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documentation.suse.com / SUSE Linux Enterprise Serverマニュアル / 管理ガイド / サービス / SLP
適用項目 SUSE Linux Enterprise Server 15 SP5

41 SLP

ネットワーククライアントを設定するには、ネットワーク上で提供されるサービス(印刷やLDAPなど)に関する詳しい知識が必要です。ネットワーククライアントでこのようなサービスを容易に設定できるようにするため、サービスロケーションプロトコル (SLP)が開発されました。SLPは、ローカルネットワーク上にあるすべてのクライアントに対して、特定のサービスを利用できること、および設定データを通知します。このような通知情報を利用して、SLPをサポートする各種アプリケーションを自動的に設定することができます。

SUSE® Linux Enterprise Serverは、SLPによって提供されるインストールソースを使用するインストールをサポートしています。また、多くのシステムサービスは、統合SLPをサポートしています。ご利用のシステムでインストールサーバ、ファイルサーバ、プリントサーバなどのSLPを使用することにより、ネットワークに接続されたクライアントに一元的な管理機能を提供します。SLPサポートを提供するサービスには、cupsd、login、ntp、openldap2-client、postfix、rpasswd、rsyncd、saned、sshd (fish経由)、vnc、およびypservがあります。

ネットワーククライアントでSLPサービスを使用するのに必要なすべてのパッケージは、デフォルトでインストールされます。ただし、SLPによりサービスを「提供する」場合は、openslp-serverパッケージがインストールされていることを確認します。

41.1 SLPフロントエンドslptool

slptoolは、SLPサービスを問い合わせて登録するコマンドラインツールです。このクエリ機能は、診断を行う場合に便利です。次に、slptoolで最も重要なサブコマンドを示します。slptool --helpを実行すると、使用可能なすべてのオプションと機能のリストが表示されます。

findsrvtypes

ネットワーク上で利用可能なすべてのサービスタイプのリストを表示します。

> slptool findsrvtypes
service:install.suse:nfs
service:install.suse:ftp
service:install.suse:http
service:install.suse:smb
service:ssh
service:fish
service:YaST.installation.suse:vnc
service:smtp
service:domain
service:management-software.IBM:hardware-management-console
service:rsync
service:ntp
service:ypserv
findsrvs SERVICE_TYPE

SERVICE_TYPEを提供しているすべてのサーバのリストを表示します。

> slptool findsrvs service:ntp
service:ntp://ntp.example.com:123,57810
service:ntp://ntp2.example.com:123,57810
findattrs SERVICE_TYPE//HOST

HOST上のSERVICE_TYPEの属性のリストを表示します。

> slptool findattrs service:ntp://ntp.example.com
(owner=tux),(email=tux@example.com)
register SERVICE type//HOST:PORT "(ATTRIBUTE=VALUE),(ATTRIBUTE=VALUE)"

オプションの属性リストを使用してHOST上のSERVICE_TYPEを登録します。

slptool register service:ntp://ntp.example.com:57810 \
"(owner=tux),(email=tux@example.com)"
deregister SERVICE_TYPE//host

HOSTSERVICE_TYPEを登録解除します。

slptool deregister service:ntp://ntp.example.com

詳細については、slptool --helpを実行してください。

41.2 SLPによるサービスの提供

SLPサービスを提供するには、SLPデーモン(slpd)が動作している必要があります。SUSE Linux Enterprise Serverのほとんどのシステムサービスと同様に、slpdは別の起動スクリプトを使用して制御されます。インストール後に、このデーモンはデフォルトで非アクティブになります。現在のセッションでこのデーモンを有効にするには、sudo systemctl start slpdを実行します。システムの起動時にslpdを有効にする必要がある場合は、sudo systemctl enable slpdを実行します。

SUSE Linux Enterprise Serverのアプリケーションの多くはlibslpライブラリを使用することで、SLPサポートを統合しています。サービスがSLPサポートでコンパイルされていない場合は、SLPを介して利用できるように次の方法のいずれかを使用してください。

/etc/slp.reg.dによる静的登録

新規サービスに個別の登録ファイルを作成します。次の例は、スキャナサービスを登録します。

## Register a saned service on this system
## en means english language
## 65535 disables the timeout, so the service registration does
## not need refreshes
service:scanner.sane://$HOSTNAME:6566,en,65535
watch-port-tcp=6566
description=SANE scanner daemon

このファイルで最も重要な行は:から開始するservice:サービスURLです。このURLにはサービスタイプ(scanner.sane)および、サーバ上でサービスが使用可能になるアドレスが含まれます。$HOSTNAMEは自動的に完全ホスト名で置き換えられます。その後ろにはサービスごとのTCPポートの名前がコロンで区切られる形で続きます。さらにサービスを表示する場合に使用される言語、登録の期間を秒単位で入力します。これらはコンマを使用してTービスURLと分けるようにします。0から65535で登録期間の値を設定します。0の場合は登録する必要がありません。65535はすべての制限を削除します。

登録ファイルにはまた、2つの変数watch-port-tcpおよびdescriptionが含まれます。watch-port-tcpは、SLPサービスアナウンスとリンクして、slpdにサービスのステータスをチェックさせることにより、関連サービスがアクティブかどうかを確認します。2つ目の変数には、サービスに関するさらに詳細な説明が含まれており、正しいブラウザを使用している場合に表示されます。

ヒント
ヒント: YaSTとSLP

インストールサーバ、YOUサーバなどのようにYaSTが処理を行うサービスの一部では、モジュールダイアログでSLPがアクティブになった時点で自動的にこの登録が実行されます。続いてYaSTはこれらのサービスの登録ファイルを作成します。

/etc/slp.regによる静的登録

この方法と、/etc/slp.reg.dによる手続きの唯一の違いは、すべてのサービスが中央のファイルにグループ化されることです。

slptoolによる動的登録

設定ファイルなしでサービスを動的に登録する必要がある場合は、slptoolコマンドラインユーティリティを使用します。同じユーティリティを使用して、slpdを再起動しないで、既存の提供サービスの登録を取り消すこともできます。詳細については41.1項 「SLPフロントエンドslptoolを参照してください。

41.2.1 SLPインストールサーバのセットアップ

ネットワーク内でSLP経由でインストールデータをアナウンスすると、サーバのIPアドレスやインストールメディアのパスといったインストールデータがSLPクエリによって自動的に要求されるため、ネットワークインストールが大幅に容易になります。手順については、第16章 「ネットワークインストールソースをセットアップするを参照してください。

41.3 詳細情報

RFC 2608、2609、2610

一般的にRFC 2608はSLPの定義を取り扱います。RFC 2609は、使用されるサービスURLの構文を詳細に扱います。またRFC 2610ではSLPを使用したDHCPについて説明しています。

http://www.openslp.org

OpenSLPプロジェクトのホームページです。

/usr/share/doc/packages/openslp

このディレクトリには、SUSE Linux Enterprise Serverの詳細を含むREADME.SUSE、RFC、および2つの入門的なHTMLドキュメントなど、openslp-serverパッケージ付属のSLPのドキュメントが格納されています。SLP機能を使用するプログラマに役立つより詳しい情報については、SUSEソフトウェア開発キットに付属のopenslp-develパッケージに含まれる『プログラマガイド』を参照してください。