27 コンセプトとアーキテクチャ #
SUSE ATIPは、クラウドネイティブな最新の通信事業者向けアプリケーションをコアからエッジまで大規模にホストするために設計されたプラットフォームです。
このページでは、ATIPで使用されるアーキテクチャとコンポーネントについて説明します。これを理解しておくと、ATIPをデプロイおよび使用する際に役立ちます。
27.1 ATIPのアーキテクチャ #
次の図は、ATIPのアーキテクチャの概要を示しています。
27.2 コンポーネント #
異なる2つのブロックがあります。管理スタックとランタイムスタックです。
管理スタック: ATIP内でランタイムスタックのプロビジョニングとライフサイクルを管理するために使用される部分です。次のコンポーネントが含まれます。
Rancher (第4章 「Rancher」)を使用した、パブリッククラウド環境とプライベートクラウド環境のマルチクラスタ管理
Metal3 (第8章 「Metal3」)、MetalLB (第17章 「MetalLB」)、および
CAPI
(Cluster API)インフラストラクチャプロバイダを使用したベアメタルサポート包括的なテナント分離と
IDP
(IDプロバイダ)の統合サードパーティ統合と拡張機能の大規模なマーケットプレイス
ベンダに依存しないAPIと充実したプロバイダエコシステム
SLE Microのトランザクション更新の制御
GitリポジトリとFleet (第6章 「Fleet」)を使用してクラスタのライフサイクルを管理するGitOpsエンジン
ランタイムスタック: ATIP内でワークロードを実行するために使用される要素です。
Kubernetesと、K3s (第13章 「K3s」)やRKE2 (第14章 「RKE2」)などの安全で軽量なディストリビューション(
RKE2
は、政府機関での使用や規制対象産業向けに強化、認証、最適化されています)。NeuVector (第16章 「NeuVector」)。イメージの脆弱性スキャン、ディープパケットインスペクション、クラスタ内の自動トラフィック制御などのセキュリティ機能を実現します。
ブロックストレージとLonghorn (第15章 「Longhorn」)。クラウドネイティブのストレージソリューションをシンプルかつ簡単に使用できます。
SLE Micro(第7章 「SLE Micro」)で最適化されたオペレーティングシステム。コンテナ運用のための、安全、軽量でイミュータブルな(トランザクショナルファイルシステムを備えた) OSを実現します。SLE Microは
aarch64
アーキテクチャとx86_64
アーキテクチャで利用でき、通信事業者およびエッジのユースケース向けにリアルタイムカーネル
もサポートしています。
27.3 デプロイメントフローの例 #
管理コンポーネントとランタイムコンポーネントの関係を理解できるように、以下にワークフローの概要の例を示します。
ダイレクトネットワークプロビジョニングは、すべてのコンポーネントを事前設定した状態で新しいダウンストリームクラスタをデプロイできるワークフローであり、手動操作なしですぐにワークロードを実行できます。
27.3.1 例1: すべてのコンポーネントがインストールされた新しい管理クラスタをデプロイする #
Edge Image Builder (第9章 「Edge Image Builder」)を使用して、管理スタックが含まれる新しいISO
イメージを作成します。その後、このISO
イメージを使用して、新しい管理クラスタをVMまたはベアメタルにインストールできます。
新しい管理クラスタをデプロイする方法については、ATIPの管理クラスタに関するガイド(第29章 「管理クラスタの設定」)を参照してください。
Edge Image Builderの使用方法については、Edge Image Builderのガイド(第3章 「Edge Image Builderを使用したスタンドアロンクラスタ」)を参照してください。
27.3.2 例2: 通信事業者プロファイルを使用してシングルノードのダウンストリームクラスタをデプロイして通信ワークロードを実行可能にする #
管理クラスタが稼働したら、その管理クラスタを使用して、ダイレクトネットワークプロビジョニングワークフローにより、すべての通信機能が有効化および設定された状態でシングルノードのダウンストリームクラスタをデプロイすることができます。
次の図に、これをデプロイするワークフローの概要を示します。
ダウンストリームクラスタをデプロイする方法については、ATIPの自動プロビジョニングに関するガイド(第31章 「完全に自動化されたダイレクトネットワークプロビジョニング」)を参照してください。
通信機能の詳細については、ATIPの通信機能に関するガイド(第30章 「通信機能の設定」)を参照してください。
27.3.3 例3: MetalLBをロードバランサとして使用して高可用性ダウンストリームクラスタをデプロイする #
管理クラスタが稼働したら、その管理クラスタを使用して、ダイレクトネットワークプロビジョニングワークフローにより、MetalLB
をロードバランサとして使用する高可用性ダウンストリームクラスタをデプロイすることができます。
次の図に、これをデプロイするワークフローの概要を示します。
ダウンストリームクラスタをデプロイする方法については、ATIPの自動プロビジョニングに関するガイド(第31章 「完全に自動化されたダイレクトネットワークプロビジョニング」)を参照してください。
MetalLB
の詳細については、第17章 「MetalLB」を参照してください。