11 SUSE Enterprise Storage 7から7.1へのアップグレード #
この章では、SUSE Enterprise Storage 7をバージョン7.1にアップグレードする手順について説明します。
アップグレードには次のタスクが含まれます。
基礎となるSUSE Linux Enterprise Server SUSE Linux Enterprise Server 15 SP2からバージョンSUSE Linux Enterprise Server 15 SP3へのアップグレード。
Ceph OctopusからPacificへのアップグレード。
11.1 アップグレード実行前の確認事項 #
アップグレードの開始前に、必ず以下のタスクを完了させてください。このタスクはSUSE Enterprise Storage 7のライフタイムのどの時点でも実行できます。
11.1.1 考慮すべきポイント #
アップグレードの前に以下のセクションを熟読して、実行する必要があるすべてのタスクを十分に理解してください。
リリースノートの確認.リリースノートには、旧リリースのSUSE Enterprise Storageからの変更点に関する追加情報が記載されています。リリースノートを参照して以下を確認します。
使用しているハードウェアに特別な配慮が必要かどうか
使用しているソフトウェアパッケージに大幅な変更があるかどうか
インストールのために特別な注意が必要かどうか
リリースノートには、マニュアルに記載できなかった情報が記載されています。また、既知の問題に関する注意も記載されています。
SES 7.1のリリースノートはhttps://www.suse.com/releasenotes/を参照してください。
パッケージrelease-notes-sesをSES 7.1リポジトリからインストールすると、ローカルディレクトリ
/usr/share/doc/release-notes
にリリースノートが置かれます。https://www.suse.com/releasenotes/にあるオンラインのリリースノートも利用できます。パートII「Cephクラスタの展開」を参照して、
ceph-salt
とCephオーケストレータについて理解してください。特に、サービス仕様に記載されている情報は重要です。
11.1.2 クラスタ設定とデータのバックアップ #
アップグレードを開始する前に、すべてのクラスタ設定とデータをバックアップすることを強くお勧めします。すべてのデータをバックアップする方法については、第15章 「バックアップおよび復元」を参照してください。
11.1.3 ソフトウェアリポジトリとコンテナイメージへのアクセス確認 #
各クラスタノードがSUSE Linux Enterprise Server 15 SP3とSUSE Enterprise Storage 7.1のソフトウェアリポジトリとコンテナイメージのリポジトリにアクセスできることを確認してください。
11.1.3.1 ソフトウェアリポジトリ #
すべてのノードがSCCに登録されている場合、zypper migration
コマンドによるアップグレードが可能です。詳細については、https://documentation.suse.com/sles/15-SP3/html/SLES-all/cha-upgrade-online.html#sec-upgrade-online-zypperを参照してください。
ノードがSCCに登録されていない場合は、すべての既存のソフトウェアリポジトリを無効化し、次に示す各エクステンションにPool
リポジトリとUpdates
リポジトリの両方を追加してください。
SLE-Product-SLES/15-SP3
SLE-Module-Basesystem/15-SP3
SLE-Module-Server-Applications/15-SP3
SUSE-Enterprise-Storage-7.1
11.1.3.2 コンテナイメージ #
すべてのクラスタノードはコンテナイメージのレジストリにアクセスできる必要があります。多くの場合、registry.suse.com
のパブリックSUSEレジストリを使用します。必要なイメージは次のとおりです。
registry.suse.com/ses/7.1/ceph/ceph
registry.suse.com/ses/7.1/ceph/grafana
registry.suse.com/ses/7.1/ceph/prometheus-server
registry.suse.com/ses/7.1/ceph/prometheus-node-exporter
registry.suse.com/ses/7.1/ceph/prometheus-alertmanager
もしくは、たとえばエアギャップ環境で展開したい場合などは、ローカルレジストリを設定し、正常なコンテナイメージのセットが利用できることを確認してください。ローカルなコンテナイメージのレジストリを設定する方法の詳細については、7.2.10項 「コンテナレジストリの使用」を参照してください。
11.2 各クラスタノードのSUSE Linux Enterprise ServerをバージョンSUSE Linux Enterprise Server 15 SP3に移行 #
クラスタノードがSUSE Customer Centerを使用するように設定されている場合は、zypper migration
コマンドを使用できます。
クラスタノードにソフトウェアリポジトリが手動で設定されている場合は、ノードを手動でアップグレードする必要があります。
zypper
を使用したSUSE Linux Enterprise Serverのアップグレードの詳細については、https://documentation.suse.com/sles/15-SP3/html/SLES-all/cha-upgrade-online.html#sec-upgrade-online-zypperを参照してください。
11.3 各クラスタノードでSUSE Enterprise Storage関連のパッケージを更新する #
SUSE Enterprise Storageパッケージを最新バージョンに更新するには、ceph-salt update
コマンドを使用します。詳細については、13.6項 「クラスタノードの更新」を参照してください。
11.4 既存のCephクラスタサービスのアップグレード #
管理ノードから次のコマンドを実行して、Cephクラスタ全体をバージョンPacificにアップグレードします。
cephuser@adm >
ceph orch upgrade start --image registry.suse.com/ses/7.1/ceph/ceph