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適用項目 SUSE Linux Enterprise Server 15 SP6

12 LibreOffice Impress、Base、Draw、およびMath

LibreOffice WriterとLibreOffice Calcの他に、LibreOfficeには次のモジュールもあります。

  • Impress

  • Base

  • Draw

  • Math

こうした機能により、プレゼンテーションの作成、データベースの設計、グラフィックスと図の描画、数式の作成を行うことができます。

12.1 Impressでのプレゼンテーションの使用

LibreOffice Impressでは、画面に表示したり、印刷したりすることができるプレゼンテーションを作成します。他のプレゼンテーションソフトウェアを使用したことがある場合は、簡単にImpressに切り替えることができます。Impressの動作は他のプレゼンテーションソフトウェアとよく似ています。

12.1.1 プレゼンテーションの作成

新しいプレゼンテーションを作成するには、次の2つの方法があります。Impressを起動すると、テンプレートを選択ダイアログが開きます。テンプレートの1つを使用するには、それを選択して、開くをクリックします。テンプレートなしで最初から開始するには、キャンセルでテンプレートの選択肢を閉じます。

12.1.2 マスタページの使用

マスタページでは、使用するフォントなどのデザイン要素を定義することにより、プレゼンテーションの外観を統一することができます。Impressには、2種類のマスタページが用意されています。

マスタスライド

すべてのスライドに表示される要素を含みます。たとえば、スライドマスタを使って、各スライドの同じ場所に企業ロゴを表示することができます。また、スライドマスタには、見出しの文字書式スタイルや各スライドのアウトライン、およびヘッダ/フッタに表示する情報も定義されます。

マスタのメモ

プレゼンテーション内のメモの書式と外観を決定します。

12.1.2.1 マスタスライドの作成

Impressには、あらかじめ定義されたマスタページがいくつか用意されています。プレゼンテーションをさらにカスタマイズするには、独自のスライドマスタを作成します。

  1. 既存のプレゼンテーションでImpressを起動するか、12.1.1項 「プレゼンテーションの作成」で説明しているとおり、新しいプレゼンテーションを作成します。

  2. 表示 › Master Slide (マスタスライド)の順にクリックします。

    Master View (マスタビュー)で現在のマスタスライドを開きます。Master View (マスタビュー)ツールバーが表示されます。

  3. 左のパネルを右クリックして、New Masterをクリックします。

  4. 最終的な外観になるまでマスタスライドを編集します。

    マスタビューでは、スライド上でサンプルテキストを直接フォーマットすることでアウトラインスタイルを編集できます。

  5. スライドマスタの編集を終了するには、Master View (マスタビュー)ツールバーでClose Master View (マスタビューを閉じる)をクリックします。または、View (表示) › Normal (標準)の順に選択します。

ヒント
ヒント: テンプレートでのマスタスライドの収集

プレゼンテーションで使用するマスタスライドをすべて作成した後は、これらをImpressテンプレートに保存することができます。以降、保存したマスタスライドを使ってプレゼンテーションを作成する場合には、このテンプレートを開きます。

12.1.2.2 マスタスライドの適用

マスタスライドは選択したスライド、またはプレゼンテーションのすべてのスライドに適用できます。

  1. プレゼンテーションを開きます。

    ヒント
    ヒント: マスタスライドの適用

    マスタスライドを複数のスライド(ただし、すべてのスライドではない)に適用するには、マスタスライドを適用するスライドを選択します。

  2. 複数のスライドを選択するには、スライドペインで、Ctrlを押しながら使用するスライドをクリックします。

  3. 「タスク」ペインで、Master Pages (マスタページ)ペインを開き、適用するマスタページをクリックします。マスタスライドが対象のページに適用されます。

    タスクペインが表示されていない場合、表示 › Task Paneの順にクリックします。

12.2 Base - データベースの使用

LibreOfficeには、さまざまな種類の情報を格納するデータベースを設計するためのデータベースモジュールBaseが含まれています。簡単なアドレス帳やレシピファイルから複雑なドキュメント管理システムまで、さまざまな情報を保存できます。

テーブル、フォーム、クエリ、およびレポートは、手動で作成するか、または便利なウィザードを使用して作成できます。たとえば、テーブルウィザードには、ビジネス用途および個人用途のための複数の共通フィールドがあります。Baseで作成されたデータベースは、フォームレターを作成する場合などのデータソースとして使用できます。

Baseを使用した詳細なデータベース設計については、このマニュアルでは触れません。詳細については、9.10項 「詳細情報」に示されている参照先を参照してください。

12.2.1 事前定義されたオプションを使ったデータベースの作成

Baseには、データベースを作成するために役立つ、事前定義されたデータベースフィールドが用意されています。新しいデータベースを作成する手順がウィザードにより案内されます。ここでは、この事前定義されているフィールドを使ってアドレス帳を作成する手順について説明していきますが、これらの手順を応用すれば、他のデータベースも手軽に作成できます。

データベースの作成プロセスは、いくつかのサブプロセスに分けられます。

12.2.1.1 データベースの作成

  1. LibreOffice Baseを起動します。

    LibreOfficeデータベースウィザードが起動します。

    HSQLDB Embedded (HSQLDB埋め込み)フォーマットで新しいデータベースを作成するか、既存のデータベースファイルを使用するか、既存のデータベースに接続するかを選択できます。

  2. 次へで続行します。

  3. 新しいデータベースを作成した場合は、はい、登録しますをクリックして、データベース情報を他のLibreOfficeモジュールで使用できるようにし、データベースを開いて編集しますテーブルウィザードを使ってテーブルを作成しますのチェックボックスをオンにします。続いて、終了をクリックします。データベースを保存するディレクトリを参照し、データベースの名前を入力して、保存をクリックします。

12.2.1.2 データベーステーブルのセットアップ

データベースを作成後、テーブルウィザードを使用したテーブルの作成チェックボックスを選択している場合には、テーブルウィザードが開きます。まだ選択していない場合は、Task (タスク)領域に移動し、Use Wizard to Create Table (ウィザードを使用してテーブルを作成)をクリックします。次に、データベーステーブルで使用したいフィールドを定義します。

この例では、アドレスデータベースを設定します。

  1. この例の場合、Personal (個人)をクリックします。

    Sample tables (サンプルテーブル)リストが変更され、個人用に事前定義されたテーブルが表示されます。このテーブルには、アドレステーブルテンプレートがあります。Business (ビジネス)に一覧表示されるテーブルテンプレートには、事前定義されたビジネステーブルが含まれます。

  2. Sample tablesリストで、Addressesをクリックします。

    定義済みのアドレス帳に使用可能なフィールドが、Available fieldsメニューに表示されます。

  3. Available fieldsメニューで、自分のアドレス帳に使用したいフィールドをクリックします。

    一度に1つの項目をクリックして選択します。複数の項目を選択するには、Shiftを押しながら、各項目を個別にクリックします。

  4. 一重右矢印アイコンと一重左矢印アイコンをクリックして、選択した項目をSelected fields (選択したフィールド)リストに追加したり、リストから削除したりします。

    使用可能なフィールドをすべてSelected fields (選択したフィールド)メニューに移動するには、二重右矢印アイコンをクリックします。

  5. 上矢印アイコンと下矢印アイコンを使用して選択したエントリの順序を調整します。

    テーブルやフォームには、フィールドがここに記載されている順序で表示されます。

    Field selection
  6. 次へをクリックして続行します。

  7. 各フィールドが正しく定義されていることを確認します。

    フィールド名、種類、最大文字数、必須フィールドにするかどうかを変更できます。この例では、設定をそのままにしておき、次へをクリックします。

  8. Create a primary key (プライマリキーの作成)Automatically add a primary key (プライマリキーを自動的に追加)が有効なことを確認します。Auto value (自動値)も有効にします。

    次へで続行します。

  9. テーブルに名前を付けて、Create a form based on this table (このテーブルに基づいてフォームを作成)を有効にします。

    完了をクリックして続行します。

12.2.1.3 フォームの作成

次に、アドレス帳にデータを入力するときに使用するフォームを作成します。

この手順を実行した後は、すでにフォームウィザードが表示されているはずです。表示されていない場合は、メインウィンドウに移動してから開きます。Tables (テーブル)で、適切なテーブルを右クリックします。フォームウィザードをクリックします。

  1. フォームウィザードで、右矢印アイコンをクリックして使用可能なすべてのフィールドをフォーム内のフィールドリストに移動し、続いて次へをクリックします。

  2. サブフォームを追加するには、Add Subform (サブフォームの追加)を有効にしてから、次へをクリックします。

    この例では、デフォルトの選択肢を使用します。

  3. フォームをどのように調節したいか選択し、次へをクリックします。

  4. The form is to display all data (フォームですべてのデータを表示)を選択し、すべてのチェックボックスを空のままにして、次へをクリックします。

  5. スタイルとフィールドの枠線を適用し、次へをクリックします。

    この例では、デフォルトの選択肢を使用します。

  6. フォームに名前を付け、Modify the formを有効にし、完了をクリックします。

12.2.1.4 フォームの変更

フォームを定義したら、設定に合うようフォームの外観を変更します。

この手順を実行した後は、すでにDatabase Form (データベースフォーム)エディタが表示されているはずです。表示されていない場合は、メインウィンドウのサイドバーでForms (フォーム)をクリックして、適切なフォームを選択します。次に、Forms (フォーム)領域で、適切なフォームを右クリックします。編集を選択します。

  1. フォーム中のフィールドをドラッグして、フォームを別の場所に移動できます。

    たとえば、名前 (ファーストネーム)フィールドを移動して、フィールドの右側に表示されるようにします。

  2. フォームの修正が完了したら、保存して、フォームを閉じます。

12.2.1.5 その後のステップ

データベースのテーブルとフォームを作成したら、データを入力できます。また、クエリやレポートを作成してデータをソートしたり表示したりすることもできます。

Baseの詳細については、LibreOfficeオンラインヘルプと、9.10項 「詳細情報」に記載されている資料を参照してください。

12.3 Draw - グラフィックの作成

LibreOffice Drawを使って、グラフィックや図を作成できます。最も一般的なベクタグラフィック形式に描画をエクスポートし、他のLibreOfficeモジュールなど、グラフィックをインポートできるアプリケーションにインポートすることができます。描画のAdobe* Flash* (SWF)バージョンを作成することもできます。

手順 12.1: グラフィックの作成
  1. LibreOffice Drawを起動します。

  2. ウィンドウの右側のドローツールバーを使用して、グラフィックを作成します。新しい形状またはテキストオブジェクトを作成するには、ツールバーの形状ボタンを使用します。

    • 単一の形状またはテキストオブジェクトを作成するには、形状ボタンを一度クリックします。ドキュメント上をクリックしてドラッグすることで、オブジェクトを作成します。

    • 複数の形状またはテキストオブジェクトを作成するには、形状ボタンをダブルクリックします。ドキュメント上をクリックしてドラッグすることで、オブジェクトを作成します。終了したら、ツールバーのマウスポインタアイコンをクリックします。

  3. そのグラフィックを保存します。

既存のDrawグラフィックをLibreOffice文書に埋め込むには、挿入 › オブジェクト › OLEオブジェクトの順に選択します。Create from file(ファイルから作成)を選択し、検索をクリックして挿入するDrawファイルに移動します。

後でグラフィックを個別に編集できるようにするには、Link to file (ファイルへのリンク)を有効にします。

OLEオブジェクトとしてファイルを挿入する場合は、後でファイルをダブルクリックすることによりオブジェクトを編集できます。

手順 12.2: 他のLibreOfficeモジュールからDrawを開く

Drawには、他のLibreOfficeモジュール内で利用できるという特長があります。他のLibreOfficeモジュールからDrawを起動してグラフィックを作成した後、ドキュメントに自動的にインポートできます。

  1. LibreOfficeモジュール(例: Writer)から、挿入 › オブジェクト › OLEオブジェクト › LibreOffice図形描画の順にクリックし、OKで確定します。

    Drawのユーザインタフェースが表示されます。

  2. 描画を作成します。

  3. ドキュメント内で、Drawの枠外の領域をクリックします。

    描画が自動的に文書に挿入されます。

12.4 Mathを使用した数式の作成

一般的に、ドキュメントに複雑な数式を表記することは、複雑さを伴います。このタスクを簡単にするため、LibreOffice Mathの方程式エディタでは、演算子、関数、および書式設定アシスタントを使用して数式を作成できます。作成した数式をオブジェクトとして保存し、他のドキュメントにインポートできます。Mathで作成した数式や関数は、他のグラフィックオブジェクトと同様に、他のLibreOfficeドキュメントに挿入できます。

注記
注記: 数式の作成のためのMath

Mathは計算機ではありません。Mathが作成する関数は、グラフィックオブジェクトです。Calcにインポートできますが、これらの関数は評価されません。

数式を作成するには、次の手順に従います。

  1. LibreOffice Mathを起動します。

  2. ファイル › 新規 › 数式の順にクリックします。数式ウィンドウが開きます。

  3. ウィンドウの下側で数式を入力します。たとえば、LibreOffice Math構文での二項定理は次のようになります。

    (a + b)^2 = a^2 + 2 a b + b^2

    結果はウィンドウの上側に表示されます。

  4. Formula Elements (数式要素)サイドバーパネルを使用するか、ウィンドウの下側を右クリックして、他の項を挿入します。記号が必要な場合は、ツール › シンボルを使用して、ギリシャ文字や他の特殊文字などを挿入します。

  5. ドキュメントを保存します。

結果は図12.1「LibreOffice Mathでの数式 」のようになります。

LibreOffice Mathでの数式
図 12.1: LibreOffice Mathでの数式

Writerに数式を含めることができます。次の手順に従います。

  1. 新しいWriter文書を作成するか、既存の文書を開きます。

  2. メインメニューで挿入 › オブジェクト › OLEオブジェクトの順に選択します。OLEオブジェクトの挿入ウィンドウが表示されます。

  3. ファイルから作成を選択します。

  4. 検索をクリックして、数式を見つけます。数式ファイルを選択するには、開くをクリックします。

    後で数式を個別に編集できるようにするには、Link to file (ファイルへのリンク)を有効にします。

  5. OKをクリックして、確定します。数式が現在のカーソル位置に挿入されます。