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適用項目 SUSE Linux Enterprise High Availability Extension 15 SP2

13 ネットワークデバイスボンディング

多くのシステムで、通常のEthernetデバイスの標準のデータセキュリティ/可用性の要件を超えるネットワーク接続の実装が望ましいことがあります。その場合、数台のEthernetデバイスを集めて1つのボンディングデバイスを設定できます。

ボンディングデバイスの設定には、ボンディングモジュールオプションを使用します。ボンディングデバイスの振る舞いは、ボンディングデバイスのモードによって決定されます。デフォルトの動作は、mode=active-backupであり、アクティブなスレーブに障害が発生すると、別のスレーブデバイスがアクティブになります。

Corosyncの使用時は、クラスタソフトウェアでボンディングデバイスが管理されることはありません。したがって、ボンディングデバイスにアクセスする可能性のあるクラスタノードごとに、ボンディングデバイスを設定する必要があります。

13.1 YaSTによるボンディングデバイスの設定

ボンディングデバイスを設定するには、1つのボンディングデバイスに集めることができる数台のEthernetデバイスが必要です。次の手順に従います。

  1. rootとしてYaSTを開始し、システム › ネットワーク設定の順に選択します。

  2. ネットワーク設定で、概要タブに切り替えて、使用可能なデバイスを表示します。

  3. 1つのボンディングデバイスに集めるEthernetデバイスにIPアドレスが割り当てられているかどうかチェックします。割り当てられている場合は、それを変更します。

    1. 選択するデバイスを選択して、編集をクリックします。

    2. 開いているネットワークカードのセットアップダイアログのアドレスタブで、リンクとIPなしのセットアップ(ボンディングスレーブ)オプションを選択します。

      Image
    3. 次へをクリックして、ネットワーク設定ダイアログのOverviewタブに戻ります。

  4. 新しいボンディングデバイスを追加するには:

    1. 追加をクリックして、デバイスの型ボンドに変更します。次へで続行します。

    2. IPアドレスをボンディングデバイスに割り当てる方法を選択します。3つの方法から選択できます。

      • リンクとIPなしのセットアップ(ボンディングスレーブ)

      • 可変IPアドレス(DHCPまたはZeroconf)

      • 固定IPアドレス

      ご使用の環境に適合する方法を使用します。Corosyncで仮想IPアドレスを管理する場合は、静的割り当てIPアドレスを選択し、インタフェースにIPアドレスを割り当てます。

    3. ボンドスレーブタブに切り替えます。

    4. ステップ 3.bでボンディングスレーブとして設定したEthernetデバイスが表示されます。ボンドに含めるEthernetデバイスを選択するには、ボンドスレーブと順序の下にある、各デバイスの前のチェックボックスを有効にします。

      Image
    5. ボンドドライバオプションを編集します。次のモードを使用できます。

      balance-rr

      パケットが正しい順序で転送されなくなる代わりに、負荷分散と耐障害性が提供されます。これは、TCPの再構築時などに遅延の原因になる場合があります。

      active-backup

      耐障害性を提供します。

      balance-xor

      負荷分散と耐障害性を提供します。

      ブロードキャスト

      耐障害性を提供します。

      802.3ad

      接続されるスイッチでサポートされる場合は、ダイナミックリンク集合を提供します。

      balance-tlb

      発信トラフィックの負荷分散を提供します。

      balance-alb

      使用中にハードウェアアドレスの変更が可能なネットワークデバイスを使用する場合は、着信トラフィックと発信トラフィックの負荷分散を提供します。

    6. ボンドドライバオプションには、パラメータmiimon=100を必ず追加します。このパラメータがなければ、リンクが定期的にチェックされないため、ボンディングドライバは、障害リンクで引き続きパケットを失う可能性があります。

  5. 次へをクリックして、OKでYaSTを終了し、ボンディングデバイスの設定を完了します。YaSTが/etc/sysconfig/network/ifcfg-bondDEVICENUMBERに設定を書き込みます。

13.2 ボンディングスレーブのホットプラグ

ボンディングスレーブのインタフェースを別のものに置き換える必要が生じることがあります。たとえば、それぞれのネットワークデバイスに常に障害が発生する場合などです。解決方法として、ボンディングスレーブのホットプラグを設定します。デバイスをMACアドレスではなくバスIDによって一致させるために、udevルールを変更する必要もあります。これにより、ハードウェアが許可する場合は、不具合のあるハードウェア(同じスロットにあるのにMACアドレスが異なるネットワークカードなど)を置き換えることができます。

手順 13.1: YaSTによるボンディングスレーブのホットプラグの設定

手動の設定を行う場合は、『SUSE Linux Enterprise High Availability Extension Administration Guide』、「Basic Networking」の章の「.Hotplugging of Bonding Slaves」というセクションを参照してください。

  1. rootとしてYaSTを開始し、システム › ネットワーク設定の順に選択します。

  2. ネットワーク設定で、Overviewタブに切り替えて、すでに設定済みのデバイスを表示します。ボンディングスレーブがすでに設定済みの場合、メモ列にそのことが示されます。

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  3. 1つのボンディングデバイスに集められたEthernetデバイスのそれぞれに対して、次の手順を実行します。

    1. 選択するデバイスを選択して、編集をクリックします。Network Card Setupダイアログが開きます。

    2. 一般タブに切り替えて、デバイスのアクティブ化が[ホットプラグ]に設定されていることを確認します。

    3. ハードウェアタブに切り替えます。

    4. Udevルールで、変更をクリックしてBusIDオプションを選択します。

    5. OKおよび次へをクリックして、ネットワーク設定ダイアログのOverviewタブに戻ります。この時点でEthernetデバイスエントリをクリックすると、下のペインにバスIDを含むデバイスの詳細が表示されます。

  4. OKをクリックして変更を確定し、ネットワーク設定を終了します。

ブート時にネットワークセットアップはホットプラグスレーブを待機しませんが、ボンドの準備が整うのを待機します。これには少なくとも1つのスレーブが利用可能であることが必要です。スレーブインタフェースの1つがシステムから削除されると(NICドライバからアンバインド、NICドライバのrmmod、または実際のPCIホットプラグ取り外し)、カーネルによってボンドから自動的に削除されます。システムに新しいカードが追加されると(スロットのハードウェアが置換されると)、udevは、バスベースの永続名規則を適用することで名前を変更し、ifupを呼び出します。ifup呼び出しによって、ボンドに自動的に追加されます。

13.3 その他の情報

全モードおよび多数のオプションの詳細については、Linux Ethernet Bonding Driver HOWTOに記載されています。これは、kernel-sourceパッケージをインストールした後に参照できる/usr/src/linux/Documentation/networking/bonding.txtファイルの内容です。

High Availabilityセットアップの場合は、そのファイルで説明されているmiimonおよびuse_carrierオプションが特に重要です。