2 インストールの計画 #
この章はインストールの計画に役立つため、注意してお読みください。要件を一覧表示しており、システムに関するデータを収集するのに役立ちます。
2.1 ハードウェア要件 #
このセクションでは、SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applicationsのインストールの最低ハードウェア要件を一覧表示し、特定のSAPソフトウェアの想定されるハードウェア要件に関する基本的なガイダンスを示します。SAPソフトウェアのハードウェア要件の最新情報については、https://service.sap.com/sizingにある公式サイジングガイドラインを参照してください。
- サポートされているCPU
Intel 64
IBM POWER 8 (PowerVM搭載)
IBM POWER 9 (PowerVM搭載)
- ハードディスク
SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applicationsには、システムボリュームに対して最低41GB(スワップなし)のハードディスク容量が必要です。それに加えて、スワップパーティション用に適切なハードディスク容量を予約します。
SAP NetWeaverなどのSAPアプリケーションをインストールするには、アプリケーションの
/data
パーティションのオペレーティングシステムに必要な容量のほか、最低200GBの空きディスク容量が必要です。SAP HANAをインストールするには、次のいずれかが必要です。
SAP BusinessOne認定マシン
SAP HANA TDI (Tailored Datacenter Integration)の要件を満たす互換性のあるマシン。つまり、オペレーティングシステムに必要な容量のほか、次の空きディスク容量が必要です。
パーティション
/usr/sap
用に52GBの空きディスク容量SAP HANAデータ用の3つのパーティションの容量:
/hana/data
(RAMと同じサイズ)、/hana/log
(RAMと同じサイズで最大512GB)、および/hana/shared
(RAMと同じサイズで最大1TB)。
SAP HANAの詳細については、https://help.sap.com/docs/SAP_HANA_PLATFORM ( › › › )を参照してください。
- RAM
SUSE Linux Enterprise Serverオペレーティングシステムそれ自体には、CPUコアあたり最低1024MBの合計RAMまたは最低512MBのRAM(どちらか高いほうを選択)が必要です。
インストールするSAPソフトウェアには追加のRAMが必要です。
SAP HANAをインストールするには、マシンに最低24GBのRAMが必要です。
SAP HANAのハードウェアの設定の詳細については、『SAP Note 1944415: Hardware Configuration Guide and Software Installation Guide for SUSE Linux Enterprise Server with SAP HANA and SAP Business One』(https://launchpad.support.sap.com/#/notes/1944415)を参照してください。
パーティショニングに関する詳細については、2.7項 「パーティショニング」を参照してください。
2.2 インストールイメージ #
以前のSLE製品と異なり、SLE 15 SP5製品ライン全体を単一インストールメディアであるSLE 15 SP5 Online media 1
からインストールできます。ネットワークアクセスや登録なしでインストールするには、SLE 15 SP5 Full media 1
イメージをダウンロードしてください。両方のISOイメージはhttps://download.suse.com/から入手できます。
物理DVDにイメージを書き込むか、リムーバブルフラッシュディスクにコピーします。ディスクのサイズが目的のイメージに対して十分であることを確認します。仮想マシンにインストールするときは、仮想DVD-ROMデバイスを使用します。
次のコマンドを使用して、インストールイメージのコンテンツをリムーバブルフラッシュディスクにコピーします。
>
sudo
dd if=IMAGE of=FLASH_DISK bs=4M && sync
IMAGEをインストールメディアイメージファイルへのパスに置き換えて、FLASH_DISKをフラッシュデバイスに置き換えます。
2.3 オフラインマイグレーション #
SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applicationsのマイグレーションパスは、SUSE Linux Enterprise Server with Enhanced Service Pack Overlay Support (ESPOS)のマイグレーションパスと同じです。詳細については、『SUSE Linux Enterprise Server Upgrade Guide』(https://documentation.suse.com/sles/html/SLES-all/cha-upgrade-paths.html)を参照してください。
2.4 インストール方法 #
SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applicationsのインストール方法は複数あります。
インストールワークフロー (標準的なインストール方法)
2.5 インストールワークフローの概要 #
SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applicationsのインストールワークフローは、次のステップで構成されます。
オペレーティングシステム(SUSE Linux Enterprise Server)のインストール。3.1項 「インストールワークフロー」を参照してください。
SAPインストールウィザード、パート1: すべての必要なSAPメディアをローカルディスクにコピーするか、使用する共有ストレージメディアを選択する。4.3項 「SAPインストールウィザードの使用」、特にステップ 1を参照してください。
SAPインストールウィザード、パート2: ユーザにインタラクティブにクエリを実行して、実際のインストールのすべてのパラメータを収集する。4.3項 「SAPインストールウィザードの使用」、特にステップ 10を参照してください。
SAPインストールウィザード、パート3: SAPインストーラを実行する。4.3項 「SAPインストールウィザードの使用」、特にステップ 13を参照してください。
これらのステップのほとんどは各ステップ後すぐに実行する必要がないため、システムのインストール方法に柔軟性があります。これは、最初のステップとして単一のインストールを準備し、そこから続行できることを意味します。例:
オペレーティングシステム(SUSE Linux Enterprise Server)のみをインストールします。
あるいは、
オペレーティングシステム(SUSE Linux Enterprise Server)をインストールし、SAPメディアをコピーして、SAPインストールパラメータを収集します。
次に、ディスクイメージを作成して、それらを他のシステムにコピーし、SAPインストールパラメータを調整します。最後に、各マシンの個別のインストールを終了します。
2.6 インストールに必要なデータ #
- オペレーティングシステム
SUSE Linux Enterprise Serverのインストールには、すべての物理サーバについて次のデータが必要です。
ホスト名、ドメイン、IPアドレス、サブネットマスク、ドメイン検索リスト(DNS)、名前サーバのIP、ゲートウェイ用IPなどの、ネットワーク設定パラメータ
SUSE Linux Enterprise Serverインストール用の管理者(
root
)パスワード
- SAPアプリケーション
SAPアプリケーションのインストールでは、通常、次のものを指定する必要があります。
SAP SID
SAPインスタンス番号
SAPアプリケーションのパスワード
インストールするSAPアプリケーションによって、T-Shirt Sizingや仮想ネットワーキング用のパラメータなど、より多くのパラメータが必要な場合があります。
- SAP HANAデータベース
SAP HANAのインストールでは、次を指定する必要があります。
SAP SID
SAPインスタンス番号
マルチテナントデータベースコンテナ(MDC)を有効にするかどうか。SAP HANAのマルチテナントサポートにより、1つのSAP HANAインストールとして実行される複数のデータベースを使用できます。(SAP HANA MDCを使用するには、SAP HANA Life Cycle Managerが必要です。)
シングルテナントインストールの場合は、
を選択します。1人の
SIDadm
ユーザによって管理するマルチテナントインスタンスの場合は、 を選択します。各データベースが独自の
SIDadm
ユーザを持つ管理対象のマルチテナントインスタンスの場合は、 を選択します。SAP HANAデータベースのパスワード
SAPソフトウェアの詳細については、https://help.sap.comとhttps://support.sap.comにあるSAPドキュメントを参照してください。
2.7 パーティショニング #
SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applicationsは、次の2つのステージでパーティショニングテーブルを作成します。
オペレーティングシステムのパーティショニング(ステージ1) (オペレーティングシステムのインストール中)
SAPシステムのパーティショニング(ステージ2) (SAP製品のインストール中)
2.7.1 オペレーティングシステムのパーティショニング(ステージ1) #
オペレーティングシステムのインストール中に、オペレーティングシステムのパーティションが作成されます。
/dev/system
という名前の論理ボリュームグループ(LVG)が作成されます。このLVGには次の2つの論理ボリューム(LV)が含まれます。
/dev/system/root
: デフォルトで60GB、オペレーティングシステムとSAPメディアを考慮/dev/system/swap
: デフォルトで2GB、小さいサイズの設定を回避。『SAP Note 2578899: SUSE Linux Enterprise Server 15: Installation notes』(https://launchpad.support.sap.com/#/notes/2578899)も参照してください。
また、boot
またはUEFIパーティションが必要に応じて作成されます。
2.7.2 SAPシステムのパーティショニング(ステージ2) #
SAPシステムのパーティショニングは、次の方法で作成できます。
SAPインストールウィザード(4.3項 「SAPインストールウィザードの使用」を参照)。
コマンドラインでのYaSTの使用(4.5項 「SAPインストールウィザードを使用しないSAPアプリケーションのパーティショニング」を参照)。
パーティショニングのこの部分は、オペレーティングシステムがインストールされた後でのみ作成できます。これは、パーティションが、再起動後のインストールワークフローまたは実行中のシステムのいずれかで作成されることを意味します。
インストールする製品および特定の使用例によって、必要なハードディスク容量が異なる可能性があります。
AutoYaSTを使用したSAPシステムのパーティショニングについては、付録B AutoYaSTを使用したSAPシステムのパーティショニングを参照してください。