11 ClamSAPを使用したマルウェアに対する保護 #
ClamSAPは、ClamAVアンチマルウェアツールキットをSAP NetWeaverおよびSAP Mobile Platformのアプリケーションに統合します。ClamSAPは、ClamAVとSAP NetWeaver Virus Scan Interface (NW-VSI)をリンクする共有ライブラリです。SUSE Linux Enterprise Server for SAP Applications 15 SP6に付属しているClamSAPのバージョンは、NW-VSIバージョン2.0をサポートしています。
デフォルトで、ClamAVはファイルサイズ、ネストレベル、スキャン時間など、さまざまな制限を超えるファイルをスキャンしません。このようなファイルは「OK」として報告されます。clamscan
コマンドラインツールおよびclamd
スキャンデーモンのClamAVウィルススキャンエンジンの現在のデフォルト設定は、次のように設定されています。
ファイルおよびアーカイブはスキャンされますが、サイズ、ネストレベル、スキャン時間などの設定済みまたはデフォルトの制限までしかスキャンされません。
スキャンエンジンは、これらのファイルが「OK」であると報告します。
これにより、攻撃者がウィルススキャンをバイパスする可能性があります。
アラートを有効にして、clamscan
コマンドラインで--alert-exceeds-max=yes
オプションを設定するか、またはデーモンベースのスキャンでclamd.conf
のAlertExceedsMax
TRUE
を使用して設定できます。これらのオプションを設定すると、ステータスタイプHeuristics.Limits.Exceeded
の「FOUND」レポートが作成されます。フロントエンドやレポートの処理では、このようなファイルを異なる方法で処理する必要があります。
アラートを有効にする前に、フロントエンドがこれらのファイルを突然隔離または削除しないようにしてください。
11.1 ClamSAPのインストール #
アプリケーションホストに、ClamAVおよびClamSAPのパッケージをインストールします。そのためには、次のコマンドを使用してください。
>
sudo zypper install clamav clamsap
デーモン
clamd
を有効にする前に、マルウェアデータベースを初期化します。>
sudo freshclam
サービス
clamd
を開始します。>
sudo systemctl start clamd
次のコマンドを使用してサービス
clamd
のステータスを確認します。>
systemctl status clamd
● clamd.service - ClamAV Antivirus Daemon Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/clamd.service; enabled; vendor preset: disabled) Active: active (running) since Tue 2017-04-11 10:33:03 UTC; 24h ago [...]
11.2 SAP NetWeaverでのウィルススキャナグループの作成 #
GUIを使用してSAP NetWeaverインストールにログインします。
DDIC
またはSAP*
ユーザとしてログインしないでください。ウィルススキャナをcross-clientに設定する必要があるためです。トランザクション
を使用してウィルススキャナグループを作成します。ビューモードから変更モードに切り替えるには、)をクリックします。
ボタン(チェックマークをクリックして、
というメッセージを確認します。テーブルが編集可能になりました。最初の空の行を選択します。
テキストボックスで、CLAMSAPVSI
を指定します。 で、CLAMSAP
を指定します。- ボタン(
11.3 SAP NetWeaverでのClamSAPライブラリの設定 #
SAP NetWeaver GUIで、トランザクション
をコールします。ビューモードから変更モードに切り替えるには、)をクリックします。
ボタン(チェックマークをクリックして、
というメッセージを確認します。テーブルが編集可能になりました。必要に応じて、次のフォームに入力します。
Adapter (Virus Scan Adapter)
VSA_HOSTNAME
(例:VSA_SAPSERVER
)Scanner Group
: 11.2項 「SAP NetWeaverでのウィルススキャナグループの作成」で設定したスキャナグループの名前(例:CLAMSAPVSI
)HOSTNAME_SID_INSTANCE_NUMBER
(例:SAPSERVER_P04_00
)libclamdsap.so
11.4 ウィルス定義のデフォルトの場所の設定 #
デフォルトで、ClamAVはウィルス定義が/var/lib/clamsap
にあることを想定しています。このデフォルトの場所を変更するには、次の手順に従います。
GUIを使用してSAP NetWeaverインストールにログインします。
DDIC
またはSAP*
ユーザとしてログインしないでください。ウィルススキャナをcross-clientに設定する必要があるためです。CLAMSAPVSI
グループを選択します。左のナビゲーションペインで、
をクリックします。ビューモードから変更モードに切り替えるには、)をクリックします。
ボタン(チェックマークをクリックして、
というメッセージを確認します。テーブルが編集可能になりました。図 11.1: #- 図 11.2: #
別のウィルススキャナの場所へのパスを入力します。
- ボタン(
11.5 ClamSAPの実行 #
ClamSAPを実行するには、トランザクション開始]をクリックします。
に移動します。続いて[その後、ClamSAPおよびClamAVの詳細を含む概要が表示されます(図11.4「ClamSAPデータの概要」で示される)。
11.6 詳細の参照先 #
詳細については、プロジェクトホームページhttps://sourceforge.net/projects/clamsap/も参照してください。