パート III ストレージとデータレプリケーション #
- 20 分散ロックマネージャ(DLM:Distributed Lock Manager)
カーネル内の分散ロックマネージャ(DLM)は、OCFS2、GFS2、Cluster MD、およびCluster LVM (lvmlockd)によって使用されるベースコンポーネントで、各層でアクティブ/アクティブ構成のストレージが提供されます。
- 21 OCFS2
OCFS 2 (Oracle Cluster File System 2)は、Linux 2.6以降のカーネルに完全に統合されている汎用ジャーナリングファイルシステムです。Oracle Cluster File System 2を利用すれば、アプリケーションバイナリファイル、データファイル、およびデータベースを、共有ストレージ中のデバイスに保管することができます。このファイルシステムには、クラスタ中のすべてのノードが同時に読み書きすることができます。ユーザスペース管理デーモンは、クローンリソースを介して管理され、HAスタック(特に、CorosyncおよびDLM (Distributed Lock Manager))との統合を実現します。
- 22 GFS2
Global File System 2 (GFS2)は、Linuxコンピュータクラスタ用の共有ディスクファイルシステムです。GFS2により、すべてのノードが同じ共有ブロックストレージに直接同時にアクセスすることができます。GFS2には、非接続運用モードがなく、クライアント役割やサーバ役割もありません。GFS2クラスタのすべてのノードがピアとして機能します。GFS2は、クラスタノードを32台までサポートします。クラスタでGFS2を使用する場合は、ハードウェアが共有ストレージへのアクセスを許可し、ロックマネージャがストレージへのアクセスを制御する必要があります。
SUSEでは、パフォーマンスが主要な要件の1つである場合は、クラスタ環境でOCFS2 over GFS2を使用することを推奨しています。弊社のテストは、このような設定では、GFS2と比較してOCFS2の方がパフォーマンスに優れていることを示しています。
- 23 DRBD
分散複製ブロックデバイス(DRBD*)を使用すると、IPネットワーク内の2つの異なるサイトに位置する2つのブロックデバイスのミラーを作成できます。Corosyncとともに使用すると、DRBDは分散高可用性Linuxクラスタをサポートします。この章では、DRBDのインストールとセットアップの方法を示します。
- 24 Cluster Logical Volume Manager (Cluster LVM)
クラスタ上の共有ストレージを管理する場合、ストレージサブシステムへの変更を各ノードに伝える必要があります。論理ボリューム管理(LVM)は、クラスタ全体にわたってボリュームグループのトランスペアレントな管理をサポートします。複数のホスト間で共有されるボリュームグループは、ローカルストレージと同じコマンドを使用して管理できます。
- 25 クラスタマルチデバイス(Cluster MD)
クラスタマルチデバイス(Cluster MD)は、クラスタ用のソフトウェアベースのRAIDストレージソリューションです。現在、Cluster MDでは、クラスタにRAID1ミラーリングの冗長性を提供しています。SUSE Linux Enterprise High Availability 15 SP6では、テクノロジープレビューとしてRAID10が含まれています。RAIDを試したい場合は、関連する
mirror
コマンドで10
をmdadm
10に置き換えてください。この章では、Cluster MDの作成および使用方法を示します。- 26 Sambaクラスタリング
クラスタ対応のSambaサーバは、異種混合ネットワークにHigh Availabilityソリューションを提供します。この章では、背景情報とクラスタ対応Sambaサーバの設定方法を説明します。
- 27 ReaR (Relax-and-Recover)による障害復旧
Relax-and-Recover (「ReaR」)はシステム管理者が使用する障害復旧フレームワークです。Rearは、障害発生時に保護対象となる特定の運用環境に合わせて調整する必要があるBashスクリプトのコレクションです。
障害復旧ソリューションはすぐには機能しません。したがって、障害が発生する「前に」準備をする必要があります。