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適用項目 SUSE Linux Enterprise Micro 5.5

4 IBM ZおよびLinuxONEでのインストール

この章では、IBM Z上でSUSE® Linux Enterprise Microのインストールを準備する際の手順について説明します。LPARおよびz/VMの側でインストールを準備する際に必要な情報をすべて示します。

4.1 システム要件

このセクションでは、IBM Zのシステム要件、MicroCodeレベル、およびソフトウェアに関する基本情報を提供します。

4.1.1 Hardware (ハードウェア)

SUSE Linux Enterprise Microは、次のプラットフォームで実行されます。

  • IBM zEnterprise EC12 (zEC12) (2827)

  • IBM zEnterprise BC12 (zBC12) (2828)

  • IBM z Systems z13 (2964)

  • IBM z Systems z13s (2965)

  • IBM z Systems z14 (3906)

  • IBM z Systems z14 ZR1 (3907)

  • IBM z Systems z15 T01 (8561)

  • IBM z Systems z15 T02 (8562)

  • IBM z Systems z16 A01 (3931)

  • IBM LinuxONE Emperor (2964)

  • IBM LinuxONE Rockhopper (2965)

  • IBM LinuxONE Emperor II (3906)

  • IBM LinuxONE Rockhopper II (3907)

  • IBM LinuxONE III LT1 (8561)

  • IBM LinuxONE III LT2 (8562)

  • IBM LinuxONE Emperor 4 (3931)

4.1.1.1 メモリ要件

インストール方法が異なれば、インストール時のメモリ要件も異なります。z/VM、LPAR、およびKVM下でテキストモードでインストールする場合は、1GB以上のメモリが推奨されます。グラフィカルモードでのインストールには1.5GB以上のメモリが必要です。

注記
注記: リモートインストールソースのメモリ要件

NFS、FTP、およびSMBインストールソースからのインストール、またはVNCが使用される場合のインストールには、最低512 MBのメモリが必要です。メモリ要件は、z/VMゲストまたはLPARイメージに認識されるデバイス数によっても異なることに留意してください。多数のアクセス可能なデバイスがあるインストールの場合は、さらに多くのメモリを要することがあります。

4.1.1.2 ディスク容量の要件

ディスク要件は、コンテナのワークロードに大きく依存します。SLE Microの最小要件は12GBです。ハードディスク容量の推奨値は20GBです。

4.1.1.3 ネットワーク接続

SUSE Linux Enterprise Microシステムと通信するには、ネットワーク接続が必要です。次のような1つ以上の接続またはネットワークカードを使用できます。

  • OSA Express Ethernet (Fast EthernetおよびGigabit Ethernetを含む)

  • HiperSocketまたはゲストLAN

  • 10GBE、VSWITCH

  • RoCE (RDMA over Converged Ethernet)

次のインタフェースも引き続き含まれますが、サポートされなくなりました。

  • CTC (または仮想CTC)

  • ESCON

  • IUCV用のIPネットワークインタフェース

KVM下でインストールする場合は、VMゲストからネットワークへの透過的なアクセスを可能にするために、次の要件が満たされていることを確認してください。

  • 仮想ネットワークインタフェースがホストネットワークインタフェースに接続されている。

  • ホストネットワークインタフェースが、仮想サーバが参加するネットワークに接続されている。

  • 2つの個別のOSAネットワークポートをグループ化して、結合されたネットワークインタフェースを構成することで、冗長なネットワーク接続を提供するようにホストが設定されている場合、この結合されたネットワークインタフェースの識別子はbond0になります。複数の結合インタフェースが存在する場合は、bond1bond2などです。

  • 非冗長ネットワーク接続のセットアップには、単一のネットワークインタフェースの識別子が必要です。識別子は、enccw0.0.NNNNという形式になります。NNNNは、使用するネットワークインタフェースのデバイス番号です。

4.1.2 MicroCodeのレベル、APAR、および修正

現在のリリースのSUSE Linux Enterprise Serverに対する制限事項と要件に関するドキュメントについては、https://developer.ibm.com/technologies/linux/のIBM developerWorksを参照してください。使用可能な最高のサービスレベルを使用することをお勧めします。最小要件については、IBMサポートにお問い合わせください。

z/VMの次のバージョンがサポートされています。

  • z/VM 6.4

  • z/VM 7.1

  • z/VM 7.2

  • z/VM 7.3

新しいMicroCodeレベルをインストールする前にVM APARを有効にする必要がある場合があるため、IBMサポートを使用してインストール順序を明確にしてください。

4.1.3 ソフトウェア

LinuxベースではないNFSまたはFTPを介してSUSE Linux Enterprise Microをインストールする場合は、NFSサーバまたはFTPサーバのソフトウェアで問題が発生する可能性があります。Windows*標準FTPサーバではエラーが発生する可能性があるため、これらのマシンでSMBを介してインストールを実行することをお勧めします。

SUSE Linux Enterprise Microのインストールシステムに接続するには、以下のいずれかの方法を使用する必要があります(SSHまたはVNCによる方法をお勧めします)。

ターミナルエミュレーション機能を持つSSH (xterm互換)

SSHは標準のUnixツールのため、ほとんどのUnixまたはLinuxシステムに含まれています。Windowsの場合、Putty SSHクライアントを使用できます。

VNCクライアント

tightvncパッケージの一部として、Linux向けにvncviewerというVNCクライアントがSUSE Linux Enterprise Microに付属しています。Windows向けにもtightvncを提供しています。https://www.tightvnc.com/からダウンロードしてください。

X サーバ

目的に合ったLinuxまたはUnixワークステーション上でのXサーバ実装を探します。WindowsおよびmacOS*用の商用X Window System環境は、数多くあります。その一部は、無償の試用バージョンとしてダウンロードできます。

ヒント
ヒント: 詳細情報

IBM Z上にSUSE Linux Enterprise Microをインストールする前に、SUSE Linux Enterprise Microの最初のインストールメディアのルートディレクトリにあるREADMEファイルを参照してください。このファイルはこのドキュメントを捕捉します。

4.2 インストールの準備

この章では、インストールに使用するデータをアクセス可能にする方法、さまざまな手段によるSUSE Linux Enterprise Microのインストール方法、およびSUSE Linux Enterprise MicroのインストールシステムのIPLを準備して使用する方法について説明します。また、この章では、ネットワーク設定とネットワークインストールについても説明します。

4.2.1 インストールデータを利用できるようにする

このセクションでは、SUSE Linux Enterprise MicroのIBM Z向けインストールデータをインストール時にアクセス可能にする方法について詳しく説明します。コンピュータとシステム環境に応じて、NFSまたはFTPによるインストールを選択します。Microsoft Windowsワークステーションを実行している環境では、Windowsネットワーク(SMBプロトコルを含めて)を使用して、IBM ZシステムにSUSE Linux Enterprise Microをインストールすることができます。

ヒント
ヒント: DVDからのIPL

DVDからIPL処理して、そのDVDをインストールメディアとして使用することができます。これは、ネットワークを介してインストールメディアを提供するインストールサーバを設定することに制約がある場合に、非常に便利です。前提条件はFCP接続SCSI DVDドライブです。

注記
注記: ハードディスクからのインストールに非対応

DVDのコンテンツをDASDのパーティションに格納することでハードディスクからインストールを実行することは不可能です。

4.2.1.1 LinuxワークステーションまたはSUSE Linux Enterprise MicroのDVDの使用

コンピュータ環境でLinuxワークステーションを使用して、NFS経由またはFTP経由でインストールデータをIBM Zインストールプロセスで使用できるようにします。

重要
重要: マウントされたデバイスのNFSを使用するエクスポート

ファイルシステムのroot (/)をエクスポートしても、DVDなどのマウントされたデバイスが自動的にエクスポートされるわけではありません。したがって、/etc/exportsのマウントポイントに明示的に名前を付ける必要があります。

/media/dvd  *(ro)

このファイルの変更後に、sudo systemctl restart nfsserverコマンドを使用してNFSサーバを再起動します。

LinuxシステムでのFTPサーバの設定には、vsftpdなどのサーバソフトウェアのインストールおよび設定が含まれます。匿名ログインを使用したインストールデータのダウンロードはサポートされていないため、ユーザ認証がサポートされるようにFTPサーバを設定する必要があります。

4.2.1.1.1 DVDでのSUSE Linux Enterprise Micro

IBM Z対応のSUSE Linux Enterprise Microの最初のインストールメディアには、Intelベースのワークステーション向けのブート可能なLinuxイメージおよびIBM Z向けのイメージが収録されています。

Intelベースのワークステーションの場合は、このメディアからブートします。プロンプトが表示されたら、目的の回答言語とキーボードレイアウトを選択して、Start rescue system (レスキューシステムの開始)を選択します。この操作には64MB以上のRAMが必要です。レスキューシステム全体がワークステーションのRAMに常駐するため、ディスク領域は必要ありません。この方法では、ワークステーションのネットワーキングを手動で設定する必要があります。

IBM Zの場合は、4.2.4.1.2項 「FCP接続SCSI DVDからのIPL」で説明しているとおり、このメディアからLPAR/VMゲストをIPL処理します。ネットワークパラメータを入力したら、インストールシステムはメディアをインストールデータのソースとして処理します。IBM Zでは、X11対応の端末を直接接続できないので、VNCによるインストールまたはSSHによるインストールを選択します。SSHはまた、ssh -XでX接続をSSHにトンネルさせることで、グラフィカルインストールを提供します。

4.2.1.2 Microsoft Windowsワークステーションの使用

ネットワーク上のMicrosoft Windowsワークステーションを使用して、インストールメディアを使用できるようにすることができます。これを行う最も簡単な方法はSMBプロトコルを使用する方法です。必ずSMB over TCP/IPを有効にしてください。この機能によって、SMBパッケージをTCP/IPパッケージにカプセル化できるようになります。詳細については、Windowsオンラインヘルプ、またはネットワーキングを対象にしたその他のWindows関連マニュアルを参照してください。

4.2.1.2.1 SMBの使用

SMBを使用してインストールメディアを使用できるようにするには、SLE-15-SP5-Online-ARCH-GM-media1.isoを含むUSBフラッシュドライブをWindowsワークステーションのUSBポートに挿入します。次に、USBフラッシュドライブの文字を使用して新しい共有を作成し、ネットワーク内のどのユーザでも使用できるようにします。

YaSTでのインストールパスは次のとおりです。

smb://DOMAIN;USER:PW@SERVERNAME/SHAREPATH

各プレースホルダは次のような意味です。

DOMAIN

ワークグループまたはActive Directoryのドメイン(オプション)。

USER, PW

このサーバとその共有にアクセスできるユーザのオプションのユーザ名およびパスワード。

SERVERNAME

共有をホストするサーバの名前。

SHAREPATH

共有へのパス。

4.2.1.2.2 NFSを使用する

Windowsワークステーション用にNFSサーバサービスを有効にするサードパーティ製品のマニュアルを参照してください。SLE-15-SP5-Online-ARCH-GM-media1.isoメディアを含むUSBフラッシュドライブは、使用可能なNFSパスに存在する必要があります。

4.2.1.2.3 FTPの使用

Windowsワークステーション用にFTPサーバサービスを有効にするサードパーティ製品のマニュアルを参照してください。SLE-15-SP5-Online-ARCH-GM-media1.isoメディアを含むUSBフラッシュドライブは、使用可能なFTPパスに存在する必要があります。

Microsoft Windowsの特定のリリースにバンドルされているFTPサーバは、FTPコマンドのサブセットのみを実装するので、インストールデータの提供には適しません。この場合、必要な機能を提供するサードパーティのFTPサーバを使用してください。

4.2.1.2.4 FCP接続SCSI DVDドライブの使用

4.2.4.1.2項 「FCP接続SCSI DVDからのIPL」の説明に従ってSCSI DVDからIPLすると、インストールシステムによってDVDがインストールメディアとして使用されます。この場合、FTP、NFS、またはSMBサーバにはインストールメディアは必要ありません。ただし、VNCまたはXによるグラフィカルインストールを実行するには、インストールの際にネットワークを設定する必要があるので、SUSE Linux Enterprise Microのネットワーク設定データは必要です。

4.2.1.3 zPXE用のCobblerサーバの使用

ネットワークからのIPL処理では、カーネル、initrd、インストールデータを提供するためのCobblerサーバが必要です。Cobblerサーバを準備するには、次のステップを実行する必要があります。

4.2.1.3.1 インストールデータのインポート

メディアをインポートするには、USBフラッシュドライブまたはネットワークソースにあるインストールソースをCobblerサーバ上で使用できるようにする必要があります。次のコマンドを実行してデータをインポートします。

> sudo cobbler import --path=PATH1 --name=IDENTIFIER2 --arch=s390x

1

インストールデータのマウントポイント。

2

インポートした製品を識別する文字列(例: sles15_s390x)。この文字列は、インストールデータのコピー先のサブディレクトリとして使用されます。SUSE Linux Enterpriseで実行されているCobblerサーバで、これは/srv/www/cobbler/ks_mirror/IDENTIFIERです。Cobblerが別のオペレーティングシステムで実行されている場合、これは別のパスになる可能性があります。

4.2.1.3.2 配布の追加

配布を追加することで、CobblerはIPLに必要なカーネルとinitrdをzPXEを介して提供できます。Cobblerサーバ上で次のコマンドを実行して、IBM Z対応のSUSE Linux Enterprise Microを追加します。

> sudo cobbler distro add --arch=s390 --breed=suse --name="IDENTIFIER"1 \
  --os-version=slemicro5.22 \
  --initrd=/srv/www/cobbler/ks_mirror/IDENTIFIER/boot/s390x/initrd3 \
  --kernel=/srv/www/cobbler/ks_mirror/IDENTIFIER/boot/s390x/linux4 \
  --kopts="install=http://cobbler.example.com/cobbler/ks_mirror/IDENTIFIER"5

1

配布の固有の識別子(SLE Micro 5.5 IBM Zなど)。

2

オペレーティングシステムの識別子。sles15.

3

initrdへのパス。パスの最初の部分(/srv/www/cobbler/ks_mirror/IDENTIFIER/)は、インポートされたデータの場所と、インストールデータのインポート時に選択したサブディレクトリ名によって異なります。

4

カーネルへのパス。パスの最初の部分(/srv/www/cobbler/ks_mirror/IDENTIFIER/)は、インポートされたデータの場所と、インストールデータのインポート時に選択したサブディレクトリ名によって異なります。

5

Cobblerサーバ上のインストールディレクトリへのURL。

4.2.1.3.3 プロファイルの調整

配布を追加すると(4.2.1.3.2項 「配布の追加」を参照)、対応するIDENTIFIERを持つプロファイルが自動的に生成されます。次のコマンドを使用して、必要な調整を行います。

> sudo cobbler distro edit \
--name=IDENTIFIER1 --os-version=sles102 --ksmeta=""3
--kopts="install=http://cobbler.example.com/cobbler/ks_mirror/IDENTIFIER"4

1

プロファイルの識別子。配布を追加するときに指定した文字列を使用します。

2

オペレーティングシステムのバージョン.プロファイルの適用先の配布。インポートステップでは、--name=IDENTIFIERで指定した文字列を使用します。

3

キックスタートファイルのテンプレートに必要なオプション 。SUSEでは使用されないため、空のままにしておきます。

4

カーネルパラメータのスペース区切りのリスト。少なくともinstallパラメータを含める必要があります。

4.2.1.3.4 システムの追加

最後のステップは、Cobblerサーバへのシステムの追加です。このステップは、zPXEを介してブートする必要があるすべてのIBM Zゲストに対して実行する必要があります。ゲストはz/VMユーザIDで識別されます(次の例では、ID linux01)。IDは小文字でなければならないことに注意してください。システムを追加するには、次のコマンドを実行します。

> sudo cobbler system add --name=linux01 --hostname=linux01.example.com \
--profile=IDENTIFIER --interface=qdio \
--ip-address=192.168.2.103 --subnet=192.168.2.255 --netmask=255.255.255.0 \
--name-servers=192.168.1.116 --name-servers-search=example.com \
--gateway=192.168.2.1 --kopts="KERNEL_OPTIONS"

--koptsオプションを使用すると、通常はparmfileで指定されるカーネルとインストールパラメータを指定できます。次の形式を使用してパラメータを指定します: PARAMETER1=VALUE1 PARAMETER2=VALUE2。インストーラは不足しているパラメータの入力を求めます。完全な自動インストールを実現するには、ネットワークやDASDに対するすべてのパラメータを指定し、AutoYaSTファイルを用意する必要があります。次に、上記と同じネットワークパラメータを使用してOSAインタフェースを装備したゲストの例を示します。

--kopts=" \
AutoYaST=http://192.168.0.5/autoinst.xml \
Hostname=linux01.example.com \
Domain=example.com \
HostIP=192.168.2.103 \
Gateway=192.168.2.1 \
Nameserver=192.168.1.116 \
Searchdns=example.com \
InstNetDev=osa; \
Netmask=255.255.255.0 \
Broadcast=192.168.2.255 \
OsaInterface=qdio \
Layer2=0 \
PortNo=0 \
ReadChannel=0.0.0700 \
WriteChannel=0.0.0701 \
DataChannel=0.0.0702 \
DASD=600"

4.2.1.4 HMCのUSBフラッシュドライブからのインストール

IBM ZサーバにSUSE Linux Enterprise Microをインストールするには通常、ネットワークインストールソースが必要です。この要件を満たすことができない場合、SUSE Linux Enterprise Serverでは、ハードウェア管理コンソール(HMC)のUSBフラッシュドライブをLPARにインストールするためのインストールソースとして使用できます。

HMCのUSBフラッシュドライブからインストールを実行するには、次のように続行します。

  • install=hmc:/parmfileに追加(4.4項 「parmfile: システム設定の自動化」を参照)またはカーネルオプションに追加します。

  • linuxrcを使用した手動モードのインストールでは、[Start Installation (インストールの開始)]、[インストール]、[Hardware Management Console (ハードウェア管理コンソール)]の順に選択します。インストールメディアは、HMCにある必要があります。

重要
重要: ネットワークの設定

インストールを開始する前に、linuxrcでネットワーク設定を指定します。ブートパラメータを使用してこれを実行することはできません。また、ネットワークアクセスが必要になる可能性が高くなります。linuxrcで、[Start Installation (インストールの開始)]をクリックし、[ネットワーク設定]を選択します。

重要
重要: Linuxシステムを最初にブートする必要がある

Linuxシステムがブートするのを待ってから、HMCのUSBフラッシュドライブのメディアへのアクセスを許可するようにしてください。IPL処理を行うと、HMCとLPARとの間の接続に支障が生じる可能性があります。すでに説明した方法を最初に試行して失敗した場合は、アクセス権を付与してHMCオプションで再試行できます。

注記
注記: インストールリポジトリ

インストールは1回限りの手順であるため、USBフラッシュドライブはインストールリポジトリとして保存されません。インストールリポジトリが必要な場合は、オンラインリポジトリを登録して使用してください。

4.2.2 インストールのタイプ

このセクションでは、各インストールモードにおける、SUSE Linux Enterprise Microのインストール手順を説明します。前の章で説明されている準備手順が完了したら、目的のインストールモードの概要に従います。

4.2.1項 「インストールデータを利用できるようにする」で説明されるように、Linux on IBM Zには3つの異なるインストールモード(LPAR、z/VM、およびKVMゲストインストール)があります。

手順 4.1: LPARインストールの概要
  1. インストールに必要なデバイスを準備します。4.2.3.1項 「LPARインストールのIPLの準備」を参照してください。

  2. インストールシステムをIPL処理します。4.2.4.1項 「LPARインストールでのIPL処理」を参照してください。

  3. ネットワークを設定します。4.2.5項 「ネットワーク設定」を参照してください。

  4. SUSE Linux Enterprise Microのインストールシステムに接続します。4.2.6項 「SUSE Linux Enterprise Microのインストールシステムに接続する」を参照してください。

  5. YaSTを使用してインストールを開始し、インストールしたシステムをIPL処理します。第12章 「インストール手順を参照してください。

手順 4.2: z/VMインストールの概要
  1. インストールに必要なデバイスを準備します。4.2.3.2.1項 「dirMaintを使用したLinuxゲストの追加」を参照してください。

  2. インストールシステムをIPL処理します。4.2.4.2項 「z/VMインストールでのIPL処理」を参照してください。

  3. ネットワークを設定します。4.2.5項 「ネットワーク設定」を参照してください。

  4. SUSE Linux Enterprise Microのインストールシステムに接続します。4.2.6項 「SUSE Linux Enterprise Microのインストールシステムに接続する」を参照してください。

  5. YaSTを使用してインストールを開始し、インストールしたシステムをIPL処理します。第12章 「インストール手順を参照してください。

手順 4.3: KVMゲストのインストールの概要
  1. 仮想ディスクイメージを作成し、ドメインXMLファイルを作成します。4.2.3.3項 「KVMゲストインストールのIPLの準備」を参照してください。

  2. インストールターゲットを準備し、VMゲストのIPL処理を実行します。4.2.4.3項 「KVMゲストインストールでのIPL処理」を参照してください。

  3. 4.2.5.3項 「ネットワークの設定とインストールソースの選択」ボタンをクリックします。

  4. SUSE Linux Enterprise Microのインストールシステムに接続します。4.2.6項 「SUSE Linux Enterprise Microのインストールシステムに接続する」を参照してください。

  5. YaSTを使用してインストールを開始し、インストールしたシステムをIPL処理します。第12章 「インストール手順を参照してください。

4.2.3 SUSE Linux Enterprise MicroのインストールシステムのIPLの準備

4.2.3.1 LPARインストールのIPLの準備

適切な有効化プロファイルとIOCDSを使用して、ESA/S390モードまたはLinux専用モードで起動するようにIBM Zシステムを設定します。詳細については、IBMドキュメントを参照してください。4.2.4.1項 「LPARインストールでのIPL処理」の説明に従って、作業を行ってください。

4.2.3.2 z/VMインストールのIPLの準備

4.2.3.2.1 dirMaintを使用したLinuxゲストの追加

最初の手順として、z/VM環境のLinuxゲストによって使用されるシステム内の1つ以上のDASDを接続してフォーマットします。次に、z/VMでの新しいユーザを作成します。この例は、パスワードLINPWDを使用するユーザLINUX1のディレクトリ、1GBのメモリ(2GBまで拡張可能)、複数のミニディスク(MDISK)、2つのCPU、およびOSA QDIOデバイスを示しています。

ヒント
ヒント: z/VMゲストへのメモリの割り当て

メモリをz/VMゲストに割り当てるときは、4.1.1.1項 「メモリ要件」で説明されているように、メモリサイズが優先的に選択するインストールタイプに適していることを確認します。メモリサイズを1GBに設定するには、CP DEFINE STORAGE 1Gコマンドを使用します。インストールが完了したら、メモリサイズを必要な値に戻します。

例 4.1: z/VMディレクトリの設定
USER LINUX1 LINPWD 1024M 2048M G
*____________________________________________
* LINUX1
*____________________________________________
* This VM Linux guest has two CPUs defined.

CPU 01 CPUID 111111
CPU 02 CPUID 111222
IPL CMS PARM AUTOCR
IUCV ANY
IUCV ALLOW
MACH ESA 10
OPTION MAINTCCW RMCHINFO
SHARE RELATIVE 2000
CONSOLE 01C0 3270 A
SPOOL 000C 2540 READER *
SPOOL 000D 2540 PUNCH A
SPOOL 000E 3203 A
* OSA QDIO DEVICE DEFINITIONS
DEDICATE 9A0 9A0
DEDICATE 9A1 9A1
DEDICATE 9A2 9A2
*
LINK MAINT 0190 0190 RR
LINK MAINT 019E 019E RR
LINK MAINT 019D 019D RR
* MINIDISK DEFINITIONS
MDISK 201 3390 0001 0050 DASD40 MR ONE4ME TWO4ME THR4ME
MDISK 150 3390 0052 0200 DASD40 MR ONE4ME TWO4ME THR4ME
MDISK 151 3390 0253 2800 DASD40 MR ONE4ME TWO4ME THR4ME

この例では、ミニディスク201を、ゲストのホームディスクとして使用します。200のシリンダを持つミニディスク150は、Linux swapデバイスです。また、2800のシリンダを持つディスク151は、Linuxインストールデータを保持するメディアです。

DIRM FOR LINUX1 ADDを使用して、MAINTユーザとしてゲストをユーザディレクトリに追加します。ゲストの名前(LINUX1)を入力して、F5キーを押します。次のように、ユーザの環境を設定します。

DIRM DIRECT
DIRM USER WITHPASS

最後のコマンドは、リーダファイル番号を返します。次に示すように、この番号は、次のコマンドを実行するのに必要です。

RECEIVE <number> USER DIRECT A (REPL)

ユーザ LINUX1 として、ゲスト上でログインできるようになります。

dirmaintオプションが使用できない場合は、このユーザを設定する方法に関してIBMのドキュメントを参照してください。

4.2.4.2項 「z/VMインストールでのIPL処理」に従って手順を進めます。

4.2.3.3 KVMゲストインストールのIPLの準備

KVMゲストインストールでは、仮想マシンを指定するドメインXMLファイルと、インストール用の最低1つの仮想ディスクイメージを用意しておく必要があります。

4.2.3.3.1 仮想ディスクイメージの作成

デフォルトでは、libvirtはVMホストサーバ上の/var/lib/libvirt/images/でディスクイメージを検索します。イメージは、ファイルシステム上の他の任意の場所に保存することもできますが、管理を容易にするため、1つの場所にすべてのイメージを保存することをお勧めします。イメージを作成するには、KVMホストサーバにログインし、次のコマンドを実行します。

qemu-img create -f qcow2 /var/lib/libvirt/images/s12lin_qcow2.img 10G

これにより、サイズが10GBのqcow2イメージが/var/lib/libvirt/images/に作成されます。

4.2.3.3.2 ドメインXMLファイルの作成

ドメインXMLファイルは、VMゲストの定義に使用します。ドメインXMLファイルを作成するには、エディタで空白ファイルs15-1.xmlを開き、次の例のようなファイルを作成します。

例 4.2: ドメインXMLファイルの例

次の例では、単一のCPU、1GBのRAM、および前のセクション(4.2.3.3.1項 「仮想ディスクイメージの作成」)で作成した仮想ディスクイメージを持ったVMゲストを作成します。仮想サーバはホストネットワークインタフェースbond0に接続されていることを前提としています。使用するネットワークのセットアップと一致するようにソースデバイス要素を変更します。

<domain type="kvm">
 <name>s15-1</name>
 <description>Guest-System SUSE SLES15</description>
 <memory>1048576</memory>
 <vcpu>1</vcpu>
 <os>
  <type arch="s390x" machine="s390-ccw-virtio">hvm</type>
  <!-- Boot kernel - remove 3 lines after successful installation -->
  <kernel>/var/lib/libvirt/images/s15-kernel.boot</kernel>
  <initrd>/var/lib/libvirt/images/s15-initrd.boot</initrd>
  <cmdline>linuxrcstderr=/dev/console</cmdline>
 </os>
 <iothreads>1</iothreads>
 <on_poweroff>destroy</on_poweroff>
 <on_reboot>restart</on_reboot>
 <on_crash>preserve</on_crash>
 <devices>
  <emulator>/usr/bin/qemu-system-s390x</emulator>
  <disk type="file" device="disk">
   <driver name="qemu" type="qcow2" cache="none" iothread="1" io="native"/>
   <source file="/var/lib/libvirt/images/s15lin_qcow2.img"/>
   <target dev="vda" bus="virtio"/>
  </disk>
  <interface type="direct">
   <source dev="bond0" mode="bridge"/>
   <model type="virtio"/>
  </interface>
  <console type="pty">
   <target type="sclp"/>
  </console>
 </devices>
</domain>

4.2.4 SUSE Linux Enterprise MicroのインストールシステムのIPL処理

4.2.4.1 LPARインストールでのIPL処理

LPARに対してSUSE Linux Enterprise MicroをIPL処理するにはさまざまな方法があります。推奨されているのは、SEまたはHMCのLoad from CD-ROM or server機能を使用する方法です。

4.2.4.1.1 DVD-ROMからのIPL

インストールするLPARをマークして、Load from CD-ROM or serverを選択します。ファイルの場所を指定するフィールドを空白のままにするか、最初のDVD-ROMのルートディレクトリへのパスを入力して、続行を選択します。表示されるオプションのリストについては、デフォルト設定のままにしてください。ここで、Operating system messagesによって、カーネルブートメッセージが表示されます。

4.2.4.1.2 FCP接続SCSI DVDからのIPL

SCSILoad typeとして選択し、LOAD手順を使用して、SCSIからのIPLを実行できます。SCSIブリッジまたはSCSIストレージで指定されているWWPN (Worldwide port name)とLUN (Logical unit number)を入力します。これは16桁の数字ですが、末尾のゼロを省略しないようにします。ブートプログラムのセレクタは2でなければなりません。使用するFCPアダプタをLoad addressとして使用し、IPLを実行します。

4.2.4.2 z/VMインストールでのIPL処理

このセクションでは、z/VMシステムにIBM Z対応のSUSE Linux Enterprise MicroをインストールするようにインストールシステムをIPL処理する方法について説明します。

4.2.4.2.1 z/VMリーダからのIPL

FTPを介してインストールシステムを転送するには、新規に定義されたz/VMゲスト内では、有効なTCP/IP接続とFTPクライアントプログラムが必要です。z/VM用のTCP/IPの設定は、このマニュアルの範囲を超えています。適切なIBMマニュアルを参照してください。

z/VM Linuxゲストとしてログインし、IPLを実行します。ネットワーク内のFTPを介して利用可能なUnified Installer (メディア1)のディレクトリ/boot/s390xのコンテンツを作成します。このディレクトリから、ファイルlinuxinitrdparmfile、およびsles.execを取得します。80文字の固定ブロックサイズでファイルを転送します。サイズを指定するには、FTPコマンド locsite fix 80 を使用します。linux (Linuxカーネル)とinitrd (インストールイメージ)はバイナリファイルとしてコピーすることが重要です。したがって、binary転送モードを使用します。parmfilesles.execはASCIIモードで転送する必要があります。

次の例では、必要なステップを示します。この特定のシナリオでは、IPアドレス192.168.0.3を指定して、FTPサーバから、必要なファイルにアクセスできることを前提としています。ログインはlininstです。

例 4.3: FTP経由のバイナリ転送
FTP 192.168.0.3
VM TCP/IP FTP Level 530
Connecting to 192.168.0.3, port 21
220 ftpserver FTP server (Version wu-2.4.2-academ[BETA-18](1)
Thu Feb 11 16:09:02 GMT 2010) ready.
USER
lininst
331 Password required for lininst
PASS
******
230 User lininst logged in.
Command:
binary
200 Type set to I
Command:
locsite fix 80
Command:
get /media/dvd1/boot/s390x/linux sles.linux
200 PORT Command successful
150 Opening BINARY mode data connection for /media/dvd1/boot/s390x/linux
(10664192 bytes)
226 Transfer complete.
10664192 bytes transferred in 13.91 seconds.
Transfer rate 766.70 Kbytes/sec.
Command:
get /media/dvd1/boot/s390x/initrd sles.initrd
200 PORT Command successful
150 Opening BINARY mode data connection for /media/dvd1/boot/s390x/initrd
(21403276 bytes)
226 Transfer complete.
21403276 bytes transferred in 27.916 seconds.
Transfer rate 766.70 Kbytes/sec.
Command:
ascii
200 Type set to A
Command:
get /media/dvd1/boot/s390x/parmfile sles.parmfile
150 Opening ASCII mode data connection for /media/dvd1/boot/s390x/parmfile
(5 bytes)
226 Transfer complete.
5 bytes transferred in 0.092 seconds.
Transfer rate 0.05 Kbytes/sec.
Command:
get /media/dvd1/boot/s390x/sles.exec sles.exec
150 Opening ASCII mode data connection for /media/dvd1/boot/s390x/sles.exec
(891 bytes)
226 Transfer complete.
891 bytes transferred in 0.097 seconds.
Transfer rate 0.89 Kbytes/sec.
Command:
quit

ダウンロードしたREXXスクリプトsles.execを使用して、LinuxインストールシステムのIPLを実行します。このスクリプトは、次のように、カーネル、parmfile、およびRAMディスクを、IPL用のリーダにロードします。

例 4.4: sles.exec
/* REXX LOAD EXEC FOR SUSE LINUX S/390 VM GUESTS       */
/* LOADS SUSE LINUX S/390 FILES INTO READER            */
SAY ''
SAY 'LOADING SLES FILES INTO READER...'
'CP CLOSE RDR'
'PURGE RDR ALL'
'SPOOL PUNCH * RDR'
'PUNCH SLES LINUX A (NOH'
'PUNCH SLES PARMFILE A (NOH'
'PUNCH SLES INITRD A (NOH'
'IPL 00C'

このスクリプトでは、slesコマンドを使用して、SUSE Linux Enterprise MicroのインストールシステムのIPLを実行できます。Linuxカーネルが起動し、そのブートメッセージが出力されます。

インストールを続行するには、4.2.5項 「ネットワーク設定」の説明に従います。

4.2.4.2.2 FCP接続SCSI DVDからのIPL

z/VMでIPLを実行するには、次のように、 SET LOADDEV パラメータを使用して、SCSI IPLプロセスを準備します。

SET LOADDEV PORTNAME 200400E8 00D74E00 LUN 00020000 00000000 BOOT 2

たとえば、適切な値でLOADDEVパラメータを設定したら、FCPアダプタのIPLを実行します。

IPL FC00

インストールを続行するには、4.2.5項 「ネットワーク設定」に従って処理を行います。

4.2.4.2.3 zPXEによるCobblerサーバからのIPL

zPXEによってCobblerサーバからIPLを実行するには、Cobblerサーバからz/VMゲストに対して、FTP経由でzpxe.rexxスクリプトを転送する必要があります。これを実行するため、z/VMゲストでは、TCP/IP接続とFTPクライアントプログラムが機能している必要があります。

z/VM LinuxゲストとしてIPLにログインし、ASCIIモードの80文字の固定サイズでスクリプトを転送します(例は、例4.3「FTP経由のバイナリ転送」を参照)。zpxe.rexxスクリプトは、/boot/s390x/zpxe.rexxにあるUnified Installer DVDまたは/usr/share/doc/packages/s390-tools/zpxe.rexxにあるSLE Cobblerサーバで入手できます。

zpxe.rexxは、ゲストのPROFILE EXECを置き換えることが想定されています。既存のPROFILE EXECのバックアップコピーを作成し、名前ZPXE REXXPROFILE EXECに変更します。または、'ZPXE REXX'行を追加して既存のPROFILE EXECからZPXE REXXを呼び出します。

最後のステップでは設定ファイルZPXE CONFを作成し、そこで接続先のCobblerサーバとIPLの実行対象とするディスクをZPXE REXXに対して指定します。xedit zpxe conf aを実行して、次のコンテンツでZPXE CONFを作成します(それに応じて例のデータを置き換えます)。

HOST cobbler.example.com
IPLDISK 600

これにより、次回z/VMゲストにログインするときにCobblerサーバが接続されます。Cobblerサーバ上でインストールがスケジュールされている場合は、それが実行されます。インストールをスケジュールするには、Cobblerサーバで次のコマンドを実行します。

> sudo cobbler system edit --name ID1 --netboot-enabled 12 --profile PROFILENAME3

1

z/VMのユーザID。

2

ネットワークからのIPLingを有効にします。

3

既存のプロファイルの名前(4.2.1.3.3項 「プロファイルの調整」を参照)。

4.2.4.3 KVMゲストインストールでのIPL処理

ゲストインストールを開始するには、まず4.2.3.3.1項 「仮想ディスクイメージの作成」で定義されているVMゲストを起動する必要があります。開始する前に、カーネルとinitrdがIPLに使用できることを確認します。

4.2.4.3.1 インストールソースの準備

インストールシステムへのVMゲストのIPLを実行するには、インストールシステムのカーネルとinitrdをVMホストサーバにコピーする必要があります。

  1. KVMホストにログインし、インストールソースを提供するリモートホストやデバイスに接続できることを確認します。

  2. 次の2つのファイルをインストールソースから/var/lib/libvirt/images/にコピーします。リモートホストからデータが提供される場合は、ftpsftp、またはscpを使用してファイルを転送します。

    /boot/s390x/initrd
    /boot/s390x/cd.ikr
  3. KVMホスト上のファイルの名前を変更します。

    > sudo cd /var/lib/libvirt/images/
    > sudo mv initrd s15-initrd.boot
    > sudo mv cd.ikr s15-kernel.boot
4.2.4.3.2 VMゲストのIPLの実行

VMゲストのIPLを実行するには、KVMホストにログインし、次のコマンドを実行します。

> virsh  create s15-1.xml --console

VMゲストが起動し稼働中であるときにインストールプロセスが開始され、次のメッセージが表示されます。

Domain s15-1 started
Connected to domain s15-1
Escape character is ^]
Initializing cgroup subsys cpuset
Initializing cgroup subsys cpu
Initializing
cgroup subsys cpuacct
.
.
Please make sure your installation medium is available.
Retry?
0) <-- Back <--
1) Yes
2) No

2) いいえと答え、次のステップでインストールを選択します。4.2.5.3項 「ネットワークの設定とインストールソースの選択」の説明に従って、作業を行ってください。

4.2.5 ネットワーク設定

カーネルがその起動ルーチンを完了するまで待機します。基本モードまたはLPARでインストールを行う場合は、HMCまたはSEのOperating System Messagesを開きます。

最初に、linuxrcメインメニューで、Start Installation (インストールの開始)を選択します。次に、Start Installation or Update (インストールの開始または更新)を選択して、インストールプロセスを開始します。ネットワークをインストールメディアとして選択し、次に、インストールに使用するネットワークプロトコルの種類を選択します。4.2.1項 「インストールデータを利用できるようにする」には、さまざまなタイプのネットワーク接続でインストールデータを使用できるようにする方法が説明されています。現在は、FTPHTTPNFSSMB/CIFS(Windowsファイル共有)がサポートされています。

使用可能なデバイスのリストから、インストールデータを受信するためのOSAまたはHiperSocketsネットワークデバイスを選択します。このリストにはCTC、ESCON、またはIUCVデバイスも挙げられていることがありますが、これらはSUSE Linux Enterprise Microではサポート対象外となっています。

4.2.5.1 HiperSocketsインタフェースの設定

ネットワークデバイスのリストからHiperSocketデバイスを選択します。続いて、次のように読み取りチャネル、書き込みチャネル、およびデータチャネルの各値を入力します。

例 4.5: サポートされているネットワーク接続の種類とドライバパラメータ
Choose the network device.

 1) IBM parallel CTC Adapter (0.0.0600)
 2) IBM parallel CTC Adapter (0.0.0601)
 3) IBM parallel CTC Adapter (0.0.0602)
 4) IBM Hipersocket (0.0.0800)
 5) IBM Hipersocket (0.0.0801)
 6) IBM Hipersocket (0.0.0802)
 7) IBM OSA Express Network card (0.0.0700)
 8) IBM OSA Express Network card (0.0.0701)
 9) IBM OSA Express Network card (0.0.0702)
10) IBM OSA Express Network card (0.0.f400)
11) IBM OSA Express Network card (0.0.f401)
12) IBM OSA Express Network card (0.0.f402)
13) IBM IUCV

> 4

Device address for read channel. (Enter '+++' to abort).
[0.0.0800]> 0.0.0800

Device address for write channel. (Enter '+++' to abort).
[0.0.0801]> 0.0.0801

Device address for data channel. (Enter '+++' to abort).
[0.0.0802]> 0.0.0802

4.2.5.2 OSA Expressデバイスの設定

ネットワークデバイスのリストからOSA Expressデバイスを選択し、ポート番号を指定します。読み取りチャネル、書き込みチャネル、およびデータチャネルの各値を入力します。OSIレイヤ2のサポートを有効にするかどうかを選択します。

新しい2ポートOSA Express 3ネットワークデバイスにはポート番号が必要です。OSA Express 3デバイスを使用しない場合は、「0」を入力します。OSA Expressカードは、OSIレイヤ2サポートモード、またはより一般的で古いレイヤ3モードでも実行できます。カードのモードは、他のLPAR上のシステムを含むデバイスを共有するすべてのシステムに影響します。不明な場合は、z/VMやz/OSなどの他のオペレーティングシステムで使用するデフォルトモードとの互換性を確保するために「2」を指定します。これらのオプションに関する詳細については、ハードウェア管理者にご相談ください。

例 4.6: ネットワークデバイスドライバのパラメータ
Choose the network device.

 1) IBM parallel CTC Adapter (0.0.0600)
 2) IBM parallel CTC Adapter (0.0.0601)
 3) IBM parallel CTC Adapter (0.0.0602)
 4) IBM Hipersocket (0.0.0800)
 5) IBM Hipersocket (0.0.0801)
 6) IBM Hipersocket (0.0.0802)
 7) IBM OSA Express Network card (0.0.0700)
 8) IBM OSA Express Network card (0.0.0701)
 9) IBM OSA Express Network card (0.0.0702)
10) IBM OSA Express Network card (0.0.f400)
11) IBM OSA Express Network card (0.0.f401)
12) IBM OSA Express Network card (0.0.f402)
13) IBM IUCV

> 7

Enter the relative port number. (Enter '+++' to abort).
> 0

Device address for read channel. (Enter '+++' to abort).
[0.0.0700]> 0.0.0700

Device address for write channel. (Enter '+++' to abort).
[0.0.0701]> 0.0.0701

Device address for data channel. (Enter '+++' to abort).
[0.0.0702]> 0.0.0702

Enable OSI Layer 2 support?

0) <-- Back <--
1) Yes
2) No

> 1

MAC address. (Enter '+++' to abort).
> +++

4.2.5.3 ネットワークの設定とインストールソースの選択

ネットワークデバイスのすべてのパラメータを入力すると、該当のドライバがインストールされ、対応するカーネルメッセージが表示されます。

次に、ネットワークインタフェースパラメータの設定に、DHCP自動設定を使用するかどうかを決定する必要があります。DHCPは少数のデバイスのみで動作し、特別なハードウェア設定が必要なため、いいえを選択します。これを実行すると、次のネットワークパラメータを指定するよう求められます。

  • インストールするシステムのIPアドレス

  • 対応するネットマスク(IPアドレスで指定していない場合に入力)

  • サーバにアクセスするためのゲートウェイのIPアドレス

  • ドメイン名サーバ(DNS)で扱う検索ドメインのリスト

  • ドメイン名サーバのIPアドレス

例 4.7: ネットワークパラメータ
Automatic configuration via DHCP?

0) <-- Back <--
1) Yes
2) No

> 2

Enter your IP address with network prefix.

You can enter more than one, separated by space, if necessary.
Leave empty for autoconfig.

Examples: 192.168.5.77/24 2001:db8:75:fff::3/64. (Enter '+++' to abort).
> 192.168.0.20/24

Enter your name server IP address.

You can enter more than one, separated by space, if necessary.
Leave empty if you don't need one.

Examples: 192.168.5.77 2001:db8:75:fff::3. (Enter '+++' to abort).
> 192.168.0.1

Enter your search domains, separated by a space:. (Enter '+++' to abort).
> example.com

Enter the IP address of your name server. Leave empty if you do not need one. (En
ter '+++' to abort).
> 192.168.0.1

最後にインストールサーバに関する必要な情報を提供します。この情報として、IPアドレス、インストールデータを格納しているディレクトリ、ログインアカウント情報などがあります。必要な情報が提供されるとインストールシステムがロードされます。

4.2.6 SUSE Linux Enterprise Microのインストールシステムに接続する

インストールシステムをロードした後で、linuxrcによりインストール手順を制御するためにどのタイプのディスプレイを選択するかが求められます。使用可能なオプションには、Remote X11 (X Window System)、VNC (Virtual Network Computingプロトコル)、SSH (テキストモードまたはSecure Shellを介したX11インストール)、Text-based UIおよびGraphical UIがあります。後者は、YaSTが存在する場合、ローカルグラフィックスディスプレイ上でグラフィカルモードでYaSTを起動します。s390xアーキテクチャでは、QEMUとvirtio-gpuドライバを使用してローカルグラフィックスディスプレイを実装できます。

推奨されるオプションは、VNCまたはSSHです。

Text-based UIオプションが選択される場合、YaSTはテキストモードで起動し、端末内で直接インストールを実行できます。Text-based UIオプションは、LPARにインストールするときにのみ役立ちます。

注記
注記: Text-based UIのターミナルエミュレーション

テキストモードでYaSTを操作できるようにするには、VT220/Linuxエミュレーションを備えた端末(Text-based UIともいいます)でYaSTを実行する必要があります。

4.2.6.1 VNCでのインストールの開始

VNCを使用してインストールをリモート制御するには、次の手順に従います。

  1. VNCオプションを選択すると、VNCサーバが起動します。コンソールの短いメモには、vncviewerと接続するためのIPアドレスとディスプレイ番号が表示されます。

  2. SUSE Linux Enterprise MicroのインストールシステムのIPアドレスとディスプレイ番号の入力を求められた場合は、これらの値を入力します。

  3. この入力を求められた場合は、SUSE Linux Enterprise MicroインストールシステムのIPアドレスとディスプレイ番号を入力します。

    http://<IP address of installation system>:5801/
  4. 接続が確立された後、YaSTを使用してSUSE Linux Enterprise Microをインストールします。

4.2.6.2 X Window Systemでのインストールの開始

重要
重要: X認証メカニズム

X Window Systemを使用する直接インストールでは、ホスト名に基づく認証メカニズムに依存します。現在のバージョンのSUSE Linux Enterprise Microでは、このメカニズムが無効になっています。SSHまたはVNCを使用してインストールを実行することをお勧めします。

X転送を使用してインストールをリモート制御するには、次の手順に従います。

  1. Xサーバを使用してクライアント(インストールされるシステム)の接続が可能なことを確認します。ファイル/etc/sysconfig/displaymanagerに変数DISPLAYMANAGER_XSERVER_TCP_PORT_6000_OPEN="yes"を設定します。Xサーバを再起動し、コマンドxhost CLIENT_IP_ADDRESSを使用して、サーバへのクライアントのバインドを行うことができるようにします。

  2. インストールシステムで入力するように指示されたら、Xサーバが稼働するコンピュータのIPアドレスを入力します。

  3. YaSTが起動されるまで待機してから、インストールを開始します。

4.2.6.3 SSHでのインストールの開始

名前がearthであるインストールシステムにSSHを使用して接続するには、ssh -X earthコマンドを使用します。ワークステーションがMicrosoft Windowsで実行されている場合は、http://www.chiark.greenend.org.uk/~sgtatham/putty/で入手可能なPuttyツールを使用します。接続SSHX11 › の順に選択して、Puttyで › Enable X11 forwarding (X11転送を有効にする)を設定します。

別のオペレーティングシステムを使用する場合は、ssh -X earthを実行して、earthという名前のインストールシステムに接続します。ローカルXサーバが使用可能な場合は、SSHのX転送がサポートされます。使用可能でない場合は、YaSTによって、ncursesのテキストインタフェースが表示されます。

プロンプト表示されたら、rootユーザ名を入力し、パスワードを使用してログインします。「yast.ssh」と入力してYaSTを起動します。その後、YaSTの指示に従ってインストール手順を実行します。

重要
重要: SSH経由でYaSTを使用する際の問題の修正

特定の状況では、Xフォワーディングを使用してSSH経由でGUI版のYaSTを実行すると、次のエラーメッセージが出て失敗する場合があります。

XIO: fatal IO error 11 (Resource temporarily unavailable) on X server "localhost:11.0"

この場合、次の2つの選択肢があります。

  • 次のように、QT_XCB_GL_INTEGRATION=noneオプションを指定してYaSTを実行します。

    QT_XCB_GL_INTEGRATION=none yast.ssh
    QT_XCB_GL_INTEGRATION=none yast2 disk
  • Xフォワーディングを無効化するか、使用するUIにncursesを指定して、ncurses版のYaSTアプリケーションを実行する。後で実行するには、yast2 disk --ncursesまたはYUI_PREFERED_BACKEND=ncurses yast2 diskコマンドを使用します。

第12章 「インストール手順の説明に従って、インストール手順を進めます。

4.2.7 IBM ZでのSUSE Linux Enterprise Microのブート手順

SLES 10および11では、ブートプロセスはziplブートローダによって処理されていました。BtrfsパーティションからのブートとSnapperでのシステムロールバックのサポートを有効にするため、SUSE Linux Enterprise MicroがIBM Zでブートする方法が変更されました。

IBM Z対応のSUSE Linux Enterprise Microでは、GRUB 2がziplに取って代わりました。AMD64/Intel 64アーキテクチャのGRUB 2では、ファームウェアレベルで、ファイルシステムにアクセスするためのデバイスドライバが組み込まれています。メインフレームにはファームウェアがないため、GRUB 2へのccwの追加は、大変な作業であり、GRUB 2にziplを再実装する必要も生じます。そのため、SUSE Linux Enterprise Microは、2段階のアプローチを使用します。

第1段階:

カーネルとinitrdを含む別のパーティションが/boot/ziplにマウントされます。このカーネルとinitrdは、/boot/zipl/configの設定を使用して、ziplを介してロードされます。

この設定は、initgrubというキーワードをカーネルコマンドラインに追加します。カーネルとinitrdがロードされると、initrdは、ルートファイルシステムをマウントするために必要なデバイスを有効化します(/boot/zipl/active_devices.txtを参照)。その後、GRUB 2ユーザ領域プログラムが開始され/boot/grub2/grub.cfgを読み込みます。

第2段階:

/boot/grub2/grub.cfgで指定されたカーネルとinitrdは、kexecを介して起動されます。オンディスクシステムを起動するために必要な/boot/zipl/active_devices.txtに一覧表示されているデバイスが有効になります。リストの他のデバイスはホワイトリストに設定されますが、それ以外は無視されます。ルートファイルシステムがマウントされ、ブートプロシージャが他のアーキテクチャと同様に進みます。

4.3 セキュアブート

IBM Zシステムでセキュアブート機能を動作させるには、次の条件を満たす必要があります。

  • マシンは、z15 T01、z15 T02、LinuxONE III LT1、LinuxONE III LT2以降のモデルである必要があります。

  • LPARを使用する必要があります(セキュアブートは、z/VMおよびKVMではサポートされていません)。

  • LPARでセキュアブートが有効になっている必要があります。

  • SCSI (FCP)ディスクを使用する必要があります(セキュアブートはDASDでサポートされていません)。

注記
注記: ハードウェアのマイグレーション

別のマシンに移行する(z13からz15など)場合は、ターゲットマシンのLPARがそのディスク上でシステムのセキュアブート状態になっていることを確認します。

セキュアブート状態の変更は、次の手順に従って実行する必要があります。

手順 4.4: セキュアブート状態の変更
  1. YaSTでセキュアブートを有効にし、新しいブートローダを作成します。

  2. システムをシャットダウンします。

  3. LPARの設定を変更します(セキュアブートを有効または無効にします)。

  4. システムをブートします。

注記
注記: HMCでのセキュアブート

secure=1パラメータで設定されたディスク上のシステムは、ファームウェアが新しいオンディスク形式をサポートしている限り(z15では常に当てはまります)、z15 HMCでブートできます。

4.4 parmfile: システム設定の自動化

インストールプロセスは、parmfileで不可欠なパラメータを指定することで、部分的に自動化することができます。parmfileには、ネットワーク設定とDASD設定に必要なすべてのデータが含まれています。また、parmfileを使用して、SUSE Linux Enterprise Microのインストールシステムおよびそのシステムで実行しているYaSTインスタンスに接続する方法を設定することもできます。これにより、実際のYaSTインストールへのユーザ操作が削減されます。

4.4.1項 「一般パラメータ」に一覧表示されているパラメータは、インストール用のデフォルト値としてインストールランタイムに渡すことができます。ここで使用しているすべてのIPアドレス、サーバ名、および数値は、あくまでも例にすぎないことに注意してください。これらをインストールシナリオの実際の値に置き換えます。

parmfile内の行数は10に制限されます。各行に複数のパラメータを指定できます。パラメータ名は大文字小文字を区別しません。パラメータはスペースで区切る必要があります。パラメータは任意の順序で指定できます。PARAMETER=valueの文字列は、必ず1行に収めてください。各行の長さは80文字以内にしてください。例:

Hostname=s390zvm01.suse.de HostIP=10.11.134.65
ヒント
ヒント: インストール時のIPv6の使用

デフォルトでは、マシンにIPv4ネットワークアドレスのみを割り当てることができます。インストール時にIPv6を有効にするには、ブートプロンプトでipv6=1 (IPv4とIPv6を受け入れ)パラメータまたはipv6only=1 (IPv6のみを受け入れ)パラメータのいずれかを指定します。

次のパラメータの一部は必須です。ない場合は、自動プロセスにより指定するように求められます。

4.4.1 一般パラメータ

AutoYaST=<URL> Manual=0

AutoYaSTパラメータは、自動インストール用autoinst.xml制御ファイルの場所を指定します。Manualパラメータは、他のパラメータをユーザによる肯定応答が引き続き必要なデフォルト値のみにするかどうかを制御します。すべての値を受け入れて、確認のメッセージを表示しないようにする場合は、このパラメータを0に設定します。AutoYaSTのデフォルトのManual0に設定します。

DeviceAutoConfig=<0|1|2>

linuxrcでは、DeviceAutoConfigパラメータは、IBM ZシステムのI/Oデバイス自動設定データの使用を制御します。

0に設定すると、自動設定は無効になります。1に設定すると、既存の自動設定データが適用されます。2(デフォルト)に設定すると、自動設定データがある場合にダイアログが表示されます。ユーザはそのデータを適用するかどうかを尋ねられます。

詳細については、4.4.4項 「IBM ZシステムでのI/Oデバイスの自動設定」を参照してください。

Info=<URL>

追加のオプションを使用してファイルの場所を指定します。これによって、parmfileの10行制限(およびz/VMでの1行当たり80文字の制限)を克服することができます。Infoファイルの詳細については、Section 9.3.3, “Combining the linuxrc info file with the AutoYaST control file”を参照してください。通常、InfoファイルにはIBM Z上でネットワークを通じてのみアクセスできるので、このファイルを使用して、ネットワークの設定に必要なオプション(4.4.2項 「ネットワークインタフェースの設定」で説明しているオプション)を指定することはできません。デバッグに関連するオプションなど、他のlinuxrc固有のオプションは、parmfile自体で指定する必要があります。

Upgrade=<0|1>

SUSE Linux Enterpriseをアップグレードするには、Upgrade=1を指定します。すでにインストールされているSUSE Linux Enterpriseをアップグレードするには、カスタムのparmfileが必要です。このパラメータを指定しないと、インストール時にアップグレードオプションを使用できません

4.4.2 ネットワークインタフェースの設定

重要
重要: ネットワークインタフェースの設定

このセクションで説明する設定は、インストール時に使用されるネットワークインタフェースのみに適用されます。

Hostname=zsystems.example.com

完全修飾ホスト名を入力します。

Domain=example.com

DNSのドメインサーチパス完全修飾ホスト名ではなく短いホスト名を使用できます。

HostIP=192.168.1.2/24

設定するインタフェースのIPアドレスを入力します。

Gateway=192.168.1.3

使用するゲートウェイを指定します。

Nameserver=192.168.1.4

サービスを提供するDNSサーバを指定します。

InstNetDev=osa

設定するインタフェースタイプを入力します。設定できる値は、osahsictcescon、およびiucvです(CTC、ESCON、およびIUCVは正式にはサポートされていません)。

インタフェースタイプが、ctcesconiucvの場合は(CTC、ESCON、IUCVは公式にはサポートされなくなりました)、ピアのIPアドレスを次のように入力します。

Pointopoint=192.168.55.20
OsaInterface=<lcs|qdio>

osaネットワークデバイスの場合は、ホストインタフェース(qdioまたはlcs)を指定します。

Layer2=<0|1>

osa QDIOイーサネットデバイスとhsiデバイスで、OSIレイヤ2サポートを有効にするかどうかを指定します(有効にする場合は1、無効にする場合は0)。

OSAHWAddr=02:00:65:00:01:09

レイヤ2対応osa QDIOイーサネットデバイスの場合は、MACアドレスを手動で指定するか、システムのデフォルト設定を使用する場合はOSAHWADDR= (末尾に空白を記述)を指定します。

PortNo=<0|1>

osaネットワークデバイスには、ポート番号を指定します(デバイスがこの機能をサポートしている場合)。デフォルト値は「0」です。

それぞれのインタフェースで、次のように特定の設定オプションが必要になります。

  • インタフェースctcおよびescon (CTCおよびESCONは、公式にはサポートされなくなりました):

    ReadChannel=0.0.0600
    WriteChannel=0.0.0601

    ReadChannelは、使用するREADチャネルを指定します。WriteChannelは、WRITEチャネルを指定します。

  • ctcインタフェース(公式にはサポートされなくなりました)の場合は、次のように、このインタフェースに使用する必要があるプロトコルを指定します。

    CTCProtocol=<0/1/2>

    有効なエントリは次のとおりです。

    0

    OS/390およびz/OS以外の非Linuxピアにも有効な互換モード(デフォルトモード)

    1

    拡張モード

    2

    OS/390およびz/OSに使用する互換モード

  • インタフェースlcsを持つネットワークデバイスタイプosa:

    ReadChannel=0.0.0124

    ReadChannelは、この設定で使用されるチャネル番号を表します。2番目のポート番号をここから取得するには、ReadChannelに1を追加します。Portnumberを使用して、相対ポートを指定します。

  • インタフェースiucv:

    IUCVPeer=PEER

    ピアコンピュータの名前を入力します。

  • OSA-Express Gigabit Ethernet用インタフェースqdioを備えたネットワークデバイスタイプosa:

    ReadChannel=0.0.0700
    WriteChannel=0.0.0701
    DataChannel=0.0.0702

    ReadChannelでは、READチャネルの番号を入力します。WriteChannelでは、WRITEチャネルの番号を入力します。DataChannelは、DATAチャネルを指定します。READチャネルに偶数のデバイス番号が設定されていることを確認します。

  • HiperSocketおよびVMゲストLAN用のインタフェースhsi:

    ReadChannel=0.0.0800
    WriteChannel=0.0.0801
    DataChannel=0.0.0802

    ReadChannelでは、READチャネルの適切な番号を入力します。WriteChannelおよびDataChannelでは、WRITEチャネル番号とDATAチャネル番号を入力します。

4.4.3 インストールソースとYaSTインタフェースの指定

Install=nfs://server/directory/DVD1/

使用するインストールソースの場所を指定します。使用可能なプロトコルは、nfssmb (Samba/CIFS)、ftptftp http、およびhttpsです。

ftptftp、またはsmbのURLを指定する場合は、ユーザ名およびパスワードを指定します。匿名ログインまたはゲストログインの資格情報はスキップします。

Install=ftp://USER:PASSWORD@SERVER/DIRECTORY/DVD1/
Install=tftp://USER:PASSWORD@SERVER/DIRECTORY/DVD1/

暗号化された接続でインストールを実行する場合、httpsのURLを使用します。証明書を検証できない場合はsslcerts=0ブートオプションを使用して、証明書のチェックを無効にします。

SambaまたはCIFSインストールの場合は、次のようにドメインを指定することもできます。

Install=smb://WORKDOMAIN;USER:PASSWORD@SERVER/DIRECTORY/DVD1/
ssh=1 vnc=1 Display_IP=192.168.42.42

インストール方法は、指定するパラメータによって異なります。sshは、SSHインストールを有効にし、vncはインストールマシン上でVNCサーバを起動します。また、Display_IPを指定すると、インストールシステムによって、指定されたアドレスのXサーバへの接続が試行されます。これらのパラメータの1つのみを設定する必要があります。

重要
重要: X認証メカニズム

X Window Systemを使用する直接インストールでは、ホスト名に基づく認証メカニズムに依存します。現在のバージョンのSUSE Linux Enterprise Microでは、このメカニズムが無効になっています。SSHまたはVNCを使用してインストールを実行することを推奨します。

YaSTとリモートXサーバの接続を確立するには、リモートコンピュータ上でインストールコンピュータのアドレスを指定して、xhost <IP address>を実行します。

VNCの場合は、次のように、インストールに使用する6~8文字のパスワードを指定します。

VNCPassword=<a password>

SSHの場合は、次のように、インストールに使用する6~8文字のパスワードを指定します。

ssh.password=<a password>

4.4.4 IBM ZシステムでのI/Oデバイスの自動設定

I/Oデバイスの自動設定は、Linuxで自動的に有効にする必要があるI/OデバイスのIDと設定をユーザが指定できるようにするメカニズムです。この情報は、DPM (Dynamic Partition Manager)モードで実行されているHMCを介してLPARに指定されます。

注記
注記

I/Oデバイスの自動設定機能は、DPMが実行されているシステムで使用できます。DPMは、LinuxONEマシン上でデフォルトで実行されます。IBM Zの場合、この機能を注文する必要があります。

linuxrcでは、DeviceAutoConfigパラメータは、IBM ZシステムのI/Oデバイス自動設定データの使用を制御します。

DeviceAutoConfig=0

0に設定すると、自動設定は無効になります。

DeviceAutoConfig=1

1に設定すると、既存の自動設定データが適用されます。

DeviceAutoConfig=2 (デフォルト)

2(デフォルト)に設定すると、自動設定データがある場合にダイアログが表示されます。ユーザはそのデータを適用するかどうかを尋ねられます。

デバイスの自動設定がユーザによって無効にされると、カーネルパラメータrd.zdev=no-autoはターゲットシステムのブートオプションに追加されます。

YaSTを使用してI/O自動設定を有効にするには、yast2 system_settingsコマンドを実行して、カーネル設定セクションに切り替え、I/Oデバイスの自動設定の有効化オプションを有効にします。

AutoYaSTプロファイルでI/O自動設定を無効にするには、次のカーネルパラメータをグローバルブートローダオプションのappendセクションに追加します。例:

<bootloader>
  <global>
    <append>rd.zdev=no-auto</append>
  </global>
</bootloader>

AutoYaSTのブートローダオプションの詳細については、Section 4.4, “The boot loader”を参照してください。

インストール中に、自動設定のステータスがインストールの設定画面のデバイス設定セクションに表示されます。

4.4.5 parmfileの例

parmfileに記述できる文字数は最大で860文字です。目安として、79文字以下の行を最大10行とします。parmfileの読み取りでは、すべての行が間に空白を挟まずに連結されます。したがって、各行の末尾(79番目の文字)はSpaceとする必要があります。

コンソールでエラーメッセージを受け取るには、次のコードを使用します。

linuxrclog=/dev/console
例 4.8: VNCおよびAutoYaSTを使用してNFSからインストールする場合のparmfile(I/Oデバイス自動設定を使用)
ramdisk_size=131072 root=/dev/ram1 ro init=/linuxrc TERM=dumb
instnetdev=osa osainterface=qdio layer2=1 osahwaddr=
pointopoint=192.168.0.1 hostip=192.168.0.2
nameserver=192.168.0.3 DeviceAutoConfig=1
install=nfs://192.168.0.4/SLES/SLES-12-Server/s390x/DVD1
autoyast=http://192.168.0.5/autoinst.xml
linuxrclog=/dev/console vnc=1 VNCPassword=testing
例 4.9: NFS、SSH、HSI、およびNFSによるAutoYaSTを使用したインストール用のparmfile
ramdisk_size=131072 root=/dev/ram1 ro init=/linuxrc TERM=dumb
AutoYast=nfs://192.168.1.1/autoinst/s390.xml
Hostname=zsystems.example.com HostIP=192.168.1.2
Gateway=192.168.1.3 Nameserver=192.168.1.4
InstNetDev=hsi layer2=0
Netmask=255.255.255.128 Broadcast=192.168.1.255
readchannel=0.0.702c writechannel=0.0.702d datachannel=0.0.702e
install=nfs://192.168.1.5/SLES-12-Server/s390x/DVD1/
ssh=1 ssh.password=testing linuxrclog=/dev/console
例 4.10: VLANでのインストール用のparmfile
ro ramdisk_size=50000 MANUAL=0 PORTNO=1 ReadChannel=0.0.b140
WriteChannel=0.0.b141 DataChannel=0.0.b142
cio_ignore=all,!condev,!0.0.b140-0.0.b142,!0.0.e92c,!0.0.5000,!0.0.5040
HostIP= Gateway= Hostname=zsystems.example.com nameserver=192.168.0.1
Install=ftp://user:password@10.0.0.1/s390x/SLES15.0/INST/ usevnc=1
vncpassword=12345 InstNetDev=osa Layer2=1 OSAInterface=qdio ssl_certs=0
osahwaddr= domain=example.com self_update=0
vlanid=201

4.5 vt220ターミナルエミュレータの使用

最新のMicroCodeレベルでは、標準のラインモードターミナルのほか、統合されたvt220ターミナルエミュレータ(ASCIIターミナル)を使用できます。vt220ターミナルは/dev/ttysclp0に接続されます。ラインモードターミナルは/dev/ttysclp_line0に接続されます。LPARによるインストールでは、デフォルトでvt220ターミナルエミュレータが有効になります。

HMCでText-based UIを起動するには、HMCにログインし、システム管理 › システム › IMAGE_ID を選択します。LPARのラジオボタンを選択し、Recovery (回復) › Integrated ASCII Console (統合ASCII Console)の順に選択します。

ブート時にカーネルメッセージをシステムコンソールからvt220ターミナルにリダイレクトするには、次のエントリを、/etc/zipl.conf内のparameters行に追加します。

console=ttysclp0 console=ttysclp_line0

その結果、parameters行は次の例のようになります。

parameters = "root=/dev/dasda2 TERM=dumb console=ttysclp0 console=ttysclp_line0"

/etc/zipl.conf内の変更を保存し、ziplを実行してシステムを再起動します。

4.6 詳細情報

IBM Zに関するさらに詳しい技術ドキュメントを入手するには、IBM Redbooks (https://www.redbooks.ibm.com/Redbooks.nsf/domains/zsystems)またはIBM developerWorks (https://developer.ibm.com/)を参照してください。SUSE Linux Enterprise Micro固有のドキュメントについては、https://developer.ibm.com/technologies/linux/を参照してください。

4.6.1 Linux on IBM Zに関する一般的なドキュメント

Linux on IBM Zに関する一般情報については、次のドキュメントを参照してください。

  • Linux on IBM eServer zSeries and S/390: ISP and ASP Solutions (SG24-6299)

これらのドキュメントは、Linuxの現在の状態を反映していない可能性がありますが、説明されているLinux展開の原則は変化していません。

4.6.2 Linux on IBM Zについての技術的問題

Linuxカーネルとアプリケーションのトピックに関する技術情報については、次のドキュメントを参照してください。ドキュメントの最新バージョンについては、以下にアクセスしてください(https://developer.ibm.com/technologies/linux/)。

  • Linux on System z Device Drivers, Features, and Commands

  • zSeries ELF Application Binary Interface Supplement

  • Linux on System z Device Drivers, Using the Dump Tools

  • IBM zEnterprise 196 Technical Guide

  • IBM zEnterprise EC12 Technical Guide

  • IBM z13 Technical Guide

  • IBM z14 Technical Guide

  • IBM z15 Technical Guide

Linuxアプリケーション開発用のRedbookはhttp://www.redbooks.ibm.comで入手できます。

  • Linux on IBM eServer zSeries and S/390: Application Development (SG24-6807)

4.6.3 Linux on IBM Zでの詳細設定

より詳細なIBM Zのシナリオについては、次のRedbook、Redpaper、およびオンラインリソースを参照してください。