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適用項目 SUSE Linux Enterprise Desktop 15 SP6

25 グラフィカルユーザインタフェース

SUSE Linux Enterprise Desktopには、X.orgサーバ、Wayland、およびGNOMEデスクトップが含まれています。この章では、すべてのユーザのグラフィカルユーザインタフェースの環境設定について説明します。

25.1 Xウィンドウシステム

X.orgサーバは、X11プロトコルを実装するための事実上の標準です。Xはネットワークベースであり、あるホスト上で起動されたアプリケーションを、任意のネットワーク(LANやインターネット)を介して接続されている他のホスト上で表示できるようにします。

X Window Systemは、ほとんどの場合設定不要です。ハードウェアは、Xの起動時に動的に検出されるため、xorg.confの使用はお勧めしません。それでも、Xの動作を変更するためにカスタムオプションを指定する必要がある場合は、/etc/X11/xorg.conf.d/にある設定ファイルを変更できます。

SUSE Linux Enterprise Desktop 15 SP6では、X.orgサーバの代替機能としてWaylandが含まれています。この機能はインストール時に選択可能です。

X11に関する詳細情報を入手するには、xorg-docsパッケージをインストールしてください。man 5 xorg.confには、手動設定の形式に関する詳細情報が記載されています(必要な場合)。X11開発の詳細情報は、プロジェクトのホームページhttps://www.x.orgで参照できます。

ドライバは、xf86-video-*パッケージにあります(たとえば、xf86-video-ati)。パッケージで配布されるドライバの大半については、関連するマニュアルページに詳細が記載されてます。たとえば、atiドライバを使用する場合は、man 4 atiでドライバの詳細を参照できます。

サードパーティのドライバ情報は、/usr/share/doc/packages/<package_name>に記載されています。たとえば、x11-video-nvidiaG03の場合、パッケージのインストール後は、/usr/share/doc/packages/x11-video-nvidiaG04でマニュアルを参照できます。

サーバにxrdpパッケージをインストールし、RDPクライアントソフトウェアを使用して、リモートデスクトッププロトコル経由でサーバにアクセスします。

25.2 フォントのインストールと設定

Linuxのフォントは次の2つに分類できます。

アウトラインフォントまたはベクトルフォント

グリフの形状に関する描画命令として数学的記述が含まれています。このため、品質を損なうことなく各グリフを任意のサイズに拡大縮小できます。このようなフォント(グリフ)を使用するには、数学的記述をラスタ(グリッド)に変換する必要があります。このプロセスを「フォントのラスタライズ」と呼びます。「フォントヒンティング」 (フォント内に組み込まれている)は、特定のサイズのレンダリング結果を向上および最適化します。ラスタライズとヒンティングは、FreeTypeライブラリによって行われます。

Linuxで一般的な形式は、PostScript Type 1とType 2、TrueType、およびOpenTypeです。

ビットマップフォントまたはラスタフォント

特定のフォントサイズ用にデザインされたピクセルの配列で構成されます。ビットマップフォントは非常に高速でレンダリングも容易です。ただし、ベクトルフォントと比較した場合、ビットマップフォントは品質を損なわずに拡大縮小することはできません。そのため、これらのフォントは通常、複数のサイズで配布されます。現在でも、Linuxコンソールや一部の端末ではビットマップフォントが使用されています。

Linuxでは、PCF (Portable Compiled Format)またはBDF (Glyph Bitmap Distribution Format)が最も一般的な形式です。

これらのフォントの外観は、主に次の2つの側面による影響を受けます。

  • 適切なフォントファミリを選択する

  • ユーザが読みやすい結果を実現するアルゴリズムでフォントをレンダリングする

最後の点は、ベクトルフォントにのみ関係があります。上述の2つの点は主観に大きく左右されますが、何らかのデフォルト値を作成する必要があります。

Linuxのフォントレンダリングシステムは、異なる関係を持つ複数のライブラリで構成されます。基本のフォントレンダリングライブラリはFreeTypeで、サポートされている形式のフォントグリフを最適化されたビットマップグリフに変換します。レンダリングプロセスはアルゴリズムとそのパラメータによって制御されます(特許の問題が絡む場合があります)。

FreeTypeを使用するすべてのプログラムまたはライブラリは、Fontconfigライブラリを参照する必要があります。このライブラリは、ユーザとシステムからフォント設定を収集します。ユーザが自分のFontconfig設定を修正した場合、このような変更によってアプリケーションはFontconfig対応になります。

アラビア語、ハン語、またはパスパなどのスクリプトおよびその他の高レベルのテキスト処理に必要な、より洗練されたOpenType形成は、HarfbuzzまたはPangoを使用して行われます。

25.2.1 インストール済みフォントの表示

システムにインストールされているフォントの概要を表示するには、rpmコマンドまたはfc-listコマンドを使用します。どちらのコマンドでも適切な回答が得られますが、システムおよびユーザの設定によっては異なるリストが返されることがあります。

rpm

システムにインストールされている、フォントが格納されたソフトウェアパッケージを参照するには、rpmを起動します。

> rpm -qa '*fonts*'

すべてのフォントパッケージがこの式を満たす必要があります。ただし、このコマンドは、fonts-configのような誤検知を返す場合があります(これはフォントではなく、フォントも含みません)。

fc-list

アクセスできるフォントファミリ、およびそれらのフォントがシステムまたはホームのどちらにインストールされているかに関する概要を参照するには、fc-listを起動します。

> fc-list ':' family
注記
注記: fc-listコマンド

fc-listコマンドは、Fontconfigライブラリのラッパーです。Fontconfig (正確にはそのキャッシュ)に対して、多くの有用な情報を問い合わせることができます。詳しくは「man 1 fc-list」を参照してください。

25.2.2 フォントの表示

インストールされているフォントファミリのデザインを知りたい場合は、ftviewコマンド(ft2demosパッケージ)を使用するか、https://fontinfo.opensuse.org/にアクセスします。たとえば、FreeMonoフォントを14ポイントで表示するには、ftviewを次のように使用します。

> ftview 14 /usr/share/fonts/truetype/FreeMono.ttf

さらに詳しい情報が必要な場合は、https://fontinfo.opensuse.org/にアクセスして、サポートされているスタイル(通常のフォント、太字、斜体など)と言語を確認してください。

25.2.3 フォントの問い合わせ

パターンを指定した場合にどのフォントが使用されるかを問い合わせるには、fc-matchコマンドを使用します。

たとえば、インストール済みのフォントをパターンに含めると、fc-matchは、ファイル名、フォントファミリ、およびスタイルを返します。

> fc-match 'Liberation Serif'
LiberationSerif-Regular.ttf: "Liberation Serif" "Regular"

目的のフォントがシステムに存在しない場合は、Fontconfigの照合ルールが実行され、利用可能なフォントの中で最もそのフォントに似ているフォントを見つけようとします。つまり、要求は次のように置換されます。

> fc-match 'Foo Family'
DejaVuSans.ttf: "DejaVu Sans" "Book"

Fontconfigは「エイリアス」をサポートしており、名前は別のファミリ名に置換されます。代表的な例は、sans-serifserifmonospaceなどの汎用名です。これらのエイリアスは、実際のファミリ名で置換することも、ファミリ名の優先リストで置換することもできます。

> for font in serif sans mono; do fc-match "$font" ; done
DejaVuSerif.ttf: "DejaVu Serif" "Book"
DejaVuSans.ttf: "DejaVu Sans" "Book"
DejaVuSansMono.ttf: "DejaVu Sans Mono" "Book"

現在インストールされているフォントによっては、使用中のシステムでの結果は異なる場合があります。

注記
注記: Fontconfigに従った類似性ルール

Fontconfigは、指定された要求に従って「常に」、できる限り類似性の高い実際のファミリを返します(少なくともファミリが1つインストールされている場合)。類似性は、Fontconfigの内部メトリクスと、ユーザまたは管理者のFontconfig設定に依存します。

25.2.4 フォントのインストール

新しいフォントをインストールする主な方法は次のとおりです。

  1. *.ttf*.otfなどのフォントファイルを既知のフォントディレクトリに手動でインストールする。システム全体で使用できるようにする場合は、標準のディレクトリ/usr/share/fontsを使用します。自分のホームディレクトリにインストールする場合は、~/.config/fontsを使用します。

    標準のディレクトリ以外を使用する場合は、Fontconfigで別のディレクトリを選択できます。Fontconfigにディレクトリを認識させるには、<dir>要素を使用します。詳細については、25.2.5.2項 「Fontconfig XMLの詳細」を参照してください。

  2. zypperを使用してフォントをインストールする。SUSEディストリビューションであっても、M17N:fontsリポジトリであっても、多くのフォントはすでにパッケージとして利用可能です。次のコマンドを使用して、リポジトリをリストに追加します。たとえば、SUSE Linux Enterprise Desktop 15 SP6のリポジトリを追加するには次のようにします。

    > sudo zypper ar
         https://download.opensuse.org/repositories/M17N:/fonts/SLE_15/

    FONT_FAMILY_NAMEを検索するには、次のコマンドを使用します。

    > zypper se 'FONT_FAMILY_NAME*fonts'

25.2.5 フォントの外観の設定

レンダリングメディアおよびフォントサイズによっては、満足できる結果が得られないことがあります。たとえば、近年の平均的なモニタの解像度は100dpiであるため、ピクセルが大きくなりすぎ、グリフが綺麗に表示されません。

アンチエイリアス(グレースケールスムージング)、ヒンティング(グリッドフィッティング)、またはサブピクセルレンダリング(1方向の解像度を3倍にする)など、低解像度に対応するアルゴリズムはいくつもあります。これらのアルゴリズムはフォントの形式によっても異なることがあります。

Fontconfigでは、レンダリングアルゴリズムをすべてのフォントに対して個別に選択することも、フォントのセットに対して選択することもできます。

25.2.5.1 sysconfigによるフォントの設定

SUSE Linux Enterprise Desktopには、Fontconfig上にsysconfig層があります。これは、フォント設定を試してみる場合の開始点として便利です。デフォルト設定を変更するには、設定ファイル/etc/sysconfig/fonts-configを編集します(またはYaST sysconfigモジュールを使用します)。ファイルの編集後、fonts-configを実行します。

> sudo /usr/sbin/fonts-config

アプリケーションを再起動して結果を表示します。次の点に注意してください。

  • 一部のアプリケーションでは再起動は必要ありません。たとえば、Firefoxは随時Fontconfig設定を再読み込みします。新たに作成したタブや再ロードしたタブには、新しいフォント設定が後で適用されます。

  • パッケージをインストールまたは削除するたびにfonts-configスクリプトが自動的に呼び出されます(呼び出されない場合は、フォントソフトウェアパッケージのバグです)。

  • fonts-configコマンドラインオプションで、すべてのsysconfig変数を一時的に上書きできます。詳細についてはfonts-config --helpを参照してください。

いくつかのsysconfig変数は変更することができます。man 1 fonts-configまたはYaST sysconfigモジュールのヘルプを参照してください。次に、変数の例を示します。

レンダリングアルゴリズムの使用方法

FORCE_HINTSTYLEFORCE_AUTOHINTFORCE_BW, FORCE_BW_MONOSPACEUSE_EMBEDDED_BITMAPS、およびEMBEDDED_BITMAP_LANGAGESを検討してください。

汎用エイリアスの優先リスト

PREFER_SANS_FAMILIESPREFER_SERIF_FAMILIESPREFER_MONO_FAMILIES、およびSEARCH_METRIC_COMPATIBLEを使用します。

次のリストは設定例を示しています。これは最も読みやすいフォント(コントラストが高い)から最も美しいフォント(スムージングが強い)の順にソートされています。

ビットマップフォント

PREFER_*_FAMILIES変数を介してビットマップフォントを優先します。これらの変数については、ヘルプセクションの例に従ってください。これらのフォントは白黒でレンダリングされスムージングされない点、およびビットマップフォントはいくつかのサイズしか用意されていない点に注意してください。次の設定

SEARCH_METRIC_COMPATIBLE="no"

を使用して、メトリック互換性主導型のファミリ名の置換を無効にすることを検討します。

白黒にレンダリングされるスケーラブルフォント

アンチエイリアスなしでレンダリングされるスケーラブルフォントは、ビットマップフォントと同様の結果になる可能性がありますが、フォントの拡大縮小機能は維持されます。Liberationファミリのような適切にヒンティングされたフォントを使用します。ただし、残念ながら、適切にヒンティングされたフォントは多くありません。この方法を強制するには、次の変数を設定します。

FORCE_BW="yes"
白黒にレンダリングされる等幅フォント

等幅フォントは、アンチエイリアスのみを使用せずにレンダリングします。そうでない場合は、デフォルト設定を使用します。

FORCE_BW_MONOSPACE="yes"
デフォルト設定

すべてのフォントはアンチエイリアスを使用してレンダリングされます。適切にヒンティングされたフォントは「バイトコードインタープリタ」(BCI)でレンダリングされ、それ以外はautohinter (hintstyle=hintslight)でレンダリングされます。関連するsysconfig変数はすべてデフォルト設定のままにします。

CFFフォント

CFF形式のフォントを使用します。現在、FreeType2には数々の点で改良が重ねられており、このフォントは、デフォルトのTrueTypeフォントよりも可読性が高いと考えることができます。PREFER_*_FAMILIESの例に従って、このフォントを試してみてください。場合によっては、次の設定を使用して、より濃く太いフォントにできます。

SEARCH_METRIC_COMPATIBLE="no"

その理由は、このフォントは、デフォルトではhintstyle=hintslightでレンダリングされているためです。次の設定の使用も検討してください。

SEARCH_METRIC_COMPATIBLE="no"
Autohinterの排他的使用

適切にヒンティングされたフォントに対しても、FreeType2のautohinterを使用します。これにより、太く(場合によっては不鮮明な)、コントラスの低い文字形状になります。これを有効にするには、次の変数を設定します。

FORCE_AUTOHINTER="yes"

ヒンティングのレベルを制御するには、FORCE_HINTSTYLEを使用します。

25.2.5.2 Fontconfig XMLの詳細

Fontconfigの環境設定のフォーマットは、eXtensible Markup Language (XML)です。ここで取り上げるいくつかの例は、完全なリファレンスではなく概要です。詳細およびその他の例については、man 5 fonts-confまたは/etc/fonts/conf.d/を参照してください。

中央のFontconfig設定ファイルは/etc/fonts/fonts.confで、他の例と/etc/fonts/conf.d/ディレクトリ全体が含まれます。Fontconfigをカスタマイズする場合、変更を挿入できる場所は2つあります。

Fontconfig設定ファイル
  1. システム全体の変更.  /etc/fonts/local.confファイルを編集します(デフォルトで空のfontconfig要素が含まれています)。

  2. ユーザ固有の変更.  ~/.config/fontconfig/fonts.confファイルを編集します。Fontconfig設定ファイルは、~/.config/fontconfig/conf.d/ディレクトリに保存します。

ユーザ固有の変更は、システム全体の設定よりも優先されます。

注記
注記: 非推奨のユーザ設定ファイル

~/.fonts.confファイルには非推奨のマークが付いているため、今後は使用しないことをお勧めします。代わりに、~/.config/fontconfig/fonts.confを使用してください。

すべての設定ファイルにはfontconfig要素が必要です。そのため、最小限のファイルは次のようになります。

<?xml version="1.0"?>
   <!DOCTYPE fontconfig SYSTEM "fonts.dtd">
   <fontconfig>
   <!-- Insert your changes here -->
   </fontconfig>

デフォルトのディレクトリでは不十分な場合は、各ディレクトリを指定したdir要素を挿入します。

<dir>/usr/share/fonts2</dir>

Fontconfigは、「再帰的」にフォントを検索します。

次のFontconfigスニペットでフォントレンダリングアルゴリズムを選択できます(例25.1「レンダリングアルゴリズムを指定する」を参照)。

例 25.1: レンダリングアルゴリズムを指定する
<match target="font">
 <test name="family">
  <string>FAMILY_NAME</string>
 </test>
 <edit name="antialias" mode="assign">
  <bool>true</bool>
 </edit>
 <edit name="hinting" mode="assign">
  <bool>true</bool>
 </edit>
 <edit name="autohint" mode="assign">
  <bool>false</bool>
 </edit>
 <edit name="hintstyle" mode="assign">
  <const>hintfull</const>
 </edit>
</match>

さまざまなフォントプロパティをテストできます。たとえば、フォントファミリ(例を参照)、サイズの間隔、スペーシング、フォント形式などについて、<test>要素をテストできます。<test>を完全に破棄した場合、すべての<edit>要素が各フォントに適用されます(グローバルな変更)。

例 25.2: エイリアスとファミリ名の置換
ルール1
<alias>
 <family>Alegreya SC</family>
 <default>
  <family>serif</family>
 </default>
</alias>
ルール2
<alias>
 <family>serif</family>
 <prefer>
  <family>Droid Serif</family>
 </prefer>
</alias>
ルール3
<alias>
 <family>serif</family>
 <accept>
  <family>STIXGeneral</family>
 </accept>
</alias>

例25.2「エイリアスとファミリ名の置換」のルールは、「優先ファミリリスト」 (PFL)を作成します。要素に応じて異なるアクションが実行されます。

<default> from ルール1

このルールは、serifファミリ名をPFLの「末尾」に追加します。

<prefer> from ルール2

このルールは、PFLにAlegreya SCが存在する場合、PFLでserifが最初に出現する箇所の「直前」にDroid Serif を追加します。

<accept> from ルール3

このルールは、PFLでserifファミリ名が最初に出現する箇所の「直後」にSTIXGeneralファミリ名を追加します。

まとめると、スニペットがルール1 - ルール2 - ルール3という順序で記述されている場合、ユーザがAlegreya SCを要求すると、表25.1「fontconfigルールからのPFLの作成」で説明されているようにPFLが作成されます。

表 25.1: fontconfigルールからのPFLの作成

順序

現在のPFL

要求

Alegreya SC

ルール1

Alegreya SCserif

ルール2

Alegreya SC, Droid Serif, serif

ルール3

Alegreya SCDroid SerifserifSTIXGeneral

Fontconfigのメトリクスでは、ファミリ名は、他のパターン(スタイルやサイズなど)に比べて最も高い優先度を持ちます。Fontconfigは、システムに現在インストールされているファミリを確認します。Alegreya SCがインストールされている場合、Fontconfigはそれを返します。インストールされていない場合、Droid Serifなどを要求します。

注意してください。Fontconfigスニペットの順序を変更すると、Fontconfigが異なる結果を返す可能性があります。表25.2「順序を変更したFontconfigルールからのPFL生成結果」を参照してください。

表 25.2: 順序を変更したFontconfigルールからのPFL生成結果

順序

現在のPFL

注意

要求

Alegreya SC

同じ要求が実行されます。

ルール2

Alegreya SC

serifがPFLに存在しないため、何も置換されません。

ルール3

Alegreya SC

serifがPFLに存在しないため、何も置換されません。

ルール1

Alegreya SCserif

Alegreya SCがPFLに存在するため、置換が実行されます。

注記
注記: 意味

<default>のエイリアスは、このグループ(インストールされていない場合)の分類または組み込みであると考えてください。この例が示すように、<default>は常にこのグループの<prefer>および<accept>のエイリアスより前に配置する必要があります。

<default>の分類は、汎用のエイリアスのserif、sans-serif、および等幅に限定されません。複雑な例については、/usr/share/fontconfig/conf.avail/30-metric-aliases.confを参照してください。

例25.3「エイリアスとファミリ名の置換」に示す次のFontconfigスニペットは、serifグループを作成します。このグループのすべてのファミリは、前のフォントがインストールされていない場合、他のフォントを置換できます。

例 25.3: エイリアスとファミリ名の置換
<alias>
 <family>Alegreya SC</family>
 <default>
  <family>serif</family>
 </default>
</alias>
<alias>
 <family>Droid Serif</family>
 <default>
  <family>serif</family>
 </default>
</alias>
<alias>
 <family>STIXGeneral</family>
 <default>
  <family>serif</family>
 </default>
</alias>
<alias>
 <family>serif</family>
 <accept>
  <family>Droid Serif</family>
  <family>STIXGeneral</family>
  <family>Alegreya SC</family>
 </accept>
</alias>

優先度は、<accept>エイリアス内の順序によって決まります。同様に、それよりも強い<prefer>エイリアスを使用できます。

例25.2「エイリアスとファミリ名の置換」例25.4「エイリアスとファミリ名の置換」で拡張します。

例 25.4: エイリアスとファミリ名の置換
ルール4
<alias>
 <family>serif</family>
 <accept>
  <family>Liberation Serif</family>
 </accept>
</alias>
ルール5
<alias>
 <family>serif</family>
 <prefer>
  <family>DejaVu Serif</family>
 </prefer>
</alias>

例25.4「エイリアスとファミリ名の置換」の拡張された設定では、PFLは次のように展開されます。

表 25.3: FontconfigルールからのPFL生成結果

順序

現在のPFL

要求

Alegreya SC

ルール1

Alegreya SCserif

ルール2

Alegreya SC, Droid Serif, serif

ルール3

Alegreya SCDroid SerifserifSTIXGeneral

ルール4

Alegreya SC, Droid Serif, serif, Liberation Serif, STIXGeneral

ルール5

Alegreya SC, Droid Serif, DejaVu Serif, serif, Liberation Serif, STIXGeneral

注記
注記: 意味
  • 同じ汎用名に対して複数の<accept>宣言が存在する場合、最後に解析された宣言が優先されます。システム全体の設定を作成する場合、可能であれば、ユーザ(/etc/fonts/conf.d/*-user.conf)の「後」に<accept> を使用しないでください。

  • 同じ汎用名に対して複数の<prefer宣言が存在する場合、最後に解析された宣言が優先されます。可能であれば、システム全体の設定では、ユーザの「前」に<prefer> を使用しないでください。

  • 同じ汎用名に対しては、すべての<prefer>宣言が<accept>宣言よりも優先されます。ユーザが<prefer>だけでなく<accept>も使用できるようにする場合、管理者はシステム全体の設定で<prefer>を使用しないようにする必要があります。一方、ユーザは通常<prefer>を使用するため、これが悪影響を及ぼさないようにする必要があります。また、システム全体の設定の<prefer>の使用も確認します。

25.3 管理者用のGNOME設定

25.3.1 dconfシステム

GNOMEデスクトップの設定は、dconfで管理されます。ユーザが個人用設定を変更し、システム管理者がすべてのユーザ用のデフォルト値または必須値を設定することが可能な階層構造のデータベースまたはレジストリです。GNOME 2のdconfシステムの代わりにgconfが使用されます。

グラフィカルユーザインタフェースでdconfオプションを表示するには、dconf-editorを使用します。コマンドラインで設定オプションにアクセスして変更を行うには、dconfを使用します。

GNOME Tweaksツールは、通常のGNOME設定以外の追加の設定オプション用の使いやすいユーザインタフェースを提供します。このツールは、GNOMEアプリケーションメニューから、またはコマンドラインからgnome-tweak-toolを使用して起動できます。

25.3.2 システム全体の設定

グローバルdconf設定パラメータは、/etc/dconf/db/ディレクトリで設定できます。これには、GDMの設定やユーザ用の特定の設定オプションのロックが含まれます。

例として次の手順を使用し、システム全体の設定を作成します。

  1. /etc/dconf/db/内に.dで終わる新しいディレクトリを作成します。このディレクトリには、設定オプションを含む任意の量のテキストファイルを格納することができます。この例では、次の内容のファイル/etc/dconf/db/network.d/00-proxyを作成します。

    # This is a comment
    [system/proxy/http]
    host='10.0.0.1'
    enabled=true
  2. 新しい設定ディレクティブをdconfデータベース形式に解析します。

    > sudo dconf update
  3. ファイル/etc/dconf/profiles/userを作成して、デフォルトユーザプロファイルに新しいnetwork設定データベースを追加します。次に、以下の内容を追加します。

    system-db:network

    ファイル/etc/dconf/profiles/userはGNOME(デフォルト)です。他のプロファイルは、環境変数DCONF_PROFILEで定義できます。

  4. オプション: ユーザのプロキシ設定をロックするには、ファイル/etc/dconf/db/network/locks/proxyを作成します。次に、変更できないキーと共にこのファイルに行を追加します。

    /system/proxy/http/host
    /system/proxy/http/enabled

グラフィカルなdconf-editorを使用して1人のユーザのプロファイルを作成し、次にdconf dump /を使用してすべての設定オプションを一覧表示することができます。この場合、設定オプションは、グローバルプロファイルに格納することができます。

グローバル設定の詳細については、https://wiki.gnome.org/Projects/dconf/SystemAdministratorsを参照してください。

25.3.3 Waylandでのタイリングウィンドウの管理

WaylandでGNOMEデスクトップを実行していて、ウィンドウを隣り合わせで配置したい場合は、gTile GNOME拡張機能を使用することをお勧めします。gTileを使用すると、設定可能なグリッドスキームに基づいてウィンドウを再配置できます。たとえば、6台の端末を起動し、3行2列でデスクトップ領域全体を使用するように配置することができます。

25.3.3.1 gTileのインストール

重要
重要

gTile GNOME拡張機能を使用するには、GNOMEデスクトップを実行していて、chrome-gnome-shell (SLED 15 SP4以前の場合)またはgnome-browser-connector (SLED 15 SP5以降の場合)パッケージがインストールされている必要があります。

  1. ブラウザで、gTile拡張機能のWebページ(https://extensions.gnome.org/extension/28/gtile/)を指定します。ブラウザの拡張機能が見つからないことに関する警告が表示される場合は、そのリンクをクリックして、GNOME Shell拡張機能をインストールして有効にする方法について、Webブラウザの指示に従ってください。

    GNOME Shell拡張機能がないことに関する警告
    図 25.1: GNOME Shell拡張機能がないことに関する警告
  2. GNOME Shell拡張機能がWebブラウザにインストールされると、gTile Webページの右上にOFFボタンが表示されます。gTile拡張機能を有効にするには、それをクリックしてONに切り替えます。

    GNOME gTile拡張機能が有効化されました
    図 25.2: GNOME gTile拡張機能が有効化されました
  3. GNOMEパネルの右側にあるGNOMEトレイにgTileトレイアイコンが表示されます。これを使用して、gTileウィンドウレイアウトを有効にできます。

    gTileトレイアイコン
    図 25.3: gTileトレイアイコン

25.3.3.2 gTile拡張機能の使用

手順 25.1: ウィンドウの配置
  1. 現在フォーカスされているウィンドウのgTileを開くには、MetaEnterキーを押します。

  2. ウィンドウを配置する列数を設定するには、番号キーを押します。

  3. Autotile Main window sizes設定に従ってウィンドウを自動的にタイル化するには、Mキーを押します。デフォルトでは、初めてMキーを押すと、現在のウィンドウは画面の半分を使用し、他のすべてのウィンドウは画面の残り半分の列にタイル化されます。Mキーを繰り返し押して、バリエーションを切り替えることができます。これは、大きなメインウィンドウといくつかの小さなセカンダリウィンドウ保持する場合に役立ちます。

  4. 現在のウィンドウを画面の事前定義されたタイル内に移動するには、矢印キーを使用します。

    ウィンドウが占めるタイル数を増減するには、Shiftキーと矢印キーを使用します。

  5. ウィンドウを隣のウィンドウやデスクトップの端にスナップするには、CtrlAltSキーを押します。

  6. gTileウィンドウを閉じるには、Escキーを押します。

手順 25.2: 詳細設定
  1. gTile設定を開くには、次のコマンドを実行します:gnome-extensions-app

  2. gTileを選択し、設定をクリックします。

  3. プリセットとキーの組み合わせを定義して、頻繁に使用するウィンドウレイアウトを簡単に切り替えることができます。

    gTile拡張機能の設定方法の詳細については、https://github.com/gTile/gTileを参照してください。

25.3.4 詳細情報

詳細については、https://help.gnome.org/admin/を参照してください。

25.4 SUSE Primeを使用したIntelとNVIDIA Optimus GPUの切り替え

SUSE Primeは、オンボードIntel Graphics Processing Unit (GPU)と、NVIDIAの切り替え可能グラフィックスOptimusテクノロジーを搭載したNVIDIA GPUを切り替えるためのツールです。Optimusは、オンボードIntel GPUと個別のNVIDIA GPUを簡単に切り替えるためのメカニズムを提供します。Optimusは、省電力モードまたは最大パフォーマンスでラップトップを実行するように設計されています。Intel GPUを節電用に使用し、NVIDIA GPUを3Dアプリケーションに使用します。

SUSE Primeは、SUSE Linux Enterprise Workstation Extension for SUSE Linux Enterprise 15 SP6に含まれています。

SUSE PrimeはWayLandではなく、X11を実行するシステムでのみ動作します。システムでWaylandを実行する場合、SUSE Primeを使用するにはWaylandを無効にして、X11にフォールバックする必要があります(25.4.1項 「前提条件」を参照してください)。

25.4.1 前提条件

SUSE Linux Enterprise 15 SP6に含まれているNVIDIAドライバ(25.4.3項 「NVIDIAドライバのインストール」を参照)を使用して設定され動作するNVIDIA Optimus GPUと、オンボードIntel GPUが必要です。NVIDIA Optimus用の古いスイッチングツールであるBumblebeeはインストールしないでください。

/etc/X11/xorg.confファイルは存在してはならず、/etc/X11/xorg.conf.dディレクトリにアクティブなServerLayoutDevice、またはScreenセクションが存在してもなりません。

SUSE PrimeはX11でのみ動作します。loginctlコマンドを使用して、システムがX11またはWaylandを使用しているかどうかを確認します。

> loginctl
   SESSION        UID USER             SEAT             TTY             
         2       1000 tux             seat0               
> loginctl show-session 2|grep Type
Type=x11

システムがWaylandを使用している場合は、/etc/gdm/custom.confを編集し、WaylandEnable=falseのコメントを解除して無効にします。次に再起動します。

25.4.2 SUSE Primeのインストールと使用

NVIDIAグラフィックカードはすでにインストールされ、動作しているはずです。このダイアログボックスが開いていない場合は、25.4.3項 「NVIDIAドライバのインストール」を参照してください。

suse-primeパッケージをインストールします。

> sudo zypper install suse-prime

GPUを切り替えるには、次のコマンドのいずれかを実行し、ログアウトしてから再度ログインします。

> sudo prime-select intel
> sudo prime-select intel2
> sudo prime-select nvidia

モード設定ドライバの場合はintelドライバを使用してください。intel2は、xf86-video-intelドライバを使用するシステム用です。この情報はinxiをインストールして実行することで得られます。

> inxi -G
Graphics: Device-1: Intel Xeon E3-1200 v3/4th Gen Core Processor Integrated Graphics Controller
          Display Server: x11(X.org 1.20.1 ) drivers: modesetting (unloaded: fbdev, vesa)
          Resolution: 1920x1080@60.00hz
          OpenGL: renderer: Mesa DRI Intel Haswell Desktop version: 4.5 Mesa 18.2.8

どのGPUが現在アクティブですか?

> sudo /usr/sbin/prime-select get-current
Driver configured: intel

25.4.3 NVIDIAドライバのインストール

使用するドライバがわかるようにNVIDIAカードを識別する必要がある場合は、次のコマンドを実行します。

> /sbin/lspci | grep VGA

次の手順に従って、Zypperでドライバをインストールします。

使用可能なドライバパッケージを一覧表示します。

> sudo zypper se nvidia

次に、NVIDIAグラフィックカード用ドライバをインストールします。

> sudo zypper se packagename