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適用項目 SUSE Linux Enterprise Server 15 SP4

43 YaSTを使用したFTPサーバの設定

YaST FTPサーバモジュールを使用すると、コンピュータをFTP (File Transfer Protocol)サーバとして機能するように設定できます。匿名および/または認証されたユーザがコンピュータに接続し、FTPプロトコルを使用してファイルをダウンロードできます。設定によっては、それらのユーザがFTPサーバにファイルをアップロードすることも可能です。YaSTはvsftpd (Very Secure FTP Daemon)を使用します。

YaST FTPサーバモジュールがシステム内にない場合は、yast2-ftp-serverパッケージをインストールしてください。(コマンドラインからのFTPサーバの管理については、4.4.3.7項 「yast ftp-server」を参照してください。)

YaSTで、FTPサーバを設定するには、次の手順に従います。

  1. YaSTコントロールセンターを開き、ネットワークサービス › FTPサーバの順に選択するか、rootとしてyast2 ftp-serverコマンドを実行します。

  2. システムにFTPサーバがインストールされていない場合は、YaST FTPサーバモジュールの起動時に、インストールするサーバをどれにするか質問されます。vsftpdサーバを選択してダイアログを確認します。

  3. 起動ダイアログで、FTPサーバの起動に関するオプションを設定します。詳細については、43.1項 「FTPサーバの起動」を参照してください。

    一般ダイアログで、FTPディレクトリ、歓迎メッセージ、ファイル作成マスクなどの各種パラメータを設定します。詳細については、43.2項 「FTP一般設定」を参照してください。

    Performanceダイアログで、FTPサーバの負荷に影響するパラメータを設定します。詳細については、43.3項 「FTPパフォーマンス設定」を参照してください。

    認証ダイアログで、匿名および/または認証されたユーザに対してFTPサーバを使用可能にするかどうか設定します。詳細については、43.4項 「認証」を参照してください。

    エキスパート設定ダイアログで、FTPサーバの操作モード、SSL接続、およびファイアウォール設定を設定します。詳細については、43.5項 「エキスパート設定」を参照してください。

  4. 完了をクリックして設定を保存します。

43.1 FTPサーバの起動

FTP Start-Upダイアログのサービス開始フレームで、FTPサーバを起動する方法を設定します。システムブート時の自動的なサーバ起動とサーバの手動起動のどちらかを選択できます。FTP接続要求後にのみFTPサーバを起動する場合は、ソケットを使用するを選択します。

FTPサーバの現在のステータスが、FTP Start-Upダイアログの開始/停止フレームに表示されます。FTPを開始するをクリックして、FTPサーバを起動します。サーバを停止するには、FTPを停止するをクリックします。サーバの設定を変更したら、設定を保存してFTPを再起動するをクリックします。完了を押して設定モジュールを終了すると、設定が保存されます。

FTPサーバの設定 - 起動
図 43.1: FTPサーバの設定 - 起動

43.2 FTP一般設定

FTP General Settingsダイアログの一般の設定フレームで、FTPサーバへの接続後に表示されるWelcome messageを設定できます。

Chroot Everyoneオプションをオンにした場合は、すべてのローカルユーザが、ログイン後、ホームディレクトリのchroot jailに配置されます。このオプションは、セキュリティに影響します(特に、ユーザがアップロードパーミッションまたはシェルアクセスを持つ場合)。したがって、このオプションの有効化には、注意が必要です。

Verbose Loggingオプションをオンにすると、すべてのFTP要求と応答がログされます。

匿名および/または認証されたユーザが作成するファイルのパーミッションは、umaskで制限できます。Umask for Anonymousで匿名ユーザ用のファイル作成マスクを設定し、Umask for Authenticated Usersで認証されたユーザ用のファイル作成マスクを設定します。マスクは、必ずゼロで始まる8進数として入力してください。umaskの詳細については、umaskマニュアルページ(man 1p umask)を参照してください。

FTP Directoriesフレームで、匿名/認証されたユーザ用のディレクトリを設定します。参照をクリックすると、ローカルファイルシステムから使用できるディレクトリを選択できます。匿名ユーザのデフォルトFTPディレクトリは、/srv/ftpです。ただし、vsftpdでは、このディレクトリにすべてのユーザが書き込むことはできません。代わりに、書き込みパーミッション付きのサブディレクトリuploadが匿名ユーザ用に作成されます。

43.3 FTPパフォーマンス設定

パフォーマンスダイアログで、FTPサーバの負荷に影響するパラメータを設定します。Max Idle Timeは、リモートクライアントがFTPのコマンド間で待機できる最大時間(分)です。これよりアクティビティのない時間が長くなると、リモートクライアントの接続は切断されます。Max Clients for One IPでは、1つのIPアドレスから接続できるクライアントの最大数を決定します。最大クライアントでは、接続できるクライアントの最大数を決定します。クライアントをさらに追加すると、エラーメッセージが表示されます。

最大データ転送速度(KB/秒)の設定は、ローカルの認証されたユーザについてはLocal Max Rate、匿名クライアントについてはAnonymous Max Rateで行います。速度設定のデフォルト値は、0であり、無制限のデータ転送速度を意味します。

43.4 認証

認証ダイアログの匿名ユーザとローカルユーザの有効/無効フレームでは、どのユーザにFTPサーバへのアクセスを許可するか設定できます。次のオプションのいずれかを選択できます: 。匿名ユーザのみ、(システムにアカウントのある)認証されたユーザのみ、またはその両方のタイプのユーザにアクセスを付与します。

FTPサーバへのファイルのアップロードを許可するには、認証ダイアログのアップロードフレームにあるアップロードの許可をオンにします。ここでは、各ボックスにチェック印を入れることで、匿名ユーザにも、アップロードまたはディレクトリの作成を許可できます。

注記
注記: vsftp - 匿名ユーザのファイルのアップロードを許可する

vsftpdサーバを使用し、匿名ユーザにファイルをアップロードさせたり、ディレクトリを作成させる場合は、すべてのユーザ用書き込みパーミッション付きのサブディレクトリを、匿名FTPディレクトリ内に作成する必要があります。

43.5 エキスパート設定

FTPサーバは、アクティブモードまたはパッシブモードで実行できます。デフォルトでは、サーバはパッシブモードで実行されます。アクティブモードに切り換えるには、エキスパート設定ダイアログのパッシブモードを許可するオプションのチェックをオフにします。データストリーム用に使用するサーバのポート範囲を変更することもできます。このためには、Min Port for Pas.ModeMax Port for Pas.Modeのオプションを微調整します。

クライアントとサーバ間で暗号化された通信が必要な場合は、SSLを有効にすることができます。さらにTLSを有効にすることができます。SSL暗号化接続に使用するRSA証明書を指定します。

重要
重要

デフォルトでは、vsftpd デーモンの新しいバージョンでは、バージョン1.2より古いTLSプロトコルが無効になっています。古いバージョンのTLSプロトコルを必要とするFTPクライアントを使用する場合は、/etc/vsftpd.confファイルに次の設定を追加する必要があります。

ssl_tlsv1 = YES
ssl_tlsv1_1 = YES

次に、vsftpdデーモンを再起動して、設定を再読み込みします。

> sudo systemctl restart vsftpd.service

システムがファイアウォールで保護されている場合は、ファイアウォール内でポートを開くをオンにして、FTPサーバへの接続を有効にします。

43.6 詳細情報

FTPサーバの詳細については、vsftpdおよびvsftpd.confのマニュアルページを参照してください。