1 GNOMEデスクトップの開始 #
このセクションでは、製品で提供されるGNOMEデスクトップの規則、レイアウト、および一般的なタスクについて説明します。
GNOMEは使いやすいグラフィカルユーザインタフェースであり、ユーザのニーズや好みに合わせてカスタマイズできます。このセクションではGNOMEのデフォルト設定について説明します。ユーザ自身またはシステム管理者がデフォルト設定を変更している場合は、外観やキーの組み合わせなど、いくつかの点が異なることがあります。
SUSE Linux Enterpriseの一部のバージョンには、GNOMEに基づいた3つの異なるセッション設定が付属しています。これらは、GNOME、GNOME Classic、SLE Classicです。ここで説明するのは、SLE Classicと呼ばれるSUSE Linux Enterprise Desktopのデフォルト設定です。
1.1 ログイン #
通常、すべてのユーザが認証を受ける必要があります。ただし、特定のユーザについて第16章 「YaSTによるユーザの管理」を参照してください。
が有効になっている場合を除きます。この場合は、システムが起動すると、特定のユーザが自動的にログインします。これにより、コンピュータを1人のユーザが使用している場合は特に、時間を節約することができます。ただし、アカウントのセキュリティに影響が生じることもあります。[Auto Login (自動ログイン)]は、インストール中、またはYaSTのユーザおよびグループ管理モジュールを使用すればいつでも、有効または無効にすることができます。詳細については、コンピュータがネットワーク環境内で稼動している場合に、そのコンピュータを利用する複数のユーザがいる場合は、システムの開始時にユーザ名とパスワードの入力を要求するプロンプトが表示されます。
自分のユーザ名がリストされている場合は、それをクリックします。
自分の名前が表示されていない場合は、
をクリックします。続いて、ユーザ名を入力し、 をクリックします。パスワードを入力し、
をクリックします。
1.1.1 ログイン前にセッションタイプを切り替える #
他のGNOMEセッション設定のいずれかを試す場合や、別のデスクトップ環境を試す場合は、次の手順に従います。
ログイン画面で、通常のようにユーザ名をクリックするか、入力します。
セッションタイプを変更するには、歯車のアイコンをクリックします。メニューが表示されます。
図 1.2: GNOMEログイン画面-セッションタイプ #メニューから、いずれかの項目を選択します。設定に応じて、選択肢が異なる場合がありますが、デフォルトの選択は次のとおりです。
- GNOME
アップストリームの設計に非常に近いGNOME 3の設定。できるだけユーザの邪魔にならないようにすることに重点を置いています。ただし、アプリケーションの起動やアプリケーション間の切り替えの動作は、他の多くのデスクトップオペレーティングシステムと異なります。画面の上部にある1つのパネルを使用します。
- GNOME Classic
以前のGNOME 2ユーザ向けに設計されたGNOME 3の設定。デスクトップに2つのパネルがあり、一方は上部に、もう一方は下部に配置されています。
- IceWM
リソースをほとんど使用しないように設計された非常に基本的なデスクトップ。他のオプションが機能しない場合や処理速度が遅い場合にフォールバックとして使用できます。
- SLE Classic (デフォルト)
古いバージョンのSUSE Linux EnterpriseのユーザおよびMicrosoft* Windows*のユーザ向けに設計された、SUSE Linux Enterpriseのデフォルトデスクトップ。このデスクトップはGNOME 3の設定で、画面の下部に配置された1つのパネルを使用します。
テキストボックスにパスワードを入力し、
をクリックします。
別のセッションタイプに一度切り替えると、選択したセッションがデフォルトのセッションになります。元のタイプに切り替えるには、これまでのステップを繰り返します。
1.1.2 支援ツール #
右上隅には、ステータスアイコンと支援技術メニューがあります。ステータスアイコンをクリックしてメニューを開き、音量を設定したり、マシンを再起動したり、マシンの電源をオフにしたりできます。
1.2 デスクトップの基礎知識 #
ログインすると、GNOMEデスクトップが表示されます。デスクトップの下部に配置されたパネルには、次の要素が表示されます(左から右)。
- [Applications (アプリケーション)]メニュー
左隅にある
をクリックすると、すべてのインストール済みプログラムが含まれたメニューが開きます。各プログラムは異なるカテゴリに分類されており、概要をすばやく確認できます。それらにマウスポインタを合わせると、サブ項目が自動的に開きます。[Activities Overview (アクティビティ画面)]の詳細については、1.2.1項 「Activities Overview (アクティビティ画面)」を参照してください。
- [Places (場所)]メニュー
- タスクスイッチ
パネルの中央部には、現在デスクトップで開いている(アクティブなワークスペースにある)すべてのアプリケーションが表示されます。これらのアプリケーションを手前に表示するには、アプリケーションの名前をクリックします。
- 通知インジケータ(常に表示されるわけではありません)
新しいチャットまたは電子メールメッセージやシステム更新などに関する通知がある場合、インジケータが表示されます。インジケータは青色の円で、利用可能な通知の数が中央に表示されます。インジケータをクリックするとメッセージトレイが開き、すべての通知を操作することができます。
- ワークスペーススイッチ
このメニューでは、作業するワークスペース(仮想デスクトップとも呼ばれます)を選択できます。この機能は、多数のウィンドウを使用する場合に便利です。たとえば、あるプロジェクトに必要なウィンドウをワークスペース1に、別のプロジェクトに必要なウィンドウをワークスペース2に移動することができます。
- 日付と時刻
現在の曜日と時刻がワークスペーススイッチの右側に表示されます。クリックするとメニューが開き、カレンダにアクセスしたり、日付と時刻の設定を調整したりすることができます。
- ステータスアイコン
パネルの右隅に、ネットワーク接続、音量、および電源/バッテリの現在のステータスを示すアイコンが表示されます。
これらのアイコンをクリックするとメニューが開き、音量、ディスプレイの明るさ、ネットワーク接続、および電源の設定を調整することができます。名前をクリックすると、ログアウトするか、別のユーザに切り替えるためのオプションが表示されます。
このメニューの左側にある3つのアイコンでは、左から右に、GNOME設定ダイアログの表示、画面のロック、およびコンピュータの電源オフまたは再起動を行うことができます。
1.2.1 Activities Overview (アクティビティ画面) #
[Activities Overview (アクティビティ画面)]は、1つのアクティビティから別のアクティビティに切り替えるすべての方法を表示する全画面モードです。この画面には、開いているすべてのウィンドウのプレビューと、お気に入りのアプリケーションや実行中のアプリケーションのアイコンが表示されます。また、検索機能とブラウジング機能も統合されています。
1.2.1.1 [Activities Overview (アクティビティ画面)]を開く #
[Activities Overview (アクティビティ画面)]を開くには、さまざまな方法があります。
下部のパネルで
メニューを開き、 を選択する。Metaキーを押す。
ポインタを左上隅(いわゆる「ホットコーナー」)に移動する。
1.2.1.2 [Activities Overview (アクティビティ画面)]の使用 #
ここでは、[Activities Overview (アクティビティ画面)]の最も重要な部分について説明します。
- ダッシュボード
ダッシュボードは、中央左に配置されているバーです。ここには、お気に入りのアプリケーションと、ウィンドウを開いているすべてのアプリケーションが表示されます。マウスポインタをいずれかのアイコンの上に移動すると、対応するアプリケーションの名前が近くに表示されます。明るく表示されているアプリケーションは、実行中であり、少なくとも1つのウィンドウが開いていることを示します。
アイコンを右クリックするとメニューが開き、関連付けられているプログラムに応じてさまざまな操作を実行できます。
を使用すると、アプリケーションアイコンを常にダッシュボードに配置することができます。ダッシュボードからプログラムアイコンを削除するには、 を選択します。アイコンを並べ替えるには、マウスを使用して新しい位置にドラッグします。- 検索ボックス
上部にある検索ボックスを使用して、ホームディレクトリ内のアプリケーション、設定、およびファイルを検索できます。
検索する際に検索ボックスをクリックする必要はありません。[Activities Overview (アクティビティ画面)]を開いた後、すぐに入力を開始することができます。検索がすぐに始まり、Enterを押す必要はありません。
- ワークスペースセレクタ
右側には、使用可能なワークスペースの概要があります。選択したデスクトップに切り替えるには、そのプレビューをクリックします。
ワークスペース間でウィンドウを移動するには、一方のワークスペースプレビューから別のワークスペースプレビューにウィンドウのプレビューをドラッグします。
1.2.2 プログラムの起動 #
プログラムを起動するには、次のように複数のオプションがあります。
下部のパネルで、
をクリックし、階層式のメニューから目的のプログラムを選択します。Metaを押して、[Activities Overview (アクティビティ画面)]を開きます。ここでアプリケーションアイコンをクリックするか、アプリケーションを検索します。正確なアプリケーション名がわからない場合は、「イメージエディタ」など、一般的なカテゴリ名を検索することができます。
[Activities Overview (アクティビティ画面)]の詳細については、1.2.1項 「Activities Overview (アクティビティ画面)」を参照してください。
プログラムを起動する正確なコマンドを知っている場合は、Alt–F2>押してダイアログにコマンドを入力し、Enter押します。
ウィンドウに表示されるボタンは
ボタンだけです。このボタンをクリックすると、ウィンドウが閉じます。
1.3 セッションの一時停止または終了 #
コンピュータの使用が終わったら、さまざまな方法でセッションを終了できます。状況に適した方法は、コンピュータから離れる時間や、電力消費を気にするかどうかなどによって異なります。
コンピュータのロック. セッションを一時停止しますが、コンピュータの電源はオンのままです。休憩中にコンピュータから離れている間、他のユーザが作業を見たり、変更したりすることはできません。その間、他のユーザがログインして作業することができます。他のユーザがコンピュータをシャットダウンできますが、ログインしているユーザがいるというメッセージが表示されます。
ログアウト. 現在のセッションを終了しますが、コンピュータの電源はオンのままなので、他のユーザがログインできます。
終了. 現在のセッションを終了し、コンピュータの電源をオフにします。
再起動. 現在のセッションを終了し、コンピュータを再起動します。一部のシステム更新を適用するには、再起動が必要です。
コンピュータのサスペンド. セッションを一時停止し、コンピュータの消費電力を最小限に抑えます。サスペンドモードは、画面をロックして、他のユーザが作業を見たり、変更したりすることができないように設定することができます。サスペンドモードからのコンピュータの復帰は通常、コンピュータの完全な起動よりもはるかに高速です。
このモードは、STR (Suspend-to-RAM)、スリープ、またはスタンバイモードと呼ばれることもあります。
1.3.1 画面のロック #
画面をロックするには、メインパネルの右側にあるステータスアイコンをクリックし、南京錠のアイコンをクリックします。
画面をロックすると、最初に、カーテンと時計が表示されます。しばらくすると、画面が黒くなります。画面をロック解除するには、マウスを移動するかキーを押して、ロックされた画面ダイアログを表示します。パスワードを入力し、Enterキーを押して画面のロックを解除します。
1.3.2 ログアウトまたはユーザの切り替え #
メインパネルの右側にあるステータスアイコンをクリックして、メニューを開きます。
ユーザ名をクリックします。
次のいずれかのオプションを選択します。
- Log Out
現在のセッションからログアウトし、ログイン画面に戻ります。
- ユーザの切り換え
セッションをサスペンド状態にして、別のユーザとしてログインしてコンピュータを使用します。
- アカウント設定
ユーザ設定が開き、そこでパスワードを変更できます。
1.3.3 コンピュータの再起動またはシャットダウン #
メインパネルの右側にあるステータスアイコンをクリックして、メニューを開きます。
メニューの左下にある[Power Off (電源オフ)]アイコンをクリックします。
次のいずれかのオプションを選択します。
- 電源オフ
現在のセッションからログアウトし、コンピュータの電源を切ります。
- 再開
現在のセッションからログアウトし、コンピュータを再起動します。
1.3.4 コンピュータのサスペンド #
メインパネルの右側にあるステータスアイコンをクリックして、メニューを開きます。
Altを押したままにします。メニューの右下にある電源オフアイコンが一時停止アイコンに変わります。一時停止アイコンをクリックします。