクリックして、オプションの1つを選択します。

ダウンロードしたパッケージを維持します

インストールの前に、リモートリポジトリからのパッケージをダウンロードします。これらのパッケージは、デフォルトでは、インストールが正常に完了すると削除されます。ダウンロードしたパッケージを維持しますを有効にすると、ダウンロードしたパッケージが削除されません。ダウンロードの場所は、/etc/zypp/zypp.confに設定されます。これは、デフォルトでは、/var/cache/zypp/packagesです。

優先度

リポジトリの優先度は、1200の値です。ここで、1は最高の優先度、200は最低の優先度です。YaSTで追加した新しいリポジトリの優先度は、デフォルトで99です。特定のリポジトリに関して優先度値が何であってもよい場合は、値を0に設定しても、そのリポジトリにデフォルト優先度(99)を適用できます。パッケージが2つ以上のリポジトリにある場合は、優先度の最も高いリポジトリが優先して使用されます。これは、ローカルリポジトリ(たとえば、DVD)に高い優先度を与えることによって、インターネットから不必要にパッケージをダウンロードしないようにする場合に有用です。

重要
重要: 優先度とバージョンの比較

優先度の最も高いリポジトリが、常に、優先されます。したがって、更新リポジトリには必ず最高の優先度が割り当てられるようにします。そのようにしないと、次のオンラインアップデートまで更新されない古いバージョンがインストールされる可能性があります。

名前とURL

リポジトリ名またはリポジトリのURLを変更するには、それをシングルクリックでリストから選択し、次に、編集をクリックします。

19.4.3 リポジトリキーの管理

ソフトウェアリポジトリには、その整合性確認のため、リポジトリメンテナのGPGキーで署名することができます。新しいリポジトリを追加するたびに、そのキーをYaSTでインポートできます。そのキーを他の任意のGPGキーのように検証し、キーが変更されていないことを確認してください。キーの変更を見つけた場合は、リポジトリに何らかの問題がある可能性があります。キーの変更の原因を突き止めるまで、リポジトリをインストールソースとして無効にしてください。

インポートしたすべてのキーを管理するには、設定されたソフトウェアリポジトリダイアログでGPG鍵をクリックします。マウスでエントリを選択して、ウィンドウ下部にキーのプロパティを表示します。追加編集、または削除をクリックすることで、該当する操作をキーに対して実行します。

19.5 GNOMEパッケージアップデータ

SUSEはお買い上げの製品に対し、継続的にソフトウェアセキュリティパッチおよびアップデートを提供します。デスクトップで利用可能なツールを使用して、またはYaSTオンラインアップデートモジュールを実行することにより、インストールできます。このセクションでは、パッケージアップデータを使用してGNOMEデスクトップからシステムをアップデートする方法について説明します。

YaSTオンラインアップデートモジュールとは異なり、GNOMEパッケージアップデータは、アップデートリポジトリからパッチのインストールを提供するだけでなく、すでにインストールされているパッケージの新しいバージョンも提供します(パッチ修正のセキュリティの問題または誤動作、機能およびバージョン番号は通常、変わりません。新しいバージョンのパッケージによりバージョン番号が増え、通常は機能が追加されるか主な変更が導入されます)。

新しいパッチまたはパッケージのアップデートが利用可能な場合は常に、GNOMEでは、通知領域またはロック画面で通知が表示されます。

GNOMEのデスクトップに表示されたアップデート通知
図 19.3: GNOMEのデスクトップに表示されたアップデート通知

パッケージアップデータの通知設定を行うには、GNOMEで設定を起動し、通知 › パッケージアップデータの順に選択します。

手順 19.1: GNOMEパッケージアップデータを使用したパッチおよびアップデートのインストール
  1. パッチおよびアップデートをインストールするには、通知メッセージをクリックします。これにより、GNOMEでパッケージアップデータが開きます。または、package Uと入力し、パッケージアップデータを選択して、アクティビティからアップデータを開きます。

    Image
  2. アップデートは次の4つのカテゴリに分類されます。

    セキュリティアップデート(パッチ)

    セキュリティアップデートは、重大なセキュリティハザードを修復するので、必ずインストールする必要があります。

    推奨されるアップデート(パッチ)

    コンピュータに損害を与える可能性のある問題を修復します。これらのアップデートをインストールすることを強くお勧めします。

    オプションのアップデート(パッチ)

    セキュリティに関連しない問題を修復したり、拡張機能を提供します。

    その他のアップデート

    インストールされるパッケージの新しいバージョン。

    すべての使用可能なアップデートはインストール用に事前に選択されています。すべてのアップデートをインストールしない場合は、まず、不要なアップデートを選択解除します。すべてのセキュリティアップデートおよび推奨されるアップデートは必ずインストールすることを強くお勧めします。

    アップデートに関する詳細情報を取得するには、そのタイトルと詳細をクリックします。情報はパッケージリストの下のボックスに表示されます。

  3. 更新をインストールするをクリックしてインストールを開始します。

  4. 一部のアップデートでは、マシンを再起動するか、ログアウトする必要がある場合があります。指示については、インストール後に表示されるメッセージを確認してください。

19.6 GNOMEソフトウェアを使用したパッケージの更新

GNOMEパッケージアップデータに加えて、GNOMEでは次の機能を持つGNOMEソフトウェアを提供します。

  • PackageKitを介してRPMとして配布されたソフトウェアをインストール、更新、削除する

  • Flatpakとして配布されたソフトウェアをインストール、更新、削除する

  • GNOMEシェル拡張機能(https://extensions.gnome.org)をインストール、更新、削除する

  • 「Linux Vendor Firmware Service」(LVFS、https://fwupd.org)を使用してハードウェアデバイスのファームウェアを更新する

このほか、GNOMEソフトウェアでは、ソフトウェアのスクリーンショット、レーティング、およびレビューを提供します。

GNOMEソフトウェア—更新ビュー
図 19.4: GNOMEソフトウェア—更新ビュー

GNOMEソフトウェアには、SUSE Linux Enterprise Serverで提供される他のツールと次のような違いがあります。

  • YaSTまたはZypperとは異なり、RPMとしてパッケージされたソフトウェアをインストールする場合、GNOMEソフトウェアはAppStreamメタデータを提供するソフトウェアに制限されます。これには、ほとんどのデスクトップアプリケーションが含まれます。

  • GNOMEパッケージアップデータは実行中のシステム内のパッケージをアップデートし(それぞれのアプリケーションを再起動する必要があります)、GNOMEソフトウェアはアップデートをダウンロードしますがシステムの次の再起動時にのみ適用されます。