XenおよびKVMを使用した仮想化

XenおよびKVMの仮想化クライアントはSUSE Multi-Linux Managerで直接管理できます。

SUSE Multi-Linux Manager 5.0からlibvirt管理機能は非推奨となり、その後将来のバージョンで削除される予定です。現在もVM管理機能を利用している場合は、Harvesterなどの代替手段を検討することを強くお勧めします。

まず、SUSE Multi-Linux Managerサーバで仮想ホストを設定する必要があります。追加の仮想ホストおよび仮想ゲストのAutoYaSTまたはKickstartを使用して自動インストールを設定できます。

このセクションでは、インストール後に仮想ゲストを管理する方法についても説明します。

1. ホストの設定

VMホストでXenまたはKVMを設定する方法は、関連するゲストで使用するオペレーティングシステムによって決まります。

仮想化ホスト式は、ホストの初期化を支援します。 詳細については、仮想化ホストの初期化を参照してください。

1.1. 背景情報

SUSE Multi-Linux Managerは、libvirtを使用してゲストをインストールして管理します。ホストに libvirt-daemonパッケージがインストールされている必要があります。ほとんどの場合、デフォルト設定で十分で、調整する必要はありません。ただし、ゲストのVNCコンソールに非rootユーザとしてアクセスする場合、設定変更を実行する必要があります。VNCコンソールの設定方法の詳細については、ご使用のオペレーティングシステム用のマニュアルを参照してください。

SUSE Multi-Linux Managerサーバでブートストラップスクリプトが必要です。ブートストラップスクリプトには、ホストのアクティベーションキーを含める必要があります。GPGキーも含めてセキュリティを強化することをお勧めします。ブートストラップスクリプトの作成については、ブートストラップスクリプトを使用してクライアントを登録するを参照してください。

ブートストラップスクリプトの準備ができたら、そのスクリプトを使用してホストをSUSE Multi-Linux Managerサーバに登録します。クライアントの登録の詳細については、クライアントの登録を参照してください。

1.2. 仮想化ホストの初期化

仮想化ホスト式で、ホストを初期化します。

プロシージャ: 仮想化ホストの初期化
  1. SUSE Multi-Linux ManagerのWeb UIで、ホストの[システムの詳細]ページに移動し、[ ]タブをクリックします。

  2. 仮想化ホスト式を選択し、保存をクリックします。

  3. 仮想化ホストサブタブをクリックします。

  4. 設定を確認して、式の保存をクリックします。

  5. 変更を有効にするには、Highstateを適用します。

  6. salt-minionサービスを再起動し、新しい設定を有効にします。

    systemctl restart salt-minion

2. VMゲストの自動インストール

AutoYaSTまたはKickstartを使用して、XenおよびKVMのゲストを自動的にインストールして登録できます。

You need an activation key for the VM host you want to register the guests to, and for each guest. For more information about creating activation keys, see アクティベーションキー.

インストール後にSUSE Multi-Linux Managerでゲストを自動的に登録する場合、ブートストラップスクリプトを作成する必要があります。ブートストラップスクリプトの作成の詳細については、ブートストラップスクリプトを使用してクライアントを登録するを参照してください。

2.1. 自動インストール可能なディストリビューションの作成

SUSE Multi-Linux Managerからクライアントを自動インストールできる自動インストール可能なディストリビューションをVMに作成する必要があります。 ディストリビューションは、マウントされたローカルディレクトリやリモートディレクトリから使用できたり、ループマウントされたISOイメージで使用できます。

自動インストール可能なディストリビューションの設定は、Red Hat Enterprise LinuxまたはSUSEオペレーティングシステムをゲストで使用しているかどうかによって異なります。Red Hat Enterprise Linuxインストールのパッケージは、関連するベースチャンネルからフェッチされます。SUSEシステムをインストールするパッケージは、自動インストール可能なディストリビューションからフェッチされます。したがって、SUSEシステムでは、自動インストール可能なディストリビューションは、完全なインストールソースである必要があります。

Table 1. 自動インストール可能なディストリビューションのパス
オペレーティングシステムの種類 カーネルの場所 initrdの場所

Red Hat Enterprise Linux

images/pxeboot/vmlinuz

images/pxeboot/initrd.img

SUSE

boot/<arch>/loader/initrd

boot/<arch>/loader/linux

すべてのケースで、ベースチャンネルが自動インストール可能なディストリビューションと一致していることを確認してください。

始める前に、使用しているVMホストでインストールメディアを使用できることを確認してください。これは、リモートリソース上、ローカルディレクトリ内、またはループマウントされたISOイメージ内にある場合があります。また、すべてのファイルおよびディレクトリが、全ユーザが読み取り可能であることを確認してください。

プロシージャ: 自動インストールのディストリビューションの作成
  1. SUSE Multi-Linux ManagerのWeb UIで、システム  自動インストール  ディストリビューションに移動し、ディストリビューションの作成をクリックします。

  2. 自動インストール可能なディストリビューションの作成]セクションで、次のパラメータを使用します。

    • ディストリビューションラベル]セクションに、ディストリビューションの固有の名前を入力します。 半角の英字、数字、ハイフン(-)、ピリオド(.)、および下線(_)のみを使用し、5文字以上にしてください。

    • ツリーパス]フィールドに、インストールソースへの絶対パスを入力します。

    • ベースチャンネル]フィールドで、インストールソースと一致するチャンネルを選択します。 このチャンネルは、非SUSEインストール環境用のパッケージソースとして使用されます。

    • インストーラ生成]フィールドで、インストールソースと一致するオペレーティングシステムのバージョンを選択します。

    • カーネルオプション]フィールドに、インストールでブート時にカーネルに渡すオプションを入力します。 install=パラメータおよびself_update=0パラメータはデフォルトで追加されます。

    • インストールしたシステムを初めてブートするときにカーネルに渡すオプションを[カーネルの後のオプション]セクションに入力します。

  3. 自動インストール可能なディストリビューションの作成をクリックして保存します。

自動インストール可能なディストリビューションを作成するとき、これを編集できます。そのためには、システム  自動インストール  ディストリビューションに移動し、編集するディストリビューションを選択します。

2.2. 自動インストールプロファイルの作成およびアップロード

自動インストールプロファイルには、システムをインストールするために必要なインストールデータおよび設定データがすべて含まれています。 インストール完了後に実行するスクリプトを含めることもできます。

KickstartプロファイルはSUSE Multi-Linux ManagerのWeb UIを使用して作成できます。そのためには、システム  自動インストール  プロファイルに移動し、新しいキックスタートプロファイルを作成をクリックし、プロンプトに従って操作します。

AutoYaSTまたはKickstartの自動インストールプロファイルを手動で作成することもできます。 SUSEには、独自のカスタムファイルの雛形として使用できるAutoYaSTインストールファイルのテンプレートが用意されています。 これは、https://github.com/SUSE/manager-build-profilesにあります。

AutoYaSTを使用してSLESをインストールする場合、次のスニペットも含める必要があります。

<products config:type="list">
  <listentry>SLES</listentry>
</products>
プロシージャ: 自動インストールプロファイルのアップロード
  1. SUSE Multi-Linux ManagerのWeb UIで、システム  自動インストール  プロファイルに移動し、キックスタート/Autoyastファイルをアップロードをクリックします。

  2. 自動インストールプロファイルを作成]セクションで、次のパラメータを使用します。

    • ラベル]フィールドにプロファイルの一意の名前を入力します。 半角の英字、数字、ハイフン(-)、ピリオド(.)、および下線(_)のみを使用し、7文字以上にしてください。

    • 自動インストールツリー]フィールドで、前に作成した自動インストール可能なディストリビューションを選択します。

    • 仮想化タイプ]フィールドで、関連するゲストの種類を選択します(KVM仮想化ゲストなど)。 ここでは、[Xen仮想化ホスト]を選択しないでください。

    • オプション: 自動インストールプロファイルを手動で作成する場合、[ファイルの内容]フィールドに直接入力できます。 ファイルを作成済みの場合、[ファイルの内容]フィールドを空白のままにします。

    • アップロードするファイル]フィールドで、Choose File(ファイルの選択)をクリックし、システムダイアログを使用して、アップロードするファイルを選択します。 ファイルが正常にアップロードされると、ファイル名が[アップロードするファイル]フィールドに表示されます。

    • アップロードしたファイルの内容が[ファイルの内容]フィールドに表示されます。 編集する必要がある場合、直接編集できます。

  3. 作成をクリックして変更を保存し、プロファイルを保存します。

自動インストールプロファイルを作成するとき、これを編集できます。そのためには、システム  自動インストール  プロファイルに移動し、編集するプロファイルを選択します。 作成をクリックして、必要な変更を行い、設定を保存します。

既存のKickstartプロファイルの[仮想化タイプ]を変更する場合、ブートローダおよびパーティションのオプションも変更する場合があり、カスタム設定を上書きすることもあります。 [パーティション設定]タブを注意深く確認して、変更前にこれらの設定を確認してください。

2.3. ゲストを自動的に登録する

VMゲストを自動的にインストールするとき、SUSE Multi-Linux Managerには登録されません。 ゲストをインストールしてすぐに自動的に登録する場合、ブートストラップスクリプトを呼び出してゲストを登録する自動インストールプロファイルにセクションを追加できます。

このセクションでは、ブートストラップスクリプトを既存のAutoYaSTプロファイルに追加する手順について説明します。

ブートストラップスクリプトの作成の詳細については、ブートストラップスクリプトを使用してクライアントを登録するを参照してください。 Kickstartでこの作業を行う方法については、Red Hatのインストール関連ドキュメントを参照してください。

プロシージャ: ブートストラップスクリプトをAutoYaSTプロファイルに追加する
  1. 登録するVMゲストのアクティベーションキーがブートストラップスクリプトに含まれていることを確認してください。これはホストの/srv/www/htdocs/pub/bootstrap_vm_guests.shにあります。

  2. SUSE Multi-Linux ManagerのWeb UIで、システム  自動インストール  プロファイルに移動し、このスクリプトを関連付けるAutoYaSTプロファイルを選択します。

  3. ファイルの内容]フィールドで、次のスニペットをファイルの末尾(</profile>タグの直前)に追加します。 スニペットのIPアドレス例192.168.1.1を、使用中のSUSE Multi-Linux Managerサーバの正しいIPアドレスに置き換えてください。

    <scripts>
      <init-scripts config:type="list">
        <script>
          <interpreter>shell</interpreter>
          <location>
            http://192.168.1.1/pub/bootstrap/bootstrap_vm_guests.sh
          </location>
        </script>
      </init-scripts>
    </scripts>
  4. 更新]をクリックして変更を保存します。

AutoYaSTプロファイルに<scripts>セクションがすでに含まれている場合、2つ目のセクションを追加しないでください。 既存の<scripts>セクション内にブートストラップスニペットを配置します。

2.4. VMゲストの自動インストール

すべての設定が完了したら、VMゲストの自動インストールを開始できます。

各VMホストが同時にインストールできるゲストは1つだけです。 複数の自動インストールをスケジュールしている場合、前のインストールが完了する前に次のインストールが始まらないようにスケジュールしてください。 ゲストのインストールが別のインストールの実行中に開始すると、実行中のインストールはキャンセルされます。

  1. SUSE Multi-Linux ManagerのWeb UIで、システム  概要に移動し、ゲストをインストールするVMホストを選択します。

  2. 仮想化]タブ、[プロビジョニング]サブタブに移動します。

  3. 使用する自動インストールプロファイルを選択し、ゲストの一意の名前を指定します。

  4. 該当する場合にはプロキシを選択し、スケジュールを入力します。

  5. ゲストのハードウェアのプロファイルおよび設定オプションを変更するには、高度なオプションをクリックします。

  6. 自動インストールをスケジュールしてから終了するをクリックして完了します。

3. VMゲストの管理

SUSE Multi-Linux ManagerのWeb UIを使用して、CPUやメモリの割り当て調整、シャットダウン、再起動のようなアクションなど、VMゲストを管理できます。

そのためには、XenまたはKVM VMホストをSUSE Multi-Linux Managerサーバに登録し、libvirtdサービスをホストで実行する必要があります。

SUSE Multi-Linux ManagerのWeb UIで、システム  システム一覧に移動し、管理するゲストのVMホストをクリックします。 [仮想化]タブに移動し、このホストに登録されているすべてのゲストを表示し、管理機能にアクセスします。

Web UIを使用してVMゲストを管理する方法の詳細については、仮想化を参照してください。