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documentation.suse.com / SUSE Linux Enterprise Serverマニュアル / 管理ガイド / ハードウェア設定 / プリンタの設定
適用項目 SUSE Linux Enterprise Server 15 SP5

34 プリンタの設定

YaSTを使用して、ローカルプリンタおよびネットワークプリンタを設定できます。印刷に関する詳細(一般情報、技術詳細、トラブルシューティング)は、第24章 「プリンタの運用に記載されています。

YaSTでハードウェア › プリンタの順に選択してプリンタモジュールを起動します。デフォルトでは、モジュールがプリンタ設定画面で開き、使用可能な設定済みのプリンタをすべて一覧します。これは、ネットワークを介して多数のプリンタにアクセスできる環境で、特に役に立ちます。ここから、テストページの印刷を実行し、プリンタを設定することもできます。

注記
注記: CUPSの起動

マシンに接続されているプリンタを使用するには、CUPSがインストール済みでシステムで実行中である必要があります。CUPSが実行されていない場合、起動するよう求められます。ブート時にCUPSが起動していない場合、これを有効にすることも求められます(推奨)。

34.1 プリンタの環境設定

通常、USBプリンタは自動検出されます。自動検出されない場合、プリンタの電源がオンになっていて、マシンに接続されているかを確認します。

プリンタの設定プロセスは3つのステップで構成されます。つまり、接続タイプを指定し、ドライバを選択し、このセットアップ用の印刷キューに名前を付けます。

多くのプリンタモデルは複数のドライバを利用できます。プリンタを設定するとき、YaSTはデフォルトでこれらにrecommendedのマークを付けます。通常は、ドライバを変更する必要はありません。ただし、カラープリンタでモノクロ印刷だけをしたい場合は、カラー印刷をサポートしないドライバを使用できます。画像印刷時にPostScriptプリンタでパフォーマンス上の問題が発生する場合は、PostScriptからPCLドライバに変更してみてください(ただし、使用するプリンタがPCLを理解できる場合)。

プリンタ用ドライバがリストされていない場合は、該当する標準言語を使用する汎用ドライバをリストから選択してみてください。プリンタのマニュアルを参照して、プリンタがサポートしている言語(プリンタを制御するコマンドのセット)を見つけてください。これでうまくいかない場合は、34.1.1項 「YaSTによるドライバの追加」を参照して他の解決方法を試してください。

プリンタは、常に印刷キューを介して使用されます。これにより、同時実行ジョブをキューに入れ、次々に処理することができます。各印刷キューは、特定のドライバに割り当てられ、プリンタは、複数のキューを持つことができます。例として、これにより、カラープリンタ上に、モノクロでだけ印刷する2つ目のキューを設定することができます。印刷キューの詳細については、24.1項 「CUPSのワークフロー」を参照してください。

手順 34.1: 新しいプリンタを追加する
  1. ハードウェア › プリンタの順に選択して、YaSTのプリンタモジュールを起動します。

  2. プリンタ設定画面で追加をクリックします。

  3. プリンタがすでにSpecify the Connectionの下に一覧されている場合は、次のステップに進みます。そうでない場合は、さらに検出を試すか、または接続ウィザードを起動します。

  4. Find and Assign a Driverにあるテキストボックスにベンダ名とモデル名を入力し、検索をクリックします。

  5. プリンタに適したドライバを選択します。最初に表示されるドライバを選択することをお勧めします。適切なドライバが表示されない場合、次を試してみます。

    1. 検索条件をチェックします。

    2. 検出を再度実行する (&F)をクリックして、検索を拡張します。

    3. 34.1.1項 「YaSTによるドライバの追加」の説明のとおり、ドライバを追加します。

  6. Default paper sizeを指定します。

  7. 任意の名前の設定フィールドに、印刷キューの固有の名前を入力します。

  8. これで、プリンタはデフォルト値で設定され、使用可能な状態になりました。OKをクリックして、プリンタ設定画面に戻ります。新しく設定されたプリンタがプリンタ一覧に表示されます。

34.1.1 YaSTによるドライバの追加

SUSE Linux Enterprise Serverで使用可能なすべてのプリンタドライバがデフォルトでインストールされるわけではありません。プリンタを追加するとき、適切なドライバがドライバの検出と割り当てダイアログにない場合、そのプリンタのドライバを含むドライバパッケージをインストールします。

手順 34.2: 追加のドライバパッケージをインストールする
  1. ハードウェア › プリンタの順に選択して、YaSTのプリンタモジュールを起動します。

  2. プリンタ設定画面で追加をクリックします。

  3. Find and Assign a Driverセクションでドライバパッケージをクリックします。

  4. リストから1つまたは複数の適切なドライバパッケージを選択します。プリンタ記述ファイルへのパスは指定しないでください

  5. OKを選択し、パッケージのインストールを確認します。

  6. これらのドライバを直接使用するには、手順34.1「新しいプリンタを追加する」の説明に従って続行します。

PostScriptプリンタでは、プリンタドライバソフトウェアが不要です。PostScriptプリンタは、特定のモデルに適したPPD (PostScript Printer Description )ファイルのみを必要としています。PPDファイルは、プリンタの製造元から提供されます。

PostScriptプリンタを追加するときに、ドライバの検出と割り当てダイアログに適切なPPDファイルが表示されない場合は、ご使用のプリンタに適したPPDファイルをインストールしてください。

PPDファイルには複数のソースがあります。まず、SUSE Linux Enterprise Serverに付属している追加のドライバパッケージのうち、デフォルトでインストールされていないものを試してみることをお勧めします(インストール手順については後で説明します)。これらのパッケージに、ご使用のプリンタに適したドライバが含まれていない場合、PPDファイルは、プリンタベンダから直接か、またはPostScriptプリンタのドライバCDから入手します。詳細については、24.8.2項 「特定のPostScriptプリンタに適したPPDファイルが入手できない」を参照してください。PPDファイルは、http://www.linuxfoundation.org/collaborate/workgroups/openprinting/database/databaseintroOpenPrinting.org printer databaseで見つけることもできます。OpenPrintingからPPDファイルを使用する場合、これらは、SUSE Linux Enterprise Serverでサポートされていない場合があることに注意してください。

手順 34.3: PostScriptプリンタのPPDファイルを追加する
  1. ハードウェア › プリンタの順に選択して、YaSTのプリンタモジュールを起動します。

  2. プリンタ設定画面で追加をクリックします。

  3. Find and Assign a Driverセクションでドライバパッケージをクリックします。

  4. PPDファイルへの完全パスをMake a Printer Description File Availableの下のテキストボックスに入力します。

  5. OKをクリックして、Add New Printer Configuration画面に戻ります。

  6. このPPDファイルを直接使用するには、手順34.1「新しいプリンタを追加する」の説明に従って続行します。

34.1.2 ローカルプリンタ設定の編集

プリンタの既存の設定を編集することで、接続タイプやドライバなどの基本設定を変更できるだけでなく、用紙サイズ、解像度、メディアソースなどのデフォルト設定を調整することもできます。プリンタの説明や場所を変更することで、プリンタの識別子を変更できます。

  1. ハードウェア › プリンタの順に選択して、YaSTのプリンタモジュールを起動します。

  2. プリンタ設定画面で、リストからローカルプリンタ設定を選択し、編集をクリックします。

  3. 接続タイプまたはドライバを変更します(手順34.1「新しいプリンタを追加する」参照)。この手順は、現在の設定で問題がある場合にのみ必要です。

  4. 必要に応じて既定のプリンタを選択して、このプリンタをデフォルトにします。

  5. 現在のドライバに対する全てのオプションをクリックして、デフォルト設定を調整します。設定を変更するには、+記号をクリックしてオプションのリストを展開します。オプションをクリックして、デフォルトを変更します。変更内容を反映するには、OKをクリックします。

34.2 YaSTによるネットワーク印刷の設定

ネットワークプリンタは、自動的には検出されません。ネットワークプリンタは、YaSTのプリンタモジュールを使用して手動で設定する必要があります。ネットワークの設定内容に応じて、印刷サーバ(CUPS、LPD、SMB、またはIPX)に印刷したり、ネットワークプリンタに直接印刷(TCP経由を推奨)することができます。YaSTのプリンタモジュールの左ペインでネットワーク経由で印刷するを選択してネットワーク印刷の設定画面にアクセスします。

34.2.1 CUPSの使用

Linux環境では、ネットワークを介した印刷に、CUPSが使用されます。最も簡単なセットアップは、すべてのクライアントが直接アクセスできる1つのCUPSサーバだけを使用する印刷です。複数のCUPSサーバによる印刷では、リモートCUPSサーバと通信するCUPSデーモンが稼動中であることが必要です。

重要
重要: ネットワーク印刷キューの参照

CUPSサーバでは、ネットワークを介して印刷キューをアナウンスする際に、従来のCUPS参照プロトコルまたはBonjour/DNS-SDが使用されます。ユーザが自分の印刷ジョブをどのプリンタに送信するかを選択できるようにクライアントでこれらのリストを参照する必要があります。ネットワーク印刷キューを参照するには、cups-filters-cups-browsedパッケージに付属するcups-browsedサービスを、CUPSサーバを介して印刷するすべてのクライアントで実行する必要があります。cups-browsedは、YaSTでネットワーク印刷を設定すると自動的に起動します。

cups-browsedを起動してもブラウズできない場合は、CUPSサーバがBonjour/DNS-SDを介してネットワーク印刷キューをアナウンスしている可能性があります。この場合、avahiパッケージを追加インストールし、すべてのクライアントに対してsudo systemctl start avahi-daemonを実行することで、関連するサービスを起動する必要があります。

手順 34.4: 1つのCUPSサーバを介して印刷する
  1. ハードウェア › プリンタの順に選択して、YaSTのプリンタモジュールを起動します。

  2. 左側のペインで、ネットワーク経由で印刷するを選択します。

  3. すべての印刷を1つのCUPSサーバ経由で直接行うをオンにして、サーバの名前またはIPアドレスを指定します。

  4. テストサーバをクリックして、正しい名前またはIPアドレスが選択されていることを確認します。

  5. OKをクリックして、プリンタ設定画面に戻ります。これで、CPUSサーバを介して利用できるすべてのプリンタが一覧されます。

手順 34.5: 複数のCUPSサーバを介して印刷する
  1. ハードウェア › プリンタの順に選択して、YaSTのプリンタモジュールを起動します。

  2. 左側のペインで、ネットワーク経由で印刷するを選択します。

  3. CUPSサーバからのプリンタアナウンスメントを受け入れるを選択します。

  4. General Settingsの下で、使用するサーバを指定します。すべての使用可能なネットワーク、または特定のホストからの接続を受け入れることができます。最後のオプションを選択する場合は、ホスト名またはIPアドレスを指定する必要があります。

  5. ローカルCUPSサーバの起動を要求されたら、OKをクリックし、次にはいをクリックします。サーバが起動すると、YaSTの画面はプリンタ設定画面に戻ります。一覧を更新をクリックして、これまでに検出されたプリンタを参照します。

34.2.2 CUPS以外の印刷サーバの使用

CUPS以外の印刷サーバから印刷サービスを提供しているネットワークでは、ハードウェア › プリンタの順に選択してYaSTのプリンタモジュールを起動し、左ペインからネットワーク経由で印刷するを選択します。接続ウィザードを起動し、該当する接続タイプを選択します。ご利用の環境でのネットワークプリンタの設定については、ネットワーク管理者にお問い合わせください。

34.3 ネットワーク上のプリンタ共有

ローカルCUPSデーモンが管理するプリンタは、ネットワーク上で共有できます。その場合、実質的にローカルコンピュータがCUPSサーバになります。プリンタを共有するには、CUPSのいわゆるブラウジングモードを有効にします。ブラウジングを有効にした場合は、リモートCUPSデーモンをリッスンするために、ローカル印刷キューがネットワーク上で利用可能になります。また、専用のCUPSサーバをセットアップして、そのサーバですべての印刷キューを管理し、リモートクライアントをそのサーバに直接アクセスさせることも可能です。この場合、ブラウジングを有効にする必要はありません。

手順 34.6: プリンタを共有する
  1. ハードウェア › プリンタの順に選択して、YaSTのプリンタモジュールを起動します。

  2. 左側のペインからプリンタの共有を選択します。

  3. リモートアクセスを許可するを選択します。ローカルネットワーク内のコンピュータ向けを選択します。さらに、既定でローカルネットワーク内にプリンタを公開も選択して参照モードを有効にします。

  4. OKをクリックしてCUPSサーバを再起動し、プリンタ設定画面に戻ります。

  5. CUPSと ファイアウォールの設定については、https://en.opensuse.org/SDB:CUPS_and_SANE_Firewall_settingsを参照してください。